広島県呉市で自動運転EVバス社会実験がスタート!観光の未来を拓く新たな挑戦
広島県呉市では、2025年12月15日から12月21日までの期間、自動運転EVバスを活用した交通社会実験が実施されます。この取り組みは、未来のモビリティ社会の実現に向けた重要な一歩であり、特に観光分野での活用が期待されています。株式会社マクニカが車両提供と運行支援を担い、自動運転EVバス「Navya EVO」と、その運行を支える遠隔運行管理システム「everfleet」が導入されます。AI初心者の方にも分かりやすく、この社会実験の目的、走行ルート、そして最新の自動運転技術について詳しく見ていきましょう。
呉市が目指す「自動運転モビリティで観光する街くれ」の未来
包括連携協定が拓く次世代モビリティの道
呉市と株式会社マクニカは、2023年3月に「次世代を担う若者のチャレンジ支援等に向けた包括連携協定」を締結しました。この協定の柱の一つである「先端技術を活用したコンパクトシティの形成」を実現するため、今回の交通社会実験が企画されました。
社会実験の主な目的は、自動運転モビリティ導入における具体的な課題を把握すること、そして、地域住民の皆さんが次世代の移動手段に親しみ、理解を深めるための意識醸成を進めることです。自動運転バスが実際に公道を走行することで、技術的な側面だけでなく、社会的な受容性についても検証が行われます。
呉市は、この実験を通じて「自動運転モビリティで観光する街くれ」というビジョンの実現を目指しています。観光客の利便性を向上させ、新たな観光体験を提供することで、地域の活性化と新しい人の流れを創出することが期待されています。
自動運転レベル4の社会実装へ向けて
今回の社会実験は、最終的に国土交通省が定める自動運転レベル4の実現、すなわち特定の条件下でシステムが全ての運転操作を行い、緊急時対応もシステムが行う段階の自動運転バスの社会実装を目指すものです。レベル4の実現は、運転手不足の解消や交通弱者の移動支援など、多くの社会課題の解決に貢献すると考えられます。今回の実験で得られた知見は、次年度以降のより早い段階でのレベル4実現に向けた貴重なデータとなるでしょう。
観光地を巡る!自動運転EVバスのルートと運行詳細
呉駅南側エリアを巡る観光ルート
今回の交通社会実験では、新たに呉駅南側エリアが対象となります。自動運転EVバスは、レクレ館を起点とし、中央桟橋、そして大和ミュージアムサテライトが設置されているビューポートくれを巡るルートを走行します。このルートは、観光客の利用ニーズが高いと想定されており、呉市の主要な観光スポットへのアクセスを容易にすることで、地域の魅力向上を目指します。

建物と高架下のような場所に停車している自動運転バス。車両には「令和7年度 自動運転バス走行実証中」と書かれており、実証実験中の様子が伺えます。
走行ルートの詳細はこちらの地図をご覧ください。約2.85kmのコースを巡ります。

呉市内の主要な観光スポットや施設を結ぶ、約2.85kmのウォーキングまたはランニングコースを示した地図です。JR呉駅、大和ミュージアム、てつのくじら館などがコースに含まれ、各区間の距離も記載されています。
運行期間と乗車方法
-
日程: 2025年12月15日(月)~2025年12月21日(日)
-
時間: 10:00~16:35(1日7便)
- 12月15日(月)のみ4便以降の運行となります。
-
自動運転車両: Navya Mobility社 自動運転EVバス(EVO)
-
定員: 各便8名
-
乗車方法: 事前予約は不要で、バス停にて先着順で案内されます。
- 混雑状況によっては乗車できない場合もあります。
-
乗車運賃: 無料
運行時刻表はこちらで確認できます。

