アリババクラウドが生成AIの全領域で「エマージング・リーダー」に再選出!
アリババグループのデジタル技術とインテリジェンスの中核を担うアリババクラウドは、2025年11月にガートナー社が発表した最新レポート「Innovation Guide for Generative AI(生成AIのイノベーションガイド)」において、評価対象となったすべてのカテゴリーで「エマージング・リーダー」に再び選出されたことを発表しました。この評価は、アリババクラウドが生成AIの分野で非常に高い能力と将来性を持っていることを示しています。

ガートナー「エマージング・マーケット・クアドラント」とは?
「エマージング・マーケット・クアドラント」とは、世界的に権威のあるIT分野の調査会社であるガートナーが、新しい技術やサービスが登場し、急速に変化している市場において、主要なベンダー(企業)を評価し、可視化するためのレポートです。
生成AIの分野は、まさに今、ものすごいスピードで進化している市場の一つです。ガートナーは、この市場を動かす生成AIベンダーを詳細に分析し、その機能や将来性を評価しています。
「エマージング・リーダー」とはどのような評価か?
ガートナーによると、「エマージング・リーダー」とは、市場での知名度が高いだけでなく、強力な機能と将来性の両方を兼ね備えているベンダーに与えられる評価です。つまり、現在すでに優れた技術やサービスを提供しているだけでなく、将来にわたってもその分野を牽引していく可能性が高いと認められている企業ということになります。
アリババクラウドがこの「エマージング・リーダー」に、しかも評価対象となった全4つのカテゴリーで選出されたことは、同社が生成AI市場において非常に重要な存在であることを示しています。
アリババクラウドの包括的な「AI + クラウド」戦略
アリババクラウド・インテリジェンスの最高技術責任者(CTO)である周靖人氏は、今回の評価について、「生成AIスタック全体でエマージング・リーダーとして評価されたことは、当社の統合された『AI + クラウド』戦略に対する強力な裏付けと考えています」と述べています。
「AI + クラウド」戦略とは、AI(人工知能)技術とクラウドコンピューティングを一体として捉え、両者を組み合わせることで、企業がより高度なデジタル変革を実現できるよう支援するアリババクラウドの取り組みを指します。AIを動かすための高性能なコンピューター資源(インフラ)から、実際にAIが学習・推論を行うための「脳」となるモデル、そしてそれらを開発・運用するためのツール、さらには最終的にユーザーが利用するアプリケーションまで、生成AIのあらゆる要素を網羅したエコシステムを提供することを目指しています。
周CTOは、「AIの急速な進化の時代において企業が革新と成功を実現できるよう、包括的なエコシステムを提供することに注力しています」と強調しており、アリババクラウドが単なる技術提供にとどまらず、顧客企業のビジネス成長を包括的にサポートする姿勢を示しています。
ガートナーが評価した4つの生成AIカテゴリーとアリババクラウドの強み
ガートナーレポートでは、生成AI市場を以下の4つの主要なカテゴリーに分けて評価しています。アリババクラウドは、これらすべてのカテゴリーにおいて「エマージング・リーダー」として認められました。それぞれのカテゴリーとアリババクラウドの取り組みについて詳しく見ていきましょう。
1. 生成AI特化型クラウドインフラ
このカテゴリーは、AIや機械学習(ML)の活動を可能にするために必要な機能を提供するサービスを指します。具体的には、AIモデルの学習(トレーニング)や推論を行うための非常に高性能なコンピューティング資源、大量のデータを保存するためのストレージ、そして高速なデータ通信を可能にするネットワークなどが含まれます。例えるなら、AIが快適に、そして素早く作業を行うための高性能な「作業場」のようなものです。
アリババクラウドは、このような高度なAIワークロードに対応できる、非常に堅牢でAIに最適化されたクラウドインフラ基盤を提供しています。特に注目すべきは、アジア太平洋地域において、世界の主要な4社と並んでエマージング・リーダーに選出された唯一のクラウドサービスプロバイダーである点です。これは、アジア太平洋地域におけるアリババクラウドの技術力と市場での影響力の高さを示しています。

2. 生成AIモデルプロバイダー
この市場は、商用(有料)またはオープンソース(無料公開)の「基盤モデル」へのアクセスを提供する企業を対象としています。基盤モデルとは、大量のデータで事前に学習された、様々なタスクに応用できる大規模なAIモデルのことで、生成AIの「脳」となる部分です。例えば、文章生成、画像生成、翻訳など、多岐にわたる機能の基礎となります。
アリババクラウドは、独自に開発した「通義千問(Qwen)」シリーズのモデルを提供しており、これには最新の「Qwen3」も含まれます。Qwenシリーズは、この分野におけるアリババクラウドの技術力を象徴する存在です。
特に、オープンソース版のQwenモデルは、世界中の開発者コミュニティで広く採用されており、Hugging FaceやModelScopeといったAIモデルの共有プラットフォームで6億回以上ダウンロードされています。これにより、17万以上の派生モデル(Qwenをベースにカスタマイズされたモデル)の開発が促進されており、その影響力の大きさがうかがえます。
さらに、アリババクラウドのAI開発プラットフォーム「Model Studio」は、企業がQwenや画像生成モデル「通義万相(Wan)」ファミリーなど、多様な大規模言語モデル(LLM)を活用して、独自の生成AIアプリケーションを開発できる環境を提供しています。Model Studioはこれまでに100万以上の企業や個人に利用されており、モデルの微調整、管理、デプロイ(実際に使えるように配置すること)といった一連の作業を効率的に行えるよう支援しています。

