ユビタス、京都府舞鶴市とAIデータセンター建設を正式発表
グローバルにクラウドストリーミングおよびAIソリューションを展開する株式会社ユビタスは、2026年1月29日に京都府舞鶴市と立地協定締結式および記者会見を実施し、同市におけるAIデータセンターの建設計画を正式に発表しました。

このプロジェクトは、ユビタスが経済産業省(METI)の大規模成長投資支援策に採択されたことを受け、日本国内で最高クラスのAI GPUセンターを構築する構想の最初の重要なステップです。国、自治体、民間が連携してAI基盤を整備する、先駆的な取り組みとして注目されています。
AIデータセンターとは?なぜ今、日本に必要なのか?
AIデータセンターとは、人工知能(AI)の学習や推論に特化した高性能なコンピューターが集まった施設のことです。特に、AIの計算に欠かせない「GPU(Graphics Processing Unit)」という特殊な半導体チップを大量に搭載しているため、「AI GPUセンター」とも呼ばれます。
AIは、私たちが普段使うスマートフォンの音声アシスタントや、インターネット上の検索エンジン、最近話題の画像生成AIやChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)など、私たちの生活のあらゆる場面で活用されています。これらのAIを開発したり、実際に動かしたりするためには、膨大な量のデータを高速で処理する能力が必要です。AIデータセンターは、まさにその「脳」となる部分であり、AI技術の発展には不可欠な存在です。
日本が国際的なAI競争力を高め、経済成長を推進するためには、このような高性能なAI計算基盤を国内に整備することが喫緊の課題となっています。今回のユビタスの取り組みは、その課題解決に向けた重要な一歩と言えるでしょう。
舞鶴市AIデータセンター:日本の次世代AI基盤を支える拠点
ユビタスが舞鶴市に建設するAIデータセンターは、約2.3ヘクタールの敷地を活用し、自治体の支援も受けながら整備される予定です。
段階的な整備計画
このデータセンターは、一度にすべてを建設するのではなく、段階的に整備が進められます。
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第1フェーズ(Phase 1): 中規模のデータセンター整備を中心に、AI計算基盤の土台となる主要な設備と、それを安定して運用するための体制を構築します。
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第2フェーズ(Phase 2): 将来的な生成AIや大規模言語モデルの進化、そしてそれに伴う計算需要の増加を見据え、より大規模な拡張を行います。これにより、中長期的に増え続けるAIの計算ニーズに対応できる柔軟な基盤を目指します。
完成目標
工事は2026年半ばに着工が予定されており、2027年内には主要な整備が完了することを目指しています。
NVIDIA BlackwellとNeoCloudによる次世代AI計算基盤
この舞鶴市AIデータセンターの最大の特徴は、最先端の技術が導入される点です。
NVIDIA Blackwellアーキテクチャを採用
データセンターには、NVIDIAの最新世代GPUアーキテクチャである「Blackwell」が採用されます。Blackwellは、特に生成AIや大規模言語モデルの学習(AIに知識を教え込むこと)や推論(学習したAIが答えを導き出すこと)に最適化された設計がされており、非常に高い計算性能を発揮します。これにより、これまで以上に複雑なAIモデルの開発や、より高度なAIサービスの提供が可能になります。
ユビタス独自のAIクラウド基盤「NeoCloud」
本施設の計算基盤の中核には、ユビタスが独自に開発する次世代AIクラウド基盤「NeoCloud」が採用されます。NeoCloudには、以下のような特徴があります。
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階層型スケジューリング: 計算資源の割り当てを効率的に管理し、複数のAIプロジェクトが同時にスムーズに実行できるようにします。
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分散処理: 膨大な計算を複数のコンピューターに分散して処理することで、処理速度を大幅に向上させます。
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柔軟なリソース管理: 地域や用途ごとに異なるAIの計算需要に対して、必要な計算資源を動的に(リアルタイムで)最適化し、無駄なく利用できるようにします。
これらの特徴により、NeoCloudは高い計算効率と同時に、データ処理の遅延を最小限に抑えることができます。また、特定の場所に計算資源が集中することによるボトルネック(処理の遅れの原因)や災害リスクを低減し、災害に強く、かつ将来の拡張にも柔軟に対応できるAI計算基盤を実現します。
舞鶴市が選ばれた理由:AI時代における「堅実的な強み」
ユビタスがAIデータセンターの重要な立地として舞鶴市を選定した背景には、同市がAI基盤の整備に求められる複数の構造的な優位性を兼ね備えていることがあります。
舞鶴市は、具体的に以下の特徴を持っています。
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安定した電力供給条件: AIデータセンターは大量の電力を消費するため、安定した電力供給は必須条件です。
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災害リスクを考慮した立地環境: 地震や洪水などの自然災害のリスクが比較的低い地域であることは、高信頼性が求められるAIインフラにとって非常に重要です。
