伯東とVieurekaが連携!生成AIを現場で活かす「エッジ生成AI BOX」とは?EdgeTech+ 2025で初公開

伯東とVieurekaがエッジAIの社会実装を加速!生成AIを現場で活用する新ソリューション「エッジ生成AI BOX」とは?

AI(人工知能)技術の進化は目覚ましく、私たちの生活やビジネスに大きな変革をもたらしています。特に近年注目されているのが、文章や画像を自動生成する「生成AI」です。この生成AIを、私たちの身近な場所、つまり「現場」でリアルタイムに活用するための技術が「エッジAI」です。今回、技術商社である伯東株式会社と、エッジAIの社会実装に取り組むVieureka株式会社が手を組み、生成AIを現場で動かす画期的なソリューションを発表しました。その名も「エッジ生成AI BOX」。この新しい技術がどのように私たちの社会を変えるのか、詳しく見ていきましょう。

エッジAIと生成AI、なぜ今注目されるのか?

まず、AI初心者の方にも分かりやすいように、この記事のキーワードとなる「エッジAI」と「生成AI」について解説します。

エッジAIとは?

「エッジAI」とは、インターネットの末端(エッジ)にあるデバイス、例えば工場内のセンサーや監視カメラ、スマートフォンなどにAIを搭載し、その場で情報を処理・分析する技術のことです。従来のAIは、集めたデータを一度クラウド(インターネット上の大規模なデータセンター)に送り、そこで処理を行うのが一般的でした。しかし、エッジAIではデータのやり取りを最小限に抑え、デバイス自体が賢く判断できるようになります。

エッジAIには、以下のようなメリットがあります。

  • リアルタイム性: データをクラウドに送る手間が省けるため、処理速度が格段に向上し、瞬時の判断や対応が可能になります。

  • 通信負荷の軽減: 大量のデータをクラウドに送る必要がないため、ネットワークへの負担が減り、通信コストも抑えられます。

  • プライバシー保護: デバイス内でデータが処理されるため、機密性の高い情報が外部に漏れるリスクを低減できます。

  • オフラインでの動作: インターネット接続がない環境でもAIが機能するため、災害時などにも役立ちます。

生成AIとは?

「生成AI」とは、テキスト、画像、音声、動画など、さまざまなコンテンツを自律的に「生成」できるAIのことです。代表的なものに、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)や、Midjourneyのような画像生成AIがあります。これまでのAIが「与えられたデータを分析・分類する」ことに長けていたのに対し、生成AIは「新しいものを創造する」能力を持っています。

  • LLM(大規模言語モデル): 大量のテキストデータを学習し、人間のような自然な文章を作成したり、質問に答えたり、要約したりすることができます。

  • VLM(視覚言語モデル): 画像とテキストの両方を理解し、画像の内容を説明したり、画像から関連する情報を引き出したりすることができます。

これらの最先端AI技術を「現場」で活用することができれば、私たちの仕事や生活はさらに豊かになるでしょう。しかし、生成AIをエッジデバイスで動かすには高い処理能力が求められるため、これまでは実現が難しいとされていました。この課題を解決するのが、伯東とVieurekaの連携によって生まれた「エッジ生成AI BOX」なのです。

現場で生成AIを動かす「エッジ生成AI BOX」の誕生

伯東株式会社とVieureka株式会社は、両社の協業により、Ambarella, Inc.のAIビジョンプロセッサ「CV72」を搭載した「エッジ生成AI BOX」に、VieurekaのエッジAIプラットフォームを組み込んだデモ製品を開発しました。この「エッジ生成AI BOX」は、生成AIの現場実装を大きく前進させる重要な一歩となります。

エッジ生成AI BOXのイメージ

クラウドに依存しない生成AIの力

このエッジ生成AI BOXの最大の特長は、LLMやVLMといった生成AIの中核技術を、クラウドに依存せずエッジ側で動作させる点です。これにより、前述したエッジAIのメリットが最大限に活かされます。

  • 通信遅延の削減: 現場で即座にAIが判断を下せるため、タイムラグなく作業を進めることができます。例えば、工場で異常を検知した際に瞬時にアラートを出す、介護施設で利用者の異変を即座に感知するといった活用が期待されます。

  • プライバシー保護の強化: 監視カメラの映像や個人の行動データなど、機密性の高い情報をクラウドに送ることなく、エッジ側で処理・分析が完結します。これにより、個人情報や企業秘密の漏洩リスクを大幅に低減できます。

