アパレル業界では、デザインから生産、販売に至るまで、多岐にわたる複雑な情報が日々発生しています。これらの情報をいかに効率的に管理し、共有し、活用するかが、企業の競争力を左右する重要な課題となっています。東レACS株式会社は、このようなアパレル業界特有のデータ管理の課題を解決するため、「XIFORM®(サイフォーム®)」というデータ管理システムを提供しています。そして2026年1月19日、このXIFORM®がさらに進化を遂げた最新バージョン「XIFORM® Ver. 11」をリリースしました。
今回のバージョンアップの大きな目玉は、人工知能(AI)を活用した「AI-OCR」と「AI翻訳」機能の強化です。これらの新機能が、アパレル企業の業務プロセスにどのような革新をもたらし、デジタルトランスフォーメーション(DX)と生産性向上をどのように支援するのか、AI初心者の方にも分かりやすい言葉で詳しくご紹介します。

XIFORM®とは?アパレル業界のデータ管理を革新するシステム
XIFORM®は、アパレル製品の企画・生産プロセスで発生する膨大な情報を一元的に管理するためのシステムです。具体的には、製品の設計図となる「縫製仕様書」、工場への加工指示を出す「加工指図書」、材料の発注に使用する「発注書」など、様々な帳票に記載されている情報を効率的に管理し、社内外の関係者間でスムーズに共有・活用することを目的としています。
アパレル業界のデータ管理における課題
従来のアパレル業界では、これらの帳票が紙ベースで作成されたり、複数のファイル形式で管理されたりすることが多く、以下のような課題を抱えていました。
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重複作業の発生: 同じ情報が異なる帳票に何度も入力され、無駄な手間が生じる。
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修正漏れのリスク: デザイン変更や材料変更があった際に、関連する全ての帳票を更新し忘れる可能性がある。
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転記ミスの発生: 手作業でのデータ入力や転記によって、誤った情報が伝達されるリスクがある。
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情報共有の遅延: 必要な情報がすぐに手に入らず、生産や発注の判断が遅れる。
XIFORM®は、これらの課題に対し、充実した入力補助機能や作図機能を活用することで、データ入力に不慣れな方でも簡単に使用できる設計になっています。これにより、情報の正確性を高め、業務の効率化と生産性向上を支援してきました。
【新機能1】手書き・PDFもデータ化!AI-OCRで入力作業を劇的に効率化
XIFORM® Ver. 11の大きな進化の一つが、AI-OCR機能の搭載です。この機能は、これまで手作業で行っていた帳票のデータ入力作業を劇的に効率化し、アパレル企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させます。
AI-OCRとは何か?その基本とアパレル業務への応用
AI-OCR(エーアイ・オーシーアール)とは、「人工知能(AI)を活用した光学的文字認識」のことです。紙に書かれた文字や、PDFファイルなどの画像データに含まれる文字をAIが読み取り、デジタルデータに変換する技術を指します。これにより、手書きの書類やスキャンされた文書の内容を、コンピューターで編集可能なテキストデータとして取り扱うことが可能になります。
アパレル業界では、長年にわたる取引の中で、過去の貴重なデータが手書きの帳票やPDFファイルとして蓄積されていることが少なくありません。これらの情報をXIFORM®に取り込むことで、データの編集、再利用が可能になります。

「Smart Read」連携で実現するデータ編集・再利用の可能性
XIFORM® Ver. 11のAI-OCR機能は、外部サービス「Smart Read」と連携しています。Smart Readは、高精度なAI-OCR技術を提供しており、様々な形式の帳票から正確に情報を抽出する能力に優れています。この連携により、お客様は以下のようなメリットを享受できます。
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過去資産の有効活用: 長年蓄積された紙ベースの縫製仕様書や材料リストなどをデジタルデータとしてXIFORM®に取り込み、検索・分析・再利用が可能になります。
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入力作業の劇的な削減: 新規の帳票作成時も、手書きのドラフトやPDF形式の資料から必要な情報を自動で読み取り、手動での入力にかかる時間と労力を大幅に削減します。
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転記ミスの防止: AIが正確に文字を読み取るため、手動による転記ミスが減少し、データの信頼性が向上します。
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データの一元管理: 異なる形式で存在していた情報をXIFORM®内で一元管理できるようになり、必要な情報へのアクセスが迅速化します。
なお、このAI-OCR機能を利用するためには、お客様ご自身で「Smart Read」との契約が必要となります。
【新機能2】グローバル生産を強力支援!AI翻訳で言語の壁を解消
アパレル製品の生産は、現在、多くの企業で海外の工場と連携して行われています。このグローバルな生産体制において、言語の壁は常に大きな課題となっていました。XIFORM® Ver. 11は、AI翻訳機能の強化により、この課題を解決し、国際的なコミュニケーションを円滑にします。
AI翻訳の進化:ベトナム語対応とその重要性
AI翻訳とは、人工知能が文章の意味を理解し、異なる言語に自動で変換する技術です。XIFORM®のAI翻訳機能は、これまでも多言語に対応していましたが、今回のバージョンアップで新たに「ベトナム語」が追加されました。ベトナムは、アパレル製品の主要な生産拠点の一つであり、この言語対応は、ベトナムの工場との連携を強化し、生産指示の正確性とスピードを向上させる上で非常に重要です。

