AIが将棋対局を言語化!「棋神チャット」で将棋観戦の新時代が到来
将棋の対局は、その奥深さゆえに、初心者にとっては理解が難しい側面がありました。しかし、最先端のAI技術がその壁を打ち破り、将棋観戦に新しい風を吹き込もうとしています。
株式会社朝日新聞社と最先端AI企業であるHEROZ株式会社は、共同で生成AIを活用した新サービス「棋神チャット」の提供開始を発表しました。このサービスは、将棋のトップ棋士たちの対局を、まるで人間が解説するように自然な言葉でリアルタイムに説明してくれる画期的なものです。この「棋神チャット」は、朝日新聞社のYouTubeチャンネル「囲碁将棋TV-朝日新聞社-」で提供され、2月26日には、将棋界で最も権威あるタイトルの挑戦者を決める「A級順位戦」の中継で初めて披露されます。AIの力を借りて、これまで専門的だった将棋の対局を「言語化」することで、より多くの人々が将棋の魅力を深く味わえるようになるでしょう。
「棋神チャット」とは?AIが将棋の「なぜ?」を解き明かす画期的なサービス
「棋神チャット」は、HEROZ社が開発した将棋に特化した大規模言語モデル(LLM)という生成AIの技術を応用しています。LLMとは、人間が使う言葉を理解し、自然な文章を生成することができるAIのことで、将棋の文脈では、対局の状況を分析し、その意味や意図を言葉で説明する能力を持っています。
このサービスは、対局中の局面の要点や、棋士がどのような狙いを持ってその手を指したのかを、リアルタイムで言語化します。これにより、将棋のルールは知っていても、なぜその手が良いのか、次にどう展開するのかといった専門的な部分が分からなかった方でも、対局の流れや駆け引きを深く理解できるようになります。
これまでもHEROZ社は、将棋の形勢を数値で示し、どちらが優勢かを視覚的に分かりやすくする「棋神アナリティクス」というサービスを提供してきました。この「棋神アナリティクス」は、将棋の知識がなくても「どちらが勝ちそうか」が分かるようにしたことで、多くの「観る将」(自身は将棋を指さずにプロの対局を観戦して楽しむファン)を増やしてきました。
「棋神チャット」は、「棋神アナリティクス」で得られる解析結果を基に、形勢の変化や注目すべき手、考えられる次の展開などを言葉で整理して提示します。これにより、観戦者は「いま盤上で何が起きているのか」「この一手は何が重要なのか」といった疑問をその場で解消しながら、対局を追いかけることが可能になります。高度で専門的になりがちな将棋の読み筋や局面のポイントを、誰にでも伝わる言葉へ変換することで、将棋を知らなくてもトッププロの対局に一喜一憂する体験ができるようになります。
AI解説者には、朝日新聞社のオリジナルキャラクターである「マダニャイ」が起用されており、より親しみやすい形でサービスが提供されます。


「観る将」ファン必見!将棋の奥深さをより深く味わう新体験
近年、「観る将」と呼ばれる、自身は将棋を指さなくてもプロの将棋対局を観戦して楽しむファンが増加しています。これは、野球やサッカーといった他のスポーツと同様に、プレイヤーでなくてもトッププロの対局を楽しめる文化が将棋界にも根付いてきたことを示しています。
この「観る将」文化の発展に大きく貢献してきたのが、HEROZ社が開発したAIによる棋譜解析サービス「棋神アナリティクス」です。盤上の形勢を数値で可視化することで、将棋のルールを知らない人でも「どちらが勝ちそうなのか」が直感的に分かるようになり、観戦のハードルを大きく下げました。朝日新聞社の「囲碁将棋TV」でも、2024年から「棋神アナリティクス」を導入し、名人戦七番勝負や順位戦などのライブ中継で活用してきました。
そして今回登場する「棋神チャット」は、「観る将」の体験をさらに深く、豊かにします。これまでは形勢の優劣が分かっても、「なぜその手が優勢につながるのか」「棋士の真の狙いはどこにあるのか」といった、より専門的な部分の理解には、ある程度の将棋知識が求められました。しかし「棋神チャット」は、対局中の局面の要点や、棋士の狙いどころをリアルタイムで自然言語に変換して解説してくれるため、将棋初心者でもこれらの疑問をその場で解消できるようになります。
これにより、観戦者は単に「どちらが勝ちそうか」を知るだけでなく、局面の見どころや戦いの焦点、棋士の深い読み筋や思考プロセスを、まるでプロの解説者が隣にいるかのように理解しながら対局を追うことができます。将棋の専門用語や複雑な定石を知らなくても、トッププロの高度な頭脳戦に感情移入し、一喜一憂する体験が可能になるのです。最新のAI技術が、将棋という伝統文化の最高峰の戦いを、これまで以上に多くの人々が楽しめるエンターテイメントへと進化させます。

