はじめに:AIが拓く自治体広報の新時代
近年、社会のデジタル化が急速に進む中で、自治体広報のあり方も大きな転換期を迎えています。これまでの広報は、文字情報が中心で「情報を伝えること」が主眼でしたが、現代においては、住民が「情報を理解し、共感すること」がより強く求められています。この課題に対し、生成AIという最新技術が新たな解決策として注目されています。
生成AIとは、テキストや画像、音声などのデータから、人間が作ったかのような新しいコンテンツを自動で生成する人工知能のことです。例えば、文章から自然な音声を生成したり、テキストの指示に基づいて動画を作成したりすることができます。この技術を広報に活用することで、情報の伝達方法が大きく変わり、より多くの人々にメッセージを届けることが可能になります。
今回ご紹介するのは、富山県南砺市がカスタマークラウド株式会社と連携し、市長の年頭所感を生成AIで動画化した先進的な事例です。この取り組みは、自治体広報のデジタル変革(DX)が「実証実験」の段階から「実際に社会に導入し運用する」という「実装」フェーズへと移行しつつあることを示しています。

富山県南砺市が実践するAI動画広報:首長メッセージの「理解」を促進
富山県南砺市は、田中幹夫市長の年頭所感を生成AIを活用した動画コンテンツとして制作・公開しました。自治体のトップが公式メッセージをAI動画で発信するというこの試みは、自治体広報におけるAI活用の新たなモデルとして、大きな注目を集めています。
AI動画がもたらす広報のメリット
これまで、年頭所感や首長のメッセージは、主に文章で公開されてきました。しかし、情報過多の現代において、文章を読むことに抵抗を感じる人も少なくありません。そこでAI動画を活用することで、以下のようなメリットが期待できます。
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分かりやすさ: 視覚と聴覚に訴えかける動画は、文章に比べて内容が直感的に理解しやすくなります。
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到達力: YouTubeなどの動画プラットフォームを通じて、より広範な層にメッセージを届けることが可能です。
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共感性: 感情やニュアンスを伝えやすい動画は、視聴者の共感を呼び、メッセージへの理解を深めます。
南砺市長の年頭所感AI動画は、以下のリンクから視聴できます。
また、田中市長の取り組みを紹介する動画も公開されています。
地方創生・SDGs・デジタルインフラを首長自ら発信
田中市長は年頭所感の中で、南砺市が目指す「一流の田舎」という将来像を具体的に語っています。その内容は、SDGs未来都市としての取り組み、地域循環共生圏の構築、サーバー誘致を含むデジタルインフラ整備、そして企業誘致など多岐にわたります。これらの施策は、地方から日本全体の競争力向上を目指すものであり、首長自らがAI動画で発信することで、そのビジョンと情熱がより多くの人々に伝わることを目指しています。
南砺市が描く「一流の田舎」ビジョンとデジタル変革
南砺市は、都市の利便性と地方の豊かさを両立させる「一流の田舎」という独自のビジョンを掲げ、文化とテクノロジーを融合させたまちづくりを進めています。
地域の精神文化を軸にしたまちづくり
田中市長は、「利他の心」という南砺市の精神文化を市政の基盤に据え、地域の歴史や風土を尊重したまちづくりを推進しています。世界遺産である五箇山合掌造り集落や、民藝・伝統芸能といった貴重な文化資源を保護しながら、次世代へと継承する姿勢は高く評価されています。
SDGs未来都市としての先進的な挑戦
南砺市は、国から「SDGs未来都市」に選定されており、持続可能な地域モデルの実装に積極的に取り組んでいます。再生可能エネルギーの活用や地域循環共生圏の構築など、環境・経済・社会の側面を一体的に捉えた政策は、地方創生の先進事例として注目を集めています。
デジタルと創造性を活かした地方創生
市内にクリエイタープラザを整備し、映像・アニメーション・デジタル分野の人材や企業の集積を促進しています。さらに、サーバー誘致などのデジタルインフラ整備にも力を入れ、豊かな自然環境と先進的な事業環境を兼ね備える自治体として、その存在感を高めています。
首長自らが発信する開かれた市政
田中市長は、SNSやデジタルメディアを積極的に活用し、市政の考えや地域の魅力を自らの言葉で発信しています。今回のAI動画による年頭所感も、そうした開かれた市政運営の一環であり、自治体広報の新たな可能性を示しています。
自治体DXは「実証」から「実装」へ:実用化が進むAI活用
南砺市のAI動画活用事例は、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流を象徴するものです。これまで多くの自治体では、DXの検討や実証実験にとどまるケースが少なくありませんでした。しかし、この事例は、AI技術が実際の広報活動や運用フェーズへと進み、具体的な価値を生み出し始めていることを明確に示しています。
生成AIの進化は、自治体や企業の業務効率化だけでなく、情報発信の質を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。特に、動画コンテンツの制作は時間とコストがかかるものでしたが、生成AIを活用することで、これまで難しかった動画による情報発信が手軽に行えるようになり、より多様な情報を、より分かりやすい形で住民に届けられるようになっています。
カスタマークラウドの挑戦:AGI駆動開発とグローバルAIエコシステム
今回の南砺市の取り組みを支援したカスタマークラウド株式会社は、2026年を「第二創業元年」と位置づけ、世界に先駆けたAGI駆動開発(AIネイティブ開発)を基盤に、社会インフラへ新たな価値を実装することを目指しています。
AGI駆動開発とは?
AGI(人工汎用知能)駆動開発とは、単なるAIツールの利用にとどまらず、AGIを事業の中核に据え、AIが自律的に開発・運用・改善を行うプラットフォームを構築する開発手法です。これにより、AIプロダクトを継続的に生み出し、産業や組織の現場に明確な変化をもたらすことを目指しています。
カスタマークラウドは、生成AI動画やAIアバター技術を通じて、自治体や企業のトップメッセージ、広報・IR(投資家向け広報)・採用分野における情報発信の高度化を支援しています。今後も、地方創生、自治体DX、デジタルコミュニケーションの分野で、実践的な取り組みを展開していく方針です。
AIアバターによる新年メッセージ特設ページでは、年頭所感をAIアバターで生成・配信する取り組みの概要や公開コンテンツが掲載されています。
カスタマークラウド株式会社の代表取締役社長である木下寛士氏は、2026年を次の成長フェーズと捉え、「AGIを中核とした事業基盤を社会実装の段階まで確立し、その仕組みを社会の中に定着させ、継続的な影響を生み出すフェーズにある」と語っています。AGIはもはや技術的な優位性を競う対象ではなく、事業を拡大させるための前提条件であるという認識のもと、渋谷から世界へ挑戦していく姿勢を示しています。
世界を巻き込むAIの祭典「Global Video Hackathon」
カスタマークラウドは、AI分野における国際的な連携も積極的に推進しています。「Global Video Hackathon 2025」は、世界最大級のAI基盤を提供するBytePlus、次世代AI開発環境のTRAE、そして900万人の会員を擁する世界最大級AIコミュニティWaytoAGIと連携し、世界中のクリエイターやエンジニアが参加する国際AI映像ハッカソンです。

