ロームとオービーシステムが「Solist-AI™エコシステムパートナー契約」を締結!エッジAIで産業の未来を切り拓く
2025年12月25日、ローム株式会社(以下、ローム)と株式会社オービーシステムは、エッジAIソリューション「Solist-AI™」の普及を目的とした「Solist-AI™エコシステムパートナー契約」を締結したと発表しました。この画期的なパートナーシップは、組込み開発の豊富な実績を持つオービーシステムが、ロームの先進的なエッジAI技術と連携することで、日本の様々な産業分野におけるAI活用とDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進するものです。
近年、AI(人工知能)技術は私たちの生活やビジネスに欠かせないものとなりつつあります。しかし、AIの活用には高度な専門知識や技術が必要となるため、導入に踏み切れない企業も少なくありません。特に、インターネットに常時接続できない環境や、リアルタイムでの高速処理が求められる組込みシステムにおいては、そのハードルはさらに高くなります。
今回のパートナー契約は、そうした課題を解決し、より多くの企業が手軽にAI技術を製品やサービスに組み込めるようにするための重要な一歩となります。本記事では、AI初心者の方にも分かりやすいように、「Solist-AI™」とは何か、そしてこのエコシステムがどのような未来を切り拓くのかを詳しく解説していきます。

Solist-AI™とは?エッジAIの革新的な特徴を徹底解説
「Solist-AI™」は、ロームがエッジコンピューティング分野に向けて開発した、画期的なエッジAIソリューションです。エッジAIとは、クラウド(インターネット上の大規模なデータセンター)ではなく、デバイスそのもの(エッジ側)でAI処理を行う技術を指します。
「ソリスト」に込められた意味と自律性
「Solist-AI™」という名称は、音楽用語の「ソリスト(独奏者)」に由来しています。この名前が示す通り、Solist-AI™の最大の特徴は、クラウドや外部ネットワークに依存せず、マイコン(マイクロコントローラ)単体でAI処理を完結できる点にあります。
従来のAIシステムでは、センサーなどで収集したデータを一度クラウドに送信し、そこでAIが分析・判断を行うのが一般的でした。しかし、この方法ではデータの送受信に時間がかかったり、通信環境に左右されたり、セキュリティ上のリスクがあったりといった課題がありました。
Solist-AI™は、これらの課題を解決します。デバイス自体が「独奏者」のように自律的にAI処理を行うことで、以下のようなメリットが生まれます。
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リアルタイム推論: データをクラウドに送る手間がないため、センサーが検知した情報を瞬時に分析し、即座に判断を下すことができます。これは、自動運転車や産業ロボットなど、ミリ秒単位の応答速度が求められる分野で特に重要です。
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オンデバイス学習: AIがデバイス上で学習し、自身の性能を向上させることができます。これにより、製品が使用される環境の変化に合わせてAIを最適化したり、個別のユーザーに合わせたカスタマイズを行ったりすることが可能になります。常に最新のAIモデルをクラウドからダウンロードする必要がなくなり、柔軟な運用が実現します。
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データセキュリティ: 処理がデバイス内で完結するため、機密性の高いデータを外部ネットワークに送信する必要がなく、情報漏洩のリスクを低減できます。
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低消費電力・低コスト: クラウドへの通信が不要になることで、デバイスの消費電力を抑え、運用コストも削減できます。
独自開発のAIアクセラレータ「AxICORE-ODL」が実現する高性能
Solist-AI™の高性能を支えているのが、ロームが独自開発したAIアクセラレータ「AxICORE-ODL」です。AIアクセラレータとは、AIの計算処理を効率的に行うための専用ハードウェアのことです。
一般的なCPU(中央演算処理装置)は様々な処理をこなす汎用的なチップですが、AIの計算、特に深層学習のような膨大な行列計算には最適化されていません。そこで、AIアクセラレータがその役割を担うことで、AI処理を劇的に高速化し、同時に消費電力を抑えることが可能になります。
「AxICORE-ODL」は、このAIアクセラレータを搭載することで、Solist-AI™に以下の特長をもたらします。
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コンパクト設計: 小さなマイコンに組み込むことができるため、スペースの限られた製品にもAI機能を搭載しやすくなります。
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低消費電力: バッテリー駆動の機器や、常に電源を供給することが難しい環境でも、長時間AIを稼働させることができます。
