データセキュリティの新常識!ZenmuTechの「守らないセキュリティ」と秘密計算「QueryAhead®」を徹底解説 – 開発をリードする瀧本篤志氏のビジョン

データ活用の新時代へ:ZenmuTechが提案する「守らないセキュリティ」とは

現代社会において、データは私たちの生活やビジネスを支える重要な資産です。しかし、そのデータを安全に守ることは、常に大きな課題となっています。従来のデータ保護は「鍵をかける」ようにデータを暗号化し、情報漏洩を防ぐという考え方が主流でした。しかし、この方法には「鍵が解かれてしまうと、データがすべて漏洩するリスクがある」という根本的な弱点が存在します。

こうした従来のセキュリティの限界を打ち破り、データ活用の未来を切り拓いているのが、株式会社ZenmuTechです。同社は「データはもっと自由になれる」というビジョンを掲げ、「守らないセキュリティ」という画期的な概念でデータ保護ビジネスを展開しています。これは、データを「守る」という発想から解放され、そもそも「漏洩しない形」でデータを扱うという、まったく新しいアプローチです。

秘密分散技術の仕組み:データを無意味に分割する画期的なアプローチ

ZenmuTechが提唱する「守らないセキュリティ」の中核をなすのが「秘密分散技術」です。この技術は、データをそのままの形で暗号化するのではなく、まずデータを意味のない複数の断片に分割し、それぞれを異なる場所に分散して保存するというものです。

例えるなら、大切な書類を1枚の紙に書くのではなく、バラバラの文字や記号が書かれた複数の紙に分け、それらを別々の引き出しにしまうようなイメージです。それぞれの紙単体では、元の書類の内容を理解することはできません。ZenmuTechの秘密分散技術も同様に、分散された個々のファイルは、それだけではまったく意味を持たない無意味なデータとなります。

このため、たとえ一部のファイルが外部に持ち出されたとしても、それが元の情報として漏洩することはありません。これにより、「どこかに持っていかれても一切漏洩しない」という、従来のセキュリティでは考えられなかった「守らないセキュリティ」が実現できるのです。

秘密計算「QueryAhead®」の真価:データ活用を劇的に変える次世代技術

ZenmuTechが今、最も力を入れて研究開発を進めているのが「秘密計算」という技術です。秘密計算は、データを暗号化したり、秘密分散したりして「秘匿化」したまま、そのデータに対して計算処理を実行できる画期的な技術です。この技術によって、情報漏洩のリスクを完全にゼロにした上で、機密性の高いデータを分析・活用することが可能になります。

情報漏洩リスクなくデータ分析が可能に

これまで、企業が保有する顧客情報や医療データといった機密性の高いデータを分析する際には、情報漏洩のリスクが常に懸念されてきました。特に、専門的なデータ分析を外部の企業に委託する場合、データを外部に持ち出すこと自体が厳しく制限されることが多く、オンサイトでの作業やネットワーク接続が禁止される環境での作業を強いられることも珍しくありませんでした。これにより、分析作業の効率が著しく低下し、時間とコストが増大するという課題がありました。

しかし、秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」を活用すれば、この状況は一変します。データが秘匿化された状態のままで計算処理が行われるため、外部のクラウドサービス上であっても、データを一切復元することなく加工・分析ができます。これにより、データの復元ポイントが外部に存在しないため、安全なデータの持ち出しとその利活用が実現し、分析作業の大幅な効率化が期待できます。

「QueryAhead®」の具体的な機能とメリット

「QueryAhead®」は、クラウドや社内サーバーといった環境を選ばずに利用でき、安全なデータの受け渡し、加工、分析を可能にします。これまで活用が難しかった機密データも、積極的に利活用できるようになるため、ビジネスにおける新たな価値創造を後押しします。

