エッジAIで厳格な入退室管理を実現!サイバーリンク「FaceMe® Security」とVIA「ACS-5000」連携の全貌
近年、私たちの身の回りではAI(人工知能)技術の進化が目覚ましく、セキュリティ分野においてもその活用が進んでいます。特に、顔認証技術は、スマートフォンでのロック解除から空港の出入国審査まで、私たちの生活に密着した技術へと発展してきました。しかし、企業や施設における入退室管理においては、単に顔を識別するだけでなく、高速性、正確性、そして「なりすまし」に対する強固なセキュリティが求められます。
このような背景の中、サイバーリンク株式会社(以下、サイバーリンク)が提供するAI顔認証セキュリティシステム「FaceMe® Security」と、VIA Technologies Japan株式会社(以下、VIA Technologies)の入退室管理デバイス「ACS-5000」が連携し、新たな入退室管理ソリューションが利用可能になったことが発表されました。この連携により、エッジAIを活用した高速かつ厳格な顔認証と、なりすまし防止機能が一体となった、次世代の入退室管理システムが実現します。AI初心者の方にも分かりやすく、この革新的なソリューションの全貌を詳しくご紹介します。

「FaceMe® Security」とは?:AI顔認証によるトータルセキュリティソリューション
サイバーリンクの「FaceMe® Security」は、顔認証技術を核としたパッケージ型のセキュリティソリューションです。これは、開発を必要とせず、すぐに導入できるのが大きな特長です。具体的な機能としては、以下のようなものが挙げられます。
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アクセス管理: 登録された人物のみが入室できるように管理します。
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電子錠制御: 顔認証の結果に基づいて、ドアの電子錠を自動で開閉します。
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リアルタイム監視: 監視カメラの映像から不審者を検知し、リアルタイムでアラートを発します。
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イベント録画: 特定のイベント(例:不審者検知、不正アクセス試行)が発生した際に、その状況を自動で録画します。
これらの基本機能に加え、豊富なアドオン機能が用意されており、導入する施設の環境や運用ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできる点も強みです。オフィスビル、工場、商業施設など、さまざまな場所でのセキュリティ強化と効率化に貢献します。
「ACS-5000」とは?:入退室管理に特化した高性能デバイス
VIA Technologiesの「ACS-5000」は、入退室管理に特化して設計されたデバイスです。このデバイスは、高性能なハードウェアと、顔認証に必要なカメラ機能を備えており、セキュリティシステムの中核を担います。今回、「ACS-5000」が「FaceMe® Security」のアドオン機能である「Face Terminal」に対応する顔認証端末として利用可能になったことで、この二つの強力な技術が融合し、より高度な入退室管理が実現しました。
「FaceMe® Security」と「ACS-5000」連携の主な特長を深掘り
この連携によって実現する主な特長は以下の3点です。それぞれがどのようにセキュリティと利便性を向上させるのか、詳しく見ていきましょう。
1. MediaTek Genio 700に最適化、認証処理を高速化
「ACS-5000」には、「MediaTek Genio 700 オクタコアSoC(System on a Chip)」という、高い演算性能と低消費電力を両立したチップが搭載されています。このチップは、AI処理に特化したNPU(Neural Processing Unit:ニューラルプロセッシングユニット)を内蔵しているのがポイントです。
FaceMe® Securityは、このMediaTek Genio 700のNPUに最適化されています。NPUは、顔認証のようなAI推論処理を専門的に行うための回路であり、これを利用することで、CPU(中央演算処理装置)のみで処理する場合と比較して、以下のような大幅な性能向上が実現します。
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AI推論処理速度:最大6.5倍向上
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CPU負荷:最大24%削減
これは、AI初心者の方にも分かりやすく言うと、「顔を認識して本人かどうかを判断するスピードが格段に速くなり、しかも、その処理でコンピューターが疲れる度合いが減る」ということです。これにより、出退勤時間など、多くの人が一斉に入退室するピーク時でも、認証に時間がかからず、スムーズな通行が可能になります。混雑の緩和にも大きく貢献し、利用者のストレスを軽減します。
2. IR+RGBカメラによる高度な「なりすまし防止」
入退室管理システムにおいて、最も重要なセキュリティ機能の一つが「なりすまし防止」です。従来の顔認証システムでは、写真や動画を使ったなりすましが問題となることがありました。しかし、「ACS-5000」は、IR(赤外線)カメラとRGB(一般的なカラー)カメラの両方を搭載しています。
FaceMe® SecurityのAIモデルと不正検知アルゴリズムは、このIR+RGBカメラの特性に合わせて最適化されています。IRカメラは、光の反射ではなく、物体から放出される熱や赤外線を捉えるため、写真やディスプレイに表示された顔と、実際に存在する人間の顔との違いを正確に識別できます。RGBカメラで色情報や形状を捉えつつ、IRカメラで生体特有の情報を検出することで、以下のような巧妙ななりすまし手口を高速に検知し、ブロックします。