3. 生成AIエンジニアリング
このカテゴリーは、生成AIモデルの開発、改良、そしてデプロイ(実際にシステムに組み込んで利用可能にすること)に特化した、モデルのライフサイクル管理技術に焦点を当てています。AIモデルは一度作ったら終わりではなく、常に改善し、新しいデータで学習し、効率的に運用していく必要があります。このカテゴリーは、そうした一連のプロセスをスムーズに行うためのツールやプラットフォームを指します。
アリババクラウドの「Platform for AI (PAI)」は、企業や開発者がAIをより容易に構築・活用できるよう設計された、包括的な機械学習・深層学習エンジニアリングプラットフォームです。このプラットフォームは、AI開発の全工程をサポートします。
具体的には、AIに学習させるためのデータにラベルを付ける作業(データラベリング)から、モデルの設計・構築、実際にモデルを学習させるトレーニング、学習したモデルの性能を最大限に引き出すための最適化、そして最終的に実際の環境でモデルを動かすための展開まで、AIのライフサイクル全体を一貫して、かつ統合されたプラットフォーム上で提供しています。これにより、開発者は複雑なAIプロジェクトを効率的に進めることが可能になります。

4. 生成AIナレッジマネジメントアプリ
この分野は、企業が持つ膨大な知識や情報(ナレッジベース)から、必要な情報をより効率的に検索し、文脈に沿って理解し、活用できるようにするための技術を対象としています。現代の企業は、社内文書、顧客データ、市場レポートなど、多種多様な情報を抱えており、これらをいかに有効活用するかがビジネスの鍵となります。生成AIは、このナレッジマネジメントに革新をもたらす可能性を秘めています。
アリババクラウドのAIソリューションは、RAG(検索拡張生成)やエージェントAIといった技術を活用しています。RAGは、生成AIが回答を生成する際に、外部の信頼できる情報源から関連情報を検索し、その情報を元に回答を「拡張」することで、より正確で最新の情報に基づいた回答を生成する技術です。エージェントAIは、特定のタスクを実行するために自律的に行動するAIのことで、複雑な業務プロセスを自動化したり、ユーザーの問い合わせに高度に対応したりすることが期待されます。
これらの技術を組み合わせることで、アリババクラウドは、企業の持つ知識を実行可能なインサイト(洞察)へと変換し、エンタープライズ(企業向け)アプリケーションの開発を可能にしています。これにより、自動運転やスマートヘルスケアといった最先端分野から、家電、物流、次世代Eコマースに至るまで、幅広い産業分野でのAI導入が加速しており、企業の生産性向上や新たな価値創造に貢献しています。

包括的な視点と加速するイノベーション
周靖人CTOは、「当社は、これらの技術がどのように採用され、長期的に付加価値を生み出すかに焦点を当て、生成AIを包括的な視点で捉えています。イノベーションのスピードがさらに加速していく中、当社はこのダイナミックな業界の未来に対応できるよう、当社の能力エコシステムを最適化してきました」と述べています。
このコメントは、アリババクラウドが単に個別の技術を開発するだけでなく、それらの技術が実際にどのようにビジネスで活用され、長期的な価値を生み出すかという全体像を重視していることを示しています。生成AIの技術は日進月歩で進化しており、その変化のスピードは非常に速いです。アリババクラウドは、この急速な変化に対応できるよう、常に自社の技術やサービスを最適化し、将来のニーズに応えられるエコシステムを構築していると言えるでしょう。
昨年もアリババクラウドは、ガートナーのレポート「Innovation Guide for Generative AI Technologies」において、評価対象となった4つのクアドラントすべてでエマージング・リーダーに選出されており、今回の再選出は、同社の継続的な成長と革新性が高く評価されている証拠となります。
まとめ:アリババクラウドが示す生成AIの未来
今回のガートナーによる「エマージング・リーダー」への再選出は、アリババクラウドが生成AIの「脳」となるモデル開発から、それを動かすための「体」となるインフラ、そして「手足」となるエンジニアリングツール、さらには「知恵」となるナレッジマネジメントアプリケーションまで、生成AIのあらゆる側面において高い能力と将来性を持っていることを明確に示しています。
アリババクラウドの「AI + クラウド」戦略は、企業が生成AIを導入し、最大限に活用するための包括的なソリューションを提供することを目指しています。Qwenシリーズのような高性能なAIモデル、Model StudioやPAIといった開発・運用プラットフォーム、そして幅広い産業分野でのAI導入を加速させるソリューションを通じて、アリババクラウドは、AI初心者から上級者まで、あらゆる企業が生成AIの恩恵を受けられるよう支援していくことでしょう。
今後も生成AI市場はさらなる進化を遂げることが予想されます。アリババクラウドがこのダイナミックな市場でどのような革新をもたらし、どのような未来を切り開いていくのか、その動向に注目が集まります。

