AIとARで探る!男性の顔印象に潜む世代・国籍ごとの美意識の多様性
近年、男性の美容への関心は急速に高まっており、スキンケアやメイクアップ製品の市場は拡大の一途をたどっています。SNSの普及により、世界中の美容情報やトレンドに誰もが瞬時にアクセスできるようになり、「美容は女性のもの」という固定概念が薄れてきたことが背景にあります。しかし、このような変化の中で、男性の顔印象が年齢や国籍によってどのように異なるのか、また、理想の顔に近づくためにはどのようなアプローチが求められるのかについては、これまで十分に解明されていませんでした。
このような状況の中、株式会社ファイントゥデイは、AI(人工知能)とAR(拡張現実)という最先端の技術を活用した新しい手法を開発し、男性の顔印象に関する国別・世代別の大規模な研究を実施しました。この画期的な研究成果は、2025年9月に開催された第27回日本感性工学会と、同年11月の第30回日本顔学会で発表され、大きな注目を集めています。
AIとARって何?顔印象研究を革新するデジタル技術を徹底解説!
今回の研究の根幹をなすのが、AIとARという二つのデジタル技術です。AI初心者の方にも分かりやすく、それぞれの技術がどのように顔印象研究に応用されたのかを詳しく見ていきましょう。
AI(人工知能)とは?
AI(Artificial Intelligence)は、人間の知的な活動をコンピューターで模倣する技術の総称です。具体的には、学習、推論、判断、問題解決、言語理解、画像認識といった能力をコンピューターに持たせることを目指します。
今回の研究では、AIが顔の画像を解析し、目、鼻、口、眉といった顔の各パーツの形状、大きさ、位置などを正確に認識・分析する能力が活用されました。これにより、人間の目では捉えにくい微細な顔の要素の変化を数値として客観的に捉え、データとして蓄積することが可能になります。
AR(拡張現実)とは?
AR(Augmented Reality)は、「拡張現実」と訳され、現実世界にデジタル情報を重ね合わせる技術です。スマートフォンのカメラを通して現実の風景を見ると、そこにバーチャルのキャラクターが現れたり、自分の顔にデジタルメイクが施されたりするアプリなどが身近な例として挙げられます。
株式会社ファイントゥデイの研究では、このAR技術が「シミュレーションツール」として応用されました。被験者が自身の顔や提示された顔画像に対し、AR技術を使ってリアルタイムで顔のパーツ(目、瞳、鼻、口、眉)の形や大きさ、位置などを感覚的に調整できる仕組みです。これにより、被験者は「こうなりたい」という理想の顔印象を、実際にメイクや整形をすることなく、その場で即座に可視化することができました。従来のアンケート調査では難しかった、具体的な「変容アプローチ」を直感的に、かつ客観的なデータとして収集できる点が、この新手法の大きな特徴です。
研究内容の詳細:世代と国籍で異なる「理想の顔」へのアプローチ
今回の研究は、大きく二つの実験から構成されています。それぞれの実験がどのような目的で行われ、どのような結果が得られたのかを詳しく見ていきましょう。
実験①:他者顔に対する印象ごとの変容アプローチ – 世代別の検討
この実験では、他者の顔を特定の印象に変える際に、世代によってどのようなアプローチの違いがあるのかを探りました。
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被験者:20歳から49歳までの日本人男女65名が参加しました。
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内容:被験者には、20代から40代の男性の顔画像が3枚ランダムに提示されました。そして、先ほど説明したシミュレーションツールを使い、提示された顔画像を「かっこいい印象」と「親しみやすい印象」に変容させるよう指示が出されました。被験者は、「目」「瞳」「鼻」「口」「眉」の形や大きさ、位置などを自由に調整しました。
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結果:
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「かっこいい印象」を求める指示に対しては、世代間で明確な違いが見られました。
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40代の被験者は、眉の角度をしっかりさせ、太さを出す傾向がありました。
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一方、20代と30代の被験者は、眉の左右の距離、そして眉と目の距離を近づけ、顔のパーツ全体を顔の中心に寄せるような変容を好む傾向がありました。
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「親しみやすい印象」を求める指示に対しては、被験者の世代が上がるにつれて、目を丸くし、眉の形をなだらかにする傾向が確認されました。
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さらに、「かっこいい印象」と「親しみやすい印象」では、それぞれに寄与する瞳の色も異なっていました。
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これらの結果から、目や眉の形、そして瞳の色といった目元の変容が、他者に与える顔印象に強く影響することが明らかになりました。