さらに、この技術は暗号技術を基盤としていますが、利用者が暗号に関する専門知識を持っている必要はありません。Pythonの知識とデータ操作の一般的な知識があれば、すぐに「QueryAhead®」を使用できます。バックエンドでの秘密計算処理はすべて「QueryAhead®」が自動で実行するため、利用者は複雑な暗号理論を意識することなく、安全なデータ分析に集中できるのです。

オフィスまたは会議室で、スーツを着た男性が対話やプレゼンテーションをしている様子

世界へ羽ばたく「QueryAhead®」:TechCrunch Disrupt 2025へ4年連続出展

ZenmuTechは、「QueryAhead®」のグローバル展開にも積極的に取り組んでいます。特に、AIや機械学習を駆使したデータ利活用が進む北米市場では、プライバシー保護技術(PETs)に対する期待が高まっており、秘密計算技術の具体的な活用シーンが次々と生まれています。

同社は2022年に米国サンノゼに事業開発拠点を設立し、以来、北米におけるネットワーク構築と事業機会の創出に注力してきました。その成果の一つとして、世界最大級のスタートアップイベントである「TechCrunch Disrupt」への出展が挙げられます。2025年に米国サンフランシスコで開催された「TechCrunch Disrupt 2025」には、「QueryAhead®」を展示し、大きな注目を集めました。

これは、2022年にJETRO(日本貿易振興機構)の支援を受けて初めて出展して以来、2023年からは毎年単独で出展を重ね、今回で4回目の出展となる実績です。この継続的な出展は、ZenmuTechの技術が世界市場で高く評価されている証と言えるでしょう。

日本のサイバー防衛を強化:国産秘密分散技術「ZENMU-AONT」の貢献

ZenmuTechは、国内におけるサイバー防衛力の強化にも貢献しています。2025年12月9日に設立された「日本サイバーセキュリティ産業振興コミュニティ(NCPC)」に一般会員として参画し、官民連携の強化や知見・技術の共有を通じて、日本のサイバー防衛力および産業競争力の強化を目指しています。

同社は、自社開発の国産技術である秘密分散「ZENMU-AONT」を軸に、国内のセキュリティ関連企業との協力を推進しています。これにより、日本の重要なインフラやデータが、サイバー攻撃の脅威からより強固に守られることが期待されます。

数学と工学の融合:瀧本篤志氏が描くデータセキュリティの未来

ZenmuTechの秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」の開発をリードするのが、エンジニアの瀧本篤志氏です。彼のキャリアは、数学と工学の知識を融合させ、未来のセキュリティ基盤を構築するまでの軌跡を示しています。

データサイエンスから秘密計算へ

瀧本氏は、幼少期から自然科学や数学に深い興味を持ち、大学では数学を専攻しました。新卒でデータサイエンスブームの黎明期にデータ分析コンサルティング会社に入社し、その後は外資系金融機関でデリバティブ商品の数理モデル開発やリスク分析に携わるなど、常に数学的バックグラウンドを活かせる場所でキャリアを築いてきました。

転機となったのは、「より技術的な仕事がしたい」という思いから転職を考えた時です。求人情報で「秘密計算」という珍しいワードに目が留まり、自身の数学的知識が活かせると感じてZenmuTechに入社しました。

「QueryAhead®」開発の舞台裏:NumPyフレームワークの誕生

ZenmuTechに入社後、瀧本氏が直面したのは、当時の「QueryAhead®」の設計思想と、機械学習のニーズとの間に存在するギャップでした。当時の「QueryAhead®」はデータベースへのSQLクエリを前提としたプログラミングスタイルでしたが、行列演算が主体となる機械学習の実装には使いにくいという課題がありました。

この課題を解決するため、瀧本氏は自らNumPyに似た独自のフレームワークを構築・実装しました。この工夫は後に他のお客様から「欲しかったものだった」と高く評価されることになります。この経験を通じて、瀧本氏の仕事への動機は「純粋に楽しいからやっていた」数学から、「お客様の役に立つものを作りたい」という明確な目標へと変化しました。

