「半導体」という言葉は、私たちの身の回りにあるスマートフォンやパソコン、家電製品、自動車など、あらゆる電子機器の頭脳として欠かせない存在です。この半導体産業において、日本有数の製造拠点として発展してきた熊本県が、新たな技術とビジネスの創出を目指し、ピッチイベント「Kumamoto Semiconductor Venture Pitch 2025-2026」を開催します。
この度、厳正な審査を通過した「ビジネスプラン枠」6組と「学生アイデア枠」4組のファイナリスト、合計10組が決定しました。彼らは、2026年2月26日(木)に熊本城ホールにて、それぞれの革新的なアイデアやビジネスプランを発表します。このイベントは、半導体分野での起業を目指す人々を支援し、「半導体で起業するなら熊本」というブランドを確立するための重要な取り組みです。

熊本が半導体産業の新たな拠点となる背景とイベントの目的
熊本県は、1960年代に大手半導体企業が進出して以来、関連企業が数多く集積し、日本でも有数の半導体製造拠点として発展してきました。現在では、半導体関連産業の製造品出荷額や就業者数が県内で最大規模を誇るまでになっています。特に、世界的な半導体メーカーであるTSMC(台湾積体電路製造)の進出は、熊本県の半導体産業にさらなる大きな成長をもたらすと期待されています。
しかし、これまでの産業構造は大手企業への依存度が高く、新しい産業や雇用の創出が課題となっていました。そこで熊本県は、この課題を解決するため、熊本大学や県内企業と連携し、半導体技術の開発や人材育成に力を入れています。さらに、半導体技術と他の産業を結びつけることで、新しいベンチャー企業を創り出すことにも重点を置いています。
「Kumamoto Semiconductor Venture Pitch 2025-2026」は、このような取り組みの一環として開催されます。このイベントの目的は、半導体分野での起業を目指すチャレンジャーを支援し、熊本が半導体イノベーションの中心地となることを目指すものです。
「Kumamoto Semiconductor Venture Pitch 2025-2026」の開催概要
この注目のイベントは、2026年2月26日(木)に熊本城ホールで開催されます。半導体分野の最新トレンドから、未来を担うビジネスアイデアまで、多岐にわたるプログラムが用意されています。
開催日時:2026年2月26日(木) 13:00 〜 18:00(交流会は18:00から)
会場:熊本城ホール(熊本県熊本市中央区桜町3-40)
主催:熊本県
運営:有限責任監査法人トーマツ
協力:くまもと半導体グリーンイノベーション協議会
特設サイト:https://kumamoto-svp.studio.site/
プログラム内容
当日は、ファイナリストによる熱気あふれるピッチだけでなく、半導体業界の最新トレンドを学ぶことができるレポートや、著名な専門家による基調講演、そして企業間の交流を深めるためのブース出展などが予定されています。詳細なプログラムは以下の通りです。
-
13:00〜 オープニング:イベントの幕開けです。
-
13:10〜 半導体トレンドレポート:来場者には特典としてレポート資料が配布され、半導体業界の最新動向を深く理解できるでしょう。
-
13:25〜 基調講演:NVIDIA合同会社より、Head of Startup and VC partnershipの松本 美咲氏と、Startup & Ecosystem Community Manager (Japan)のオオセクン アヤ氏が登壇し、半導体分野の未来に関する貴重な知見を共有します。
-
13:45〜 学生アイデア枠 ピッチ:未来を担う学生たちが、半導体技術を活用した革新的なアイデアを発表します。
-
14:45〜 休憩
-
15:00〜 ビジネスプラン枠 ピッチ:具体的なビジネス展開を目指す企業や団体が、その実現可能性と将来性についてプレゼンテーションを行います。
-
16:30〜 企業間交流:各出展ブースにて、参加者や企業、団体が自由に交流し、情報交換を行うことができます。新たなビジネスチャンスが生まれる場となるでしょう。
-
17:30〜 クロージング / 表彰:ピッチイベントの成果発表と、優れたプランへの表彰が行われます。
-