停留所ごとの出発時刻を示す時刻表です。レクレ館前、中央桟橋、ビューポート前の3つの停留所について、第1便から第7便までの運行時間が記載されています。
懐かしさを感じるバスラッピングデザイン
今回の自動運転EVバスは、かつて2012年3月まで呉市営バスとして親しまれていた車両デザインを参考に、白地に水色のラインがあしらわれています。このデザインには、次世代の自動運転モビリティも、以前の呉市営バスのように住民や観光客に愛着を持ってもらいたいという願いが込められています。新しい技術と懐かしいデザインの融合が、地域の人々に温かく受け入れられることを目指しています。
AIが支える自動運転技術:Navya EVOとeverfleet
今回の社会実験で導入される自動運転技術は、AI初心者の方にもぜひ知っていただきたい最先端のシステムです。株式会社マクニカが提供する自動運転EVバス「Navya EVO」と、遠隔運行管理システム「everfleet」がその核となります。
ハンドルもペダルもない未来のバス「Navya EVO」

白い背景に3台の白い自動運転ミニバスが並んでいます。現代的で未来的なデザインのこれらの車両は、次世代の公共交通機関やシャトルサービスを想起させます。
「Navya EVO(ナビヤ エヴォ)」は、ハンドルやアクセル、ブレーキペダルがない、まさに未来を感じさせる自動運転EVバスです。では、どのようにして車が動いているのでしょうか?
-
LiDARセンサー: 周囲の障害物や人、他の車両との距離を正確に測定するレーザーセンサーです。これにより、バスは自分の周りの状況を360度把握できます。
-
GPS位置情報システム: 人工衛星からの電波を利用して、バスの現在位置を正確に特定します。これにより、バスは自分がどのルートを走っているのか、目的地まであとどれくらいかなどを把握します。
-
自動運転システム: これらのセンサーやGPSから得られた情報をAIが分析し、周囲の状況を認知します。そして、次にどう動くべきかを予測・判断し、ハンドル(のない車両なので、進行方向の制御)、アクセル、ブレーキの操作を自動で行います。
Navya EVOは電気自動車(EV)であり、1回の充電で約9時間(100km)の自動走行が可能です。実証実験時の最高速度は18km/h程度で、安全を最優先に設計されています。技術的には自動運転レベル3相当ですが、今回の実証実験ではレベル2として運用され、緊急時には同乗のドライバーが手動で介入できる体制がとられています。
Navya EVOの主な仕様:
-
全長:4,776mm
-
全高:2,652mm
-
全幅:2,098mm
-
重量:2,689kg
-
乗客人数:12人(実証実験時は乗客8人、ドライバー1人、保安員1人の計10人)
-
動力源:電動モーター
-
最高速度:18km/h(実証実験時は平均速度15km/h程度)
-
自動運転レベル:レベル2(技術的にはレベル3相当)
-
その他:緊急時は同乗のドライバーが手動介入
遠隔から見守るAIの目「everfleet」
自動運転バスの安全な運行を支えるもう一つの重要なシステムが、株式会社マクニカ製の遠隔運行管理システム「everfleet(エバーフリート)」です。

「everfleet」という単語が青色で書かれたロゴ画像です。最後の「et」の部分は、紫からピンクへのグラデーションが特徴的なループ状のデザインになっています。
everfleetは、自動運転モビリティの実用化に向けて開発された統合管理プラットフォームです。このシステムは、離れた場所から自動運転EVバスの運行状況をリアルタイムで監視し、必要に応じてサポートを提供します。
-
情報の一元可視化: モビリティの位置情報、車内外のカメラ映像、車速、ステアリングの状態、バッテリー残量など、車両に関するあらゆるデータを一元的に集約し、画面上で分かりやすく表示します。
-
交通インフラ連携: 信号機などの交通インフラから得られる外部データとも連携し、より広範囲な情報を統合して運行に役立てます。
-
リアルタイム監視: 遠隔地のオペレーターは、これらの情報を基に、バスがどこを走っているか、車内で何が起きているか、周囲の状況はどうかなどをリアルタイムで把握できます。これにより、安全かつ安心な自動運転モビリティの運用を支援します。
-
群管理と異常検知: 複数の地域に分散している多様なモビリティを同時に管理できる「群管理」機能も備えています。また、運行中に異常が発生した場合には、システムが自動で検知してオペレーターに通知します。これにより、1人のオペレーターが効率的に複数のバスを管理することが可能になり、人手不足の解消や運行コストの削減(省人化)にも貢献します。