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高応答性: 瞬時にAIが判断を下せるため、迅速な対応が求められるアプリケーションに最適です。
これらの特長により、Solist-AI™は産業機器、家電、モビリティ(自動車やロボットなど)といった幅広い領域において、製品の高機能化や自律制御の高度化を実現することが期待されています。
Solist-AIエコシステムとは?パートナーシップの目的と価値
「Solist-AIエコシステム」は、Solist-AI™を搭載した製品の開発を支援するためのパートナー制度です。エッジAIを製品に組み込むためには、単にAI技術だけでなく、基板設計、組込みソフトウェア開発、システム全体の統合など、多岐にわたる専門知識と技術が必要です。
このエコシステムでは、ロームが提供するSolist-AI™という核となる技術を中心に、様々な専門企業が連携します。これにより、各企業が持つ強みを持ち寄り、お客様がエッジAI搭載製品を開発する際の技術的な課題を解決し、より付加価値の高い製品を効率的に生み出すことを目指します。
具体的には、以下のような企業がエコシステムに参加し、それぞれの専門分野で貢献します。
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基板設計企業: Solist-AI™を搭載するための最適な回路基板を設計します。
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組込みソフトウェア開発企業: Solist-AI™が動作するためのOSやアプリケーションソフトウェアを開発します。
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システム統合企業: 様々なハードウェアやソフトウェアを組み合わせて、一つの完成したシステムとして機能するように調整します。
今回の契約により、株式会社オービーシステムは、このエコシステムにおいて「組込み開発とAI技術を結びつける」という重要な役割を担います。長年にわたる組込みシステム開発の経験とAI技術への深い理解を融合させることで、お客様の製品開発を強力にサポートしていくことになります。
株式会社オービーシステムの役割と強み
株式会社オービーシステムは、今回のSolist-AIエコシステムにおいて、エッジAIの導入を検討している企業にとって非常に心強い存在となります。その背景には、同社が長年にわたり培ってきた豊富な実績と専門的な知見があります。
40年以上の組込みシステム開発実績と専門知識
オービーシステムは、40年以上にわたり家電製品や産業機器向けの組込みシステム開発に携わってきました。組込みシステムとは、特定の機能を実現するために機器に組み込まれるコンピューターシステムのことです。例えば、洗濯機や冷蔵庫、工場のロボットや医療機器など、私たちの身の回りにある多くの製品に組込みシステムが搭載されています。
同社は、この長年の経験を通じて、以下のような専門的な知見と技術力を培ってきました。
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制御技術: 機器が意図した通りに動作するためのプログラムや回路を設計する技術です。例えば、モーターの回転数を精密に制御したり、センサーからの入力に応じてバルブを開閉したりといった処理が含まれます。
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センサー連携: 温度、湿度、圧力、光、音など、様々な種類のセンサーから正確なデータを取得し、それをシステムで活用するための技術です。センサーから得られる情報は、AIが状況を判断するための重要な入力となります。
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エッジ処理: データをデバイスの「エッジ」で処理するための技術です。これは、Solist-AI™が目指すエッジAIの概念と深く関連しており、リアルタイム性やセキュリティを確保する上で不可欠な技術です。
これらの知見は、AIを組込みシステムに導入する際に発生する様々な技術的課題を解決するために不可欠なものです。特に、限られたリソース(メモリ、処理能力、消費電力など)の中でAIを効率的に動作させるためには、組込みシステム特有のノウハウが求められます。
Solist-AI™の実装支援と具体的なAI活用提案
オービーシステムは、Solist-AI™エコシステムパートナーとして、これらの強みを活かし、お客様の製品開発を多角的に支援します。
- Solist-AI™によるエッジAIの実装支援: ロームのSolist-AI™を、お客様の製品に実際に組み込むための技術的なサポートを行います。具体的には、Solist-AI™が搭載されたマイコンを既存のシステムにどのように統合するか、どのようなソフトウェアを開発する必要があるかなど、具体的な実装方法についてアドバイスや開発支援を提供します。
- センサー・他マイコンとの連携設計: Solist-AI™は単体で動作しますが、実際の製品では様々なセンサーや他のマイコンと連携する必要があります。オービーシステムは、これらの異なるコンポーネントがスムーズに連携し、システム全体として最大の性能を発揮できるよう、最適な設計を行います。
