【2025年最新】生成AIがソフトウェアテストを革新!2WINSとポールトゥウィンが共同開発したE2Eテスト設計システムを徹底解説

【2025年最新】生成AIがソフトウェアテストを革新!2WINSとポールトゥウィンが共同開発したE2Eテスト設計システムを徹底解説

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ソフトウェア開発の現場では、日々新しい技術が生まれ、より速く、より高品質なサービスが求められています。その中で、開発されたシステムが正しく動くかを確かめる「テスト」の重要性は増すばかりです。特に、システム全体の動きをユーザー視点で検証する「E2Eテスト」の設計は、時間と労力がかかる大変な作業でした。

しかし、この課題を大きく変える画期的なニュースが飛び込んできました。東京大学発のAIスタートアップ企業である株式会社2WINS(以下、2WINS)と、サービス・ライフサイクルの課題解決を支援するポールトゥウィン株式会社(以下、ポールトゥウィン)が、生成AIを活用した完全自動型のE2Eテスト設計システムを共同研究・開発し、ポールトゥウィンでの業務利用を開始したと発表しました。

このシステムは、ソフトウェア開発のスピードと品質を両立させるための強力な味方となるでしょう。AI初心者の方にも分かりやすい言葉で、この革新的なシステムがどのように開発現場を変えるのか、その詳細を徹底的に解説していきます。

E2Eテスト(End-to-Endテスト)とは?

まず、今回の記事の核となる「E2Eテスト」について、その基本的な概念を理解しましょう。

E2Eテストは、システムの「端から端まで(End-to-End)」、つまり、ユーザーが実際にシステムを使う一連の流れ全体を通して、そのシステムが正しく機能するかどうかを検証するテストです。例えば、オンラインショッピングサイトであれば、ユーザーが商品を選んでカートに入れ、購入手続きを完了し、注文確認メールを受け取るまでの一連の動作が、滞りなく行われるかをテストします。

これに対して、個々のプログラム部品が正しく動くかを検証する「単体テスト」や、複数の部品を組み合わせたときに正しく連携するかを検証する「結合テスト」があります。E2Eテストは、これらの下位レベルのテストが完了した後に行われる、より高レベルなテストであり、実際の業務フローや利用シナリオに沿ってシステム全体が期待通りに動作するかを確認する、非常に重要な工程です。

E2Eテストの目的は、システム全体を通してユーザー体験が損なわれないことを保証することにあります。しかし、システムの規模が大きくなればなるほど、テストすべきシナリオは膨大になり、その設計には高度な専門知識と多くの時間が必要となるという課題がありました。

共同研究・開発の背景:なぜ今、AIによるテスト設計が必要なのか

近年、ソフトウェア開発の現場では、目まぐるしい変化が起きています。特に、「アジャイル開発」と呼ばれる、短いサイクルで開発とテストを繰り返す手法が主流になりつつあり、これに伴い、テスト設計のスピードがこれまで以上に求められるようになりました。さらに、「生成AI」の普及は、開発プロセス全体に大きな影響を与え、テスト設計においても、より高度な精度と効率性が同時に求められるようになっています。

従来の自動テストツールは、一度設計されたテストケースの実行や、その結果の分析には非常に優れています。しかし、テストケースそのものを「設計」する工程は、依然として人の手作業に頼ることが多く、これが開発全体のボトルネックとなることが少なくありませんでした。テスト設計は、経験豊富なエンジニアの知識や直感に依存する部分が大きく、特定の個人に業務が集中する「属人化」の問題も抱えていたのです。

開発背景

このような状況の中、長年にわたりゲームデバッグやソフトウェアテストで培ってきた豊富な経験とノウハウを持つポールトゥウィンと、LLM(大規模言語モデル)をはじめとする最先端の基盤モデル技術、データサイエンス、古典的機械学習、数理最適化アルゴリズムを実用化する高い研究開発力を持つ2WINSが手を組みました。