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写真を用いたなりすまし
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動画を用いたなりすまし
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3Dマスクを用いたなりすまし
これらの不正認証を0.6秒以内という驚異的な速さで検知し、確実な本人確認を実現します。これにより、高いセキュリティが求められるオフィス、工場、データセンターなどでの不正侵入のリスクを大幅に低減できます。
3. 追加機器不要のドア制御
一般的に、顔認証システムとドアの開閉を連動させるには、別途制御盤などの追加機器が必要になる場合があります。しかし、この連携ソリューションでは、FaceMe® Securityが「ACS-5000」のデジタルI/O(Input/Output:入出力)を直接制御できるため、追加機器なしでドアの開閉を管理できます。
具体的には、顔認証の結果に基づいてA接点やWiegand(ウィーガンド)といった標準的なインターフェースを利用したドア開閉制御が可能です。A接点とは、電気回路の接点方式の一つで、スイッチが押されていないときに回路が開いており、押すと回路が閉じるタイプを指します。Wiegandは、セキュリティシステムで広く使われている通信プロトコルで、カードリーダーや生体認証リーダーと制御盤の間でデータをやり取りする際に用いられます。
このように、追加の制御機器を必要とせずに、顔認証からドア開閉までを一貫してシステム内で完結できるため、システム構成が簡素化され、導入コストの削減にも繋がります。これは、システム導入を検討する企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
両社のコメントと今後の展望
今回の連携について、VIA Technologies VISVIA事業部 副社長の陳宝惠氏と、サイバーリンク Computer Vision事業部 社長:古媄君氏からコメントが寄せられています。
VIA Technologiesの陳宝惠氏は、入退室管理システムが従来のカード認証から顔認証へと移行する中で、サイバーリンクとの提携により、AI顔認証技術とエッジコンピューティングを融合させたシステムの推進が加速することへの喜びを表明しています。厳格な本人確認と入退室管理へのニーズが高まる中、両社の技術が合わさることで、より高度なソリューションが提供されることへの期待が伺えます。
サイバーリンクの古媄君氏も、顔認証がセキュリティや入退室管理において安全かつシームレスな体験を実現する重要な基盤技術であると強調し、VIA Technologiesのデバイスとの連携により、高い認証精度とセキュリティ性を兼ね備えた入退室管理ソリューションが提供可能になったことを歓迎しています。今後も両社の技術融合を通じて、さまざまな現場のセキュリティ高度化とスマート化に貢献していく意向を示しています。
この連携ソリューションは、オフィスビルはもちろんのこと、工場、データセンター、研究施設など、高いセキュリティが求められるあらゆる環境での導入が期待されます。人の流れが頻繁な場所でも、高速かつ正確な認証により、セキュリティレベルを維持しつつ、スムーズな入退室を実現します。
関連情報と企業紹介
入退室管理デバイス「ACS-5000」に関する詳細情報は、以下のVIA Technologiesのウェブサイトで確認できます。
また、このデバイスの機能は以下の展示会にて紹介される予定です。
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Japan IT Week(日本):2026年4月8日~4月10日
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COMPUTEX(台湾):2026年6月2日~6月5日
「FaceMe® Security」の製品情報およびアドオン機能に関する詳細情報は、以下のサイバーリンクのウェブサイトをご覧ください。
サイバーリンクについて
サイバーリンクは1996年に台湾で設立され、マルチメディアソフトウェアとAI顔認証技術の分野で世界的に知られる企業です。動画編集ソフト「PowerDirector」や動画再生ソフト「PowerDVD」などのコンシューマー向け製品から、顔認証システム「FaceMe®」のような法人向けソリューションまで、幅広い製品を提供しています。日本法人であるサイバーリンク株式会社は1998年に設立され、日本の市場において、人々の新しい暮らし方を創造することを目指しています。
VIA Technologiesについて
VIA Technologies, Inc.は、インテリジェント・ソリューションを通じて業務の安全性と効率性を変革するグローバルリーダー企業です。自動車、エッジコンピューティング、産業、ビルディングなど多岐にわたる分野で、高度なAI、IoT、コンピュータービジョン技術とビジネスを結び付けています。同社のVISVIA事業部は、コンピュータービジョンとエッジコンピューティングプラットフォームの構築に特化しており、入退室管理やエッジAIデバイスなどの包括的なソリューションを展開しています。
まとめ
サイバーリンクの「FaceMe® Security」とVIA Technologiesの「ACS-5000」の連携は、AI顔認証技術の新たな可能性を切り開くものです。エッジAIによる高速な認証処理、IR+RGBカメラを活用した強固ななりすまし防止、そしてシンプルなシステム構築という三つの特長は、企業や施設が直面するセキュリティと効率化の課題に対する強力な解決策となるでしょう。
この革新的なソリューションは、今後ますます多様化するセキュリティニーズに応え、より安全でスマートな社会の実現に貢献していくことが期待されます。AI初心者の方々にも、顔認証技術の進化が私たちの生活やビジネスにもたらす大きな恩恵を感じていただけたのではないでしょうか。セキュリティの未来を担うこの技術の動向に、今後も注目していきましょう。

