CES 2026で発表!サイバーリンクとAMDがAIメディア制作の未来を拓く
2026年1月6日、世界最大のテクノロジー見本市「Consumer Electronics Show(CES 2026)」において、マルチメディアソフトウェアのリーディングカンパニーであるサイバーリンク株式会社と、高性能コンピューティングおよびグラフィックス技術のリーダーであるAMDが、革新的な協業を発表しました。この発表は、次世代の「AI PC」がクリエイターや一般ユーザーのデジタル制作体験をどのように変革するかを示すものです。

AI PCとは何か?クリエイティブの未来を担う新世代コンピューター
まず、「AI PC」という言葉に馴染みのない方もいるかもしれません。AI PCとは、その名の通り、人工知能(AI)の処理をパソコン本体の中で直接、高速に行うことができるコンピューターのことです。これまでのパソコンでは、AI処理の多くはインターネット経由でクラウド上の大規模なサーバーで行われることが一般的でした。しかし、AI PCは、CPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理装置)に加えて、「NPU(Neural Processing Unit)」と呼ばれるAI専用の処理装置を搭載することで、AI関連のタスクを格段に速く、効率的に実行できます。
このAI PCの登場により、私たちは以下のような大きなメリットを享受できるようになります。
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処理速度の向上: AI関連の作業が驚くほど速くなります。例えば、複雑な画像加工や動画編集のレンダリング時間が大幅に短縮され、クリエイターはより多くの時間を創造的な活動に充てられるようになります。
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プライバシーとセキュリティの強化: データを外部のクラウドに送る必要がないため、個人情報や機密情報がより安全に保たれます。企業秘密や個人の大切な写真データなどが、外部に流出するリスクを最小限に抑えられます。
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コストの削減: クラウドサービスの利用料を抑えることができます。AI処理を頻繁に行うユーザーにとっては、長期的な運用コストの削減に繋がり、経済的な負担を軽減できます。
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インターネット接続への依存度の低減: オフライン環境でもAI機能を利用できるようになります。インターネット環境が不安定な場所や、セキュリティ上の理由で外部ネットワークへの接続が制限される環境でも、AIの恩恵を受けながら作業を進めることが可能です。
今回のサイバーリンクとAMDの協業は、まさにこのAI PCの可能性を最大限に引き出し、デジタルコンテンツ制作の現場に革新をもたらそうとするものです。
AMD Ryzen™ AI 400シリーズがもたらす圧倒的なパフォーマンス
今回の協業の核となるのは、AMDの最新プロセッサー「Ryzen™ AI 400シリーズ」です。このプロセッサーは、強力なマルチコア性能と、AI処理に特化したNPUを統合しており、AI関連のタスクにおいて飛躍的なパフォーマンス向上を実現します。
CES 2026の会場で行われたデモンストレーションでは、その性能が具体的に示されました。テストデータによると、AI画像解析モデルの読み込み速度は従来のプロセッサーと比較して約2倍に向上したと報告されています。これは、AIが写真や動画の内容を理解し、分類するまでの時間が半分になることを意味します。また、AIによるテキストから画像生成の性能も大幅に改善されており、クリエイターが頭の中のイメージを具体的なビジュアルとして形にするまでの時間が劇的に短縮されることが期待されます。
このような高性能プロセッサーを搭載したAI PCは、これまで時間のかかっていた複雑なAI処理を、まるで通常のパソコン作業のようにスムーズに実行できるようになります。例えば、何百枚もの写真から特定の人物を瞬時に探し出したり、文章の指示だけでユニークなイラストを生成したりといった作業が、ストレスなく行えるようになるでしょう。これにより、クリエイターはインスピレーションを得てから作品を完成させるまでのワークフロー全体を、より効率的かつ創造的に進めることが可能になります。
サイバーリンクのAIソフトウェアがRyzen™ AIでさらに進化
サイバーリンクは、長年にわたりマルチメディアソフトウェアの分野でリーダーシップを発揮してきました。今回のAMD Ryzen™ AI 400シリーズとの連携により、同社の主要AIソフトウェアである「PhotoDirector」と「Promeo」は、その能力をさらに高め、ユーザーに次世代のデジタル制作体験を提供します。
PhotoDirector:AIで写真編集をもっと自由に、もっと速く
「PhotoDirector」は、AIを活用した写真編集ソフトです。写真の編集作業は、これまで多くの時間と専門知識を必要とすることがありましたが、AIの力を借りることで、誰でも簡単にプロフェッショナルな仕上がりを実現できるようになります。
