【embedded world 2026】Nordic Semiconductorが示す、低消費電力ワイヤレスとエッジAIの未来!次世代IoTデバイスを徹底解説

Nordic Semiconductorが描くIoTの未来:embedded world 2026での注目技術

2026年3月10日から12日までの3日間、ドイツ・ニュルンベルクで開催される世界最大級の組み込みシステム専門展示会「embedded world 2026」は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の最新技術が集結する場として、毎年大きな注目を集めています。

この国際的なイベントに、低消費電力ワイヤレス接続ソリューションのグローバルリーダーであるNordic Semiconductorが出展します。Nordic Semiconductorは、ホール4A-310の自社ブースと、ホール4-170のZephyrブースの2箇所で、未来の低消費電力ワイヤレス接続技術を来場者に披露する予定です。

同社のブースでは、エンジニアとの直接対話を通じて各プロジェクトの相談ができるだけでなく、一般公開される技術プレゼンテーションでは、Nordicの主要テクノロジーに関する深い洞察が得られる貴重な機会となります。

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Nordic Semiconductorとは?IoTの進化を支える技術のパイオニア

Nordic Semiconductorは、1983年にノルウェーで設立された企業で、低消費電力ワイヤレス接続ソリューションの分野で世界をリードしています。同社は、スマートフォンやスマートウォッチなど、私たちの身の回りにある多くのデバイスで利用されているBluetooth® Low Energy(Bluetooth LE)技術のパイオニアとして知られています。

Nordic Semiconductorの強みは、ハードウェア(半導体チップ)、ソフトウェア、開発ツール、そしてクラウドサービスまでを網羅した包括的なプラットフォームを提供している点にあります。これにより、開発者は効率的かつ迅速に接続型製品を開発し、製品のライフサイクル全体にわたって高い性能と信頼性を確保できるようになります。

近年では、Bluetooth LEだけでなく、Cellular IoT(携帯電話ネットワークを利用したIoT)、Wi-Fi、スマートホームの共通規格であるMatter、Thread、Zigbee、DECT NR+、NTN/衛星通信といった幅広いワイヤレスソリューションへと技術領域を拡大しています。2025年には、デバイスの監視機能やクラウドベースの観測性を提供するMemfaultを買収し、チップからクラウドまで一貫したサービス提供体制を強化しています。

同社の技術は、コンシューマー製品、ヘルスケア機器、産業用アプリケーションなど、多岐にわたる分野で活用されており、安全で拡張性が高く、エネルギー効率に優れた接続型製品の実現に貢献し、よりスマートで「つながる世界」の発展を支えています。

embedded world 2026で発表されるNordic Semiconductorの注目技術

Nordic Semiconductorのブースでは、IoTやAIの未来を形作る、以下のような革新的な技術が展示される予定です。AI初心者の方にも分かりやすいように、それぞれの技術がどのようなもので、どのようなメリットがあるのかを詳しく見ていきましょう。

1. nRF54Lシリーズ:次世代の超低消費電力ワイヤレスSoC

SoC(System on Chip)とは、コンピュータのシステム全体を一つの小さなチップに集積したものです。スマートフォンやウェアラブルデバイスなど、多くの電子機器の「脳」のような役割を果たしています。

Nordic Semiconductorが今回紹介する「nRF54Lシリーズ」は、このSoCの次世代モデルであり、特に「超低消費電力」という点が大きな特徴です。これにより、より高い性能を発揮しながらも、バッテリー寿命を大幅に延ばすことが可能になります。これは、頻繁な充電が難しいIoTデバイスや、小型でバッテリー容量が限られるウェアラブルデバイスにとって非常に重要な進化です。さらに、このシリーズは「よりスマートなエッジAIデバイス」の実現にも貢献するとされています。

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2. MatterとAliro:スマートホームの相互運用性とアクセス制御の未来

スマートホームデバイスは便利ですが、メーカーが異なると互いに連携できないという課題がありました。この課題を解決するために登場したのが、スマートホームの新しい共通規格である「Matter」です。Matterは、異なるメーカーのスマートデバイスが簡単に接続し、互いに連携できるようにするための「共通言語」のようなものです。

今回の展示では、Matterと「Aliro」が連携するデモが披露されます。Aliroが具体的に何を指すのかは、プレスリリースでは明示されていませんが、Matterとの連携によって、スマートホーム接続とアクセス制御(例えば、スマートロックやセキュリティシステムなど)の未来がどのように変わるのかが紹介されるでしょう。これにより、ユーザーはよりシームレスで安全なスマートホーム体験を得られるようになるはずです。

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3. エッジAI:デバイス上で賢く動く超低消費電力AI

AI(人工知能)と聞くと、クラウド上の高性能なサーバーで処理されるイメージがあるかもしれません。しかし、「エッジAI」とは、インターネットにつながったデバイス(エッジデバイス)そのものの中でAI処理を行う技術のことです。これにより、データをクラウドに送る手間が省け、より高速な応答、プライバシーの保護、そしてインターネット接続が不安定な場所でもAIを利用できるというメリットがあります。