図1:各世代の「かっこいい印象」に対する変容特徴を反映し、AIで生成した男性顔をシミュレーションツールで特徴的に変化させたイメージ画像。20代・30代は特定パーツのサイズ変更ではなく各パーツの配置を近づけたのに対して、40代は目を大きくさせ、眉の角度を高くした。
この図1は、各世代が「かっこいい」と感じる顔の変容を具体的に示しています。20代・30代が顔のパーツ配置を全体的に近づけることで印象を変えようとするのに対し、40代は目や眉といった特定のパーツの形そのものを変えることに焦点を当てていることが見て取れます。これは、世代によって「かっこよさ」に対する認識や、それを表現するアプローチが異なることを明確に示唆しています。
実験②:自己顔に対する理想の顔への変容アプローチ – 国別の検討
次に、自分の顔を「理想の自己顔」に変える際に、国籍によってどのようなアプローチの違いがあるのかを検証しました。
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被験者:20歳から59歳までの日本人男性122名と、ベトナム人男性32名が参加しました。
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内容:被験者自身の顔画像を撮影し、実験①と同様にシミュレーションツールを用いて「目」「瞳」「鼻」「口」「眉」の形や大きさ、位置などを自由に調整することで、「理想の自己顔」を作成するよう指示されました。
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結果:
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日本人男性は、「理想の自己顔」を作成する際に、鼻を大幅に細くする傾向が見られました。また、目と眉を近づけ、眉の色を茶色に変容させるアプローチを多く選択しました。
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一方、ベトナム人男性は、目を垂れ目にさせる傾向が顕著でした。
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この研究結果は、国籍によって「理想の自己顔」に対する具体的なイメージや、それを実現するための顔パーツの変容アプローチが大きく異なることを示しています。

図2:AIで生成した男性顔に対して、各国の被験者の変容特徴をシミュレーションツールで顕著に変化させたイメージ画像。日本人とベトナム人とで、鼻の細さ、目の角度、目と眉の距離が異なった。
この図2は、日本人とベトナム人男性がそれぞれ考える「理想の自己顔」の特徴的な違いを視覚化しています。日本人男性が鼻の細さや目と眉の距離に変化を求めるのに対し、ベトナム人男性は目の角度、特に「垂れ目」にすることに重点を置いていることが明確に見て取れます。これは、文化的な背景や美意識の違いが、顔の印象形成に大きく影響していることを示唆しています。
研究結果が示唆すること:多様な美意識とパーソナライズされた美容の未来
今回の二つの実験から得られた知見は、男性が求める顔印象とその具体的な変容アプローチが、評価する側の世代や国籍によって大きく異なるという重要な事実を明らかにしました。
この違いは、単に「見た目の好み」という表面的なものではなく、「どのように見られたいか」「どう見せたいか」といった個人の心理的要因が深く関係していると考えられます。さらに、それぞれの世代や国が持つライフスタイル、流行、メディアの影響といった社会的・文化的な背景から形成される「美意識」が、理想の顔印象へのアプローチに強く影響していることを示唆しています。
このことは、男性美容市場において、画一的な製品やサービスを提供するのではなく、一人ひとりの多様な価値観や「なりたい自分」に寄り添った、よりパーソナライズされたアプローチが今後ますます重要になることを意味しています。AIとAR技術を活用することで、これまで数値化しにくかった「美意識」の具体的な傾向を捉え、個別のニーズに応える製品開発や美容アドバイスが可能になるでしょう。
今後の展望:ファイントゥデイが描く男性美容の未来
株式会社ファイントゥデイは、「世界中の誰もが、素晴らしい一日を紡ぎ、いつまでも美しく、豊かな人生を送れるようにすること」というパーパス(存在意義)を掲げ、活動しています。このパーパスのもと、同社は男性向けブランド「uno(ウーノ)」や制汗デオドラントブランド「エージーデオ24メン」などから、男性の「自分らしい魅力」を引き出す革新的な製品を世に送り出してきました。
今回の研究で得られた、世代や文化によって異なる多様な価値観に関する知見は、今後の製品開発において非常に重要な指針となります。ファイントゥデイは、この知見を活かし、一人ひとりの「なりたい自分」に寄り添う、よりパーソナルな製品やサービスの提供を目指していくことでしょう。
AIやARといった先進技術が、私たちの美意識や美容習慣に新たな可能性をもたらす時代。男性美容市場は、これからも多様化と進化を続け、一人ひとりが自分らしく輝ける未来を築いていくことでしょう。
関連情報
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関連ニュース: AI・AR技術を用いた顔印象の評価手法を新開発: https://www.finetoday.com/jp/news/newsrelease/2025121701/
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公式ウェブサイト: https://www.finetoday.com/

