リコー、独自AIと360度映像で「DX注目企業2026」に選定!未来の働き方への貢献

株式会社リコーが、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(以下、DX銘柄)2026」において、「DX注目企業2026」に選定されたことが発表されました。この選定は、リコーが独自に開発した大規模言語モデル(LLM)や360度4K映像配信システムなどを活用し、新規事業の創出と既存事業の高度化を同時に推進している点が特に高く評価された結果です。
本記事では、リコーがどのようにデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、未来の「はたらく」を創造しようとしているのか、AI初心者の方にも分かりやすい言葉で詳しく解説していきます。
DX銘柄とは?なぜリコーが「注目企業」に選ばれたのか
まず、「DX銘柄」とは何かを簡単に説明します。これは、デジタル技術を前提として、ビジネスモデルや組織、企業文化などを根本から変革し、新たな成長や競争力の強化につなげている企業を選定する制度です。経済産業省と東京証券取引所が毎年共同で選定しており、日本企業のDX推進を後押しすることを目的としています。
「DX注目企業」は、その中でも特に企業価値向上への貢献度が高いと見なされる、注目すべき取り組みを実施している企業が選ばれます。リコーが今回この「DX注目企業2026」に選定されたのは、以下のような多岐にわたる取り組みが評価されたためです。
リコーが評価された主要なポイント
- 明確な経営ビジョンとデジタルサービス会社への変革: リコーは、創業90周年を迎えるにあたり、「“はたらく”に歓びを」という企業理念のもと、デジタルサービスを核とする会社へと大きく変革するビジョンを掲げています。この明確な方向性が評価されました。
- 事業モデル・組織・技術基盤の三位一体での高度化: デジタル変革を単なる技術導入に留めず、ビジネスのやり方、組織のあり方、そしてそれを支える技術基盤を一体として進化させている点が評価されています。
-
独自LLM(GENIAC採択)や360度4K映像配信システムといった具体的な技術実装: 具体的な技術開発と社会実装が評価の大きなポイントとなりました。特に、日本の企業文書に特化した独自LLMの開発や、遠隔地から現場の臨場感をリアルに伝える360度4K映像配信システム「RICOH Remote Field」の導入は、その先進性が認められています。
- GENIAC(ジーニアック/Generative AI Accelerator Challenge) とは:経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する、国内の生成AI開発力強化プロジェクトです。リコーは第2期、第3期と2期連続で採択されており、その技術力の高さがうかがえます。
- 新規事業創出と既存事業高度化の両立: デジタル技術を用いて、これまでになかった新しいサービスやビジネスを生み出すだけでなく、長年培ってきた既存の事業もより効率的で価値の高いものへと進化させている点が評価されました。この両面での成果が注目されています。
- 人材育成をESG目標に組み込み: 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点から企業価値を評価するESG経営において、DX推進に不可欠な人材の育成を重要な目標として位置づけている点が評価されています。
- ステークホルダーとの対話を重視する姿勢: 統合報告書やIR資料などを通じて、DXの取り組み状況を継続的に開示し、投資家や顧客、従業員などの関係者(ステークホルダー)とのコミュニケーションを積極的に行っていることも、信頼性の向上と持続的な企業価値の創出に貢献していると評価されました。
これらの多角的な視点からの評価により、リコーは日本のDX推進を牽引する企業として「DX注目企業2026」に選定されたのです。
リコーグループのDX推進戦略:目指すはグローバル随一のインテグレーター
リコーは、創業90周年を機に、「“はたらく”に歓びを」という企業理念の実現に向け、デジタルサービスの会社として進化を続けています。その最終的な目標は、お客様の働く場(ワークプレイス)において、自社だけでなく他社の製品やサービス、ソフトウェアを最適に組み合わせ、お客様の競争優位性や差別化に貢献する、グローバルで最も優れたインテグレーターとなることです。
インテグレーターとは、様々な技術やサービスを組み合わせて、顧客の課題を解決するシステムやソリューションを提供する企業のことを指します。リコーは、自社の強みである画像処理技術やAI技術を核に、幅広いデジタルサービスを提供することで、この目標達成を目指しています。
リコーのAI技術と新規事業創出・既存事業高度化
リコーのDX推進の中核を担っているのが、長年培ってきた画像AI・言語AI技術です。これらの技術を基盤として、独自のAIモデルを開発し、新たな事業を創出するとともに、既存事業の価値を高めています。
独自のプライベートLLMとAIインテグレーション事業
リコーは、独自のプライベート大規模言語モデル(LLM)や、GENIACに採択された大規模マルチモーダルモデル(LMM)を開発しています。LLMは文章を理解・生成するAI、LMMはテキストだけでなく画像や音声など複数の種類のデータを扱うことができるAIです。
これらのAIを核として、リコーは「AIインテグレーション事業」を展開しています。この事業では、企業内に眠る「暗黙知(経験や勘に基づく、言葉にしにくい知識)」や「非構造化データ(定型化されていない文書や画像データなど)」を、AIの力で価値ある資産へと変えていきます。具体的には、データの生成から収集、そして活用までのプロセス全体を支えるAI技術基盤を提供することで、お客様のワークフロー(業務の流れ)の自動化や、データに基づいた意思決定(データドリブンな意思決定)を強力に後押ししています。
社内実践から顧客への知見提供
