現代社会において、企業と顧客をつなぐ重要な接点であるコンタクトセンターは、日々多様な課題に直面しています。特に、労働力不足は深刻な問題であり、限られた人数で質の高い顧客対応を維持することは、多くの企業にとって大きな負担となっています。このような状況の中、最新のテクノロジーを活用した業務効率化が求められています。
株式会社コムデザインが提供するクラウド型CTI「CT-e1/SaaS」と、NTTテクノクロス株式会社が提供するCRMソリューション「CTBASE/AgentProSMART」が連携を開始しました。この連携は、AI技術を駆使してコンタクトセンターの業務を大きく変革し、オペレーターの負担を軽減しながら、顧客応対の品質向上とセンター全体の生産性向上を目指すものです。AI初心者の方にも理解できるよう、この画期的な連携がもたらす具体的な変化について詳しく見ていきましょう。

「CT-e1/SaaS」と「CTBASE/AgentProSMART」の連携とは?
まず、「CTI」と「CRM」という言葉に馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単に説明します。
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CTI(Computer Telephony Integration):電話とコンピューターを連携させる技術のことです。これにより、電話がかかってきた際に顧客情報が自動で表示されたり、コンピューターから電話をかけたりするなど、電話業務を効率化できます。
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CRM(Customer Relationship Management):顧客関係管理と訳され、顧客との関係性を管理し、良好な関係を築くことで顧客満足度を高め、企業の収益向上を目指すシステムのことです。顧客情報、購入履歴、問い合わせ履歴などを一元的に管理します。
今回の連携では、コムデザインのクラウド型CTI「CT-e1/SaaS」がテレフォニープラットフォーム(電話の基盤)としての役割を担い、NTTテクノクロスのCRM「CTBASE/AgentProSMART」が顧客情報を管理し、AIを活用してオペレーターをサポートします。
具体的には、「CTBASE/AgentProSMART」に搭載されたNTTの研究所の音声認識技術と生成AIが、「CT-e1/SaaS」を通じて行われる顧客との会話をリアルタイムで分析します。そして、その会話内容に基づいて、顧客応対履歴の登録を自動化します。これにより、オペレーターは会話に集中できるようになり、応対後の履歴入力にかかる時間や手間が大幅に削減されるのです。また、応対履歴の品質も均一化され、情報の抜け漏れを防ぐことにもつながります。
「CTBASE/AgentProSMART」の主な特長
「CTBASE/AgentProSMART」は、コンタクトセンターに特化したCRMシステムであり、特にAIとRPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務自動化)を組み合わせることで、オペレーターの業務を効率化するための強力な機能を備えています。その主な特長は以下の4点です。
特長1:音声認識×生成AI×RPAにてオペレーター業務を効率化
この連携の核となるのが、音声認識、生成AI、RPAの組み合わせです。
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音声認識:顧客との会話をリアルタイムでテキストに変換します。これにより、オペレーターは聞き取りに集中し、重要な情報を逃すことなく把握できます。
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生成AI:テキスト化された会話内容を分析し、要点をまとめたり、顧客の意図を推測したり、さらには応対履歴の骨子を自動で作成したりします。まるで優秀なアシスタントが隣にいるかのように、オペレーターの業務をサポートします。
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RPA:生成AIが作成した履歴の骨子を、CRMシステムに自動で入力するなどの定型業務を代行します。これにより、オペレーターは応対中に履歴作成の大部分を完了でき、入力ミスを減らし、応対後の事務作業時間を大幅に短縮できます。
これらの技術が連携することで、オペレーターは顧客との対話に集中でき、より質の高いサービス提供が可能になります。また、応対履歴作成の負担が減ることで、長時間労働の是正や、より多くの顧客対応が可能になるといった効果も期待できます。
特長2:1つのCRMでインバウンド/アウトバウンド両業務を一元管理
コンタクトセンターには、顧客からの問い合わせに対応する「インバウンド」業務と、企業から顧客へ連絡する「アウトバウンド」業務があります。「CTBASE/AgentProSMART」は、これらの両方の業務を一元的に管理できるため、オペレーターは異なるシステムを使い分ける必要がありません。
一つのシステムで全ての顧客情報を管理できるため、顧客への応対も一貫して行えます。例えば、過去の問い合わせ履歴や購入履歴をすぐに確認できるため、顧客は何度も同じ説明をする手間が省け、よりスムーズなコミュニケーションが実現します。また、アウトバウンド業務においては、オートコール機能を利用することで、効率的な架電業務を進めることができます。
特長3:お客様にて柔軟なカスタマイズが可能な画面設計
