AI(人工知能)技術の進化は目覚ましく、最近ではAIエージェントと呼ばれる、まるで人間のようにタスクをこなすAIが開発の現場で活躍し始めています。AIエージェントがコードを書き、テストし、デプロイする現代において、開発環境そのものの安全性と安定性はこれまで以上に重要になっています。
このような背景の中、ELSOUL LABO B.V.とValidators DAOが運営するERPCは、グローバル分散オブジェクトストレージ「ERPC Global Storage」の提供を開始しました。このサービスは、AIエージェント時代の安全な運用基盤を確立し、Linux環境の丸ごとバックアップをたったワンコマンドで実現するという画期的なソリューションです。

ERPC Global Storageとは?:AIエージェント時代を支える新世代ストレージ
ERPC Global Storageは、クラウド上にファイルを保存・管理できる「オブジェクトストレージ」の一種です。通常のファイルのアップロード、保存、ダウンロードといった機能に加え、Linux(リナックス)というOSが動くコンピューター環境全体を丸ごとバックアップできる点が最大の特徴です。
このバックアップは「SLV CLI」というコマンドラインツールを使って、たったワンコマンドで実行できます。これにより、専門的な知識がなくても、大切な開発環境を簡単に保護することが可能になります。
料金は5GBの容量と1,000回のデータ読み書き(クエリ)につき月額1ユーロからと、手軽に始められる価格設定で、必要に応じて柔軟に拡張できます。
主な機能とメリット:どこからでも、より安全に
ERPC Global Storageは、AIエージェントによる開発環境の安全性を高めるための、さまざまな便利な機能を提供しています。
グローバル分散オブジェクトストレージ
ERPC Global Storageは、世界中に分散してデータが保存される仕組みを持っています。具体的には、EU、アジア、US East(アメリカ東海岸)、US West(アメリカ西海岸)、オセアニアの5つの地域(リージョン)にストレージが展開されています。これにより、世界中のどこからでも最も近いストレージにアクセスできるため、データの読み書きが高速に行えます。
また、バックアップデータや設定ファイルなどをSLV CLIから直接管理でき、アップロード、ダウンロード、一覧表示、削除といったすべての操作がワンコマンドで完結します。さらに、バックアップやスナップショット(ある時点の状態を丸ごと保存したもの)を異なるリージョンに分散して保存することで、もし特定の地域で災害などが発生してもデータが失われるリスクを大幅に減らすことができます。これを「地理的冗長性」と呼び、非常に安全な運用を実現します。
Linux環境の丸ごとバックアップを高速・コンパクトに
このサービスの核となる機能の一つが、Linux環境全体のバックアップです。OS(オペレーティングシステム)はもちろん、各種設定ファイル、ユーザーデータなど、Linuxが動作するために必要なすべてのデータをまとめて保存できます。これにより、万が一システムに問題が発生しても、バックアップから元の環境をそっくりそのまま復元し、すぐに再稼働させることが可能です。
データの圧縮には「zstd(ゼットスタンダード)」という高速なマルチスレッド圧縮技術を採用しており、バックアップファイルは非常に高速に作成され、かつコンパクトなサイズで保存されます。これにより、ストレージ容量を節約できるだけでなく、バックアップにかかる時間も短縮されます。
バックアップの実行はSLV CLIのワンコマンドで、環境全体のアーカイブ作成からERPC Global Storageへのアップロードまでが一度に完了します。さらに、毎日、毎週、毎月といった自動バックアップを「cron(クーロン)」というスケジュール機能で設定することもできます。古いバックアップは、指定した保持期間(デフォルトは7日間)を過ぎると自動的に削除されるため、ストレージの管理に手間がかかりません。一度設定してしまえば、あとはシステムが自動でバックアップを継続してくれるため、運用者の負担が大幅に軽減されます。
リストア(復元)も同様にワンコマンドで実行できます。ローカルに保存したファイルからの復元はもちろんのこと、ERPC Global Storageに保存されたクラウド上のバックアップから直接ダウンロードして復元することも可能です。
なぜ今、安全な運用基盤が必要なのか:AIエージェント時代の新たな課題
近年、OpenClaw、Claude Code、CodexといったAIエージェントを活用した開発が主流になりつつあります。AIエージェントがコードを書き、テストし、デプロイすることで、開発の速度はかつてないほど加速しています。しかし、開発速度が上がるにつれて、その開発が行われている「環境」そのものの価値も高まっています。