この共同研究・開発の目的は、テスト設計工程をAIによって自動化することで、テストエンジニアが単純作業から解放され、より戦略的かつ創造的なテスト活動に集中できる環境を提供することにあります。2WINSは、東京大学のある本郷を源流とし、東京大学大学院やインド工科大学出身者など世界トップクラスのAI研究者が結集しており、今後もAIがより高度なコード理解と動的なテスト設計を行えるアルゴリズムの開発を進めていくとのことです。

生成AIによる自動テスト設計システムの詳細

今回の共同研究・開発で生まれたシステムは、生成AIの力を活用し、E2Eテスト設計のプロセスを根本から変革します。このシステムには、主に3つの大きな特徴があります。

1. AIによるコード解析で動的にテスト設計を自動生成

このシステムの最も画期的な点は、対象となるシステムのコードをAIが直接解析し、E2Eテストケースを自動的に生成することです。AIはコードの構造やロジックを深く理解し、どのような操作が行われ、どのような結果が期待されるかを予測します。

これにより、通常のユーザー操作だけでなく、さまざまな「シナリオ分岐」(例えば、ログイン成功後の処理と失敗後の処理)や、エラーが発生した場合の「例外処理」なども考慮したテストケースを自動で作り出すことができます。さらに、AIは「テストカバレッジ」を自動で最適化します。テストカバレッジとは、テストによってどれくらいの範囲のコードが実行されたかを示す指標であり、これが高いほど、より多くの部分がテストされ、不具合を見つけやすくなります。AIがこれを最適化することで、効率的かつ網羅性の高いテスト設計が可能になります。

AIによるコード解析

2. 探索的テスト設計への対応

従来のテスト設計は、あらかじめ決められた手順(スクリプト)に従ってテストを行う「スクリプト型テスト」が中心でした。しかし、システムが複雑化するにつれて、仕様書に書かれていない未知の動作や、思わぬ組み合わせによって発生する潜在的なリスクを見つけ出すことが重要になってきます。これに対応するのが「探索的テスト」です。

このシステムは、従来のスクリプト型テストだけでなく、探索的なテストパターン設計にも対応しています。AIがシステムの挙動を分析し、人間では思いつきにくいような多様な操作パターンや異常なケースを提案することで、未知の不具合や潜在的なリスクの検出を強力に支援します。これは、AIが単なる自動化ツールにとどまらず、人間の創造性を補完するパートナーとなる可能性を示しています。

3. 手動・自動テスト双方に対応する柔軟性

開発現場では、すべてのテストを自動化できるわけではありません。手動でのテストが必要な場面も多く存在します。このシステムは、手動テスト向けの詳細な「設計書生成」と、自動テストを実行するための「自動テスト用スクリプト生成」の両方に対応しています。

これにより、既存のQA(品質保証)フローにシームレスに統合することが可能です。例えば、AIが生成したテスト設計書を元に人間が手動でテストを実施したり、AIが生成したスクリプトを既存の自動テストフレームワークに組み込んだりすることができます。この柔軟性により、導入企業は自身の開発体制やニーズに合わせて、最適な形でAIを活用することが可能になります。

手動・自動テスト双方に対応

本システムの紹介と協働の経緯に関する動画も公開されていますので、ぜひご覧ください。

技術的位置づけとその独自性:なぜこのシステムは画期的なのか

世の中には多くのE2Eテスト自動化ツールが存在しますが、今回の生成AIによる自動テスト設計システムは、その中でも非常に独自性の高い位置づけにあります。

既存のE2Eテスト自動設計ツールの多くは、限定的なシナリオ生成にとどまる傾向があります。つまり、あらかじめ決められた範囲内でのテストケース作成は得意ですが、システムのコード全体を理解し、複雑なシナリオや未知のリスクを考慮したテスト設計を自動で行うことは困難でした。しかし、このAIシステムは、システムコードの解析から探索的テスト設計までを完全自動化する点で、他にはない強みを持っています。