自動運転バス「ARMA(P128)」の運行監視システム「everfleet」の画面。速度9km/h、バッテリー85%。車内外の4分割映像や経路マップが表示され、リアルタイム監視が可能。
このように、Navya EVOが「自動で走るバス」であるのに対し、everfleetは「そのバスを遠隔から安全に、効率的に見守り、管理するシステム」と言えます。この二つの技術が組み合わさることで、自動運転の社会実装がより現実的なものとなるのです。
未来への期待:子どもたちの声と地域活性化の可能性
小学生が体験した未来の乗り物
今回の実証実験に先立ち、2025年11月13日には、呉市立呉中央小学校の校庭で小学生向けの試乗会が開催されました。未来社会を創る子どもたちが、実際に次世代モビリティに触れる貴重な機会となりました。

校庭で子供たちが列を作り、バスのような乗り物に乗ろうとしている様子が写っています。学校の建物が背景に見え、何かのイベントや遠足の準備をしているようです。
教員と小学6年生約60名が、自動運転EVバスに乗車し、校庭内を走行する体験をしました。また、1年生から5年生の児童も、休憩時間に停車している車両に乗り込み、その室内空間を楽しんだとのことです。
実車走行を体験した6年生からは、次世代モビリティへの大きな期待を感じさせる声が多数寄せられました。
-
「将来この車両に関わる仕事がしたい」
-
「早くこの車両が呉市内を走ってほしい」
-
「ハンドルもブレーキもない車に未来を感じた」
これらの声は、自動運転技術が子どもたちの夢や好奇心を刺激し、未来の社会を形作る大きな可能性を秘めていることを示しています。
地域活性化と新しい価値の創出
株式会社マクニカは、呉市や広島県内の団体と連携・協力することで、社会課題の解決と新しい価値の創出を目指しています。自動運転モビリティの導入は、単に移動手段を提供するだけでなく、高齢者の移動支援、観光客の誘致、地域内の回遊性向上など、多岐にわたる効果が期待されます。
今回の社会実験は、その第一歩として、観光分野における自動運転の可能性を探るものです。将来的には、より広範囲での導入や、他の地域への展開も視野に入れられていることでしょう。自動運転技術が、地域社会にどのような変化をもたらし、どのように人々の生活を豊かにしていくのか、今後の展開に注目が集まります。
まとめ:呉市から始まる自動運転の未来
広島県呉市で始まった自動運転EVバスの交通社会実験は、未来のモビリティ社会実現に向けた重要な試みです。株式会社マクニカの「Navya EVO」と「everfleet」という最先端技術が導入され、観光利用を想定したルートを走行します。
この実験は、技術的な検証だけでなく、住民の意識醸成や地域活性化にも寄与することを目指しています。特に、ハンドルやペダルのない自動運転バスの体験は、子どもたちに大きな夢を与え、未来の職業選択にも影響を与える可能性を秘めています。
今回の実験で得られる知見は、将来的な自動運転レベル4の社会実装に向けた貴重なものとなるでしょう。呉市が描く「自動運転モビリティで観光する街くれ」の実現は、地域の魅力を高め、新しい人の流れを創出するだけでなく、日本全国の地域における次世代モビリティ導入のモデルケースとなるかもしれません。
関連情報として、呉市のウェブサイトで詳細が公開されています。
- 呉市 次世代モビリティ導入に向けた交通社会実験:https://www.city.kure.lg.jp/soshiki/90/kuremobi2025.html
自動運転技術はまだ発展途上にありますが、このような実証実験を重ねることで、私たちの生活に欠かせないインフラへと進化していくことでしょう。呉市の取り組みから目が離せません。

