H2Corporation、米最大級VC「NEA」からプレシリーズA資金調達でグローバル展開を加速
AIを活用した積算業務の自動化プラットフォーム「AI積算」を提供する株式会社H2Corporation(以下、H2Corporation)が、大きな転換点を迎えました。同社は、米国のNew Enterprise Associates(NEA)をリード投資家として、プレシリーズAエクステンションラウンドの資金調達を実施したことを発表しました。この資金調達には、既存投資家であるSpiral Capital、JAFCO、MetaProp、One Capital、Boost Capitalも参加しています。
NEAは運用資産総額280億ドル(約4兆円)を誇る世界的なベンチャーキャピタルであり、過去にはSalesforce、Databricks、Cloudflareといったテクノロジーの巨人たちを支援してきた実績があります。このような世界的な投資家がH2Corporationに参画することは、同社の技術力と、東京発のスタートアップとして世界市場で戦い得る潜在能力に対する強い信頼の証と言えるでしょう。

建設業界の積算業務が抱える課題とは?
建設業界は、世界経済において最大規模の産業の一つでありながら、デジタル化と自動化が最も遅れている分野として知られています。特に「積算業務」は、建設プロジェクトのコストを算出するための非常に重要なプロセスですが、多くの課題を抱えています。
積算業務とは、建物の設計図や仕様書に基づいて、必要な材料の種類や量、労務費、機械経費などを詳細に計算し、工事全体の費用を見積もる作業のことです。この作業は、専門知識と経験が求められ、非常に複雑で時間のかかる手作業に依存しているのが現状です。
具体的な課題としては、以下のような点が挙げられます。
-
手作業による非効率性: 膨大な量の設計図や仕様書から一つ一つ材料や工賃を拾い出す作業は、非常に手間がかかり、多くの時間と人件費を要します。熟練した技術者でも数日、時には数週間かかることも珍しくありません。
-
ヒューマンエラーのリスク: 手作業が多いため、計算ミスや拾い出し漏れといったヒューマンエラーが発生しやすく、これがプロジェクト全体のコスト増加や工期の遅延につながる可能性があります。
-
熟練工の不足と技術継承の困難: 積算業務には長年の経験と専門知識が必要ですが、建設業界全体で高齢化が進み、熟練した技術者が減少しています。新たな人材の育成も容易ではなく、技術継承が大きな課題となっています。
-
情報の一元化の欠如: 材料費や人件費、単価などの情報が複数のシステムやファイルに散在していることが多く、最新かつ正確な情報を迅速に参照することが難しい状況です。
-
硬直的な既存システム: 既存の積算システムは、柔軟性に欠け、現場の実情や変化するニーズに合わせたカスタマイズが難しいケースが多く見られます。結果として、システムを導入しても十分に活用されず、結局手作業に戻ってしまうことも少なくありません。
これらの課題は、建設業界全体の生産性低下を招き、ひいてはプロジェクトの品質や収益性にも影響を与えています。長年にわたり「イノベーション」とされてきた取り組みも、多くは既存のスプレッドシートの改良や、使い勝手の悪いレガシーソフトウェアの導入にとどまり、抜本的な解決には至っていませんでした。
H2Corporationの「AI積算」プラットフォーム「AISP」がもたらす変革
H2Corporationが提供する主力製品「AISekisan Platform (AISP)」は、まさにこれらの建設業界が抱える積算業務の課題を根本から解決するために開発されたプラットフォームです。
AISPは、単なる積算の自動化ツールではありません。同社が「AIネイティブ基盤システム(System of Record)」と呼ぶように、企業にとって重要なあらゆる機能が統合され、カスタマイズも可能な、まさに建設業の積算・受発注業務のための基盤システムです。
独自のドメイン特化型AIとは?
H2CorporationのAI積算プラットフォームの核となるのは、同社が独自に保有する「ドメイン特化型AI」です。一般的なAIが幅広い分野に対応するように設計されているのに対し、ドメイン特化型AIは特定の専門分野、この場合は「建設業の積算業務」に特化して学習・最適化されています。
これにより、建設に関する専門用語、複雑な図面情報、材料の特性、工事の工程など、積算業務に不可欠な膨大なデータを深く理解し、高精度な積算を可能にしています。人間の専門家が長年培ってきた知識や経験をAIが学習し、それを超えるような精度と速度で積算を行うことができるのです。
「System of Record」としての機能
「System of Record」とは、企業内の重要なデータを一元的に管理し、信頼できる唯一の情報源として機能するシステムを指します。AISPは、このSystem of Recordとして、積算・受発注業務に関するあらゆる情報を統合管理します。
具体的には、業界最大手の建材・部材メーカー、流通業者、ゼネコン、そして専門工事会社との協業を通じて、最新かつ正確な建材情報、単価情報、工法情報などをデータベース化しています。顧客はAISPを活用することで、数十万件に及ぶ拾い出し・積算業務を処理できるようになります。
これにより、従来のシステムでは実現できなかった圧倒的なスピードとコスト効率で、レガシーシステムからの脱却と業務のデジタル変革を実現できます。積算担当者は、手作業による煩雑な作業から解放され、より戦略的な業務や顧客対応に時間を割くことができるようになります。
驚異的な急成長とグローバル展開への野心
H2Corporationは、この1年で前年比500%の拡大という驚異的な急成長を遂げています。同社の技術は、すでに大手建材メーカーや商社、ゼネコン、サブコンにとって業界標準となりつつあると言っても過言ではありません。しかし、これはH2Corporationが描く未来のほんの序章に過ぎません。