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港湾および物流インフラの充実: 大規模な設備や機器の搬入、および将来的な拡張に必要な物資の輸送において、港湾や物流のインフラが整っていることは大きな利点となります。
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行政と民間が連携しやすい協調的な地域風土: 自治体と企業が協力し、円滑にプロジェクトを進められる環境は、長期的な運用において重要な要素です。
これらの条件を兼ね備えていることから、舞鶴市はAI時代において「堅実的な強み」を持つ都市と言えます。安定性、拡張性、そして長期的な運用が同時に求められるAIデータセンターの立地として、舞鶴市は高い適性を持っているのです。このデータセンターは、ユビタスが推進する地域分散型のGPU基盤整備においても中心的な役割を果たす拠点となるでしょう。
日本政府との長期的AI連携:モデル開発から基盤構築へ
今回の舞鶴市でのプロジェクトは、ユビタスがこれまで日本で推進してきたAI戦略の延長線上に位置付けられます。ユビタスは、AIモデルの開発と計算基盤の構築という「両輪」でAIエコシステムの成長を牽引しています。
2024年:METI「GENIAC」採択による大規模言語モデル開発
ユビタスは、経済産業省(METI)のGENIACプログラムのもと、日本語、繁体字中国語、英語に対応する4050億パラメータ(405B)の東アジア向け大規模言語モデルを開発してきました。このモデルは、文化、観光、教育といった分野での応用が進められています。
2025年:観光・文化分野向けAI言語モデルの実装
開発された大規模言語モデルを基盤として、京都府舞鶴市ではAIバーチャルガイド「チョキまる」が導入されています。チョキまるは、多言語でのリアルタイム案内、Q&A対応、翻訳サービスを提供し、地域の観光をより高度で便利なものにすることに貢献しています。
2025年:クロスリージョンGPU基盤(NeoCloud)の推進
ユビタスは、NeoCloudを通じて、地域に分散された柔軟なGPU計算環境を構築し、日本全体のAI計算基盤を強化する取り組みを進めています。今回の舞鶴市でのAIデータセンター建設は、このNeoCloud戦略の具体的な具現化と言えます。
今後の展望:地域社会への貢献とAIエコシステムの発展
ユビタスは今後、NeoCloudを中核としたAI基盤の整備を通じて、地域に根差した多様な貢献を目指しています。
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雇用創出と人材育成: データセンターの建設・運用や、それに関連するAIサービスの開発を通じて、地域における新たな雇用の創出や、AI技術を持つ人材の育成を促進します。
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地方自治体・企業のAI活用支援: AI計算資源の地域展開により、地方自治体や中小企業がAI技術をより手軽に、かつ効果的に活用できる環境を整備します。これにより、地域の課題解決や新たなビジネスチャンスの創出を支援します。
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地方産業の高度化と持続的発展: 観光、文化、教育、医療、企業といった幅広い分野でのAI活用を加速させ、地方産業全体の高度化と持続的な地域経済の発展に貢献していきます。
ユビタスは、「AIモデル開発」と「計算基盤構築」という両輪の戦略により、日本および東アジアにおけるAIエコシステムの長期的な成長を牽引していく方針です。
ユビタスについて
株式会社ユビタスは、NVIDIAから出資を受けている台湾初のテクノロジー企業です。高度なGPU仮想化技術とクラウドストリーミング技術において世界的に高く評価されており、様々な産業分野に向けて、世界水準のクラウドおよびAIソリューションを提供しています。
同社は、台湾大学や東京大学といったトップ大学と連携し、繁体字中国語と日本語に対応したローカライズされた大規模言語モデル(LLM)の研究・開発を推進しています。ユビタスは、以下のような多様なAIGC(AI生成コンテンツ)サービスを展開しています。
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UbiArt: AI画像生成ソリューション
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UbiONE: AIバーチャルキャラクターソリューション
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UbiAnchor: AI搭載バーチャルニュースアンカー
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Ubi-chan(AI VTuber): 生成AI技術を体験できる公式ブランドアンバサダー
また、クラウドゲーム分野のパイオニアとしても知られており、ゲームスタジオ向けにクラウド対応を実現するエンドツーエンドのソリューションを提供しています。さらに、通信事業者による独自のクラウドゲーミングサービスの構築も支援しており、この技術はインタラクティブコンテンツやVRを含むマルチメディア配信にも活用されています。
ユビタスは、最先端のAI技術とクラウド技術で、私たちの未来をより豊かにするソリューションを提供し続けています。今回の舞鶴市でのAIデータセンター建設は、その取り組みをさらに加速させる重要なプロジェクトとなるでしょう。
ウェブサイト: www.ubitus.net

