LGエレクトロニクスは、世界最大級の家電・IT見本市である「CES 2026」において、「Innovation in tune with you(あなたと調和するイノベーション)」をテーマに掲げ、最新のAI搭載ソリューションを披露しました。特に注目されたのは、同社が提唱する「Affectionate Intelligence(人に寄り添う知性)」というコンセプトです。この新しいAIは、単に便利な機能を提供するだけでなく、私たちの感情や状況を理解し、まるで心を持つかのように寄り添い、生活の質を高めることを目指しています。本記事では、この革新的なAIが家庭、モビリティ、ライフスタイル空間のあらゆる場所でどのように活躍するのかを、CES 2026での展示内容に基づいて詳しくご紹介します。
LGが提唱する「Affectionate Intelligence(人に寄り添う知性)」とは
「Affectionate Intelligence」とは、LGエレクトロニクスが描く未来のAIの姿を指します。これは、AIが単に指示に従うだけでなく、私たち一人ひとりの状況や感情を「感知」し、その情報を元に「思考」し、そして最適な形で「行動」するという、同社が「Sense-Think-Act」と呼ぶ運用モデルに基づいています。
具体的には、以下のようなプロセスで機能します。
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Sense(感知): AIは、センサーやカメラ、マイクなどを通じて、周囲の環境やユーザーの状態、例えば部屋の温度、明るさ、人の動き、声のトーンなどを詳細に把握します。
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Think(思考): 感知した膨大なデータを分析し、ユーザーの好み、習慣、現在の状況などを深く理解します。これにより、次に何が必要か、どのようなサポートが最適かを自律的に判断します。
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Act(行動): 思考の結果に基づいて、物理的な動作(ロボットが何かを運ぶ、家電が自動で設定を変更する)や、情報提供(最適なコンテンツを提案する、健康状態を通知する)など、具体的なアクションを実行します。
このモデルにより、AIは単なるソフトウェアインターフェースに留まらず、ロボット、家電製品、車両、テレビといった、私たちの生活に密接に関わるあらゆるデバイスに適用され、状況に応じて柔軟に適応するオペレーションを実現します。まるで家族や友人のように、私たちの生活に寄り添い、サポートしてくれる存在となることが期待されています。
CES 2026のLGブース:Innovation in tune with you
LGエレクトロニクスは、CES 2026のブースエントランスに、来場者を迎えるための特別なモニュメント「“In Tune”モニュメント」を設置しました。これは、薄さ約9mmの「LG OLED evo W6」という超薄型テレビ38台で構成されており、各スクリーンが空中に浮かんでいるかのように配置され、一体感のある壮大なキャンバスを創り出していました。個々のスクリーンが協力してダイナミックな映像を映し出すことで、「Innovation in tune with you」というLGのメッセージを視覚的に表現し、来場者に強い印象を与えました。

展示ゾーンは「Living」「Ride」「Viewing」「Entertainment」「Mastery in Tune」の5つで構成され、LGのイノベーションが私たちの多様なライフスタイル空間とどのように調和していくのかを具体的に示していました。
Living in Tune:家事負担をゼロにする未来の住まい
「Living in Tune」ゾーンでは、LGが目指す「Zero Labor Home(家事からの解放)」という未来の住まいが紹介されました。これは、AIホームロボット「LG CLOiD™」を中心に、IoT家電やAIサービスが連携し、ユーザーのニーズを先読みして家事の負担を大幅に軽減する統合されたエコシステムです。この展示ゾーンの中心には「LG CLOiD™」が配置され、3つの異なる家庭シナリオに基づいたデモンストレーションが行われました。
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キッチン: 4人家族の食生活に合わせて、パーソナライズされた食事プランを提案し、調理をサポートします。
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リビングルーム: 活動的な高齢者の健康状態を継続的にモニタリングし、必要に応じてサポートを提供します。
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ランドリールーム: 衣類の種類や状態を識別し、洗濯から乾燥、整理までを自動で管理します。
