【戦後80年】沖縄「平和の礎」がメタバースに登場!記憶を継承するデジタル空間とは?
戦後80年という大きな節目を迎え、戦争の記憶を次世代へと継承する取り組みが、現代のテクノロジーと融合して進化しています。このたび、沖縄県とクラスター株式会社は、沖縄戦で亡くなられた24万人余りの名前が刻まれた「平和の礎(へいわのいしじ)」を、3Dデジタルツイン空間「平和の礎メタバース」として再現し、2026年3月26日に一般公開しました。
この革新的なプロジェクトは、遠く離れた場所からでも「平和の礎」を訪れ、追悼し、平和について学ぶ機会を提供します。AIやメタバースといった言葉に馴染みのない方にも分かりやすく、この「平和の礎メタバース」がどのようなものなのか、その魅力と技術的な背景を詳しくご紹介します。

平和の礎とは? 戦争の記憶を刻む記念碑
「平和の礎」は、沖縄本島最南端の糸満市摩文仁にある平和祈念公園内に位置する記念碑です。沖縄戦などで犠牲となった方々の氏名を、国籍や軍人・民間人の区別なく刻み、平和への願いを込めて建立されました。1995年の除幕以来、毎年追加刻銘が続けられ、現在では24万人余りの氏名が刻まれています。
毎年6月23日の「慰霊の日」には、多くの人々がこの地を訪れ、犠牲となった方々を追悼し、平和を祈ります。広大な敷地には、平和の広場を中心に放射状に円弧の形で石碑が配置されており、その壮大な景観は訪れる人々に深い感銘を与えます。
しかし、遠方に住む方や身体的な理由で現地を訪れることが難しい方にとって、この大切な場所へのアクセスは容易ではありませんでした。そこで、現代のテクノロジーであるメタバースが、その課題を解決する手段として注目されました。

「平和の礎メタバース」で何ができる? デジタル空間の新たな体験
「平和の礎メタバース」は、物理的な「平和の礎」を仮想空間上に再現したものです。インターネットを通じて、スマートフォンやパソコンのウェブブラウザからアクセスし、自分自身を表す「アバター」を操作してバーチャルな公園内を自由に散策できます。まるで実際にその場にいるかのような感覚で、平和の礎を体験できるのが大きな特徴です。
1. 刻銘検索システムとの連携

このメタバースでは、「平和の礎」に刻銘された氏名を検索できるシステムと連携しています。名前を入力して検索すると、その氏名が刻まれた石碑の場所までアバターが自動で移動してくれる機能が搭載されています。これにより、広大な敷地の中から特定の名前を探す手間が省け、よりスムーズに追悼や確認を行うことができます。
「おじいちゃん・おばあちゃんの名前を孫に見せたい」「遠く離れた海外から故郷の礎を訪れたい」といった、これまで物理的な距離や時間の制約で難しかったニーズに応えることができます。
2. 平和の火エリアで現地の様子を体感

メタバース内の「平和の火」周辺では、沖縄県平和祈念資料館展望室からのライブ映像や、実際の現地の写真を見ることができます。これにより、仮想空間にいながらにして、現地のリアルタイムな雰囲気や美しい風景を感じることが可能です。炎が静かに揺らめく様子を見ながら、平和への思いを馳せることができるでしょう。
3. 沖縄県平和祈念資料館企画展示室で深く学ぶ

沖縄県平和祈念資料館内にある企画展示室が、メタバース上に再現されています。この資料室エリアでは、「平和の礎」についてのより詳しい説明や、沖縄戦などに関する企画展を観覧することができます。戦争の歴史や平和の尊さについて、写真や資料を通じて深く学ぶ機会が提供されます。教育現場での平和学習にも大いに活用できる内容となっています。
4. 平和の丘周辺イベントエリアで交流と学習

「平和の丘周辺」を再現したイベントエリアでは、平和学習コンテンツの紹介が行われます。さらに、毎年6月23日の「慰霊の日」などのイベント時には、ライブビューイング会場として活用される予定です。世界中の人々が同じ空間に集まり、リアルタイムで追悼式典に参加したり、平和に関する議論を交わしたりすることが可能になります。これにより、場所の制約を超えた新たなコミュニティが形成され、平和への意識が共有されることが期待されます。

「平和の礎メタバース」を支える3つの先進技術
この「平和の礎メタバース」は、クラスター株式会社が持つ最先端のメタバース技術によって実現されています。特に注目すべきは、以下の3つの技術的特長です。
1. 現地の景観をそのまま保存する「点群アーカイブ」

「点群アーカイブ」とは、レーザースキャンなどの技術を使って、現実世界の物体の形や色を、無数の点の集まり(点群データ)として高精細に記録する技術です。これにより、「平和の礎」の壮大な景観が、まるで写真のように正確にデジタルデータとして保存されました。
通常、このような高精細な空間データは非常に容量が大きくなり、スマートフォンやパソコンでスムーズに表示することが難しい場合があります。しかし、クラスター独自のプラットフォーム基盤技術により、この高容量のデータを低容量に変換し、最適化することに成功しています。そのため、特別な高性能な機器がなくても、スマートフォンやPCから快適にメタバース空間を体験できるのです。