このイベントでは、最先端AI動画生成API「Seedance」を活用し、次世代の映像表現やインタラクティブ動画の制作に挑戦できます。参加者は、Seedance APIを用いて、新しいクリエイティブ手法や独自の映像スタイル、AIを活かした表現を自由に生み出すことが可能です。

主要パートナー企業
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BytePlus(バイトプラス): ByteDanceが培ったAI・データ基盤を世界市場に展開し、企業の生成AI活用を支える次世代クラウドインフラを提供しています。
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TRAE(トレイ): AIによるコード理解・タスク分解・自動実装を実現し、開発生産性を飛躍的に高める新時代のエンジニアリングプラットフォームです。
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WaytoAGI(ウェイトゥーAGI): 世界16地域・900万人規模のエンジニア/クリエイターが集い、国際的なAI教育・開発・研究を牽引するグローバルネットワークです。
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EDDY STREET(エディ・ストリート): トヨタ、ロレアルなどグローバル企業を支援し、動画戦略とブランド構築の両面で世界的実績を持つマーケター集団です。
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AI Dreams Factory(エーアイ・ドリームズ・ファクトリー): 生成AIアプリを量産する次世代クリエイティブ・エコシステムであり、アプリケーション量産ラインと国際開発ネットワークを備えています。
渋谷から世界へ:「第2のビットバレー構想 / Bit Valley 2.0」
カスタマークラウドは、渋谷を拠点にAI産業の「再集積(Re-concentration)」を目指す「第2のビットバレー構想 / Bit Valley 2.0」を推進しています。これは、AI Dreams Factory(AI生産工場)、CC AGI(AGI駆動開発・先進技術の社会実装)、CC連結経営、CCメディア事業、そしてグローバルAIコミュニティとの国際連携といった主要領域を統合し、渋谷発のAI産業エコシステムを再設計する壮大なプロジェクトです。