「LG CLOiD™」は、安全性と信頼性を最優先に設計されており、実際の生活環境の中でスムーズに動作します。デモンストレーションでは、指先の器用さや腕全体の動きといった「LG CLOiD™」の物理的な操作能力に加え、LGのAIホームプラットフォーム「ThinQ™」との連携が強調されました。「ThinQ UP」と「ThinQ Care」といったソリューションも紹介され、これらが協調的かつ積極的なケアを可能にし、住民のニーズの変化を理解しながら、それに応える暮らしの空間づくりに貢献することが示されました。
また、この展示ゾーンでは、急成長を遂げるロボット市場をターゲットとしたロボットアクチュエータの新ブランド「LG Actuator AXIUM™」も披露されました。アクチュエータとは、ロボットの関節のように動きを生み出す重要な部品です。これらのアクチュエータは、モーター、駆動部、減速機をコンパクトなモジュールに統合しており、LGが家電用モーター設計で培ってきた豊富な経験に基づいて開発されています。「LG Actuator AXIUM™」は、軽量かつコンパクトな設計、高効率、高トルクといった競争優位性を実現する基盤となることが期待されており、ロボット技術のさらなる進化に貢献することでしょう。


Ride in Tune:AIが運転と移動を変える
「Ride in Tune」ゾーンでは、LGが描くSDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェアによって機能が定義される車)と、インテリジェントな車内環境に関するビジョンが共有されました。CES 2026の車載エンターテインメント部門でBest of Innovation Awardを受賞したLGのAI搭載車載ソリューションは、以下の3つのコアシステムによって具体的に実演されました。

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モビリティディスプレイソリューション: 自動運転中に車のフロントガラスをディスプレイとして活用し、リアルタイムの運転情報やMR(複合現実)コンテンツを表示します。これにより、ドライバーはより多くの情報を直感的に得られるようになります。
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オートモーティブビジョンソリューション: 視線計測やドライバーモニタリング、インテリアセンシングといった技術を用いて、ドライバーの注意レベルや乗員の状況を検知します。これにより、安全性を高めるためのアダプティブセーフティ機能や、乗員一人ひとりに合わせたパーソナライズされたインタラクションを実現します。
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車内エンターテインメントソリューション: 自宅で楽しんでいるコンテンツを車内でもシームレスにストリーミングすることを可能にします。これにより、移動中でも途切れることなくエンターテインメントを楽しむことができます。
これらのシステムが組み合わさることで、LGのデバイス搭載型マルチモーダル生成AIプラットフォームは、乗員一人ひとりに最適化された、没入感のある移動体験を提供します。車が単なる移動手段ではなく、個人のための快適な空間へと進化する未来を示していました。

Viewing in Tune:AIで進化するテレビとディスプレイ
「Viewing in Tune」ゾーンでは、LGのテレビとディスプレイ技術がAIによってどのように進化しているかに焦点が当てられました。「LG OLED evo W6」は、新技術「Hyper Radiant Color Technology」によって、これまでにない高画質を余すところなく再現し、ワイヤレス接続がその超薄型「Wallpaper Design」をさらに引き立てています。
また、webOSのAI機能も紹介されました。例えば、「LG Gallery+」というサービスでは、ユーザーの好みに合わせて厳選されたアートや画像を表示し、リビング空間を彩ります。さらに、AIコンシェルジュやAI音声制御といった双方向デモンストレーションでは、自然言語処理とレコメンデーションシステムが、コンテンツの管理やデバイス設定にどのように活用されるかが披露されました。これにより、ユーザーはより直感的にテレビを操作し、自分にぴったりのコンテンツを見つけられるようになります。
新しいフラッグシップモデルとして、「OLED evo G6」と「Micro RGB evo TV」も展示されました。これらには、2種類のAIアップスケーリングを同時に処理する「デュアルスーパーアップスケーリング機能」を持つ「α11 AI Processor Gen3」が搭載されています。これにより、映像のシャープネスが向上し、より自然でバランスの取れた映像が映し出され、鮮明さと没入感が実現された新モデルとなっています。
Entertainment in Tune:ゲーミングとオーディオの新たな地平
「Entertainment in Tune」ゾーンでは、ゲーミングとオーディオの分野におけるLGのAI技術が紹介されました。Redditとのコラボレーションによって設置されたこのゾーンでは、2つのゲーミングセットアップが展示され、LGのワイヤレス有機ELテレビ、高リフレッシュレートパネル、そしてAIアップスケーリングによる低遅延解像度ゲーミング性能が実証されました。
