AIがビジネスアイデアを生み出す!ストックマークと産総研グループが挑む「共創プロジェクト」とは
近年、AI(人工知能)の進化は目覚ましく、私たちの生活やビジネスに大きな変化をもたらしています。特に、ChatGPTに代表される生成AIは、文章作成や情報検索だけでなく、より高度な知的活動への応用が期待されています。
そんな中、国産生成AI基盤の開発とビジネス向け生成AIサービスを提供するストックマーク株式会社と、日本の科学技術を牽引する産総研グループ(国立研究開発法人 産業技術総合研究所および株式会社AIST Solutions)が、ビジネスにおける「アイデア発想」をAIが行う画期的な技術の確立に向けて、連携を強化する「共創プロジェクト」を始動しました。このプロジェクトは、大量かつ高度な知識を持つ人間でなければ生み出せなかったような新しいアイデアを、AIが自律的に発想する「自律型アイデア発想AIエージェント」の開発を目指しています。
AIがビジネスの未来をどう変えるのか、そしてこの「共創プロジェクト」がどのような目標を掲げ、どのような技術を開発していくのか、AI初心者の方にも分かりやすい言葉で詳しくご紹介します。

「共同研究」から「共創プロジェクト」への進化
ストックマーク株式会社と産総研グループはこれまでも共同研究を進め、多くの研究成果を上げてきました。著名な学会での発表や国際的なイベントでの活動を通じて、この分野をリードする実績を重ねています。
今回の発表では、これまでの「共同研究」の枠組みを拡大し、2025年度から産総研グループが新たに始めた「共創プロジェクト」へと移行することが決定されました。2026年4月からは、「ストックマーク-産総研 大規模言語モデルによる知的創造技術共創プロジェクト」として、さらに連携を深めていくことになります。
この「共創プロジェクト」への進化は、単なる研究の継続ではなく、オープンイノベーション(組織の壁を越えて知識や技術を組み合わせ、新しい価値を創造すること)を加速させ、社会への実装をより強く意識した取り組みへと発展したことを意味します。両者は、協力して社会に役立つ技術を形にしていくことを目指しています。
「自律型アイデア発想AIエージェント」の研究開発に注力
本プロジェクトの核となるのは、人間のように自律的にアイデアを発想できるAIエージェントの開発です。生成AIは、すでに知識の探索や文章作成で活用されていますが、今後はさらに進んで「アイデア発想」や「知的創造」といった、より高度な人間の創造的活動への応用が期待されています。
このプロジェクトでは、ストックマークの持つ生成AI技術と、産総研グループの研究リソースや専門知識を戦略的に組み合わせ、新しいLLM(大規模言語モデル:大量のテキストデータを学習し、人間のような自然な文章を生成したり理解したりできるAI)の開発を進めます。これにより、ビジネスにおける新たな先行事例を生み出すことを目指しています。
実現性の高いビジネスプランを導く「マルチAIエージェント技術」
ストックマークと産総研グループの共同研究は、当初の「文書要約」というテーマから進化し、現在は実際のビジネスシーンで役立つ厳密なビジネスプランを策定できる「AIエージェント」の開発に注力しています。
この研究の大きな特徴は、「マルチAIエージェント技術」という最先端の生成AI技術を活用している点です。これは、単に自由な発想をするだけでなく、企業の持つ技術(シーズ)の特徴や提案の背景などを前提条件として設定し、複数のAIエージェントがまるで人間のように議論を重ねることで、より具体的なアイデアを導き出す仕組みです。
ビジネスにおける意思決定では、単に斬新なアイデアをたくさん並べるだけでは不十分です。そのアイデアが、企業の戦略や市場の状況に照らして「実際に実行する価値があるか」という厳密な評価が不可欠になります。
このプロジェクトでは、独創的なアイデアを生み出す役割を担う「発想エージェント」と、そのアイデアの論理的な整合性や市場での妥当性を検証する役割を担う「評価エージェント」の二つのAIエージェントが連携することを重視しています。この両輪が揃うことで、複雑なビジネス環境の厳しい要求水準にも耐えうるAIエージェントが実現すると考えられています。
ストックマークと産総研グループは、この新しい「共創プロジェクト」を通じて、「発想」と「評価」のプロセスをAIが自律的に繰り返すことで、人間による修正やブラッシュアップを最小限に抑えながら、高い実現性を持つビジネスプランを導き出す「自律型アイデア発想AIエージェント」の確立を目指します。
