ブレインパッドが「衛星データ×AI検索」の未来を拓く!Orbital Senseの有望ユースケース3選と新機能でビジネスを効率化
近年、AI(人工知能)技術の進化は目覚ましく、私たちの生活やビジネスに大きな変化をもたらしています。特に、広大な地球の情報を捉える「衛星データ」と、複雑な情報を解析する「AI」を組み合わせることで、これまで不可能だった新たな価値創造が期待されています。この最先端分野において、株式会社ブレインパッドは、衛星画像データとマルチモーダルAIを活用した地理空間検索技術「Orbital Sense(オービタル・センス)」の新たな展開を発表しました。
ブレインパッドは、Orbital Senseのサイトにて「AI検索×地理空間データ」の有望なユースケース3選を公開。さらに、より詳細な分析を可能にする新機能「地理空間ディープリサーチ機能」の開発を開始したことを発表しています。これらの取り組みは、AI初心者の方にも「衛星データとAIがどのように役立つのか」を具体的にイメージしてもらえる、画期的な内容です。

なぜ今、「衛星データ×AI検索」が注目されるのか?
「衛星データ」と「AI検索」の組み合わせがなぜこれほど注目されているのでしょうか。その背景には、大きく分けて二つの理由があります。
宇宙×AI分野への関心の高まり
まず、政府レベルで「宇宙」と「AI」への関心が高まっています。2025年10月24日、高市首相は所信表明演説の中で、戦略分野の一つとして「宇宙」を挙げました。また、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指すと発言し、政府として大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成などの多角的な総合支援を行う方針を明らかにしています。
参考:首相官邸「第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説」
すでに衛星データを用いたサービス提供の重要性は指摘されていましたが、政府の方針により、宇宙技術とAIを組み合わせたイノベーション創出への期待が、さらに高まっていると言えるでしょう。
参考:経済産業省 製造産業局 宇宙産業課「宇宙産業における今後の取組の方向性について」
生成AI×地理空間データは諸外国が先行
次に、日本における衛星画像データの活用状況が挙げられます。現在、日本では生成AI(Generative AI)を組み合わせた具体的な活用方法を多くの企業が模索している段階です。これは、生成AIの企業への導入率が米国や中国などと比較して緩やかなペースであるという、日本特有の事情も関係しています。
一方で、世界に目を向けると、災害対応、物流ルート最適化、都市の成長予測など、さまざまな分野で生成AIと地理空間データを組み合わせた先進的なユースケースが急速に拡大しており、市場規模も大きく成長しています。
参考:地理空間分析市場レポート:コンポーネント、タイプ、技術、企業規模、展開モード、業界別、地域別、2025年~2033年
ブレインパッドは、このグローバルな潮流を捉え、日本においても具体的な活用例を提示することで、宇宙サービスの発展を加速させることが喫緊の課題であると考えています。今回のユースケース公開は、この課題を解決するための一歩となるでしょう。
「Orbital Sense」とは?AI初心者にも分かりやすい「あいまい検索」技術
「Orbital Sense(オービタル・センス)」は、膨大な衛星画像の中から、私たちが普段使うような「あいまいな指示」でもAIが意図を推測して、求めている地域を提示してくれる画期的な技術です。
たとえば、「緑が多くて住みやすそうなエリアはどこ?」といった漠然とした問いに対しても、AIが衛星画像を解析し、適切な場所を教えてくれるのです。これは、従来の地理情報システムでは難しかった「雰囲気」や「感覚」といった非構造的な情報を、AIが理解し、検索できるようになったことを意味します。
この技術の根幹にあるのが「マルチモーダルAI」です。マルチモーダルAIとは、異なる形式のデータを統合的に処理できる生成AIのことです。画像、音、テキストなど、複数の形式のデータの特徴を関連づけて学習し、より統合的な情報処理を行います。Orbital Senseでは、このマルチモーダルAIを用いて、テキストや数値で構成された「施設名」や「敷地面積」といった構造的な地理情報と、衛星画像という非構造データを組み合わせて分析しています。
これにより、従来の地理情報だけでは得られなかった「建物の雰囲気」や「エリアの住みやすさ」といった、より人間的な感覚に近い情報を検索・提示することが可能になります。
Orbital Senseの詳細はこちら:Orbital Sense

【必見】ブレインパッドが公開した「衛星データ×AI検索」有望ユースケース3選
ブレインパッドが今回公開したユースケースは、先行するOrbital Senseの利用履歴や顧客ヒアリングの結果から、ニーズが高く、かつ手作業では多くの工数がかかる作業であり、AIを活用することで大きなインパクトが期待できると考えられたものです。AI初心者の方も、これらの事例を通じて、衛星データとAIがどのようにビジネスや社会課題の解決に貢献するのかを具体的に理解できるでしょう。
ユースケース1:運転するうえで危険が生じうるヒヤリハット地点の検出
皆さんは運転中に「ヒヤリ」とした経験はありませんか?このユースケースでは、衛星画像と地理空間データを活用し、AIが道路の形状、周辺の建物、視界の悪さなどの要素を解析します。これにより、過去にヒヤリハットが発生した可能性がある地点や、将来的に危険が生じうる交差点や区間を自動で抽出し、地図上に可視化します。

