AI技術の進化は、私たちの日常生活だけでなく、ビジネスの現場にも大きな変革をもたらしています。特に、セキュリティと利便性を両立させる「顔認証」技術は、オフィス環境のスマート化を加速させるキーテクノロジーとして注目されています。
今回、長年にわたり多くの人々に愛されるお菓子を提供してきた老舗製菓メーカー、株式会社ギンビス(以下、ギンビス)の東京本社オフィスに、ミガロホールディングス株式会社(以下、ミガロHD)のグループ会社であるDXYZ株式会社(以下、DXYZ)が開発・提供する顔認証IDプラットフォーム「FreeiD(フリード)」が導入されました。この導入は、オフィスにおける入退館管理のセキュリティ強化と、社員や来訪者の利便性向上を目指すものであり、次世代のオフィス環境を実現する重要な一歩となります。
本記事では、この先進的な取り組みの背景から、「FreeiD」の具体的な機能、そして顔認証技術が私たちの未来のオフィスにどのような影響を与えるのかを、AI初心者の方にも分かりやすく、詳しくご紹介します。
ギンビス東京本社に「FreeiD」導入!その背景と狙い
老舗製菓メーカー「ギンビス」の新たな挑戦
1930年創業のギンビスは、「たべっ子どうぶつ」や「アスパラガスビスケット」など、世代を超えて親しまれるビスケット、クッキー、スナック菓子などを製造・販売している企業です。長年の歴史を持つギンビスが今回、東京本社のオフィス移転を機に、最先端のAI技術である顔認証システムを導入するという、新たな挑戦に踏み出しました。
セキュリティと利便性の両立を目指して
オフィス移転は、企業にとってセキュリティ体制を見直し、社員の働きやすさを向上させる絶好の機会です。ギンビスは、新しい東京本社において、社員や来訪者の入退館管理をより安全かつスムーズに行うことを目指しました。その際に重要視されたのが、「セキュリティの強化」と「利便性の向上」という二つの側面を両立させること、そして既存のセキュリティカードシステムとの併用が可能であることでした。
従来のセキュリティカードや物理的な鍵は、紛失や盗難のリスク、持ち運びの手間といった課題を抱えています。そこでギンビスは、これらの課題を解決し、さらに高いレベルのセキュリティと快適性を提供できる次世代の認証技術として、DXYZの顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」に着目しました。
「FreeiD」が選ばれた理由と具体的な導入箇所
「FreeiD」の導入を決定するにあたり、ギンビスは以下の点を評価しました。
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顔登録の利便性: ユーザーが顔情報を登録する際の手軽さ。
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顔認証の速度・精度: スムーズで正確な認証が可能であること。
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オフィスビルでの導入実績: 実際のオフィス環境での運用実績と信頼性。
これらの評価基準に基づき、「FreeiD」は正面入口、来客用入口、そして役員用入口の計3カ所に設置されました。これにより、オフィス全体のセキュリティレベルが向上するだけでなく、社員や来訪者にとって、より快適で効率的な入退館体験が提供されることになります。

導入による具体的なメリット
「FreeiD」の導入により、以下のようなメリットが期待されます。
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社員の利便性向上: 顔そのものがIDとして機能するため、社員はセキュリティカードやスマートフォンなどを持ち歩く必要がなくなります。手ぶらでスムーズに入退館できるため、ストレスなくオフィスに出入りできるようになります。
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来訪者のスムーズな入館: 事前登録を済ませておけば、来訪者も顔認証によってスムーズに入館できます。受付での手続きが簡素化され、待ち時間の短縮にもつながります。
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セキュリティの強化: 顔認証は、カードやパスワードと異なり、なりすましや紛失のリスクが低く、より高いセキュリティレベルを維持できます。
