電動化・自動運転開発を加速!東陽テクニカが中国市場で展開する「ROTOTEST® Energy™」とVILS統合システムを徹底解説

現代の自動車産業は、電動化、自動運転、そして先進運転支援システム(ADAS)といった技術革新により、かつてないスピードで進化しています。これらの先進モビリティ技術の開発は、私たちの生活をより豊かで安全なものに変える可能性を秘めていますが、その一方で、車両の性能評価や試験はますます高度化・複雑化しています。

開発現場では、いかに効率的かつ正確に試験を行い、開発サイクルを短縮するかが重要な課題となっています。こうした背景の中、株式会社東陽テクニカは、子会社であるRototest International AB(以下、Rototest社)が開発・製造する革新的なハブダイナモメーター「ROTOTEST® Energy™」と、東陽テクニカが培ってきたVehicle In the Loop Simulation(VILS)統合システムを組み合わせたソリューションを、成長著しい中国市場で本格的に展開することを発表しました。

本記事では、この先進的なシステムがどのようにして電動化や自動運転技術の開発を加速させるのか、その詳細をAI初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

ハブダイナモメーター「ROTOTEST® Energy™」とは?

「ROTOTEST® Energy™」は、車両の性能を評価するための非常に重要な計測機器です。自動車の車輪を取り外したハブ部分に直接接続し、車両の動力性能や燃費、排出ガスなどを正確に測定することができます。従来のシャシーダイナモメーター(車体をローラーに乗せて計測するタイプ)とは異なり、車両のハブに直接取り付けるため、より正確な動力伝達効率の測定が可能となります。

青いフォルクスワーゲン車が4台のROTO TEST ENERGY装置に囲まれ、性能試験を受けている様子

このシステムが特に注目される理由は、その効率性と利便性にあります。

  • 大規模な設備工事が不要: 従来の試験設備は大規模な工事が必要となることが多かったですが、「ROTOTEST® Energy™」は比較的コンパクトで、既存の施設でも導入しやすいという特長があります。

  • 短時間でのセットアップ: 試験時にはわずか20分程度で車両への設置が完了するとされており、これにより試験準備にかかる時間を大幅に削減できます。

  • 実車走行の再現性: 施設内で実車が走行しているかのような状況を再現できるため、開発者は実際の道路状況に近い環境で様々な試験を行うことが可能です。これにより、開発サイクルの短縮に大きく貢献します。

Rototest社は1988年にスウェーデンで設立され、この「ROTOTEST® Energy™」の開発・製造を手掛けてきました。2023年11月には東陽テクニカの完全子会社となり、その技術力がさらに広く活用されることになります。

Rototest International AB Webサイト:
https://rototest.com/

VILS統合システムが切り拓く先進モビリティ開発

「Vehicle In the Loop Simulation(VILS)」とは、実車両とシミュレーション環境を連携させ、より現実的な条件で性能評価や試験を行う技術です。AI初心者の方にとっては少し難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば「本物の車」と「コンピューター上の仮想世界」をリアルタイムでつなぎ合わせることで、開発効率を飛躍的に高めるシステムです。

VILSの仕組み

  1. まず、コンピューター上に道路状況、交通状況、天候、他の車両の動きなど、様々なシナリオをシミュレーションで再現します。
  2. 次に、このシミュレーション環境から得られる情報を、試験中の実車両にリアルタイムでフィードバックします。例えば、シミュレーション上のカーブに合わせて、実車両のステアリングやアクセル、ブレーキに適切な指示が送られます。
  3. 実車両は、その指示に従って実際に動き、その結果(例えば、エンジンの回転数やタイヤのグリップ力など)が再びシミュレーション環境にフィードバックされます。
  4. このサイクルを高速で繰り返すことで、あたかも実車が仮想世界を走行しているかのような試験が可能になります。

