徳島大学発AI企業ILUがSansan「Bill One」の新機能に独自技術を提供!経理DXの未来を拓く
現代のビジネスにおいて、AI(人工知能)の活用は業務効率化の鍵となっています。特に、経理業務のような定型作業の多い分野では、AIによる自動化が大きな注目を集めています。
この度、徳島大学発のAI企業である株式会社言語理解研究所(以下、ILU)が、Sansan株式会社(以下、Sansan)が提供する経理DXサービス「Bill One」の新機能「AI自動照合」に対し、その中核となる技術を提供したと発表しました。この提携は、企業の会計業務を大きく変革し、よりスマートで効率的な未来を築く可能性を秘めています。

ILUとは?40年の研究が支える「自然言語処理」のプロフェッショナル
ILUは、徳島大学の研究成果を基に2002年に創業された、23年の歴史を持つAIテック企業です。その最大の強みは、人が日常的に使う言葉(自然言語)をコンピュータが理解し、処理・活用できるようにする「自然言語処理」という分野にあります。
この技術は、私たちの身の回りにある様々な情報、例えばメールの文章、ウェブサイトのコンテンツ、契約書などのドキュメントをAIが正確に読み解くために不可欠です。ILUは、徳島大学で40年以上にわたって蓄積されてきた、日本語の表現や単語に関する国内最大規模の独自の言語データベースを保有しています。この膨大なデータと研究成果が、複雑な日本語を高精度で処理するILUの技術を支えています。
これまでにILUは、企業が保有する多種多様な社内ドキュメントを、生成AIが処理しやすいテキスト形式に変換するデータ構造化サービス「DX-laei」など、業務効率化やコスト削減に貢献する様々な生成AI活用ソリューションを開発し、提供してきました。
経理DXの切り札「Bill One」とは?
「Bill One」は、Sansan株式会社が提供する経理DXサービスです。経理業務は、請求書の受領から経費精算、さらには債権管理に至るまで、多岐にわたる作業を伴います。これらの業務は、これまで多くの企業で紙ベースや手作業で行われており、人的ミスや時間的コストが大きな課題でした。
Bill Oneは、こうした課題を解決するために開発されました。請求書や領収書といった証憑書類(しょうひょうしょるい)に関する全社の業務プロセスをデジタル化し、根本から変革することを目指しています。これにより、経理部門だけでなく、企業全体の生産性向上が期待されています。
Bill Oneの詳細は、以下の公式サイトで確認できます。
新機能「AI自動照合」で経理業務はどう変わる?
今回、ILUの技術が提供された新機能「AI自動照合」は、Bill Oneの支払業務における大きな進化を意味します。従来の経理業務では、仕入れに関する情報と実際に届いた請求書の明細を一つ一つ人手で照合する必要がありました。これは非常に時間と労力がかかる作業であり、ミスが発生するリスクも伴っていました。
AI自動照合は、この人手で行っていた照合業務をAIの力で高精度に自動化します。ILUは、この機能において、請求書の明細表に記載された内容を正確に抽出し、必要に応じて補正した上で、コンピュータが処理しやすいデータ形式に変換する技術を提供しています。この技術により、Bill Oneは請求書の複雑な情報をAIが理解できるようにし、仕入れ情報との照合を自動で行うことが可能になりました。

この自動照合機能が導入されることで、経理担当者は手作業での確認作業から解放され、より戦略的な業務や、AIでは判断が難しい例外処理に集中できるようになります。結果として、会計業務にかかる人的コストの削減と、照合業務の精度向上が期待されます。
ILUの自然言語処理技術を深掘り!ルールベースとLLMの融合
ILUの自然言語処理技術は、単に言葉を認識するだけでなく、その意味を深く理解することを目指しています。自然言語処理には大きく分けて二つのアプローチがあります。
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ルールベース処理: 人間が定義した文法規則や辞書に基づいて言葉を処理する方式です。事前に設定された規則に従うため、挙動が明確で再現性が高いという特徴があります。ILUはこのルールベース処理に強みを持っています。徳島大学で40年以上にわたり蓄積された、広辞苑50冊分以上の情報を持つ国内最大級の日本語データベースが、このルールベース処理の精度を支えています。この言語資産は、日本語の語義(言葉の意味)、文法、表現を体系的に整理したものであり、かな漢字変換や翻訳だけでなく、言葉の意味の整理や文章構造の判断にも応用されています。
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LLM(大規模言語モデル): ChatGPTに代表される、大量のテキストデータから学習し、人間のような自然な文章を生成したり、質問に答えたりする高度な技術です。柔軟な文章生成が可能ですが、学習データに基づいているため、事実と異なる内容(ハルシネーション)を出力する可能性があり、再現性に課題がある場合もあります。
ILUは、ルールベース処理の持つ「安定性」と「再現性の高さ」を基盤としつつ、LLMの「柔軟性」を組み合わせることで、実務で求められる信頼性の高い日本語処理を実現しています。これにより、AI自動照合のような企業の実務で直接役立つ高精度なソリューションが提供可能になるのです。
ILUの自然言語処理に関する詳しい情報は、以下の記事も参考になります。
ILUがSansanに提供するその他の技術とソリューション
ILUは、Bill Oneへの技術提供だけでなく、Sansanが展開する他のサービスにもその自然言語処理技術を提供しています。
データ構造化ソリューション「DX-laei(ディーエックスレイ)」
「DX-laei」は、企業内に蓄積されたPDF、Word、Excelなどのドキュメントに含まれる写真や図表、グラフ、ワークフローといった複雑な情報を、生成AIが参照・回答できる「知識」へと変換するILU独自のソリューションです。これにより、チャットボットなどの生成AIの回答精度や検索体験を大幅に向上させ、企業内の情報活用を促進します。
AI契約データベース「Contract One」
「Contract One」は、Sansanが提供する取引管理サービスです。紙や電子形式を問わず、契約書をはじめとする取引書類を一元的に管理します。ILUの自然言語処理技術とオペレーターによる補正を組み合わせることで、契約書から正確にデータを抽出し、取引書類同士の関係性を自動で紐付けます。これにより、企業は取引の全体像や変遷を俯瞰できるデータベースを構築し、機会損失や信用低下を防ぐ事業判断をサポートします。
これらの事例からも、ILUの自然言語処理技術が、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進において多岐にわたる分野で貢献していることが分かります。
まとめ:AIが拓く経理業務の新たな地平
今回のILUによるSansan「Bill One」へのAI技術提供は、経理業務の効率化と精度向上に大きな一歩をもたらします。長年の研究で培われたILUの高度な自然言語処理技術と、Sansanが提供する革新的なDXサービスが融合することで、企業はよりスマートで生産性の高い働き方を実現できるでしょう。
AIが人間に代わって定型業務をこなすことで、従業員はより創造的で価値の高い業務に集中できるようになります。ILUは今後も、自社の持つ言語処理技術を最大限に活用し、人とAIがより良い関係を築き、共存できる社会の実現に貢献していくとしています。
株式会社言語理解研究所 会社概要
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設立: 2002年1月28日
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所在地: 〒770-0813 徳島市中常三島町1丁目32番地1
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事業内容: 日本語処理に関する大規模知識を活用した業務効率化と高度付加価値サービス創出
Sansan株式会社 会社概要
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設立: 2007年6月11日
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所在地: 〒150-6228 東京都渋谷区桜丘町1-1 渋谷サクラステージ 28F
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事業内容: 働き方を変えるAXサービスの企画・開発・販売