  • 現場での即時判断・対応: AIがその場で状況を理解し、判断を下すことで、人間のオペレーターが迅速に対応できるようになります。これは、緊急性の高い状況や、リアルタイム性が求められる作業において非常に有効です。

Vieurekaプラットフォームとの連携で「現場で進化するAI」へ

さらに、本AI-BOXにVieurekaのエッジAIプラットフォームが搭載されることで、その可能性はさらに広がります。Vieurekaプラットフォームは、エッジAIデバイスの遠隔運用管理を安全かつ効率的に行うための仕組みです。

  • AIモデルの追加学習・アップデート: 現場の状況に合わせてAIモデルを最新の状態に保ったり、特定のタスクに特化した学習データを追加したりすることが、遠隔から簡単に行えます。

  • デバイス設定の変更: AI-BOXの設定変更やトラブルシューティングも、現場に赴くことなく遠隔で対応可能です。

これにより、AIは一度導入して終わりではなく、現場ごとのニーズに応じて常に最適化され、進化し続けることが可能になります。まさに「現場で動き、現場で進化するAI」という新たな価値が提供されることになります。

エッジ生成AI BOXを支える最先端技術:Ambarella CV72プロセッサ

このエッジ生成AI BOXの心臓部には、Ambarella社のAIビジョンプロセッサ「CV72」が搭載された「Cooper Mini」が採用されています。CV72は、生成AIをエッジで動かすための高い処理能力と、省電力性を両立させた画期的なチップです。

高性能と低消費電力を両立するCV72

CV72は、以下の技術的な特長を持っています。

  • 5nmプロセス技術: 最新の製造プロセス技術により、チップの小型化と高性能化、そして低消費電力化を実現しています。

  • 第3世代CVflow®アーキテクチャ: Ambarella独自のAI処理アーキテクチャで、画像や動画の高度な分析を効率的に行います。

  • Transformer向けアクセラレータ: 生成AIの基盤となっているTransformerモデルの計算を高速化するための専用回路が内蔵されています。これにより、LLMやVLMといった大規模なモデルもエッジデバイスでスムーズに動作させることが可能になります。

これらの技術により、CV72は、従来のAI処理だけでなく、生成AIに不可欠な複雑な計算も、高い性能を保ちながら電力消費を抑えて実行することができます。これは、バッテリー駆動のデバイスや、電力供給が限られる現場でのAI活用において非常に重要な要素です。

VLM(視覚言語モデル)への対応

エッジ生成AI BOXは、CLIP(Contrastive Language-Image Pre-Training)やBunnyといったVLMにも対応しています。VLMは、画像とテキストの両方を同時に理解する能力を持つAIモデルです。

Ambarella CV72とVLMの連携イメージ

  • CLIP: 画像とテキストの関連性を高精度に推定する「ゼロショット性能」を持っています。これは、事前に学習していない新しい画像に対しても、適切なテキスト説明を生成したり、画像の内容を理解したりできる能力を指します。例えば、「赤いリンゴ」というテキストと、実際に映っているリンゴの画像が一致するかどうかを判断するといったことが可能です。

  • Bunny: 軽量でありながら高性能なマルチモーダルモデルとして開発されました。エッジデバイスのようなリソースが限られた環境でも、効率的に画像とテキストの連携処理を行うことができます。

これらのVLMに対応することで、エッジ生成AI BOXは、単に画像を認識するだけでなく、画像からより深い意味を読み取り、テキスト情報と組み合わせて複雑な状況を理解し、判断を下すことが可能になります。例えば、工場で製品の不良を発見した際に、その不良の種類や発生原因をテキストで説明したり、介護施設で利用者の行動パターンから異常を検知し、具体的な状況を報告したりといった応用が期待されます。

社会実装への期待:多様な業界の課題解決へ

伯東とVieurekaが提供するこのエッジ生成AI BOXは、生成AIを「現場で使える技術」として社会実装するための重要な一歩です。介護、製造、流通など、さまざまな業界が抱える人手不足や業務効率化といった課題に対し、より柔軟かつ迅速に対応できるソリューションとなることが期待されています。

介護現場での活用

高齢化が進む中で、介護現場の人手不足は深刻な問題です。エッジ生成AI BOXを導入することで、以下のような活用が考えられます。

  • 利用者の見守り: カメラ映像から利用者の転倒や異常な動きを検知し、即座に介護スタッフに通知します。VLMの活用により、「ベッドから起き上がろうとしているが、足元がおぼつかない」といった詳細な状況をテキストで伝えることも可能になります。