「DeepL®」連携による高精度な翻訳と専門用語登録のメリット
XIFORM® Ver. 11のAI翻訳機能は、高精度な翻訳サービスとして知られる「DeepL®」と連携しています。DeepL®は、文脈を理解した自然な翻訳が特徴であり、これにより、より正確で分かりやすい指示を海外の工場に伝えることが可能になります。
さらに、お客様の社内で使用している特定の用語やアパレル業界の専門用語をシステムに登録できる機能も追加されました。これにより、一般的な翻訳では対応しきれない専門的な内容も、より精度の高い翻訳が可能となり、誤解のリスクを大幅に低減できます。
図形内コメント翻訳がもたらす細やかな指示伝達
アパレル製品の縫製仕様書や指示書には、文字だけでなく、図形の中にコメントや指示が書き込まれていることがよくあります。XIFORM® Ver. 11のAI翻訳機能は、表内の文章だけでなく、これらの「図形内のコメント」も翻訳できるのが大きな特長です。これにより、細部にわたる指示も言語の壁なく伝達できるようになり、製品の品質向上や手戻りの削減に貢献します。
AI翻訳機能の利用には、お客様ご自身で「DeepL®」との契約が必要となります。
AI翻訳がアパレル業界の国際取引にもたらす変革
AI翻訳機能の強化は、アパレル業界のグローバルサプライチェーン全体にポジティブな影響をもたらします。
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コミュニケーションの円滑化: 海外の生産拠点とのやり取りがスムーズになり、意思疎通のミスが減少します。
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リードタイムの短縮: 翻訳にかかる時間や、翻訳ミスによる確認作業が減ることで、製品開発から生産までのリードタイムを短縮できます。
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品質の向上: 正確な指示が伝わることで、製品の品質が安定し、不良品の発生率を低減できます。
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コスト削減: 翻訳費用やコミュニケーションコストの削減にも繋がります。
【新機能3】帳票作成もスムーズに!Layout MakerのAI翻訳機能
XIFORM®の関連ソフトである帳票作成ソフト「Layout Maker」にも、今回のバージョンアップでAI翻訳機能が追加されました。Layout Makerは、アパレル製品の様々な帳票のレイアウトを自由に作成・編集できるツールです。

レイアウト作成時のAI翻訳で得られる効率化
これまで、多言語対応の帳票を作成する際には、レイアウトを調整しながら手動で翻訳文を配置する必要がありました。しかし、Layout MakerにAI翻訳機能が追加されたことで、レイアウト作成と同時に翻訳を行うことが可能になります。これにより、多言語版の帳票をより迅速かつ効率的に作成できるようになり、特にグローバル展開を進める企業にとっては、大きなメリットとなるでしょう。
XIFORM® Ver. 11が実現するアパレル業界の未来
XIFORM® Ver. 11のリリースは、アパレル業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)をさらに推進し、企業の競争力を高める重要な一歩となります。
業務改善(DX)と生産性向上への貢献
AI-OCRによる入力作業の自動化、AI翻訳による国際コミュニケーションの円滑化は、それぞれが個別の業務効率を向上させるだけでなく、アパレル製品の企画から生産、納品に至るまでのサプライチェーン全体を最適化します。これにより、従業員は定型的な作業から解放され、より創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。結果として、企業全体の生産性向上と、真の意味でのDX推進に貢献します。
重複作業、修正漏れ、転記ミスの根本的な解決
XIFORM®は、これまでアパレル企業が抱えてきた「重複作業」「修正漏れ」「転記ミス」といった問題を根本的に解決することを目指しています。データの一元管理とAIによる自動化・支援機能の組み合わせは、これらの人的ミスを最小限に抑え、データの正確性と信頼性を飛躍的に向上させます。
データドリブンな意思決定をサポート
すべての情報がデジタル化され、XIFORM®内で一元的に管理されることで、経営層や各部門の担当者は、必要な情報をいつでも、どこからでも、正確に把握できるようになります。これにより、市場の変化や生産状況に応じて、迅速かつ的確な意思決定を行うことが可能となり、ビジネスチャンスの獲得やリスク回避に繋がります。
詳細情報と導入検討について
XIFORM® Ver. 11は、アパレル業界のDX推進と生産性向上を強力に支援する画期的なシステムです。AI技術の活用により、これまでの業務課題を解決し、より効率的でグローバルなビジネス展開を可能にします。
製品の詳細情報や、導入に関するご相談は、東レACS株式会社のウェブサイトをご確認ください。
XIFORM® Ver. 11に関する詳細
東レACS株式会社の製品ラインナップ
東レACS株式会社について
まとめ:アパレルDXの新たな一歩、XIFORM® Ver. 11
東レACS株式会社がリリースした「XIFORM® Ver. 11」は、AI-OCRとAI翻訳という二つの強力なAI機能を搭載し、アパレル業界のデータ管理と国際連携に新たな可能性をもたらします。AI初心者の方々も、この記事を通じて、これらの技術がどのように日々の業務を改善し、企業の未来を形作るのかをご理解いただけたことでしょう。手書き帳票のデジタル化から、グローバルな生産指示の円滑化まで、XIFORM® Ver. 11は、アパレル企業のDXを加速させるための強力なパートナーとなるに違いありません。この進化が、アパレル業界全体のさらなる発展に貢献することを期待します。