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現場課題に寄り添ったAI活用提案: 単に技術を提供するだけでなく、お客様が抱える具体的な現場課題に対し、AIをどのように活用すれば解決できるかを提案します。例えば、以下のような提案が考えられます。
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異常検知: 工場の生産ラインで発生する機器の異常や製品の不良を、AIがリアルタイムで検知し、オペレーターに通知します。これにより、重大な故障や不良品の発生を未然に防ぎ、生産効率の低下を防ぐことができます。
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予兆診断: 機器の動作データ(振動、温度、電流など)から、将来発生しうる故障の兆候をAIが予測します。計画的なメンテナンスが可能になり、突然のダウンタイムを回避し、設備の稼働率を向上させます。
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動作最適化: ロボットアームの動きや生産設備のパラメータをAIが学習し、最も効率的で無駄のない動作パターンを導き出します。これにより、エネルギー消費の削減や生産速度の向上、品質の安定化が期待できます。
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オービーシステムは、これらの活動を通じて、お客様の製品に新たな価値をもたらし、市場での競争力を高めるための成長戦略を支援していきます。
ロームとオービーシステムの連携がもたらす未来
ロームとオービーシステムの「Solist-AI™エコシステムパートナー契約」は、日本の産業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。両社の強みが融合することで、エッジAIの利活用がさらに促進され、様々な分野で革新的な製品やサービスが生まれることが期待されます。
産業分野の高度化、省エネ化、安全性向上への貢献
このパートナーシップが目指すのは、単なる技術提供にとどまりません。組込みシステムとAI技術の融合を通じて、以下のような具体的な貢献が期待されます。
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産業分野の高度化: 工場やプラントにおける生産プロセスの自動化・最適化が進み、より複雑で精密な作業が可能になります。これにより、製品の品質向上や生産性の飛躍的な向上が実現します。
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省エネ化: AIによる効率的な機器制御や動作最適化により、これまで無駄になっていたエネルギー消費を削減できます。これは、企業のコスト削減だけでなく、地球環境保護にも貢献する重要な要素です。
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安全性向上: 異常検知や予兆診断の精度が向上することで、機器の故障による事故や、人間の作業における危険を未然に防ぐことができます。例えば、建設現場の重機や医療機器など、高い安全性が求められる分野での活用が期待されます。
エッジAI利活用の促進と新たな価値創出
Solist-AIエコシステムは、エッジAIの導入を検討する企業にとって、技術的な障壁を低減し、開発期間の短縮やコスト削減に貢献します。これにより、中小企業から大企業まで、幅広い企業がAI技術を活用しやすくなり、それぞれのビジネス領域で新たな価値を創出する機会が増えるでしょう。
ロームの先進的なSolist-AI™技術と、オービーシステムの長年の組込み開発ノウハウが結びつくことで、これまで想像もしなかったような革新的な製品やサービスが次々と生まれてくることでしょう。この連携は、日本の産業が世界市場で競争力を維持・向上させるための重要な原動力となるはずです。
まとめ:エッジAIが拓く、より賢く、より安全な社会へ
ローム株式会社と株式会社オービーシステムが締結した「Solist-AI™エコシステムパートナー契約」は、エッジAI技術の普及と活用を大きく加速させる重要な取り組みです。クラウドに依存しない自律的なAI処理を可能にする「Solist-AI™」は、そのコンパクトさ、低消費電力、高応答性といった特長により、産業機器、家電、モビリティなど、多岐にわたる分野で製品の高機能化と自律制御の高度化を実現します。
オービーシステムの長年にわたる組込みシステム開発の知見が、ロームのSolist-AI™と結びつくことで、異常検知、予兆診断、動作最適化といった具体的な現場課題の解決に貢献し、お客様の製品価値向上と新たな成長を強力に支援します。
このパートナーシップは、単に個社の利益に留まらず、組込み×AIによる産業分野全体の高度化、省エネ化、安全性向上に寄与し、より賢く、より安全で持続可能な社会の実現に貢献していくことでしょう。今後の両社の連携による具体的な成果に、大いに期待が寄せられます。
Solist-AI™の詳細については、以下のリンクをご覧ください。
※「Solist-AI™」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。