18:00〜20:00 交流会:希望者のみ参加できる有料の交流会です。より深いネットワーキングの機会となります。
未来を創造するファイナリストたち
今回のイベントでは、「ビジネスプラン枠」と「学生アイデア枠」の2部門でファイナリストが選出されました。それぞれの部門で、半導体産業の未来を切り拓く可能性を秘めたアイデアやビジネスプランが発表されます。
ビジネスプラン枠(6組)
ビジネスプラン枠では、半導体の設計、製造・加工、材料といった幅広い分野で、これまでにない新たな価値を生み出す革新的なビジネスプランが募集されました。その中から選ばれた6組をご紹介します。

-
株式会社フローディア/米田 秀樹氏『超低消費電力 AI 回路』
AI(人工知能)の進化に伴い、AIを動かすための電力消費量が大きな課題となっています。株式会社フローディアは、この課題を解決する「超低消費電力AI回路」を提案します。この技術が実用化されれば、AIを搭載したデバイスがより長時間動作したり、環境負荷を低減したりすることに貢献するでしょう。 -
株式会社 LINK-US/吉武 照夫氏『Post-Heat Generation:超音波複合振動による次世代異種金属接合ソリューション』
異なる種類の金属を高い精度で接合する技術は、半導体製造において非常に重要です。株式会社LINK-USは、熱を使わずに超音波の振動を組み合わせることで、高品質な接合を実現する「次世代異種金属接合ソリューション」を発表します。これは、従来の接合方法が抱える問題を解決し、半導体デバイスの性能向上に貢献する可能性を秘めています。 -
TopoLogic 株式会社/佐藤 太紀氏『トポロジカル反強磁性体を用いた超高速低消費電力キャッシュメモリ』
コンピュータの処理速度を決定する重要な要素の一つがメモリです。TopoLogic株式会社は、特殊な性質を持つ「トポロジカル反強磁性体」という新素材を活用し、データの読み書きが非常に速く、かつ消費電力が少ない「超高速低消費電力キャッシュメモリ」の開発を目指しています。これにより、次世代の高速コンピュータやAIシステムが実現するかもしれません。 -
株式会社 匠研磨/江原 弘康氏『統合プロセスによる「CMP 廃液からの溶解シリコン分離・抽出・再利用」の事業化』
半導体製造工程で発生する「CMP(化学機械研磨)廃液」には、多くのシリコンが含まれています。株式会社匠研磨は、この廃液から溶解したシリコンを効率的に分離・抽出し、再利用する技術の事業化を提案します。これは、資源の有効活用と環境負荷の低減に大きく貢献する、持続可能な半導体製造プロセスへの一歩となるでしょう。 -
株式会社ロータス・サーマル・ソリューション/井手 拓哉氏『次世代半導体デバイスの熱処理を解決する新材料』
半導体デバイスは、高性能化するほど発熱量が増加し、この熱をいかに効率良く処理するかが課題となります。株式会社ロータス・サーマル・ソリューションは、この熱問題を解決するための新しい材料を提案します。この新材料は、次世代の高性能半導体の安定稼働や長寿命化に不可欠な技術となるでしょう。 -
熊本大学(Kumamoto University Space-Semi Intelligence Team)/分島 彰男氏『宇宙半導体インテリジェンスハブ@熊本』
宇宙空間という特殊な環境下で動作する半導体は、高い信頼性が求められます。熊本大学のチームは、宇宙環境に耐えうる半導体の開発と、それらを活用したインテリジェンス(知能)システムのハブを熊本に構築する構想を発表します。これは、宇宙産業の発展に貢献するだけでなく、熊本がその中心地となる可能性を示しています。
これらのビジネスプランは、半導体産業における現在の課題を解決し、未来を切り拓くための具体的な提案であり、その実現が期待されます。
学生アイデア枠(4組)
学生アイデア枠では、熊本から発信する豊かな未来を創造するアイデアが募集されました。特に、これまでにない新しいビジネスの創出につながる可能性を秘めたアイデアが高く評価されています。

-
明治大学(HARVEST)/秋田 修氏、水川 祥氏『モノトモ – 思い出のモノと話せる暮らし』
このアイデアは、AI技術を使って、思い出の品物と対話できるような新しい暮らし方を提案するものです。例えば、古いアルバムや記念の品にまつわるエピソードをAIが記憶し、持ち主との会話を通じて語りかけてくれる、といった未来が想像できます。半導体技術が、私たちの生活に感情的な豊かさをもたらす可能性を示しています。 -