この技術は、自治体や交通インフラを管理する企業にとって非常に有用です。インフラ整備の優先順位付けを行ったり、運転者に対して注意喚起を促したりすることで、交通事故の削減に貢献することが期待されます。ただし、最終的な判断は現地確認に基づいて行う必要があります。
ユースケース2:再生可能エネルギー発電(太陽光や風力)用の大規模用地の探索
地球温暖化対策として、再生可能エネルギーの導入が世界中で加速しています。しかし、大規模な太陽光発電所や風力発電所を建設するには、広大な土地が必要であり、その候補地を探す作業は非常に時間と手間がかかります。
このユースケースでは、自然言語による大まかな検索(例:「広くて平坦な土地」)で、大規模発電に適し得る連続した平坦な地表を持つ地点の候補を抽出します。さらに、日射量、風の状況、標高や傾斜、方位、送電網からの距離、そして土地利用規制といった、さまざまな構造化データをAIが重ね合わせて分析します。

これにより、単に広いだけでなく、発電効率が高く、法的にも問題のない最適な候補地を自動で選定し、リスト化することが可能になります。これは、開発にかかるリードタイム(準備期間)とコストの大幅な削減に寄与し、再生可能エネルギーの普及を加速させる強力なツールとなるでしょう。
ユースケース3:施設情報などの構造データとの組み合わせによる、公共施設近くの駐車場用地リストの探索
病院、学校、役場などの公共施設は、多くの人が利用するため、十分な駐車場スペースが求められます。しかし、既存の施設周辺で新たな駐車場用地を探すのは、非常に困難な作業です。
このユースケースでは、公共施設の正確な位置情報と、衛星画像から得られる「まだ使われていない土地」の情報や「地表面の状況」をマルチモーダルAIで組み合わせて分析します。そして、これらの施設への近接度合いで土地を絞り込み、将来的に駐車場開発に適した土地をリストアップします。

これにより、自治体や開発業者は、効率的な都市計画を立てたり、利用者の利便性を向上させたりするための最適な土地を迅速に見つけ出すことができます。このユースケースは、後述する新機能「地理空間ディープリサーチ機能」によって実現可能となる予定で、2026年初頭に開発完了が見込まれています。
新機能「地理空間ディープリサーチ機能」で何が変わる?
ブレインパッドが開発を開始した「地理空間ディープリサーチ機能」は、Orbital Senseの既存機能である「あいまい検索」をさらに進化させるものです。従来のあいまい検索で抽出した衛星画像データに対して、施設情報や土地利用規制といった「構造化データ」(整理された情報)を重層的にかけ合わせることが可能になります。
これは、たとえるなら、大まかな地図で場所を見つけた後、その場所に建物の種類、高さ、所有者、法規制などの詳細な情報を何枚もの透明なシートのように重ねて、より深く、より詳細に分析できるようになるイメージです。これにより、これまで以上に複雑な条件での絞り込みや分析が可能となり、ビジネスにおける意思決定の精度が飛躍的に向上することが期待されます。
この機能の開発は、マルチモーダルAIでの分析ニーズがさらに高まっていることへの対応であり、ブレインパッドは「Orbital Sense」の提供を通じて、宇宙×AI分野のイノベーション創出に一層注力していくとのことです。
まとめ:宇宙×AIが拓く新たなビジネスの可能性
株式会社ブレインパッドが公開した「衛星データ×AI検索」の有望ユースケース3選と、新機能「地理空間ディープリサーチ機能」の開発開始は、AIと地理空間データがもたらす未来の可能性を具体的に示しています。
ブレインパッドのアナリティクスコンサルティングユニット 統括ディレクターである押川幹樹氏は、衛星画像データのビジネス活用において、位置や地形といった空間配置の情報と、その上を動く人々の動態情報を組み合わせるなど、異なる情報レイヤーのデータをいかに組み合わせるかが重要であると述べています。

今回のユースケース公開は、多くの企業にとって具体的な活用アイデアを創出する一助となることでしょう。そして、構造化データと連携した「地理空間ディープリサーチ機能」の開発が進むことで、さらに高度なマルチモーダル分析が可能になり、これまで見えなかったビジネスチャンスや社会課題解決の糸口が見つかるかもしれません。
ブレインパッドの「Orbital Sense」は、宇宙とAIの融合がもたらす新たな価値創造の最前線を進んでおり、今後の展開から目が離せません。AI初心者の方も、この技術が私たちの社会やビジネスをどのように変えていくのか、ぜひ注目してみてください。
ご参考情報
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Orbital Sense(オービタル・センス)について
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膨大な衛星画像の中から、あいまいな指示でもAIが意図を類推して地域を提示する、衛星画像の「あいまい検索」技術です。
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株式会社ブレインパッドについて
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2004年創業のデータ/AI活用のリーディングカンパニーです。企業のデータ活用を支援し、金融・小売・メーカー・サービスなど幅広い業種で1,400社を超える実績を持っています。
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