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多様な顔認証AIエンジン・デバイスとの連携: 「FreeiD」のオフィスソリューションは、一度の顔登録で様々な形式の顔認証AIエンジンやデバイスと連携可能です。これにより、利用シーンに最適な顔認証技術を柔軟に導入でき、利便性とセキュリティの両面で最適な環境を構築できます。

今後の展開
ギンビスは、今回の東京本社への導入を皮切りに、将来的には社員食堂での決済システムや、全国の支店、営業所、工場への「FreeiD」の導入も視野に入れています。これにより、企業全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させ、よりスマートで効率的な企業運営を目指すことでしょう。
顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」とは?その仕組みと特徴
DXYZが開発・提供する「FreeiD」は、「顔ダケで、世界がつながる。」をコンセプトに掲げる顔認証IDプラットフォームです。このプラットフォームは、私たちの生活から財布や身分証、鍵といった物理的なIDをなくし、顔一つであらゆるサービスにアクセスできる未来を目指しています。
「顔」をIDにするということ
従来の認証システムでは、カード、パスワード、スマートフォンなどがIDとして使われてきました。しかし、「FreeiD」は、私たち自身の「顔」をIDとして活用します。一度顔情報を登録すれば、その顔情報が様々な場所やサービスで利用可能になるため、物理的な持ち物を減らし、より身軽でスマートな生活を送れるようになります。
例えば、オフィスへの入退館だけでなく、買い物時の決済、公共施設での本人確認など、多岐にわたるシーンで「顔ダケ」で完結できるようになります。これは、利便性の向上だけでなく、セキュリティ面でも大きなメリットがあります。顔は唯一無二のものであり、他人がなりすますことが非常に困難だからです。
多様なAIエンジンとの連携と柔軟な対応力
「FreeiD」の大きな特徴の一つは、多種多様な顔認証AI(人工知能)エンジンとの連携が可能な点です。AIエンジンによって得意な分野や精度が異なるため、利用するシーンや目的に合わせて最適なAIエンジンを選択し、提供することができます。これにより、例えば、暗い場所での認証に強いAIや、マスク着用時でも認証できるAIなど、様々な状況に対応できる柔軟性を持っています。
「FreeiD」が実現する様々なシーン
「FreeiD」は、オフィスだけでなく、すでに様々な場所での導入が進められています。
1. 集合住宅向け「FreeiDマンション」ソリューション
「FreeiDマンション」は、エントランスやエレベーターなどの共用部から、各専有部(個人の部屋)まで、鍵が一切いらない国内初の「オール顔認証マンション®」を実現しています。2025年12月末時点で307棟ものマンションに導入されており、顔一つで暮らせる快適な住環境を提供しています。これにより、鍵の紛失や持ち忘れの心配がなくなり、セキュリティも向上します。
2. オフィス、保育園、ゴルフ場、テーマパークなど
オフィスでの入退館管理はもちろん、保育園での園児の送迎時における本人確認、ゴルフ場でのチェックイン、テーマパークでの入場ゲートなど、多岐にわたる施設で顔認証サービスが展開されています。それぞれの場所の特性に合わせて、最適な顔認証ソリューションが提供され、利用者の利便性向上や運営側の効率化に貢献しています。
3. 顔認証決済「FreeiD Pay」の実証事業
DXYZは、顔認証による決済サービス「FreeiD Pay」の実証事業も進めています。愛知県主催の「あいちデジタルアイランドプロジェクト『TECH MEETS』」に採択されたこの事業では、イオンモール常滑において、6日間で346名が約350万円分の支払いを顔認証で行いました。財布やスマートフォンを取り出す手間なく、スムーズに決済できる未来が現実のものとなりつつあります。
4. マイナンバーカード連携サービスの実証事業
さらに、行政サービスにおける利便性向上を目指し、「マイナンバーカード連携 顔ダケで、市民サービス」と題した顔認証受付の実証事業を亀岡市と実施しました。これにより、役所での手続きが顔一つで可能になり、行政サービスの効率化と住民の利便性向上に貢献することが期待されます。
これらの取り組みは、「FreeiD」が単なる入退館システムにとどまらず、私たちの社会全体のデジタル化とスマートシティ化を推進する基盤となる可能性を秘めていることを示しています。