また、一般的な自動テスト設計ツールの多くは、開発元の各社が提供する独自のプラットフォーム内での利用を前提としています。これに対し、本システムは「汎用的な自動テスト設計ツール」として実用化された点も大きな差別化要因です。特定の環境に縛られず、幅広い開発現場で利用できる可能性を秘めているのです。

さらに、このシステムの性能は、具体的な数値によっても裏付けられています。汎用的な生成AIモデル群における同一条件下でのテストケース自動生成数を比較したところ、他の生成AIモデルが数十件前後の出力にとどまるのに対し、本システムは251件ものテストケースを自動生成しました。これは、汎用モデルを大きく上回る成果であり、本ツールがテスト設計に特化した独自のAIモデルとして、より精緻かつ実用的なテスト設計を可能にする新しいアプローチを実現していることを明確に示しています。

技術的位置づけ

この結果から、本システムは単なる効率化ツールではなく、テスト設計の質そのものを高め、これまで人間では網羅しきれなかった領域までカバーできる可能性を秘めていると言えるでしょう。

各社代表からのコメント:AIが拓くテストの未来

この画期的な共同研究・開発について、両社の代表者からコメントが寄せられています。

ポールトゥウィン株式会社 VPoAIS兼 先端技術研究室 室長 久保雅之氏

久保雅之氏

久保氏は、本システムがポールトゥウィンの長年のテスト設計の知見と最新の生成AI技術を融合させた成果であると語ります。特に、「テスト工程における“思考の自動化”に挑戦し、人の経験や直感をAIが補完できる新しいテスト設計のあり方を目指した」という点は注目に値します。AIが単に作業を自動化するだけでなく、人間の思考プロセスの一部を担うことで、テストエンジニアはより高度な判断や創造的な活動に集中できるようになる、という未来像が示されています。

実際の業務利用では、テスト設計から実行までのリードタイムが大幅に短縮され、テストケースの網羅性も向上しているとのこと。これにより、クライアントに提供する検証サービスの品質とスピードの両立が実現しつつあると実感しているようです。今後もAIを活用した効率化にとどまらず、テストエンジニアがより創造的な検証活動に集中できる環境づくりを進め、クライアントの開発現場に新たな価値を提供していきたいという意気込みが語られています。

株式会社2WINS 代表取締役CEO 小川 椋徹氏

小川 椋徹氏

小川氏は、本協働が「AIがソフトウェア開発の中核工程に実装される新たな段階を示す取り組み」であると強調しています。ポールトゥウィンの現場力と豊富な品質保証の知見、そして2WINSの最先端の生成AIやLLMを実用化する研究開発力・問題解決力が融合したことで、テスト設計プロセスの革新的な自動化が実現したと述べています。2WINSは、AIを「効率化の手段」にとどめず、「価値創造の基盤」として社会実装を進めていくことを目指しており、開発現場の生産性と創造性を飛躍させることに貢献していきたいと語りました。

株式会社2WINS 取締役 CTO 王 凱氏

王 凱氏

王氏は、2WINSがLLMをはじめとする生成AIにとどまらず、探索・最適化アルゴリズムを活用した提案にも強みを持っていることを紹介しています。今回のシステムでは、2WINSのLLMおよび探索アルゴリズムに関する知見と、ポールトゥウィンのテスト領域での豊富なドメイン知識を組み合わせることで、網羅性と汎用性に優れたテスト設計エージェントを開発したとのことです。

従来の手法が「広く浅い探索」を行うのに対し、今回のエージェントは「深い探索」を得意としており、より複雑で多層的なテストシナリオにも柔軟に対応できる点が優れていると説明されています。今後はテスト設計にとどまらず、テストコードの自動生成や補正までを視野に入れ、テストプロセス全体の効率化と高度化を目指していくという、具体的な展望も語られました。