注目のお披露目イベント:A級順位戦中継で「棋神チャット」がデビュー
「棋神チャット」は、2026年2月26日(木)に開催されるA級順位戦の中継において、初めてその姿を現します。この日は、YouTubeチャンネル「囲碁将棋TV-朝日新聞社-」で正午から12時40分にかけて、永瀬拓矢九段と佐藤天彦九段の対局中継中に、本サービスによる解説がお披露目される予定です。
このお披露目イベントでは、「棋神チャット」を開発したHEROZ株式会社の大森悠平氏と、朝日新聞文化部の将棋担当デスクである村瀬信也氏によるトークショーも配信されます。トークショーでは、AIが将棋観戦に果たしてきた役割の歴史を紐解きながら、「棋神チャット」の具体的な楽しみ方や、開発の裏側にある秘話などが語られるとのことです。さらに、対局を解説する棋士も登場する予定であり、AIとプロ棋士の解説がどのように融合し、将棋観戦を豊かにするのか、その全貌が明らかになるでしょう。
新しい将棋観戦の幕開けとなるこのイベントは、以下のYouTubeチャンネルで視聴できます。
- YouTubeチャンネル「囲碁将棋TVー朝日新聞社」: https://www.youtube.com/@igoshogitv
将棋がつないだメディアとAIの革新的な協業
今回の「棋神チャット」の実現は、長年にわたり将棋文化を支えてきた朝日新聞社と、最先端のAI技術を開発し続けるHEROZ社の、両社の思いが一致した結果です。
HEROZ社は、2009年の創業以来、「AIで世界を驚かすサービスを創出する」ことをビジョンに掲げ、「AI革命を起こし、未来を創っていく」ことを目指してきました。これまでにも、スマートフォンで手軽に将棋を楽しめるオンライン対戦ゲーム「将棋ウォーズ【日本将棋連盟公認】」、世界コンピュータ将棋選手権で2連覇を達成した将棋AI「dlshogi with HEROZ」、棋譜記録の自動化を実現する「HEROZ Kishin Eye」など、数々の革新的なAIサービスを世に送り出し、将棋ファンの拡大に大きく貢献してきました。
一方、朝日新聞社もまた、長きにわたり将棋文化の発展に尽力してきました。同社は、将棋界最高峰のタイトル戦である名人戦(毎日新聞社と共催)や、朝日杯将棋オープン戦の主催者として、プロ棋士たちの熱戦を世に伝えています。また、アマチュア将棋の裾野拡大にも力を入れており、今年で48回目を迎える朝日アマチュア将棋名人戦の主催や、大学生の日本一を決める学生名人戦への協力など、将棋普及にも積極的に取り組んでいます。
HEROZ社の林隆弘代表取締役CEOは、1996年に早稲田大学1年生として第19回朝日アマチュア名人戦全国大会で史上最年少優勝を果たした実績を持つ、将棋に深い縁のある人物です。将棋ファンを増やしたい、そして革新的な技術で将棋ファンに新たな体験を届けたいという、メディア企業である朝日新聞社とAI企業であるHEROZ社の共通の思いが、今回の協業へと繋がりました。この連携は、伝統的な文化と最先端技術が融合し、新たな価値を創造する好例と言えるでしょう。

将棋を超えて広がるAIと伝統メディアの新たな可能性
今回の「棋神チャット」の発表は、将棋界に留まらない、より広範な可能性を示唆しています。
朝日新聞社の野村周常務執行役員(コンテンツ政策/デジタル事業担当)は、長年培ってきた将棋文化とHEROZ社の高度なAI技術が融合したことで、これまでにない将棋の楽しみ方が生まれたと述べています。ライブ中継での活用に加え、今後は朝日新聞デジタル版でも「棋神チャット」を活用し、順位戦や朝日杯の熱戦をより深く紹介することも検討されているとのことです。さらに、将棋という枠を超えて、伝統メディアとAI企業の協業によって、より刺激的で魅力ある体験を創出できないか、様々な可能性を探っていくとしています。
HEROZの林隆弘代表取締役CEOも、将棋が単なる「勝ち負け」だけでなく、棋士の指し手の裏にある思考や感情まで含めて味わう文化であるという認識を示しています。朝日新聞社が築いてきた将棋文化の価値を最大化するために、HEROZが培ってきた実戦的なAI技術を融合することで、名局の一手一手をより深く理解し、楽しめる新たな顧客体験を提供できることを非常に楽しみにしているとコメントしています。
また、林CEOは、本取り組みを将棋LLM「棋神チャット」での協業の起点とし、将棋領域にとどまらず、囲碁や、AIと「知」、AIと「報道の可視化」といった分野でも連携を加速させ、日本から世界に誇れる知的コンテンツを一緒に生み出していきたいという強い意欲を表明しています。
これらのコメントから、今回の協業が、将棋という伝統文化の新たな魅力を引き出すだけでなく、AI技術とメディアが連携することで、様々な分野において革新的なコンテンツやサービスを生み出す可能性を秘めていることが見て取れます。AIが伝統文化の理解を深め、より多くの人々へとその価値を届ける未来が、きっと訪れるでしょう。
まとめ:将棋観戦を誰もが楽しめる未来へ
朝日新聞社とHEROZ社による「棋神チャット」は、生成AIとLLMの力を活用し、将棋対局の深い魅力を初心者にも分かりやすく伝える画期的なサービスです。これにより、「観る将」をはじめとする多くの人々が、プロの対局をこれまで以上に深く、そして楽しく体験できるようになります。伝統文化と最先端技術の融合がもたらすこの新しい試みは、将棋界だけでなく、今後のAIとメディアの協業の可能性を大きく広げるものとして、今後の展開に大きな期待が寄せられています。