▶︎関連情報:
ストックマークと産総研グループが新たな共同研究で次のステージへ 実現性の高いビジネスプランを策定する自律型アイデア発想AIエージェントを研究: https://stockmark.co.jp/news/20250307
これまでのストックマークと産総研グループの取り組みの実績
ストックマークと産総研グループは、ビジネスプランを導き出すLLMの確立に向けて、着実に実績を積み上げてきました。その道のりは、「情報の要約」から始まり、最終的に自律的に思考し、最新のビジネス環境に適応する「AIエージェント」という、より高度な社会実装へと発展してきました。具体的な取り組みを時系列で見ていきましょう。
2023年:情報の深掘りを可能にする「QA自動生成技術」の確立
共同研究の初期段階では、ビジネス文書から高精度な質問(設問)と回答を自動的に生成する技術に注目しました。この技術は、AIが単に文章を読むだけでなく、その内容を深く理解し、重要な示唆を抽出するための基礎を築きました。この成果は、日本の「情報処理学会自然言語処理研究会」や国際会議「PACLIC 2023」で発表され、学術的な評価も得ています。
2023年:国内屈指のビジネス特化型LLM「Stockmark-13b」の開発
同年、両者は国内のビジネス領域に特化した独自の大規模言語モデル(LLM)「Stockmark-13b」を共同で開発しました。この成果は「言語処理学会第30回年次大会」で公開されました。一般的なAIでは難しかった「日本のビジネス文脈」を正確に理解できる、画期的な成果となりました。これにより、日本の企業文化や商習慣に合わせた、より精度の高い情報処理が可能になります。
2024年:鮮度の高い知識を維持する「継続学習」の実現
AIがビジネスの現場で役立つためには、常に最新の情報を学習し続けることが重要です。そこで、刻一刻と変化する経済情勢をLLMに反映させるため、ニュースデータを用いた継続学習による知識アップデート手法が研究されました。この成果は国際会議「PACLIC 2024」に採択されています。この「常に最新の知識を持つ」という特性こそが、現在のAIエージェント開発における非常に重要なコア技術となっています。
2025年:多角的な議論を通じた「マルチAIエージェント技術」の確立と高度化
2025年には、複数のAIエージェントが議論を重ねることでアイデアを導き出す「マルチAIエージェント技術」が確立されました。この成果は国際会議「SIGDIAL 2025」に採択されています。この技術では、物理学者や心理学者など、多様な専門領域の「ペルソナ(特定の役割や性格を持たせたAI)」を持つエージェント同士が、相互にアイデアを批評し、改訂を繰り返すフレームワークを採用しています。これにより、一つの視点に偏るバイアスを排除し、より厳密性の高いビジネスプランの策定が可能になりました。
これらの段階的なプロセスを経て、ストックマークと産総研グループは「情報の要約」という初期の枠組みを超え、自律的に思考し、最新のビジネス環境に適応する「AIエージェント」という、より高度な社会実装のフェーズへと到達しました。今回の「共創プロジェクト」始動により、これらの知見を結集させ、AIエージェントによるビジネス変革をさらに加速させていくことが期待されます。
今後の展望:イノベーション創出を加速するAIエージェント
「共創プロジェクト」を通じて、ストックマークと産総研グループは、発想と評価を自律的に繰り返すマルチエージェント構成の研究をさらに加速させます。これにより、企業の持つ独自の技術や市場環境に即した、実現性の高いビジネスプランを導き出す「AIエージェント技術」の確立を目指します。
このプロジェクトで得られた最先端の知見は、ストックマークが提供するプロダクトである「SAT」へと速やかに実装される予定です。「SAT」は、顧客企業の技術シーズ(独自の技術やアイデア)を起点とした戦略立案や新規事業創出を強力に支援するツールであり、AIエージェントの能力が加わることで、その価値はさらに高まるでしょう。