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「OLED evo W6」と「AeroSpeaker」を使用したコンソールゲームのデモンストレーション
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AIアップスケーリング機能搭載のDual Mode(5K2K 165Hz/WFHD 330Hz)をサポートする「UltraGear™ OLED GX9」を使用したPCゲームのデモンストレーション
オーディオ分野では、「xboom Studio」でwill.i.amとの共同開発によるLGの最新xboomオーディオ製品が展示されました。ラインナップには、ステージやライブパフォーマンス環境向けの「LG xboom Stage 501」、大型ポータブルスピーカー「LG xboom Blast」、そしてコンパクトな日常使いスピーカー「LG xboom Mini」と「LG xboom Rock」が含まれます。
スタジオには、will.i.amが開発したインタラクティブなAIラジオ体験「FYI.RAiDiO」をフィーチャーした「The Lab」も併設されました。来場者はAIホストと交流したり、テーマ別のラジオ局に参加したり、音楽、文化、テクノロジーに関するリアルタイムのディスカッションを楽しむことができました。AIがエンターテインメントの体験をどのように豊かにするかを示す、興味深い展示でした。
Mastery in Tune:10周年を迎える「LG SIGNATURE」の進化
「Mastery in Tune」ゾーンでは、LGのプレミアム家電シリーズ「LG SIGNATURE」が、イタリアの高級リビングブランドPoliformとの提携のもと、家具付きのインテリア空間に展示されました。この展示は、家電が単なる機能的な製品ではなく、洗練された生活空間の一部としてどのように溶け込むかを示しています。
LG SIGNATUREの冷蔵庫には、大規模言語モデル(LLM)ベースの会話型AIが搭載されており、まるで人と話しているかのような自然な言葉での対話と、お客様一人ひとりに合わせた提案が提供されます。応答精度は、ユーザーの入力内容や動作条件によって異なる場合がありますが、冷蔵庫が単なる食品の保存庫から、生活のパートナーへと進化する可能性を示しています。
また、「LG SIGNATURE Smart InstaView™冷蔵庫」は、内蔵カメラで収納されている食材を識別し、それに基づいてレシピや代替食材を提案する「ThinQ™ Food」によって、食品管理を効率化します。認識結果は、食品の種類や配置によって異なる場合がありますが、これにより食材の無駄を減らし、日々の献立作成をサポートします。
オーブンレンジには、「Gourmet AI」という機能が搭載されています。これは、オーブン内に搭載されたAIカメラで80種類以上の料理を識別し、最適な調理設定を自動で選択するというものです。さらに「AI Browning機能」は、パンの焼き上がりをモニターし、設定された焼き加減に達すると「ThinQ」アプリに通知を送信します。これにより、誰でも簡単にプロのような仕上がりの料理を作ることができるでしょう。
LGエレクトロニクスは、「“In Tune for Everyone”」と題した専用展示スペースも設け、同社のESGビジョン「Better Life for All(すべての人のより良い生活)」を体現していました。この展示では、あらゆる年齢や能力を持つ人々がLGの家電をより快適に使えるように設計された「コンフォートキット」と、発達障害のある子どもたちが家電の機能や使い方をより深く理解できるように開発された「Easy-to-Read Books」が紹介されました。これは、技術革新が一部の人々だけでなく、社会全体の多様なニーズに応えるために活用されるべきであるというLGの強い姿勢を示しています。
まとめ
LGエレクトロニクスがCES 2026で披露した「Affectionate Intelligence(人に寄り添う知性)」は、単なる最新技術の発表に留まらず、AIが私たちの生活にどのように溶け込み、より豊かで快適な未来を築く可能性を秘めているかを示しました。家庭での家事支援から、移動中の体験、エンターテインメントの楽しみ方、さらには社会貢献に至るまで、AIが「Sense-Think-Act」のサイクルを通じて、私たちの日常をより良いものへと変革していくことでしょう。LGエレクトロニクスの提唱する「人に寄り添う知性」が、今後の私たちの暮らしにどのような影響を与えていくのか、その進化から目が離せません。
展示会情報
LGのCES 2026展示会は、現地時間2026年1月6日(火)から9日(金)まで、米国ラスベガス・コンベンションセンター(ブース番号:15004)で開催されます。
関連リンク
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LGエレクトロニクス グローバルニュースルーム: https://www.lg.com/global/newsroom/search-result/?hashTag=ces-2026
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LGエレクトロニクス・ジャパン公式サイト: https://www.lg.com/jp/