コンタクトセンターの業務内容は、企業や部署によって多種多様です。「CTBASE/AgentProSMART」は、入力画面の設定や変更を企業自身で柔軟に行うことができます。例えば、特定の業務に必要な項目を追加したり、入力しやすいように項目の順序を変更したり、セルサイズや権限などの細かな設定も可能です。これにより、各コンタクトセンターの業務フローに合わせた、使いやすいシステム環境を構築できます。
特長4:オフィス同様のセキュアな環境/応対サポートを在宅でも実現
近年、在宅勤務が普及する中で、コンタクトセンターにおいても在宅での応対が増加しています。しかし、情報漏洩のリスク管理は大きな課題です。「CTBASE/AgentProSMART」は、画面マスキング機能(覗き見や撮影による情報漏洩リスクを低減)、監査ログ(システム利用履歴の記録)、更新履歴など、多様なセキュリティ機能を搭載しています。これにより、オフィスと同等レベルのセキュアな環境を在宅でも実現し、安心して業務を行えるよう支援します。
「CTBASE/AgentProSMART」の詳細は、以下のURLで確認できます。
https://www.ntt-tx.co.jp/products/ctbase/agent_smart.html
連携による具体的なメリットと導入のしやすさ
この連携がコンタクトセンターにもたらすメリットは多岐にわたります。
労働力不足の解消と生産性向上
労働力不足は、多くのコンタクトセンターにとって喫緊の課題です。オペレーターの業務負担を軽減し、効率化することで、限られた人数でもより多くの顧客に対応できるようになります。これにより、センター全体の生産性が向上し、人手不足の問題緩和に貢献します。
オペレーターの負担軽減と応対品質の平準化
AIによる応対履歴の自動作成は、オペレーターが手作業で行っていた入力作業を大幅に削減します。これにより、オペレーターは精神的・肉体的な負担から解放され、顧客とのコミュニケーションにより集中できるようになります。また、AIが生成する履歴は一定の品質が保たれるため、オペレーターごとの記録のばらつきがなくなり、応対品質の平準化にもつながります。
サーバーレス連携による手軽な導入
すでに「CT-e1/SaaS」を利用している企業は、追加の機器導入や複雑なシステム構築が不要で、「CTBASE/AgentProSMART」をスムーズに導入できます。サーバーレス連携という方式は、初期投資を抑え、迅速な導入を可能にします。これは、新たな技術導入に際してコストや手間を懸念する企業にとって、非常に大きなメリットと言えるでしょう。
AI活用をローコストで実現
コンタクトセンターにおけるAI活用は、これまで高額な初期投資が必要となるケースもありました。しかし、この連携により、企業はローコストでAIを活用しやすくなります。これにより、多くの企業がAI技術の恩恵を受け、業務効率化や顧客満足度向上に取り組むことが可能になります。
「CT-e1/SaaS」について
今回の連携のもう一方の主役である「CT-e1/SaaS」は、株式会社コムデザインが提供するクラウド型CTIサービスです。クラウド型であるため、自社で高額な設備を導入する必要がなく、月額サービスとして低コストで利用できるのが大きな特長です。また、機能の網羅性が高く、多様なニーズに対応できることに加え、導入企業ごとの柔軟なカスタマイズも可能です。これらの特長が評価され、累計1,825テナント、32,000席以上の企業に採用されています。
「CT-e1/SaaS」の詳細は、以下のURLで確認できます。
https://comdesign.co.jp/
CCP(Converged Communications Platform)コンセプトの発展
株式会社コムデザインは、プラットフォームコンセプトとして「CCP(Converged Communications Platform)」を掲げています。CCPとは、コンタクトセンターにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのテレフォニープラットフォームの概念です。
近年、コンタクトセンターでは、顧客とコミュニケーターの「会話」そのものをデータとして活用し、業務効率の向上や新たな価値の創出を目指す取り組みが注目されています。CCPは、この「音声データ」や「テキストデータ」を、テキストマイニング(文章から重要な情報を抽出する技術)や会話解析、会話自動要約といったソリューションに対して、柔軟かつ手軽に連携させることを可能にします。
今回の「CTBASE/AgentProSMART」との連携は、AIによる会話データ活用をさらに強化するものであり、CCPのコンセプトをより発展させるものと言えるでしょう。これにより、コンタクトセンターは高額な初期投資や運用負荷をかけることなく、コンタクトセンターDXを加速させることが期待されます。
まとめ:AIが拓くコンタクトセンターの未来
クラウド型CTI「CT-e1/SaaS」とNTTテクノクロスのCRM「CTBASE/AgentProSMART」の連携は、コンタクトセンターの未来を大きく変える可能性を秘めています。音声認識、生成AI、RPAといった最先端のAI技術を組み合わせることで、オペレーターの業務負担を劇的に軽減し、より効率的で質の高い顧客応対を実現します。
この連携により、コンタクトセンターは、長年の課題であった労働力不足の解消や、応対品質の平準化、そしてセンター全体の生産性向上といった目標達成に大きく近づくでしょう。また、手軽な導入とローコストでのAI活用は、多くの企業にとってデジタルトランスフォーメーションを推進する上で強力な後押しとなります。
AIの進化は目覚ましく、これからもコンタクトセンターの業務はさらに高度化し、顧客体験は向上していくと予想されます。今回の連携は、その未来に向けた重要な一歩であり、コンタクトセンター業界全体に大きな影響を与えることでしょう。顧客にとっても企業にとっても、より良いコミュニケーション環境が実現される未来に期待が高まります。