2. 世界中から同時にアクセスできる「大規模同時接続基盤」
メタバースの醍醐味の一つは、世界中の人々が同じ仮想空間に集まり、交流できることです。クラスターの「大規模同時接続基盤」は、数百人から数千人もの人々が同時に同一の3D空間を共有できる技術です。これによって、多数のユーザーが同じ場所で、遅延を感じることなくスムーズにコミュニケーションを取ることが可能になります。
この技術は、教育現場での集団平和学習、遠方からの共同での慰霊、そして「慰霊の日」に世界中の人々が同時に追悼イベントに参加するといった、場所と時間の制約を超えた追悼と学びの場を提供します。物理的な距離が離れていても、皆で同じ体験を共有できるのは、メタバースならではの大きなメリットです。
3. 外部システムと連携する「高い汎用性」
「平和の礎メタバース」は、単に「平和の礎」を3Dで再現するだけでなく、外部のシステムと柔軟に連携できる高い汎用性を備えています。前述の刻銘者検索システムや、平和学習のデータベースなどとシームレスに接続することで、以下のような実践的な体験が可能になります。
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24万人余りの刻銘の中から、特定の氏名を検索して該当する石碑の場所へ直接移動する。
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平和学習コンテンツと連動し、特定の歴史的背景や人物について深く掘り下げて学ぶ。
このような連携により、物理空間では実現が難しかった、インタラクティブでより深い平和学習コンテンツを提供することができます。単なる仮想空間の散策に留まらず、学びと体験が一体となった複合的なプラットフォームとして機能します。
「平和の礎メタバース」への参加方法
「平和の礎メタバース」への参加は非常に簡単で、特別な機器は必要ありません。以下のステップでアクセスできます。
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「cluster」アプリをダウンロード
スマートフォンやタブレット、PC、VR専用機器など、お使いのデバイスに合わせて「cluster」アプリを事前にダウンロードしてください。
ダウンロードURL: https://cluster.mu/downloads -
アカウント設定と基本操作
アプリ内で表示される名前など、各種設定を行います。アカウント設定後は、基本操作の説明も兼ねた練習画面に移行するので、初めての方でも安心して操作を覚えることができます。 -
「平和の礎メタバース」にアクセス
以下のURLから、各エリアにアクセスできます。
利用料は無料ですので、気軽にアクセスして、新しい平和学習の形を体験してみてください。
メタバースが拓く記憶継承の未来
この「平和の礎メタバース」は、単なる仮想空間の再現に留まらず、戦争の記憶を継承し、平和の尊さを伝えるための強力なツールとなるでしょう。特に以下のような点で、その可能性を秘めています。
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地理的・時間的制約の克服: 世界中のどこからでも、いつでもアクセスできるため、物理的な距離や移動の困難さを解消します。これにより、これまで現地を訪れることが難しかった人々にも、追悼や学習の機会が提供されます。
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没入感のある学習体験: 3D空間ならではの没入感は、書籍や映像だけでは得られない体験を提供します。アバターを通じて自ら空間を探索し、インタラクティブなコンテンツに触れることで、より深く平和について考えるきっかけとなるでしょう。
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多世代間の交流促進: 子どもから大人まで、家族や学校のグループで一緒にメタバースを訪れ、平和学習を行うことができます。特に、デジタルネイティブ世代の子どもたちにとっては、親しみやすい形で歴史に触れる機会となります。
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国際的な平和交流: 世界中の人々が同じメタバース空間に集まり、平和に関する意見交換や交流を行うことで、国際理解の深化にも貢献します。
沖縄県は、今後も体験者の意見を広く収集し、より良いサービス提供に向けた改善に努めていくとしています。意見収集については、県のホームページで詳細が発表される予定です。
沖縄県ホームページ: https://www.pref.okinawa.lg.jp/heiwakichi/jinken/1008269/1008287/1039215.html
クラスター株式会社が描くメタバースの未来
「平和の礎メタバース」を開発・運営するクラスター株式会社は、「あらゆるヒト、モノ、技術をつなげる共創空間のOSをつくる」をビジョンに掲げるテクノロジーカンパニーです。

同社は、独自開発した大規模同時接続基盤を核に、リアルとバーチャルを融合する共創空間インフラを提供しています。製造、建設、教育、国際会議、エンターテインメントなど、多様な業界でその技術が採用されており、スマートフォン、PC、VRなどマルチデバイスに対応しているのが強みです。最大10万人が同時接続できるリアルタイム空間を構築し、多くのIPコンテンツや大型イベントで実績を重ねています。
高い信頼性と拡張性を兼ね備えたBtoB型プラットフォームとして成長を続けるだけでなく、社内に研究所を設置し、ユーザー行動解析、バーチャルAIエージェント、AIによる3D制作自動化などの研究開発も推進しています。外部研究機関や大学との共同研究も積極的に展開し、メタバース技術の進化を加速させています。
クラスター株式会社は、テクノロジーと創造力を融合し、バーチャル体験の未来を切り拓く次世代の社会インフラを創造し続けています。
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クラスター株式会社 コーポレートサイト: https://corp.cluster.mu/
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法人向けビジネスの最前線を知るオウンドメディア: https://metaversebiznews.cluster.mu/
まとめ
沖縄の「平和の礎メタバース」は、戦後80年という節目に、戦争の記憶と平和への願いを次世代に伝えるための画期的な取り組みです。メタバース技術を活用することで、地理的な制約を超えて、世界中の人々がこの大切な場所にアクセスし、追悼し、平和について深く学ぶことができるようになりました。
これは、AIやメタバースといった先進技術が、単なるエンターテインメントだけでなく、歴史の継承や社会貢献にも大きく役立つことを示す好例と言えるでしょう。未来に向けて、このようなデジタル空間が、平和を希求する人々の架け橋となることを期待します。