DXYZ株式会社の企業HPや「FreeiD」のHPでは、より詳細な情報が提供されています。
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DXYZ株式会社 企業HP: https://dxyz.co.jp/
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「FreeiD」HP: https://freeid.dxyz.co.jp/
顔認証技術がもたらす未来のオフィス環境
ギンビス東京本社への「FreeiD」導入は、未来のオフィス環境を具体的に示す事例と言えるでしょう。顔認証技術がもたらすオフィスの変革は、単なる入退館管理にとどまりません。
セキュリティと利便性のさらなる向上
顔認証システムは、物理的なカードと比較して、紛失や盗難、不正利用のリスクが格段に低いです。また、非接触であるため、衛生面でのメリットも大きく、感染症対策としても有効です。社員は「手ぶら」でオフィスを行き来でき、来訪者もスムーズに入館できるため、オフィス全体の生産性向上にも寄与します。
入退館管理以外の幅広い活用可能性
顔認証技術は、入退館管理の他にも様々なオフィス業務に応用できます。
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勤怠管理: オフィスへの入退館と同時に、勤怠情報が自動的に記録されるため、タイムカードの打刻や手入力の手間が省けます。
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社員食堂の決済: ギンビスが今後視野に入れているように、社員食堂での支払いを顔認証で行うことで、キャッシュレス化を推進し、レジでの待ち時間を短縮できます。
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会議室予約・利用管理: 会議室の入口に顔認証システムを導入すれば、予約者のみが入室できるようになり、無断利用を防ぎます。また、利用履歴の自動記録も可能になります。
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複合機やPCへのログイン: セキュリティを強化しつつ、パスワード入力の手間を省き、スムーズな業務開始をサポートします。
これらの連携により、オフィス内のあらゆる場所で「顔」がIDとなり、社員はより快適で効率的に業務を進められるようになります。これは、まさに「スマートオフィス」の実現であり、働く人々の体験を大きく向上させるものです。
ミガログループとギンビスの取り組みが示す可能性
ミガロホールディングスグループは、「デジタル」と「リアル」の融合によって新たな価値を創造することを目指しています。DXYZの「FreeiD」は、このビジョンを具現化する中心的なプラットフォームであり、リアルな世界の様々なサービスをデジタルの世界で繋げていく役割を担っています。
ギンビスのような歴史ある企業が、最先端のAI技術を積極的に導入する姿勢は、業界内外に大きな影響を与えることでしょう。この取り組みは、単一企業のオフィス環境改善に留まらず、他の企業や施設にとっても、顔認証技術を活用したDX推進のモデルケースとなります。セキュリティと利便性の両立、そして非接触という現代社会のニーズに応える顔認証技術は、今後ますます多様な分野で導入が進むと予想されます。
ミガロホールディングス株式会社の企業HPもぜひご覧ください。
- ミガロホールディングス株式会社 企業HP: https://www.migalo.co.jp/
まとめ
ギンビス東京本社オフィスへのDXYZの顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」導入は、セキュリティ強化と利便性向上という現代のオフィスが抱える課題に対し、AI技術が具体的な解決策を提供できることを明確に示しました。社員は鍵やカードから解放され、手ぶらでスムーズにオフィスへアクセスできるようになり、来訪者もまた、より快適な入館体験を得られます。
「FreeiD」は、オフィスだけでなく、マンション、保育園、商業施設など、多岐にわたるシーンで私たちの生活をよりスマートで安全なものへと変革しつつあります。この先進的な取り組みは、顔認証技術が未来の社会インフラとして、私たちの働き方や暮らし方を大きく変える可能性を秘めていることを示唆しています。今後、顔認証技術がさらに普及し、私たちの日常がより便利で快適になることが期待されます。