リコーは、自社内でもAIによる業務変革を積極的に推進しています。例えば、約5,000人もの社員がAIアプリ開発ツール「Dify」を活用し、業務効率化や新たなアイデア創出に取り組んでいます。このような社内での実践を通じて得られた貴重な知見やノウハウは、そのままお客様へのソリューション提供に活かされています。自社で効果を実感したからこそ、自信を持って顧客に提案できるという強みがあります。
リコーのAIに関する詳細はこちらをご覧ください。
リコーのAI
技術サイト:“はたらく”を支えるリコーの大規模言語モデル(LLM)
リコーのAI市民開発が本格化、ノーコード生成AIツール「Dify」の社内実践と展開
「RICOH Remote Field」による現場のDX
リコーのDXは、AI技術だけに留まりません。複合機で培ってきた光学・画像処理技術と、テレビ会議システムなどで培った通信技術を応用し、現場の働き方を大きく変革する「RICOH Remote Field」を提供しています。これは、自社デバイスである360度カメラ「RICOH THETA」で撮影した4K高画質の360度映像を、遠隔地へリアルタイムで双方向配信するシステムです。まるで現場にいるかのような臨場感を遠隔地から体感できることで、様々な分野の課題解決に貢献しています。
「RICOH Remote Field」の活用事例
「RICOH Remote Field」は、特に製造、建設、医療といった多様な分野で活用が広がっています。労働人口の減少が進む現代において、限られた人材で効率的に現場業務を運営する必要性が高まっており、このシステムがその解決策の一つとして期待されています。
-
製造ラインにおけるリモート点検: 遠隔地から製造ラインの状況をリアルタイムで確認できるため、現地に到着するよりも早く問題に対応できるようになり、生産ラインの停止時間を短縮できます。
-
建築・土木作業現場での遠隔臨場: 発注者が現場に立ち会うための出張回数を減らし、現場での立ち会い人数も削減できます。これにより、移動時間やコストの削減、業務の効率化が実現します。
-
救急車内での処置状況共有: 救急車内で行われている処置状況がリアルタイムで受け入れ先の医療機関に共有されることで、医師や看護師が迅速に医療方針を決定できるようになり、患者さんの救命率向上に貢献します。
-
点検資格者による遠隔点検: 防火対象物点検や防災管理点検など、専門資格者による点検業務を遠隔地から消防法に準拠して実施することが可能になります。これにより、点検業務の効率化と広範囲での対応が可能になります。
これらの取り組みにより、リコーのデジタルサービス売上比率は着実に向上しており、既存事業の枠を超えた新たな業種・業務領域への展開を成功させています。
RICOH Remote Field:「まるで現場」 遠隔地から現場の状況確認が可能に360°映像の双方向型ライブ配信システム
具体的な取り組み事例の深掘り
ドキュメントの読解に強い自社LLM/LMMとAIエージェントを核としたAIサービス事業の創出
リコーが開発している自社LLM/LMMは、日本のビジネス文書に特化している点が大きな特徴です。日本のビジネス文書は、欧米のものと比較してレイアウトが複雑であったり、図表が多用されたりすることがあります。リコーのAIは、このような文書の構造や文脈、さらには言語化されていない「暗黙知」までを高い精度で読み解き、理解・再構成する能力を持っています。
この高い推論性能を持つAIと、企業向けAIプラットフォームを組み合わせることで、顧客が持つ大量のデータ(顧客データ)を活用したプライベートLLM/LMMの構築を可能にしています。これにより、AIの精度をさらに向上させ、企業の特定のニーズに合わせた最適なAI環境を提供できます。お客様の要望に応じて、インターネットに接続せず社内ネットワーク内でAIを運用できる「オンプレミス」での提供にも対応しており、セキュリティやデータガバナンスを重視する企業にとって大きなメリットとなります。
さらに、AIアプリ開発ツール「Dify」のようなAIエージェント基盤に、企業が長年培ってきた業務や運用のノウハウを組み込むことで、AIが単なるツールとしてではなく、まるで熟練の社員のように業務をサポートするような、実践的なAI活用が大きく広がっています。
4K高画質360度映像で現場の臨場感を遠隔地からリアルに体感
「RICOH Remote Field」は、単に映像を配信するだけでなく、現場の「臨場感」を遠隔地に伝えることにこだわっています。労働人口の減少という社会課題に対し、働き方を変革し、限られた人材で効率的に現場業務を運営することが求められています。このシステムは、まさにその課題に応えるものです。
360度カメラ「RICOH THETA」で撮影された4K高画質の映像は、遠隔地のモニターに映し出された際、まるでその場にいるかのような没入感を提供します。これにより、遠隔地の専門家が現場の状況を詳細に把握し、指示を出したり、アドバイスを送ったりすることが可能になります。例えば、製造ラインの微細な部品の点検、建設現場の進捗確認、医療現場での緊急対応など、肉眼では見落としがちな情報も、高画質の映像によって正確に伝達されます。
双方向型のシステムであるため、遠隔地と現場の担当者が音声でコミュニケーションを取りながら、映像を共有し、協力して作業を進めることができます。これにより、地理的な制約や時間的な制約を超えて、専門知識を持つ人材がどこからでも現場を支援できるようになり、業務の効率化だけでなく、品質向上や安全確保にも大きく貢献しています。
まとめ:リコーのDXが拓く未来
リコーが「DX注目企業2026」に選定されたことは、同社がデジタル技術を活用して、社会や企業の「はたらく」を根本から変革しようとする強い意志と、それを実現する確かな技術力、そして具体的な成果を持つことを示しています。
独自のAI技術による新規事業創出と、360度映像配信システムによる既存事業の高度化は、単なる効率化に留まらず、新たな価値創造と社会課題の解決に貢献しています。リコーはこれからも、「“はたらく”に歓びを」という企業理念のもと、デジタルサービスの会社として進化を続け、グローバルなインテグレーターとして、お客様の競争力強化と持続的な成長を支援していくことでしょう。
リコーのDXに関するさらなる情報は、以下のリンクからご覧いただけます。