VILSのメリット

  • 安全性: 危険な状況や再現が難しい特定のシナリオ(例えば、急な飛び出しや悪天候など)を、安全な施設内で繰り返し試験できます。

  • 効率性: 実際に公道に出て試験を行うよりも、はるかに多くのシナリオを短時間で検証できます。また、天候や交通状況に左右されることなく、いつでも試験が可能です。

  • コスト削減: 試作車の数を減らしたり、試験にかかる燃料費や人件費を削減したりすることができます。

  • 再現性: 同じ条件で何度でも試験を繰り返せるため、結果の比較や原因究明が容易になります。

東陽テクニカはこれまで、このVILS統合システムを自社開発し、日本国内で「ROTOTEST® Energy™」とレーダーターゲットシミュレーターやカメラシミュレーターを組み合わせたソリューションを提供してきました。この豊富な経験と知見が、今回の中国市場での事業拡大の基盤となっています。

先進モビリティ開発が加速する中国市場への本格展開

中国は、世界でも特に電動化車両(EV)や自動運転技術の開発が急速に進む、非常に重要な市場です。この活気ある市場において、効率的で高度な車両試験ソリューションへのニーズはますます高まっています。

東陽テクニカの子会社である東揚精測系統(上海)有限公司(TOYO Corporation China、以下TYC)は、2026年1月よりRototest社の中国における正規代理店として、「ROTOTEST® Energy™」およびVILS統合システムの販売を開始しました。

この取り組みは、Rototest社が持つ車両性能評価技術、東陽テクニカが長年培ってきた計測の知見と経験、そしてTYCが中国国内で築き上げてきた強固な販売網という、グループ全体の強みを融合させるものです。これにより、中国の自動車メーカーや研究機関は、より効率的かつ高精度な開発環境を手に入れることができるようになります。

TYCは、2030年までに「ROTOTEST® Energy™」を10台販売するという具体的な目標を掲げており、中国市場における先進モビリティ開発の加速に大きく貢献していくことが期待されます。

東陽テクニカグループ各社の紹介

株式会社東陽テクニカ

最先端の“はかる”技術のリーディングカンパニーとして、脱炭素/エネルギー、先進モビリティ、情報通信、EMC、ソフトウェア開発、防衛、情報セキュリティ、ライフサイエンス、量子ソリューションなど多岐にわたる事業を展開しています。クリーンエネルギーや自動運転の開発といったトレンド分野への最新計測ソリューション提供や、独自の計測技術を生かした自社製品開発にも注力しています。新規事業投資やM&Aによる成長戦略のもと国内外事業を拡大し、安全で環境にやさしい社会づくりと産業界の発展に貢献しています。

株式会社東陽テクニカ Webサイト:
https://www.toyo.co.jp/

Rototest International AB

1988年にスウェーデンで設立され、ハブダイナモメーター「ROTOTEST® Energy™」の開発・製造を手掛けています。2023年11月に東陽テクニカが全株式を取得し、100%子会社化しました。「ROTOTEST® Energy™」は、大規模な設備投資が不要で、設置時間が20分と効率的に試験開始が可能です。車に直接ハブダイナモメーターをつなげることで車の動力を直接計測し、自動運転やADASのあらゆる試験に対応します。

Rototest International AB Webサイト:
https://rototest.com/

東揚精測系統(上海)有限公司(TYC)

2010年に中国に設立された東陽テクニカの現地法人です。上海、北京、広州を拠点に、東陽テクニカが長年蓄積したノウハウと技術力を活かし、EMC、次世代電池、液晶、車載電子機器などの試験・計測ソリューションを中国のお客様に提供しています。

東揚精測系統(上海)有限公司 Webサイト:
https://www.toyochina.com.cn/

まとめと今後の展望

東陽テクニカグループが中国市場で展開する「ROTOTEST® Energy™」を中心としたVILS統合システムは、電動化や自動運転といった先進モビリティ技術開発における、試験の高度化・複雑化という課題に対し、極めて効果的なソリューションを提供します。大規模な設備投資なしに、短時間で実車走行を再現した高精度な試験が可能となることで、開発期間の短縮とコスト削減に貢献し、中国ひいては世界のモビリティ産業の発展を力強く後押しすることでしょう。

この取り組みは、東陽テクニカグループが持つそれぞれの専門性と強みを結集したものであり、今後の先進モビリティ社会の実現に向けた重要な一歩と言えます。TYCが掲げる2030年までの販売目標達成を通じて、中国市場における先進技術開発の効率化がさらに加速し、より安全で持続可能なモビリティ社会の実現に貢献していくことが期待されます。

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