Nordic Semiconductorは、超低消費電力でオンデバイス型のエッジAIを実現するため、以下の技術を紹介します。

  • nRF54LM20B SoCとAxon NPU: 「nRF54LM20B」は、NordicのSoCの一つです。このSoCに統合された「Axon NPU(Neural Processing Unit)」は、AI処理に特化した半導体部品です。NPUは、AIの計算をCPU(中央演算処理装置)よりもはるかに効率的に行うことができます。展示では、Axon NPUが「TensorFlow Lite」というAIモデルの実行環境を使った音声分類モデルの「特徴抽出」や「AI推論」の速度と効率をどのように向上させるかが示されます。これにより、音声コマンド認識や異常音検知などのアプリケーションが、より素早く、低消費電力で動作するようになります。

  • Neutonのカスタムモデル: 「Neuton」は、軽量なAIモデルを生成する技術です。このカスタムモデルは、メモリ容量が限られたNordicのあらゆるSoCのCPU上で、時系列センサーデータ(例えば、活動量計の心拍データや工場の機械の振動データなど)のAI推論を効率的に実行できることが体験できます。これにより、小型デバイスでも高度なデータ分析や予測が可能になり、バッテリー寿命を犠牲にすることなく、よりスマートな機能を提供できるようになります。

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4. Bluetooth Shorter Connection Intervals(SCI):高速応答と低遅延

Bluetoothは、スマートフォンとイヤホン、マウス、キーボードなどをワイヤレスで接続する際によく使われる技術です。通常、Bluetoothデバイスは、バッテリー消費を抑えるために、一定の間隔で通信を行います。しかし、「Shorter Connection Intervals(SCI)」は、この通信間隔を短くすることで、より高速な応答性と低遅延を実現する技術です。

この技術は、特に高性能なHID(Human Interface Device、例えばゲーミングマウスやキーボード)やHMI(Human Machine Interface、例えば産業機器の操作パネル)アプリケーションで大きなメリットをもたらします。例えば、ゲーム中の素早い操作や、精密な機器のリアルタイム制御において、遅延が少ないことは非常に重要です。SCIにより、ユーザーはより快適で正確な操作体験を得られるようになります。

5. Bluetooth Channel Sounding:真の距離認識と安全なレンジング

Bluetooth Channel Soundingは、Bluetoothデバイス間の「真の距離」を高精度に測定できる技術です。これまでのBluetoothは、信号の強さでおおよその距離を推測していましたが、電波の遮蔽などによって誤差が生じやすいという課題がありました。Channel Soundingは、電波の伝搬特性を詳細に分析することで、より正確な距離を割り出すことが可能になります。

この技術の応用範囲は広く、例えばスマートロックと連携して、ユーザーがドアに近づいたときに自動でロックを解除したり、貴重品が一定範囲外に出た場合にアラートを発したりするような「安全なレンジング機能」に応用できます。展示では、ライブデモを通じて、実際の顧客製品での活用例も紹介される予定です。

6. RISC-V:オープン標準プロセッサ技術の柔軟性と性能

RISC-V(リスクファイブ)は、近年注目されているオープン標準のプロセッサアーキテクチャです。従来のプロセッサアーキテクチャの多くが特定の企業によって管理されているのに対し、RISC-Vは誰でも自由に利用、改良、配布できるオープンソースの技術です。これにより、開発者は特定のベンダーに縛られることなく、自由にカスタマイズされた高性能なプロセッサを設計できるようになります。

Nordic Semiconductorは、このRISC-Vアーキテクチャの柔軟性と性能をデモを通じて紹介します。これは、組み込みシステム開発における選択肢を広げ、特定のアプリケーションに最適化された効率的なハードウェア開発を促進する可能性を秘めています。

7. Cellular IoT:グローバル接続性と新たな可能性

「Cellular IoT」は、スマートフォンが利用する携帯電話ネットワーク(LTE-M、NB-IoTなど)を使ってIoTデバイスをインターネットに接続する技術です。これにより、Wi-FiやBluetoothの届かない広範囲でもデバイスを接続できるようになり、例えば遠隔地のセンサーや追跡デバイスなどに活用されます。

今回の展示では、「nRF9151」モジュールが、LTE-M、NB-IoTに加えて、最近注目されている「衛星NTN(非地上系ネットワーク)」を介してデバイスを接続する様子が紹介されます。衛星NTNは、地上ネットワークが届かない海上や山間部などでも通信を可能にする技術で、これにより「グローバル接続性」が大幅に向上します。