AIエージェントと共に構築された開発環境は、単なるコードの集まりではありません。そこには、開発に必要なソフトウェア(依存パッケージ)、細かな設定ファイル、プログラムを動かすためのランタイム環境、そしてローカルに保存されたデータなど、すべてが密接に結びついて稼働しています。この環境を失うことは、コードを失うこと以上の深刻なダメージとなりかねません。
バックアップなき運用のリスク
サーバーのバックアップを残しておきたいという要望は誰もが持っていますが、実際にその環境を整備するには多くの手間がかかります。
例えば、バックアップ用のストレージを確保し、それがメインのサーバーとは別の場所にある「リモートストレージ」である必要があります。そのためには、リモートストレージとの接続を設定し、適切な圧縮方式を選び、自動でバックアップを実行するスケジュールを組み、さらに古いバックアップを管理する「保持期間」を設定するといった、複雑なパイプラインを一から構築しなければなりません。このような手間が、多くの企業や開発者がバックアップを後回しにしてしまう原因となっていました。
特に、ブロックチェーン開発のように金融と直結する分野では、ハッキングや脆弱性(セキュリティ上の弱点)の問題が日常的に発生しています。バックアップなしでの運用は、ハードウェアの故障、操作ミス、セキュリティインシデントなど、いつ起きてもおかしくないリスクに対して、非常に無防備な状態と言えます。開発のスピードを追求する一方で、安全な運用基盤の整備は、それと同等に重要な課題なのです。
SLVとERPC Global Storageの組み合わせが解決する課題
SLVとERPC Global Storageを組み合わせることで、これまで複雑だったバックアップとリストアの課題が、たったワンコマンドで解決されます。
バックアップはSLV CLIから瞬時に作成され、安全なクラウドストレージに保存されます。リストアもクラウドストレージから直接復元できるため、バックアップ用のストレージを別途用意したり、複雑な接続設定を自分で行ったりする必要は一切ありません。
また、cronによる自動バックアップを設定すれば、日次、週次、月次といったスケジュールで自動的にバックアップが作成され、保持期間を過ぎた古いアーカイブは自動的に削除されます。これにより、バックアップの管理に煩わされることなく、常に最新の安全な状態を保つことができます。
専門知識の有無にかかわらず、誰もが安全な運用を当たり前に実現できること。これこそが、SLVとERPC Global Storageの設計思想です。
シンプルで柔軟な料金体系
ERPC Global Storageは、利用した分だけ料金が発生する、シンプルで分かりやすい料金体系を採用しています。

基本料金は、5GBの容量と1,000回のデータ読み書き(クエリ)につき月額1ユーロです。もしもっと容量が必要になった場合でも、ユニットを追加するだけで簡単にスケールアップできます。例えば、50GBの容量と10,000回のクエリが必要であれば月額10ユーロ、100GBと20,000回のクエリなら月額20ユーロといった具合です。
容量はいつでもアップグレード(増やす)またはダウングレード(減らす)が可能で、Stripe(ストライプ)という決済システムによって日割り計算が自動的に適用されます。必要なときに必要な分だけ利用し、不要になればすぐに縮小できるため、無駄なコストを抑えることができます。
詳細な料金については、以下のERPC Global Storage料金ページをご確認ください。
ERPCが追求する最速と安全性の両立
ERPCは、Solana(ソラナ)プラットフォームにおいて「最速」を第一要件として設計されています。省電力・パフォーマンスセーブ機能の徹底排除、最新世代ハードウェアの採用、あらゆる層にわたる最適化など、すべてが1ミリ秒を争う環境で最高の速度を実現するために設計されています。
しかし、どれだけ速いプラットフォームがあっても、そこに安心して環境を置き続けることができなければ意味がありません。サーバー障害のリスクやバックアップの不在は、ユーザーが最速の環境に集中するための大きな障壁となります。ERPC Global Storageは、この障壁を取り除くために開発されました。バックアップとリストアが即座に行える基盤があるからこそ、ユーザーはプラットフォーム上での運用に安心して集中できるのです。
一般的に、汎用的なサーバー市場では、安定性や収益性、標準化が優先されるため、速度を最優先とするような特別な構成はあまり提供されません。サーバーのパフォーマンスを最大限に引き出すには、データセンターに関する深い知識と、どこに性能のボトルネックがあるかを見極める専門性が求められます。
