はじめに:CES 2026におけるヘルスケアの未来
2025年12月24日、ダッソー・システムズは、米国ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー展「CES 2026」(2026年1月6日~1月9日)において、認知症およびアルツハイマー病ケアの未来を切り拓く人工知能(AI)活用の最前線を、世界初の体験型展示として紹介すると発表しました。

この取り組みは、先日開催された「バーチャル・ヒューマン・ツイン・エクスペリエンス・シンポジウム」で示された、バーチャルツインをヘルスケアの基盤とするというダッソー・システムズのビジョンをさらに発展させるものです。AIとバーチャルツインが、どのように個別化されたヘルスケアの未来を再定義するのか、その詳細を見ていきましょう。
「バーチャル・ヒューマン・ツイン・エクスペリエンス・シンポジウム」の詳細はこちらで確認できます。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLMEjN73iIFkf5CDf95M0v4zAV13SZLUZI
AIとバーチャルツインで再定義される個別化ヘルスケア
デジタルヘルスゾーン(LVCC, North Hall – Booth #8705)では、「Step Inside Alzheimer’s(アルツハイマー病の内側へ)」と題された体験型展示が行われます。これは、来場者が没入型かつ対話型の体験を通じて、ダッソー・システムズの提唱する「3D UNIV+RSES(3Dユニバース)」が、AI、患者のバーチャルツイン、そしてリアルタイムセンシングを融合させ、神経変性疾患領域における次世代の「ヘルスケア・オペレーティング・システム(医療運用基盤)」を構築していく過程を体感できるものです。
3D UNIV+RSESとは?
「3D UNIV+RSES」とは、現実世界とデジタルの世界を融合させる、ダッソー・システムズ独自の概念です。このシステムでは、AIが研究、臨床試験、診断、治療といった医療のあらゆるプロセスをバーチャル空間上で行うことを可能にする中核技術として機能します。これにより、従来の病院や診療所といった医療機関中心の仕組みを超えて、患者一人ひとりの状態に合わせて進化し続ける「バーチャルツイン」が、より予測的で個別化された医療を実現する基盤となります。
バーチャルツインとは?
バーチャルツインとは、現実世界のモノやシステム、あるいは人間を、デジタル空間にそっくりそのまま再現した「双子」のような存在です。医療分野においては、患者一人ひとりの身体データや健康状態、生活習慣などをデジタル化し、仮想空間にその人の「分身」を作り出します。このバーチャルツインは、現実世界の患者のデータに基づいて常に更新され、病気の進行予測や治療法のシミュレーションなどに活用されます。
ヘルスケア・オペレーティング・システムとは?
この文脈での「ヘルスケア・オペレーティング・システム」とは、医療における様々な情報(患者データ、研究データ、治療データなど)を一元的に管理し、AIとバーチャルツイン技術を駆使して、患者一人ひとりに最適な医療を提供するための総合的な基盤システムを指します。これにより、医療提供者はより効率的かつ精密な意思決定が可能になり、患者はよりパーソナライズされたケアを受けられるようになります。
没入型体験から見える医療の新たな可能性
来場者は、光と映像に包まれたキューブ型空間の中で、まるで未来の医療現場に入り込んだかのような体験をします。ここでは、患者、医療従事者・介護者、そして研究者という三つの異なる視点から、都市、家庭、個人、そしてバーチャル上に作成された脳である「バーチャルブレイン」の間を行き来しながら、医療データがどのように活用されるかを深く理解できます。
データ連携の仕組み
この体験では、身体データ(例えば、心拍数や活動量)、スマートホームデータ(例えば、生活パターンや転倒リスク)、そして「インシリコ(コンピュータ上の)研究」がリアルタイムに相互連携し、動的なフィードバックとして機能する様子が示されます。インシリコ研究とは、実際に実験を行う代わりに、コンピュータシミュレーションによって研究を進める方法です。これらのデータが統合されることで、より包括的な患者像がバーチャル空間に構築されます。
バーチャルツインの進化とメリット
この3D UNIV+RSEでは、電子カルテを基に患者一人ひとりに合わせて構築されたバーチャルツインが、各種センサーによってリアルタイムに更新されます。例えば、スマートウォッチから得られる活動データや、スマートホームデバイスが検知する生活環境の変化などが、バーチャルツインに即座に反映されます。これにより、次のような画期的なメリットが生まれます。