同社のルーツは日本にありますが、創業当初からその視座は日本国内に留まらず、常に世界の建設業界を見据えてきました。今回のNEAからの資金調達は、そのグローバルへの挑戦を本格的に加速させるための確かな第一歩となります。
資金調達の意義と今後の展開
今回調達した資金は、「建設業界の業務効率を10倍にする技術を提供する」というH2Corporationのミッションを加速させるために、以下の3つの柱に沿って活用されます。
- グローバル展開の加速: 特に米国市場に注力し、フォワード・デプロイド・エンジニアリング(顧客現場での技術展開)およびカスタマーサクセス体制を10倍に拡大します。これにより、米国建設市場向けにプラットフォームの提供を強化し、海外での事業基盤を盤石なものとします。
- 製品の圧倒的優位性の確立: 独自のAIモデルとアルゴリズムの有効性をさらに向上させるため、コア研究開発(R&D)により注力します。AISP内の機能セットとモジュールを継続的に拡張し、世界で最も信頼性が高く、成果を生み出すプラットフォームとしての地位を不動のものにします。
- 最高の人材採用: 汎用的な基盤モデルの能力をも凌駕する、難易度の高い技術課題に挑みたいAIエンジニア、ソフトウェアエンジニア、プロダクトマネージャー、そしてグローバルなGo-To-Marketリーダーを積極的に採用します。世界中から優秀な人材を集め、さらなる技術革新と事業成長を目指します。
H2Corporation 代表取締役CEO 川嶋啓嗣氏からのコメント
H2Corporationの代表取締役CEOである川嶋啓嗣氏は、今回の資金調達について次のようにコメントしています。
「創業初日から、私たちはグローバルリーダーになることを前提に会社を創ってきました。私たちが解決しようとしている労働力不足、ワークフローの非効率性、レガシーシステムの制約といった問題は日本特有のものではなく、世界的な課題です。今回NEAの新たな支援を得て、私たちは単なる一国のスタートアップに留まらず、世界の建設産業のバックボーンになるという目標に向けて加速します。」
このコメントからは、同社が抱く世界規模での課題解決への強い意志と、日本発の技術で世界市場をリードしていくという意気込みが伝わってきます。
New Enterprise Associates(NEA) パートナー Andrew Schoen氏からのコメント
リード投資家であるNew Enterprise Associates(NEA) のパートナー、Andrew Schoen氏は、H2Corporationへの期待を次のように述べています。
「H2Corporationは、世界的な建設業界における最も根強い課題の一つである、手作業でエラーが発生しやすく、深刻な労働力不足の中で時間と資源を浪費する拾い出しと見積もりという問題に取り組んでいます。彼らの独自のAIモデルは99%の精度と10倍の効率向上を実現しており、H2は革新的であるだけでなく、近代化を目指す企業にとって不可欠な垂直統合型プラットフォームを構築しました。Hiro(川嶋氏)とTung氏の補完的な専門知識、日本での急速な牽引力、そして米国への明確な拡大経路がH2を世界的なデファクトスタンダードにする位置に付けています。私たちはこのラウンドをリードし、この変革的なテクノロジーを拡大するために彼らと提携できることを大変嬉しく思います。」
このコメントからも、NEAがH2Corporationの技術力、市場への適合性、そしてグローバルな成長可能性を高く評価していることがわかります。特に、99%の精度と10倍の効率向上という具体的な数字が、H2Corporationの技術の優位性を示しています。
H2Corporationについて
H2Corporationは、「日々労働力が失われていく建設業界に対して『業務効率を10倍にする技術を提供する』」というミッションのもと、2020年に設立されました。
現在、同社は100名のエンジニアと技術者からなるグローバルチームとして、日本と世界の建設業のための次世代型拾い出し・見積もりプラットフォームの構築に注力しています。
会社情報はこちらから確認できます。
https://www.h2corporation.co.jp/
今回の資金調達に関する詳細情報は、以下のリンクからもご覧いただけます。
https://www.h2corporation.co.jp/post/nea-investment-announcement
H2Corporationのチームに参加する新メンバーを募集!
H2Corporationは、今後のさらなる成長を共に創り上げていく新たなメンバーを積極的に募集しています。
同社の採用サイトでは、AIエンジニアやソフトウェアエンジニア、プロダクトマネージャーを中心に募集が掲載されていますが、他にも営業・アカウントマネージャーやカスタマーサクセス・サポート、人事など、幅広い職種で随時募集が行われています。
募集一覧はこちらから確認できます。
https://careers.h2corporation.co.jp/
「建築業界に貢献したい!」「AIスタートアップで働きたい!」「H2のメンバーと一緒に成長をつくりたい!」「日本発のグローバル企業を一緒につくりたい!」といった熱意を持つ方は、ぜひホームページのお問い合わせフォームから積極的に連絡を取ってみてはいかがでしょうか。面接希望の旨と、ご経歴や希望のロール等を記載することで、その後のステップがスムーズに進むでしょう。
まとめ
H2Corporationの米最大級ベンチャーキャピタルNEAからの資金調達は、建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるだけでなく、日本発のスタートアップが世界市場でリーダーシップを発揮する可能性を強く示しています。同社の「AI積算」プラットフォーム「AISP」は、建設業界の長年の課題を解決し、業務効率を劇的に向上させる革新的なソリューションです。今回の資金調達を機に、H2Corporationがグローバル展開を本格化させ、世界の建設業界にどのような変革をもたらすのか、今後の動向に注目が集まります。