ERPCは、Solana RPCプラットフォームと、ユーザーがデプロイするベアメタルサーバー(物理サーバー)、VPS(仮想プライベートサーバー)、Shreds、gRPC、Unlimited Endpoints、そしてグローバルストレージを一つのプラットフォーム内に統合しています。これにより、ユーザーはプラットフォームにデプロイするだけで、最速の通信条件、最適化された構成、Solanaに特化したチューニング、そして安心して運用を続けるためのバックアップ基盤のすべてを最初から手に入れることができます。データセンターに関する深い知識がなくても、最速の環境と運用安心感を得られること。これがERPCの設計思想であり、ERPCが独自のプラットフォームを構築し続ける理由です。
SLV:AIエージェント時代のSolana開発基盤
SLVは、知識の有無にかかわらず安全な運用が当たり前に実現されることを目指して開発された、オープンソースのSolana開発ツールです。
現在SLVは、主要なSolanaバリデータ(ブロックチェーンの取引を検証・承認する役割)やSolana RPC(分散型アプリケーションがブロックチェーンと通信するためのインターフェース)の立ち上げ、運用、そしてサービスを停止させずに移行する「ノーダウンタイム移行」をサポートしています。すべての機能がMCP(マルチチェーンプロトコル)に対応しており、AIエージェントによる利用も可能です。
今回のERPC Global Storageと連携するバックアップ・リストア機能も、すべてSLV CLIから利用できます。今後は、RPCを活用したSolana dApp(分散型アプリケーション)開発や、高頻度取引(HFT)用アプリケーション開発にも有効な、AIエージェント時代のオープンソースツールとして、さらなる拡張を続けていく予定です。ERPCとSLVは、速度、安全性、利便性のすべてにおいて、継続的に進化し続けるプラットフォームです。
-
SLV 公式サイト: https://slv.dev/ja
-
SLV GitHub: https://github.com/validatorsDAO/slv
研究開発の成果がプラットフォームに反映される
ELSOUL LABOは、オランダ政府の研究開発支援制度WBSOにおいて、2022年以降5年連続で承認を受けています。これは、超低遅延を前提としたSolana RPCインフラの研究開発や、バリデータの配置・運用を自動化するオーケストレーションに関する研究を継続的に行っている成果です。
これらの研究開発で得られた知見は、ERPCプラットフォームのパフォーマンス改善に直接的に反映されています。ERPC Global StorageおよびSLVのバックアップ機能も、こうした研究開発の中で蓄積された運用自動化のノウハウが具体的な機能として実現されたものです。ERPCは、速度だけでなく、運用性においても継続的に進化し続けています。
次世代の選択肢:AS200261 Solana特化データセンター
ELSOUL LABOは、RIPE NCC(ヨーロッパ地域のIPアドレス割り当て機関)より自社ASN(AS200261)の付与を受け、Solanaに特化したトップティアの新しいデータセンターの開設を進めています。このデータセンターは、既存のプレミアムデータセンターを超える最高品質のインフラとして設計されており、今月末から来月にかけて利用が開始される予定です。
最新世代のAMD EPYC 第5世代、AMD Threadripper PRO 第5世代(9975WXなど)、NVMe 第5世代で統一されたハードウェア構成に加え、自社ASNによる最適なネットワーク経路設計を実現します。これにより、最高のパフォーマンスとASNコンセントレーションスコア(ネットワークの集中度合いを示す指標)の両立という、これまで両立が難しいとされてきた条件を同時に満たす、理想的な選択肢が提供されます。
初期ロットはすでに予約で完売していますが、次回入荷分以降はウェイトリストに登録された順に案内されるとのことです。
お問い合わせ方法
ERPC Global Storageに関するご質問やサポートが必要な場合は、Validators DAOの公式Discord(ディスコード)サーバーでサポートチケットを作成してください。
- Validators DAO 公式 Discord: https://discord.gg/C7ZQSrCkYR
ERPCの公式情報は以下のサイトで確認できます。
- ERPC 公式サイト: https://erpc.global/ja
ERPC Global Storageのドキュメントも公開されています。