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症状が現れる前の健康状態の変化予測: バーチャルツインが継続的に更新されることで、病気の兆候や健康状態の悪化を、自覚症状が出る前に予測できるようになります。これにより、早期介入が可能となり、重症化を防ぐことにつながります。
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患者の家庭内に潜むリスクへの予防的な対応: スマートホームデータとの連携により、患者の自宅での転倒リスクや生活習慣の問題などをAIが検知し、予防的なアドバイスや介入を提供できます。例えば、特定の行動パターンから認知機能の低下を予測し、早期に専門医の受診を促すといった対応が考えられます。
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医療・研究を前進させる新たな知見の創出: 膨大な患者データをバーチャルツインとして集約・分析することで、これまで見過ごされてきた病気のメカニズムや、より効果的な治療法の発見につながる新たな知見が生み出されます。これは、個別化医療の発展だけでなく、医学研究全体の進歩にも大きく貢献します。
ダッソー・システムズが推進するバーチャル・ヒューマン・モデリング
ダッソー・システムズのバーチャル・ヒューマンモデリングに対する取り組みは、学術機関、規制当局、医療機関、そして産業界のパートナーとの連携によって支えられています。この広範な協力体制により、すでに医療分野に変革がもたらされつつあります。
イノベーション加速と精密性の追求
同社はCESにて、イノベーションの加速、精密性の追求、そして完全な相互運用性を備えたバーチャル・ヒューマンの実現に向けた強いビジョンを提示します。ブースでは、専門家が以下のテーマについて解説を行います。
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MEDIDATAソリューションを通じた臨床試験の再定義: 臨床試験は新薬開発に不可欠ですが、時間とコストがかかる課題があります。MEDIDATAソリューションを活用することで、バーチャル空間でのシミュレーションやデータ分析を通じて、より効率的かつ効果的な臨床試験の実施を目指します。
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心臓、脳、肝臓などの臓器モデリング: 人間の臓器を詳細にデジタルで再現する「臓器モデリング」は、手術シミュレーションや疾患のメカニズム解明に役立ちます。これにより、より安全で精密な治療法の開発が期待されます。
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信頼性の高いAIを活用したバーチャルと実世界を繋ぐ独自の基盤づくり: AIが生成するデータの信頼性を確保しつつ、バーチャル空間での知見を現実世界の医療現場にシームレスに適用するための基盤構築を進めています。これは、バーチャルツイン医療が実用化される上で極めて重要な要素です。
スタートアップ企業との共創が生み出すイノベーション
CESのEureka Parkでは、ダッソー・システムズのインキュベーションプログラムである「3DEXPERIENCE Lab」および「SOLIDWORKS for Startups」に参加するスタートアップ企業も併せて紹介されます。これらの企業は、バイオセンサー、血液透析、診断などの分野で革新を推進しており、未来のヘルスケアを形作る重要な役割を担っています。
紹介されるスタートアップ企業とそのリンクは以下の通りです。
これらのスタートアップ企業は、ダッソー・システムズの技術基盤を活用し、それぞれの専門分野で新たな価値を創造しています。彼らの革新的なソリューションが、今後の医療分野にどのような影響をもたらすか注目されます。
まとめ:AIが描く持続可能なヘルスケアの未来
今回のCES 2026でのダッソー・システムズの展示は、AIとバーチャルツイン技術が、個別化された精密な医療、特に神経変性疾患ケアにおいて、いかに大きな可能性を秘めているかを示しています。患者一人ひとりに寄り添い、症状が現れる前に健康変化を予測し、予防的なケアを提供できる未来は、もはや夢物語ではありません。
ダッソー・システムズは、1981年の設立以来、バーチャル世界を開拓し、すべての人々の現実世界をより良い方向へと導く役割を担ってきました。彼らの3DEXPERIENCEプラットフォームを通じて、あらゆる規模、業界の37万のお客様が協力し、持続可能な革新を生み出し、社会に対して意義のある影響をもたらしています。
AIとバーチャルツインが描くヘルスケアの未来は、より健康的で豊かな社会の実現に貢献することでしょう。この技術が、多くの人々の生活の質を向上させることを期待しています。
ダッソー・システムズについての詳細はこちらの公式ウェブサイトをご覧ください。
https://www.3ds.com/ja/
https://www.3ds.com/

