テレビ局の映像資料活用を革新!NextorageとRecursiveが共同開発した人物検出AIシステムで検索工数を最大90%削減、制作現場のDXを推進
現代社会において、テレビ局が保有する映像資料は、その情報量と歴史的価値において計り知れない資産です。しかし、その膨大なアーカイブ映像の中から特定の人物が映っているシーンを探し出す作業は、これまで多くの時間と労力を要する大きな課題でした。この課題に対し、メモリー・ストレージ・ソリューション事業を展開するNextorage株式会社と、AIソリューション開発に強みを持つ株式会社Recursiveが共同で、画期的な「人物検出AIシステム」の開発に着手しました。このシステムは、映像検索工数を最大90%削減し、テレビ番組制作の現場に革新をもたらすことが期待されています。

なぜ今、テレビ局の映像資料活用が重要なのか?
テレビ業界は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せる中で、アーカイブ映像のより効果的かつ効率的な活用が求められています。テレビ局には、数十年にわたって蓄積されてきた番組素材やニュース映像など、膨大な量のアーカイブ映像が保管されています。これらは、過去の出来事を振り返るドキュメンタリーや、現在のニュースを深掘りする際に不可欠な貴重な資料です。しかし、これらの映像資産を十分に活用するには、いくつかの深刻な課題がありました。
膨大な映像からの検索、その困難さ
例えば、「特定の政治家が過去にどのような発言をしたか」「ある事件の現場に映っていた人物は誰か」といった情報を映像から探し出す場合を考えてみましょう。従来の検索方法は、手動で映像を視聴したり、限られたキーワードでメタデータを検索したりするしかありませんでした。この作業は非常に時間がかかり、熟練したスタッフであっても数時間から数日を要することが珍しくありません。結果として、必要な映像が見つからなかったり、検索に手間がかかりすぎて活用を断念せざるを得ないケースも発生していました。
AI導入の障壁:セキュリティとコスト
このような課題を解決するためにAIの導入が検討されてきましたが、ここにも大きな障壁が存在しました。AIシステムは大量のデータを扱うため、多くの場合、クラウド環境で運用されます。しかし、テレビ局が扱う映像資料には、肖像権や著作権、さらには報道倫理に関わる機密性の高い情報が含まれるため、外部のクラウドサーバーにデータを預けることに対するセキュリティ上の懸念が常にありました。また、AI、特に映像解析のような高度な処理を行うAIは、高性能なコンピューター資源(GPUなど)を大量に必要とするため、導入には高額な初期投資や運用コストがかかる点も、AI化を阻む要因となっていました。
NextorageとRecursiveの共同開発:オンプレミスAIで課題を解決
これらの課題に対し、NextorageとRecursiveは、それぞれの強みを活かした共同開発に着手しました。Nextorageは放送業界向けのストレージに関する豊富な知識と経験を持ち、Recursiveは高度なカスタムAI開発力を持っています。両社の専門知識を組み合わせることで、テレビ局が抱える固有の課題に対応できる、実用的なAIシステムの開発が可能になりました。
このシステム開発の基盤には、Nextorageの戦略的パートナーである台湾Phison Electronics Corp.(ファイソン・エレクトロニクス)のオンプレミスLLM学習ソリューション「aiDAPTIV+」(アイダプティブプラス)が採用されています。この技術の採用により、セキュリティ要件の厳しいテレビ局の環境でも、AIシステムを安全かつ効率的に運用できる見通しが立ちました。
人物検出AIシステムの仕組みと特長
今回開発される人物検出AIシステムは、利用者が検索したい人物名を入力するだけで、AIがアーカイブ映像を解析し、対象人物が映っているフレーム(映像の最小単位)を自動的に抽出して検索結果として提示します。これにより、これまで映像スタッフが複数のモニターを確認しながら膨大な時間をかけて行っていた検索作業が、劇的に効率化されます。

主な特長
1. オンプレミス環境での高セキュリティとコスト低減
このシステムの最大の特徴の一つは、テレビ局内の社内サーバーやシステム上でAIを構築・運用できる「オンプレミス環境」で完結することです。一般的にAIシステムはクラウド上で運用されることが多いですが、これはデータが外部のサーバーに保存されるため、特に機密性の高い情報を扱うテレビ局にとってはセキュリティ上の懸念がありました。また、クラウド利用には従量課金制のコストがかかり、利用が増えるほど費用も増大する傾向があります。
これに対し、オンプレミス環境とは、テレビ局自身の社内サーバーやシステム内でAIを構築・運用する方式です。これにより、データは外部に出ることなく、厳重なセキュリティ管理のもとで運用が可能になります。さらに、クラウド利用に伴うコストの変動リスクを抑え、安定した予算管理にもつながります。今回のシステムは、このオンプレミス環境で完結するため、テレビ局が抱えるセキュリティとコストの両方の課題を解決できる画期的なソリューションと言えるでしょう。
