2025年大阪・関西万博 日本館の舞台裏:最新デジタル技術が描く未来の建築
2025年に開催される大阪・関西万博は、世界中から注目を集める一大イベントです。この国際的な祭典において、日本の技術と文化を世界に発信する重要な拠点となるのが「日本館」です。このような大規模かつ複雑な建築プロジェクトでは、従来の設計手法だけでは対応が難しい場面も少なくありません。そこで、最新のデジタル技術がその真価を発揮しています。
株式会社メタリアルグループの株式会社STUDIO55は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の日本館プロジェクトにおいて、基本設計から実施設計の段階まで、最新のデジタル技術を駆使した設計支援を行いました。この記事では、STUDIO55がどのようにして日本館の設計プロセスを革新的な技術で支援したのか、そしてその中心となるBIMとビジュアライゼーションとは何かを、AI初心者にもわかりやすい言葉で詳しく解説します。
BIM(Building Information Modeling)とは?建築業界の「情報革命」
建築業界におけるデジタル技術の進化の中でも、特に注目されているのが「BIM(Building Information Modeling)」です。BIMは「ビルディング・インフォメーション・モデリング」の略で、直訳すると「建物の情報をモデル化する」という意味になります。
「モデル化」と聞くと、単なる3Dの立体モデルを想像するかもしれません。しかし、BIMはそれだけではありません。BIMは、建物の形状や寸法といった幾何学的な情報に加えて、材質、構造、性能、コスト、工期、設備、維持管理方法など、建物のライフサイクル全体に関わるあらゆる情報を統合した「情報モデル」を構築するプロセスと、その情報モデルそのものを指します。
BIMがもたらす革新的なメリット
BIMが建築プロジェクトにもたらすメリットは多岐にわたります。
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情報の統合と一元管理
例えば、建物の壁一つをとっても、その形状、厚み、材質、断熱性能、防火性能、仕上げ、さらにその壁を作るためのコストや施工にかかる時間など、非常に多くの情報が存在します。BIMでは、これらの情報を3Dモデルの各要素に紐付けて一元的に管理します。これにより、設計者はもちろん、施工者や設備担当者、発注者など、プロジェクトに関わる全ての関係者が常に最新かつ正確な情報を共有できるようになります。 -
設計効率の向上と手戻りの削減
従来の2D図面では、設計変更があった場合に、関連する全ての図面を手作業で修正する必要がありました。しかし、BIMでは情報モデルに変更を加えると、関連する全ての情報(図面、数量、コストなど)が自動的に更新されます。これにより、設計作業の効率が大幅に向上し、設計ミスや手戻りを劇的に削減することができます。特に大規模なプロジェクトでは、この効率化が工期短縮やコスト削減に直結します。 -
コストと工期の正確な予測
BIMモデルには、各部材の数量やコスト情報も含まれているため、設計段階から建物の総工費をより正確に予測できます。また、施工シミュレーションを行うことで、工程上の問題点を事前に発見し、最適な工期計画を立てることが可能になります。 -
関係者間の円滑なコミュニケーション
BIMの3D情報モデルは、専門知識がない人でも建物の全体像を直感的に理解しやすくします。これにより、設計者とクライアント、あるいは異なる専門分野の担当者間でのコミュニケーションが円滑になり、認識のズレや誤解を防ぐことができます。これは、複雑なコンセプトを持つ万博のパビリオン設計において特に重要な要素となります。
このように、BIMは単なる設計ツールではなく、建築プロジェクト全体の生産性と品質を高めるための強力なプラットフォームとして、現代の建築業界に不可欠な技術となっています。
ビジュアライゼーション(CGによる可視化)とは?未来の姿を「見える化」する技術