さらに、これらのデバイスが「nRF Cloud」ダッシュボードへ直接連携する様子も展示されます。nRF Cloudは、デバイスの管理、データ収集、ファームウェアの更新などを一元的に行えるクラウドサービスです。この組み合わせにより、企業は世界中のIoTデバイスを効率的に展開・運用し、今まで考えられなかったような「未発表の新たな可能性」を切り開くことができるでしょう。

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8. Power Management ICs(nPM2100):超高効率電源管理ソリューション

PMIC(Power Management IC)とは、電子機器の電源を効率的に管理するための半導体部品です。バッテリー駆動のデバイスにおいて、いかに電力を無駄なく使うかは、デバイスの性能や寿命に直結する重要な要素です。

Nordic Semiconductorは、超高効率の電源管理ソリューションとして「nPM2100」を紹介します。このICは、特に「一次電池アプリケーション向け高精度燃料ゲージ機能」を搭載している点が特徴です。燃料ゲージ機能とは、バッテリー残量を正確に測定し、表示する技術のことです。一次電池(使い切り電池)の残量を高精度で把握できることで、デバイスの突然の停止を防ぎ、ユーザーは電池交換のタイミングを適切に判断できるようになります。これは、信頼性の高いIoTデバイスの実現に不可欠な技術と言えるでしょう。

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9. 低消費電力Wi-Fi:nRF70シリーズの活用

Wi-Fiは、家庭やオフィスで広く使われているワイヤレス通信技術ですが、IoTデバイスにおいては、その消費電力が課題となることがあります。Nordic Semiconductorの「nRF70シリーズ」は、この課題を解決するために開発された「Wi-FiコンパニオンIC」です。

コンパニオンICとは、メインのSoCと組み合わせて使用される補助的なチップのことです。nRF70シリーズは、Nordicの低消費電力SoCと連携することで、IoTデバイスに低消費電力のWi-Fi接続機能を追加することを可能にします。展示では、「Zephyr RTOS」と「Linuxホスト構成」の両方でデモが展示されます。これは、様々な開発環境に対応できることを示しており、開発者にとって柔軟な選択肢を提供します。

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10. Zephyr Projectブース:オープンソース組み込み開発の拡大

Nordic Semiconductorは、自社ブースだけでなく、Zephyr Projectブース(ホール4-170)にも出展します。Zephyrは、小型で電力効率の高い組み込みデバイス向けに設計されたオープンソースのリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)です。オープンソースであるため、世界中の開発者が協力して開発を進めており、柔軟性やカスタマイズ性に優れているという特徴があります。

Zephyrブースでは、パートナー企業とともに、オープンソース組み込み開発のメリットや、急速に拡大しているZephyrエコシステムが紹介されます。これは、開発者がより効率的かつ革新的なIoTソリューションを構築するための重要なプラットフォームとなるでしょう。

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エンジニアとの交流と技術プレゼンテーションの機会

embedded world 2026では、Nordic Semiconductorのブース内で専用のミーティングルームが設けられ、来場者は事前に予約することで、同社のエンジニアと直接打ち合わせを行うことができます。これは、自身の製品開発における課題や、Nordicのソリューションがどのように役立つかを具体的に相談できる絶好の機会です。

また、会期中には、Nordicの主要テクノロジーに関する技術プレゼンテーションも開催されます。これらのプレゼンテーションはすべての来場者に公開され、最新技術の深い洞察を得られる貴重な学びの場となるでしょう。

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まとめ:Nordic Semiconductorが切り開くIoTとAIの新たな地平

Nordic Semiconductorがembedded world 2026で展示する技術は、低消費電力ワイヤレス接続の進化、スマートホームの普及、そしてエッジAIによるデバイスの知能化といった、IoTとAIの未来を形作る重要な要素ばかりです。

次世代の超低消費電力SoC「nRF54Lシリーズ」は、より長寿命で高性能なデバイスの基盤となり、「Matter」はスマートホームの利便性を飛躍的に高めるでしょう。また、デバイス上でAI処理を行う「エッジAI」は、私たちの身の回りのデバイスをより賢く、そしてプライバシーに配慮したものに変えていきます。

Bluetooth SCIやChannel Soundingは、ワイヤレス通信の応答性と安全性を向上させ、RISC-Vは開発の自由度を高めます。さらに、Cellular IoTと衛星NTNは、地球上のあらゆる場所でデバイスを接続する可能性を広げ、PMICや低消費電力Wi-Fiは、デバイスの持続可能な運用を支えます。

これらの革新的な技術の組み合わせは、私たちが想像する以上に、日常生活や産業のあり方を大きく変える可能性を秘めています。Nordic Semiconductorは、これらの技術を通じて、よりスマートで、より安全で、そしてより持続可能な「つながる世界」の実現に貢献し続けるでしょう。embedded world 2026は、その未来をいち早く体験できる貴重な機会となるはずです。

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