  • 業務負担の軽減: 利用者の行動記録や日誌の作成をAIがサポートし、介護スタッフがより利用者のケアに集中できる時間を増やします。

製造現場での活用

製造業では、品質管理や生産効率の向上が常に求められています。エッジ生成AI BOXは、以下のような形で貢献できるでしょう。

  • 製品検査の自動化: 製造ライン上の製品の欠陥をAIがリアルタイムで検出し、不良品の流出を防ぎます。VLMにより、欠陥の種類や位置を具体的に特定し、生産管理システムに連携することも可能です。

  • 設備異常の予知: 設備の稼働データや振動パターンをAIが分析し、故障の予兆を早期に発見することで、計画外のダウンタイムを削減します。

流通現場での活用

小売店や倉庫などの流通現場でも、エッジ生成AI BOXは業務効率化に役立ちます。

  • 在庫管理の最適化: 棚の商品の有無や陳列状況をAIがリアルタイムで把握し、品切れや誤陳列を自動で検知します。VLMを使えば、「この棚の牛乳が残り少ない」といった具体的な情報をスタッフに伝えることができます。

  • 顧客行動分析: 店舗内の顧客の動線を分析し、商品の配置やプロモーション戦略の改善に役立てます。プライバシー保護をしながら、より効果的な店舗運営を支援します。

このように、エッジ生成AI BOXは、現場ごとの具体的なニーズに応じたAIの最適化を進め、多岐にわたる課題解決に貢献する可能性を秘めています。伯東とVieurekaは、今後も業界特化型のAIモデルの開発・提供を通じて、エッジAIの社会実装を加速していく方針です。

「EdgeTech+ 2025」でエッジ生成AI BOXを初公開

この画期的なエッジ生成AI BOXは、2025年11月19日(水)から21日(金)までパシフィコ横浜 展示ホールで開催される「EdgeTech+ 2025」の伯東ブースにて、デモ展示が行われます。来場者は、サーバーに依存しないエッジAIの高度な処理性能と、遠隔からの柔軟な運用管理による現場課題解決の可能性を直接体験できます。

詳細なブース情報については、以下の公式サイトでご確認ください。

両社のコメント

今回の協業に関して、両社の担当者からコメントが寄せられています。

伯東株式会社 取締役 石下裕吾氏

「Vieureka社とのパートナーシップは、当社の中期経営計画におけるソリューションプロバイダー戦略として重要なステップです。当社が提供する高性能なハードウェアとVieureka社のAIプラットフォームの融合により、次世代のEdgeAIソリューションを展開していきます。」

Vieureka株式会社 代表取締役社長 宮﨑秋弘氏

「伯東社との協業により、Vieurekaが目指す“現場に根差したエッジAI”の社会実装が一歩前進します。Ambarella社の高性能生成AI BOXと当社の遠隔運用可能なエッジAIプラットフォームを組み合わせることで、介護・製造・流通などの現場において、プライバシーを守りながらリアルタイムに課題解決を図ることが可能になります。Vieurekaは、現場特化型のLLM/VLMを安全かつ効率的に運用できる仕組みを提供し、エッジAIの可能性を最大限に引き出すことで、エッジAIの社会実装に貢献してまいります。」

伯東株式会社について

伯東株式会社は1953年の創業以来、最新の情報や最先端の技術を顧客に提供する技術商社として、また生産効率化のための工業薬品を製造するメーカーとして発展してきました。企業活動を通じて「人と技術と自然環境の共存」を目指し、先進のテクノロジーが人々の暮らしと地球に活力と潤いをもたらし、より豊かな社会の実現に貢献することを使命としています。

Vieureka株式会社について

Vieureka株式会社は、パナソニックホールディングス株式会社、株式会社JVCケンウッド、WiL, LLCの3社の出資により、2022年7月にパナソニックホールディングス株式会社からカーブアウトして設立されました。「世界の今をデータ化する新たな社会インフラを創造」をミッションに掲げ、開発・導入・運用のハードルを下げるプラットフォームを通じて、エッジAIの社会実装を先導しています。

まとめ

伯東とVieurekaの連携による「エッジ生成AI BOX」は、生成AIの可能性を現場の最前線へと広げる画期的なソリューションです。クラウドに依存しないリアルタイム処理、強化されたプライバシー保護、そしてVieurekaプラットフォームによる柔軟な運用管理は、多様な業界の課題解決に大きく貢献するでしょう。AI初心者の方にも理解しやすいように、エッジAIや生成AIの基本から、その具体的な技術、そして社会にもたらす影響までを詳しく解説しました。この新しい技術が、私たちの未来をどのように変えていくのか、今後の展開に注目が集まります。

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