また、Phison社「aiDAPTIV+」の採用により、このオンプレミス環境での効率的な運用がさらに強化されます。AI、特に大規模な言語モデル(LLM)の学習には、非常に高性能なGPU(画像処理装置)と、そのGPUが一時的にデータを記憶するためのVRAM(ビデオメモリ)が大量に必要です。しかし、高性能なGPUや大容量のVRAMは非常に高価であり、導入コストが大きな課題となっていました。Phison社の「aiDAPTIV+」は、このGPUのVRAM不足を、一般的なシステムメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)で補完する技術です。これにより、高価なGPUを複数台用意したり、大容量VRAMを搭載した特殊なGPUを導入したりすることなく、既存の限られたリソースでもAIを効率的に運用することが可能になります。つまり、「aiDAPTIV+」の採用によって、オンプレミス環境でのAI導入コストを大幅に抑えながら、高い処理性能を維持できるという大きなメリットが生まれるのです。これは、これまでコスト面でAI導入に踏み切れなかった企業にとって、非常に魅力的な解決策となります。
2. 従来比約90%の工数削減
本AIシステムを導入することで、映像検索にかかる工数を最大で約90%削減できるとされています。これは、NVIDIA DGX構成と比較して、わずか2.5%のコストで同等の検索処理を実現するという驚くべき効率性です。例えば、これまで10時間かかっていた検索作業が1時間程度で完了するようになれば、その短縮された9時間は、他の重要な業務に充てることが可能になります。これにより、番組制作のリードタイム短縮や、より多くの映像素材を検討する余裕が生まれるなど、現場に大きな変化をもたらします。
3. 制作力の強化
映像検索工数が大幅に削減されることで、制作スタッフは単純な検索作業から解放され、番組の企画、編集、演出、ストーリーテリングといった、より戦略的かつクリエイティブな作業に集中できるようになります。これは、単なる作業効率の向上にとどまらず、コンテンツの質そのものを高めることにつながります。魅力的な番組は視聴者の満足度を高め、ひいてはテレビ局全体の競争力向上に貢献するでしょう。AIがルーティンワークを担うことで、人間のクリエイティビティが最大限に発揮される環境が整います。
「Inter BEE 2025」で初公開!デモンストレーションを体験しよう
この画期的な人物検出AIシステムは、2025年11月19日(水)から21日(金)に千葉・幕張メッセで開催されるメディア総合イベント「Inter BEE 2025」において、Nextorageの展示ブースでデモンストレーションが実施される予定です。実際にシステムが動作する様子や、その高い検索性能を目の当たりにできる貴重な機会となるでしょう。
「Inter BEE」は、放送、メディア、エンターテインメント業界の最先端技術が一堂に会する国内最大級のイベントです。この場で本システムが初公開されることは、業界内外からの大きな注目を集めること間違いありません。ご興味のある方は、ぜひ会場に足を運び、この新しいAI技術がもたらす可能性を直接体験してみてください。
展示会の概要
-
展示会名: Inter BEE 2025
-
会期: 2025年11月19日(水)~21日(金)
-
会場: 幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬2-1)
-
展示ブース: Nextorageブース(ホール 8、小間番号:8312)
-
入場料: 無料(ご来場には事前の登録が必要です。詳しくはInter BEE 2025公式サイトをご確認ください。)
-
デモ体験: 期間中、ブース内にて随時公開予定
今後の展望:放送業界を超えたDXへの貢献
NextorageとRecursiveは、今回のテレビ局向け人物検出AIシステムの共同開発を通じて得られたノウハウを、放送業界以外の様々な分野にも展開していく方針です。例えば、企業の研修ビデオや防犯カメラ映像、公共施設のアーカイブ映像など、大量の映像データから特定の人物や事象を効率的に検索・分析する必要がある分野は多岐にわたります。このような分野へのAI技術の応用は、社会全体のデジタル変革(DX)を加速させ、より持続可能な社会の実現に寄与することが期待されています。
AI技術は、単に作業を自動化するだけでなく、人々がより創造的な活動に集中できる環境を作り出す可能性を秘めています。今回の人物検出AIシステムは、その可能性を具体的に示す一例と言えるでしょう。
Nextorage株式会社について
Nextorage株式会社は、2019年10月1日に発足したメモリー・ストレージ・ソリューション事業に特化したメーカーです。ソニーで20年にわたりメモリーストレージ開発に携わってきた技術者とスタッフを中心に設立されました。同社はテクノロジーの未来に挑戦し、ストレージの新たな価値創造を目指しています。最高の性能と品質に徹底的にこだわり、「世界初」「世界No1」に挑み続けることを企業理念としています。
株式会社Recursiveについて
株式会社Recursiveは、AIソリューションを通じて企業や組織の事業変革を支援し、持続可能な未来の構築を目指すAI開発企業です。環境、エネルギー、医療、製薬、食品、小売など、多岐にわたる業界の知見と高度なAI技術、専門知識を組み合わせ、システム開発やコンサルテーション・サービスを提供しています。世界標準のテクノロジーを活用し、次世代のためにより良い地球環境と社会の実現をリードすることを目指しています。
まとめ
NextorageとRecursiveが共同開発する人物検出AIシステムは、テレビ局が長年抱えてきた映像資料活用の課題に対し、セキュリティと効率性の両面から画期的な解決策を提供します。オンプレミス環境での運用、最大90%の検索工数削減、そして制作現場のクリエイティブ向上といった多岐にわたるメリットは、テレビ業界のDXを強力に推進するでしょう。2025年11月の「Inter BEE 2025」でのデモンストレーションは、この革新的な技術を間近で体験できる絶好の機会です。今後の放送業界、そして社会全体のデジタル変革への貢献が期待されます。