熊本大学(SMOXs)/後藤 隼平氏、藤森 大志氏『高純度ナノ酸化物で拓く次世代半導体ガスセンサ』
ガスセンサは、空気中の様々なガスを検知する重要なデバイスです。熊本大学のチームは、非常に純度の高いナノサイズの酸化物を用いることで、より高精度で信頼性の高い「次世代半導体ガスセンサ」を開発するアイデアを発表します。これは、環境モニタリングや医療分野など、幅広い応用が期待されます。 -
立命館アジア太平洋大学 × 大分大学(NexGAN)/Shashwat Tiwari氏、Asser Makarem氏、Tayza Thiha氏、Bijoy Jabbar氏、岡野 鼓汰郎氏、木下 雄斗氏『GaNパワー半導体で世界のエネルギー革命を牽引し、熊本を技術発信地へ』
GaN(窒化ガリウム)は、従来のシリコンに代わる次世代のパワー半導体材料として注目されています。このチームは、GaNパワー半導体の開発と普及を通じて、世界のエネルギー効率を向上させる「エネルギー革命」を牽引し、その技術発信地として熊本を位置づける壮大なビジョンを提案します。エネルギー問題の解決に貢献する可能性を秘めたアイデアです。 -
有明工業高等専門学校(サーキットデザインGirls)/下川 麻亜氏『高専から広げるサーキットデザイン教育~「高専サーキットデザインコンテスト」の提案~』
半導体の設計(サーキットデザイン)は専門的な知識が必要とされます。このアイデアは、高等専門学校(高専)の学生を対象とした「サーキットデザインコンテスト」を開催することで、次世代の半導体技術者を育成し、半導体教育を広めることを目指しています。未来の半導体産業を支える人材育成に焦点を当てた、社会貢献性の高い提案です。
これらの学生アイデアは、若者ならではの柔軟な発想と、半導体技術への深い理解が融合したものであり、今後の発展が非常に楽しみです。各部門の審査は、肥銀キャピタル株式会社、株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ、ソニーベンチャーズ株式会社、TEL Venture Capital, Inc.、くまもと半導体グリーンイノベーション協議会、株式会社肥後銀行、株式会社熊本銀行、熊本県など、半導体業界やベンチャー投資に精通した機関から選ばれた審査員によって行われます。
観覧申し込みと問い合わせ先
「Kumamoto Semiconductor Venture Pitch 2025-2026」の観覧は無料で、事前申し込みが必要です。半導体産業の最前線に触れる貴重な機会ですので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
観覧申し込み:
2026年2月25日(水)24:00までに、以下のエントリーフォームに必要事項を記入の上、お申し込みください。
https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=8UXaNizdH02vE1q-RrmZIRyAQW0gvjFKrQFTk4L7LVdUMVRMNExXVlg2NUNYRlBTRlVaTDRORFFDMSQlQCN0PWcu
お問い合わせ先:
「Kumamoto Semiconductor Venture Pitch 2025-2026」事務局(有限責任監査法人トーマツ内)
E-mail:kumamoto-svp@tohmatsu.co.jp
まとめ:熊本から世界へ、半導体イノベーションの波を起こす
「Kumamoto Semiconductor Venture Pitch 2025-2026」は、熊本県が半導体産業の新たなハブとなるための重要なステップです。このイベントを通じて、革新的な技術やビジネスアイデアが生まれ、それが世界の半導体産業に大きな影響を与えることが期待されます。ファイナリストたちの情熱的なプレゼンテーションや、NVIDIA合同会社による基調講演は、参加者にとって未来の半導体産業を肌で感じる貴重な体験となるでしょう。
熊本の地から、半導体技術とビジネスの新たな融合が始まり、世界をリードするイノベーションが次々と生まれてくることでしょう。このイベントは、その可能性を秘めた第一歩であり、今後の熊本の発展に注目が集まります。