BIMと並んで、建築プロジェクトにおいて重要な役割を果たすのが「ビジュアライゼーション」、つまりCG(コンピューターグラフィックス)による「可視化」の技術です。設計図面やBIMモデルがどれだけ詳細であっても、最終的な建物の姿や空間の雰囲気は、専門家でなければ完全に想像することは難しいものです。
ビジュアライゼーションは、まだ存在しない建物の完成イメージを、まるでそこに実物があるかのようにリアルに表現する技術です。具体的には、建物の外観や内装、使用される素材の質感、時間帯による光の当たり方、周囲の環境との調和などを、高精細なCG画像や動画として作成します。
ビジュアライゼーションがもたらす効果
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完成イメージの共有と合意形成
ビジュアライゼーションによって、設計者はクライアントや関係者に対し、建物の完成形を視覚的に、かつ具体的に提示することができます。これにより、言葉や2D図面だけでは伝わりにくいデザインの意図や空間の魅力を明確に伝え、関係者間での共通理解を深め、スムーズな合意形成を促します。特に、大規模な公共施設や文化施設では、多くの人々が利用するため、視覚的な分かりやすさが非常に重要となります。 -
デザインレビューの効率化
設計段階でCGを用いて完成イメージを共有することで、デザイン上の問題点や改善点を早期に発見しやすくなります。例えば、ある空間に設置する展示物がどのように見えるか、照明がどのような効果を生むかなどを事前にシミュレーションし、最適なデザインを追求することができます。 -
広報・プロモーションへの活用
万博のようなイベントでは、建設前からその魅力を世界に発信する必要があります。高品質なCGパースやアニメーションは、建物のコンセプトやデザインの美しさを効果的に伝え、来場者の期待感を高めるための強力なツールとなります。 -
VR(仮想現実)/AR(拡張現実)との連携
さらに進んだビジュアライゼーション技術では、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)と連携することで、設計中の建物の中を実際に歩いているかのような体験を提供することも可能です。これにより、空間の広さや動線、素材の感触などをよりリアルに体感でき、デザインの検討をより深いレベルで行うことができます。
STUDIO55は、このビジュアライゼーション技術を駆使して、日本館の展示空間や各所のCGパースを製作し、デザインの意図や空間の魅力を鮮明に伝えることに貢献しました。
STUDIO55による日本館プロジェクトへの具体的な貢献
株式会社STUDIO55は、2025年大阪・関西万博の日本館プロジェクトにおいて、日本館展示等コンソーシアム共同企業体(株式会社丹青社/株式会社乃村工藝社)からの受託業務として、多岐にわたる設計支援を実施しました。
具体的な支援内容は以下の通りです。
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全館BIMデータ・作図・修正:日本館全体のBIMデータを作成し、設計変更に伴う作図や修正作業を一貫して行いました。これにより、複雑な日本館のデザインコンセプトが正確にデジタル化され、関係者間での共通理解が深まり、設計プロセス全体の効率化が図られました。
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各所展示パース製作:日本館内の各展示スペースや主要な空間について、高精細なCGパース(透視図)を製作しました。これにより、まだ存在しない展示空間の雰囲気やデザインをリアルに「見える化」し、関係者間でのイメージ共有やデザインレビューを円滑に進めることができました。

STUDIO55の専門知識と最新のデジタル技術が、万博という国際的な舞台で日本の建築技術とデザインを支える重要な役割を果たしたと言えるでしょう。BIMによる詳細な情報管理と、CGによるリアルな視覚化は、プロジェクトの効率的な推進に大きく貢献しました。

なぜ万博建築に最新デジタル技術が不可欠なのか?