ポールトゥウィン久保氏と2WINS小川氏のインタビュー記事も公開されていますので、より詳細な情報はこちらからご覧いただけます。

今後の展望:テストコード生成・補正機能への対応

2WINSとポールトゥウィンは、このシステムのさらなる進化に向けて、今冬に「テストコード生成および補正機能」への対応を予定しています。

これにより、AIがテスト設計を行うだけでなく、実際にテストを実行するためのプログラムコードを自動で生成し、さらに必要に応じてそのコードを自動で修正・補正する機能が加わることになります。これは、テストプロセス全体の効率化をさらに一段階引き上げるものです。テスト設計から、テストコードの作成、そして実行までの一連の作業をAIが一貫してサポートすることで、開発現場はより少ない手間で、より高品質なソフトウェアを迅速に提供できるようになるでしょう。

ポールトゥウィンでは、この協働を通じて、テスト設計から実行までのリードタイム短縮や品質保証工程の最適化を実現し、クライアントに対してより高品質かつ迅速な検証サービスを提供していく方針です。両社は、AI活用による生産性向上と品質強化の両立を図りながら、クライアントの開発現場に新たな価値を創出していくことを目指しています。

ポールトゥウィン株式会社について

ポールトゥウィン株式会社は、ゲームデバッグ、ソフトウェアテスト、ネットサポート事業などを主な事業とする会社です。1994年にゲームデバッグ事業を立ち上げて以来、この分野のパイオニア的存在として成長を続けてきました。2022年2月にはグループ会社を吸収合併し、Eコマース不正対策やカスタマーサポート、ソフトウェアテスト、品質コンサルティングなど、多様なITサービスをワンストップで提供できる体制を確立しています。ゲーム業界やEC業界を中心に、幅広いクライアントの課題解決に取り組み、その中で培った知識、ノウハウ、多様な人材を活かして、世の中のサービスやプロダクトの品質および価値向上に貢献しています。

株式会社2WINSについて

株式会社2WINSは、東京大学が位置する本郷を拠点とする東大発のAIスタートアップ企業です。東京大学大学院やインド工科大学等の出身研究者を中心とした世界トップクラスのAI研究者が結集し、国内最先端の言語系AIや画像系AIを強みとしています。単なるAIベンダーにとどまらず、パートナー企業の経営課題に深く踏み込み、課題設定から要件定義、PoC(概念実証)、研究開発・実装、運用までを一気通貫で伴走するパートナーとして、企業の成長を加速させています。最先端のAI技術と問題解決力を掛け合わせ、「”勝たせるAI”を企業の競争力へ」というビジョンのもと、アカデミアとビジネスの架け橋としてAIの社会実装をリードしています。2025年3月には、東京大学「松尾研発スタートアップ®」に認定されました。

まとめ:AIが拓くソフトウェア開発の新たな時代

今回の2WINSとポールトゥウィンによる生成AIを用いたE2Eテスト設計システムの共同研究・開発は、ソフトウェア開発における品質保証のあり方を大きく変える可能性を秘めています。

AIがテスト設計の複雑な作業を自動化することで、テストエンジニアは単純な繰り返し作業から解放され、より創造的で戦略的な業務に集中できるようになります。これにより、開発のリードタイムが短縮され、同時にテストの網羅性と精度が向上するという、開発現場にとって理想的な状態が実現されつつあります。

AIは単なるツールではなく、人間の能力を拡張し、新たな価値を創造するための強力なパートナーとなりつつあります。この革新的なシステムは、AIがソフトウェア開発の中核工程に深く組み込まれる新時代の到来を告げるものであり、今後のさらなる進化と、それがもたらす社会全体への影響に大きな期待が寄せられています。

この取り組みは、日本のAI技術が世界のソフトウェア開発をリードしていく可能性を示しており、今後の展開から目が離せません。AI初心者の方も、この機会にAIとソフトウェアテストの最前線に触れてみてはいかがでしょうか。

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