研究開発をリードするZenmuTechの使命

瀧本氏がZenmuTechで目指すのは、セキュリティ企業として研究開発の領域でリードを確立することです。製品の安全性を最終的に保証する責任は開発者である企業にあり、自社でその安全性を数学的に証明できる能力が不可欠だと考えています。

この能力を獲得するため、瀧本氏は会社の業務の一環として大学院の博士課程へ進学し、セキュリティにとって不可欠な最先端の量子情報理論を研究しています。これは、理論と実践を融合させ、真に自信を持って製品を世に出すための重要な取り組みです。

また、趣味で取り組んでいたCTF(ハッキングコンテスト)の経験も、製品の品質向上に役立っています。攻撃者側の視点を持つことで、「もしかしてこういう穴があるんじゃないかと気づけたりする」と語り、より堅牢なセキュリティ製品の開発に貢献しています。

SAJが繋ぐ知の交流:イノベーションを生むコミュニティへの期待

ZenmuTechが会員企業である一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)は、800社以上のIT企業が集まるソフトウェア業界の一大コミュニティです。瀧本氏は、SAJという場に他社の技術者や研究者との交流から、新しい開発やコラボレーションが生まれる可能性を感じています。

「もしかしたら他の企業の技術者とかとの交流とか、あるいはそれから新しい開発とかもあり得るのかなと」と瀧本氏は語り、知の交流がイノベーションの源泉となることへの期待を示しています。

瀧本氏が目指すのは、ZenmuTechがセキュリティの基礎理論とその応用において、最先端で活躍できる体制を築くことです。SAJという広範なコミュニティを通じて、知の交流を深め、異業種のエンジニアや研究者と連携することで、ZenmuTech、そして日本社会のデータセキュリティの未来はさらに大きく拓かれることでしょう。

瀧本氏の新たな挑戦は、SAJの会員企業のみならずIT業界全体にとって、技術が社会に貢献する無限の可能性を示す、刺激的なモデルとなるに違いありません。

【プロフィール】

瀧本篤志(たきもとあつし)株式会社ZenmuTech 秘密計算エンジニア

2022年11月入社。大学で数学を専攻し、博士課程まで進みます。新卒でデータサイエンティスト、その後金融機関でクオンツとして数理モデル開発に従事したキャリアを持つ。現在は、同社の秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」の開発をリード。業務の一環として大学院の博士課程に在籍し、量子情報理論の研究を行っています。数学的な視点から、データを秘匿化したまま活用する次世代セキュリティ技術の開発を推進しています。

瀧本氏の軌跡とビジョンの詳細については、以下の記事でご覧いただけます。
https://www.saj.or.jp/40th_branding/heroes_zenmutech

【一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)】

一般社団法人ソフトウェア協会(略称:SAJ)は、ソフトウェアに関わるあらゆる企業、団体、個人を繋ぎ、デジタル社会の実現を推進する業界団体です。800社以上が加入し、創立40周年を迎えました。これからもソフトウェアの未来を創造し、国内外のデジタル化推進に貢献してまいります。

SAJへの入会に関するお問い合わせや詳細は、以下のページよりご連絡ください。
https://www.saj.or.jp/contact/

【関連リンク】

まとめ:安全なデータ活用が拓く社会の可能性

ZenmuTechが提供する「守らないセキュリティ」と秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」は、従来のセキュリティ概念を大きく覆し、データ活用の新たな可能性を拓く画期的な技術です。情報漏洩のリスクをゼロにしながら、機密性の高いデータを自由に、そして効率的に分析・活用できる未来は、私たちの社会に計り知れない恩恵をもたらすでしょう。

瀧本篤志氏のような数学と工学を融合させる研究開発者の存在、そしてSAJのようなコミュニティでの知の交流が、このような革新的な技術の発展を加速させています。ZenmuTechの挑戦は、安全なデータ活用が当たり前になる未来を私たちにもたらし、より豊かでスマートな社会の実現に貢献していくに違いありません。

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