カスタマークラウドは、BytePlusのグローバル公式パートナーとしてAIクラウドインフラの日本展開を支援し、世界900万人規模のAIコミュニティ「WaytoAGI」との協働を通じて、日米中を含む国際的なAI人材・AI企業の結節点としての役割を強化しています。
代表取締役CEO 木下寛士氏のコメント
「カスタマークラウドは、第2のビットバレーの“震源地”になります。」と木下氏は語っています。日本には世界で勝てる才能が数多く存在するものの、それらを結びつける「器」が不足していたと指摘し、AI生産工場、AGI技術、連結経営、そしてBytePlusなどのグローバルインフラを組み合わせることで、日本のAI産業を「面として再構築する」ことに挑戦すると表明しています。この取り組みが、日本のAI産業に「面白い時代」をもたらす「触媒」となることを目指しています。

木下寛士氏のプロフィール
カスタマークラウド株式会社の代表取締役社長であり、BytePlusのグローバル公式パートナーも務めています。「渋谷から世界へ。」をミッションに、日本のAI産業を再構築するため、米国・中国をはじめとする世界各国のAIエコシステムをつなぐグローバルハブとして事業を展開。AGI、Local LLM、エージェント技術を軸に、AIを企業経営・社会基盤へ取り込む経営者として活動しています。2018年の創業以来、AI・DX支援を通じて、日本の大企業から成長企業まで幅広い変革をリードしてきました。また、AI生産工場の「AI Dreams Factory」をリリースし、AIプロダクトを継続的に生み出す生産体制と、グローバルAIコミュニティを結ぶエコシステムを構築。米国・中国に加え、アジア、アフリカ、その他の国々の大使館やグローバル企業との連携を通じ、日本発のAI産業を世界へ発信しています。2025年11月には「ビットバレー2.0構想」を正式始動し、渋谷を起点に日本のAI産業を“面”として再編し、次世代の産業基盤を創出することに挑戦しています。
カスタマークラウド株式会社について
カスタマークラウド株式会社は、AGI駆動開発を中核に、AIを自律的に開発・運用・改善するAIプラットフォーム企業です。2026年を「第二創業」と位置づけ、技術主導のスタートアップから、資本市場で評価され続けるグローバルAI企業への転換を進めています。AGIを単体プロダクトとしてではなく、産業の中で継続的に価値を生み出す仕組みとして実装し、ARR成長とユニットエコノミクスの改善を前提とした事業モデルを構築。CC AGIを基盤に、AI生産工場・基幹システム向けローカルLLM×金融基盤・スケーラブルな事業設計を展開しています。また、渋谷発の「ビットバレー2.0」構想を起点に、国内外の企業・各国機関と連携し、日本のAI産業をグローバル市場へ直結するエコシステムの構築を推進しています。
主な実績
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日本最大級のカーメーカー・通信会社などへのAI/DX支援実績
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BytePlus公式パートナー(AIクラウドの日本展開を牽引)
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AI Dreams Factory(AI生産工場)展開開始
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CUSTOMER CLOUD Global Video Hackathon 主催
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WaytoAGI(900万人コミュニティ)スポンサー
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Startups、自治体、大企業のAI導入設計多数
企業情報
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代表取締役社長: 木下寛士
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住所: 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア
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主なパートナー: BytePlus、Lark
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事業領域:
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AI Dreams Factory(AI生産工場)
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AIクラウド/AGI導入支援
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DX変革支援
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メディア事業
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グローバルAIスタートアップ創出
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イベント/コミュニティ運営(Global Video Hackathon等主催)
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まとめ:AIが社会にもたらす未来
富山県南砺市のAI動画による年頭所感は、自治体広報の新たな可能性を示すだけでなく、生成AIが社会の様々な分野で「実装」フェーズに入りつつあることを明確に示しています。カスタマークラウド株式会社が推進するAGI駆動開発や「第2のビットバレー構想」は、日本のAI産業が世界市場で競争力を高め、新たな社会インフラを構築していくための重要な一歩となるでしょう。AI初心者の方々も、こうした具体的な事例を通じて、AIが私たちの生活や社会にどのような変化をもたらすのかを理解し、その可能性に注目していくことが大切です。AI技術の進化は止まることなく、これからも私たちの想像を超えるような新しい価値を生み出し続けることでしょう。この動きから目が離せません。