産総研グループの持つ強固な学術コミュニティを活用し、学術的な成果は国内外の主要学会で積極的に発表されます。さらに、ワークショップの開催やShared Task(共通の課題を設定し、複数の研究チームが解決策を競い合う形式の研究活動)の実施などを通じて、AIエージェント研究に関するオープンなコミュニティを形成し、この分野の議論をリードしていく計画です。
ストックマークと産総研グループは、「自律型アイデア発想AIエージェント」の幅広い産業分野への多角的な社会実装を加速させることで、日本全体のイノベーション創出スピードを引き上げていくことを目指しています。
ストックマークのソリューションについて
AIの活用は、企業が競争力を維持し成長していくために不可欠な要素となっています。しかし、多くの企業が「データが整備されていない」「現場への定着が進まない」「具体的な成果に繋がらない」といった課題に直面しています。ストックマークは、このような企業の課題を包括的に解決するため、以下の6つのソリューションを提供しています。

- データ/ナレッジマネジメント:社内外のあらゆる情報を「AIが使える資産」に変え、知識の再利用と伝承を支援します。
- 戦略/意思決定支援:複雑なデータを解き明かし、経営の「解像度」を上げ、戦略的な意思決定を支援します。
- 専門業務自動化:汎用AIでは難しい専門業務プロセスを深く理解し、高度に自動化します。
- システム内製化/受託開発:ノウハウを移転しながら、特定ベンダーに依存しない最適なシステムを共同開発し、「自社の力」となるAIを共に創ります。
- 新価値創出:技術シーズと市場ニーズのデータを解析し、科学的アプローチで「売れる」アイデアを生み出します。
- 人材育成/カルチャー変革:自律的なAI活用人材を育成し、データに基づく人的リソースの最適配置を支援することで、AIを使う「人」と「組織」をアップデートします。
これらのソリューションを通じて、企業がAIを効果的に活用し、ビジネス変革を実現できるよう多角的にサポートしています。
ストックマーク株式会社について
ストックマーク株式会社は、「価値創造の仕組みを再発明し、人類を前進させる」をミッションに掲げ、最先端の生成AI技術を活用して、多くの企業の企業変革を支援している企業です。
製造業向けAIエージェント「Aconnect」や、あらゆるデータを構造化し企業の資産に変える「SAT」といったプロダクトを運営しています。さらに、企業に特化した生成AIの開発や、独自のシステム構築も支援しており、企業のAI活用を全面的にサポートしています。
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会社名:ストックマーク株式会社
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所在地:東京都港区南青山一丁目12番3号 LIFORK MINAMI AOYAMA S209
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設立:2016年11月15日
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代表者:代表取締役CEO 林 達
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事業内容:最先端の生成AI技術を活用した、企業のナレッジマネジメント・生成AIの業務適用を支援するサービスの開発・運営
まとめ
ストックマーク株式会社と産総研グループによる「共創プロジェクト」は、AIが単なる情報処理ツールから、ビジネスの新たな価値を創造するパートナーへと進化する可能性を示しています。特に「自律型アイデア発想AIエージェント」の開発は、企業の新規事業創出や戦略立案において、これまでにない革新をもたらすでしょう。
複数のAIエージェントが議論を重ね、発想と評価を繰り返す「マルチAIエージェント技術」は、人間が気づかないような多角的な視点から、実現性の高いビジネスアイデアを導き出すことが期待されます。これにより、企業のイノベーション創出が加速し、日本全体の経済活性化にも貢献するでしょう。
AI初心者の方も、このプロジェクトの進展に注目することで、未来のビジネスシーンがどのように変化していくのかを理解するきっかけになるはずです。AIが自律的にアイデアを生み出す時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。