万博のパビリオンは、その国の文化や技術を象徴する、革新的で挑戦的なデザインが求められることが多いです。そのため、一般的な建築物とは異なる、特有の課題を抱えています。
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複雑なデザインの実現と検証
万博のパビリオンは、しばしばユニークで複雑な形状や構造を持っています。例えば、日本館も木材を多用した繊細かつ大胆なデザインが特徴です。BIMやビジュアライゼーションは、こうした複雑な形状や構造を正確にデジタルモデル化し、設計段階で実現可能性を詳細に検証するために不可欠です。構造上の問題や干渉などを事前に発見し、設計に反映させることで、手戻りや建設中のトラブルを未然に防ぐことができます。 -
関係者間の円滑なコミュニケーションと合意形成
万博プロジェクトには、設計者、施工者、インテリアデザイナー、展示企画者、コンテンツクリエイター、そして政府関係者や運営主体など、非常に多岐にわたるステークホルダーが関わります。それぞれの専門分野の異なる人々が、共通の理解を持ってプロジェクトを進めるためには、効果的なコミュニケーションが不可欠です。BIMモデルや高精細なCGパースは、言葉や2D図面だけでは伝えきれない情報を視覚的に共有し、誤解を最小限に抑えながら、スムーズな合意形成を促進します。 -
工期とコストの最適化
万博のパビリオンは、開催日までに確実に完成させる必要があり、短期間での建設が求められます。設計変更による手戻りや建設中の予期せぬ問題は、工期の遅延やコストの増大に直結します。BIMは、設計変更の影響をリアルタイムで把握し、資材発注や工程管理に迅速に反映できるため、工期の厳守とコストの最適化に大きく貢献します。これにより、限られた時間と予算の中で、高品質な建築物を実現することが可能になります。 -
持続可能性への貢献
現代の建築プロジェクトにおいて、環境への配慮や持続可能性は重要なテーマです。BIMモデルには、使用される資材に関する詳細な情報も含まれるため、環境負荷の低い材料の選定や、エネルギー効率の高い設計を検討しやすくなります。また、将来的な建物の解体や再利用計画まで視野に入れた設計を行うことで、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献する建築を実現することができます。

これらの理由から、2025年大阪・関西万博の日本館のような、複雑かつ国際的な建築プロジェクトにおいて、BIMやビジュアライゼーションといった最新のデジタル技術は、もはや不可欠な存在となっているのです。
STUDIO55の今後の展望とデジタル技術が描く未来
株式会社STUDIO55にとって、今回の2025年大阪・関西万博日本館プロジェクトでの設計支援は、非常に貴重な経験となりました。国際的なイベントの象徴となる建築物に、自社の持つ最新デジタル技術を適用し、その実現に貢献できたことは、同社にとって大きな実績となるでしょう。
STUDIO55は、この経験を活かし、今後もBIMやビジュアライゼーションといったデジタル技術を最大限に活用し、社会に貢献する建築プロジェクトを支えるソリューションを提供していく方針です。建築業界全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中、STUDIO55のような専門企業が果たす役割はますます大きくなるでしょう。
同社のPURPOSE(存在意義)である「Support Your Design」は、「世界中のデザインを見える化し、地球と社会と人々の心に優しさと豊かさを創造していく」というものです。このPURPOSEに基づき、クライアントのデザインデータ、建設・建築データ、そして仮想現実(メタバース)の「見える化」を通じて、未来の建築と社会の発展に貢献していくことが期待されます。

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)概要
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テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)
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開催期間:2025年4月13日~10月13日
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開催場所:大阪 夢洲(ゆめしま)
株式会社STUDIO55について
株式会社STUDIO55は、建築設計、BIMコンサルティング、CG/VRを手掛ける企業です。
「Support Your Design」をPURPOSEとし、クライアントの『デザインデータの見える化』『建設・建築データの見える化』『仮想現実の見える化』=メタバース の実現に取り組んでいます。
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所在地:東京都渋谷区渋谷一丁目3番9号 ヒューリック渋谷一丁目ビル7階 CROSSCOOP内
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代表者:代表取締役:木村 宏樹
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設立:2006年8月
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事業内容:デジタルソリューション事業、BIMサポート事業、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業、UXデザイン事業、ソフトウェアセールス事業、BIMプラットフォーム事業
まとめ
2025年大阪・関西万博の日本館は、最新のBIMとビジュアライゼーション技術によって、その複雑な設計と美しいデザインが実現されました。株式会社STUDIO55の貢献は、デジタル技術が現代建築にもたらす計り知れない可能性を明確に示しています。
これらの技術は、単に設計を効率化するだけでなく、プロジェクトに関わる人々のコミュニケーションを円滑にし、より高品質で持続可能な建築物を生み出すための強力な基盤となります。未来の建築プロジェクトにおいて、BIMやビジュアライゼーションといったデジタル技術がさらに進化し、私たちの生活を豊かにする、より革新的な空間が生まれることに期待が高まります。