Ryzen™ AI 400シリーズプロセッサーを搭載したAI PCでPhotoDirectorを使用すると、以下の機能がリアルタイムで、よりスムーズに実行されます。
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AIを活用した画像の一括編集: 大量の写真を一度に分析し、色補正やトリミング、明るさ調整などの編集を自動で適用できます。旅行で撮影した何百枚もの写真も、手動で一枚一枚調整する手間なく、あっという間に見栄え良く整えられます。これにより、SNSへの投稿準備やアルバム作成が格段に楽になります。
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背景の置き換え: 写真の被写体だけをAIが自動で高精度に認識し、背景を瞬時に別の画像に置き換えたり、複雑な背景をきれいにぼかしたりできます。まるでプロのスタジオで撮影したかのようなポートレートや、商品画像を自宅のパソコンで手軽に作り出せます。
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エフェクト生成: 写真にアーティスティックなエフェクトやスタイルをAIが自動で提案・生成します。例えば、写真を水彩画風にしたり、特定の感情を表現するフィルターを適用したりすることで、写真の雰囲気をガラリと変えたい時や、新しい表現に挑戦したい時に役立ちます。
これらの機能により、個人の思い出の写真をより魅力的にするだけでなく、プロフェッショナルなフォトグラファーやデザイナーが日常業務で直面する時間のかかる作業も大幅に削減できるようになります。高品質なコンテンツをより短時間で制作できるため、クリエイターの生産性向上に大きく貢献します。
Promeo:AIでマーケティングデザインを効率化
「Promeo」は、ビジネスおよびマーケティング用途に特化したAIを活用したデザインツールです。SNS投稿、広告素材、販促用ビジュアルなど、ビジネスの現場で求められる様々なクリエイティブ素材を、AIの力で高効率かつ迅速に制作できるよう支援します。
Ryzen™ AI 400シリーズプロセッサーとの連携により、Promeoは以下の機能で中小企業やマーケティングチームを力強くサポートします。
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AIを活用した商品画像の生成: 既存の商品写真から、AIがさまざまな背景やシチュエーションを自動で生成します。例えば、シンプルな商品写真から、季節感のある背景や、ターゲット層に響くようなライフスタイルシーンを瞬時に作り出すことが可能です。これにより、撮影コストをかけずに多様なプロモーションビジュアルを多数作り出すことができます。
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豊富なテンプレートとクリエイティブ素材: AIがユーザーのニーズやトレンドに合わせて最適なテンプレートや素材を提案し、デザイン作業をサポートします。デザインの専門知識がなくても、洗練されたビジュアルコンテンツを簡単に作成でき、ブランドイメージを向上させることが可能です。
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迅速なSNS投稿・広告素材制作: AIの高速処理により、SNSのトレンドに合わせてスピーディーにコンテンツを制作・配信できます。季節限定のキャンペーンや突発的なプロモーションなど、マーケティングキャンペーンの即応性が向上し、ビジネスチャンスを逃しません。
Promeoは、マーケティング担当者が日々の業務で直面するデザイン制作の課題を解決し、ブランドイメージの向上と売上拡大に貢献します。
オンデバイスAIがもたらす新たな価値:プライバシーと効率性の両立
今回の協業で特に注目すべきは、「オンデバイスAI」の強みです。オンデバイスAIとは、AI処理をクラウドではなく、ユーザー自身のPC内で完結させる技術のことです。AMD Ryzen™ AIプラットフォームを搭載したAI PCでは、PhotoDirectorやPromeoのAI処理をローカルに実行できます。
このオンデバイスAIには、複数のメリットがあります。
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プライバシーとセキュリティの確保: 画像や動画などの個人データや機密性の高いビジネスアセットを、外部のサーバーに送信することなく、デバイス内に保持したままAI処理を行うことができます。これにより、データ漏洩のリスクを低減し、ユーザーのプライバシーとセキュリティを強固に保護します。特に、企業が顧客情報や未発表の商品画像を扱う際など、セキュリティが重視される場面で大きな安心感を提供します。
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生成コストの低減: クラウドサービスを利用する場合、データの転送量やAI処理の利用時間に応じてコストが発生することが一般的です。しかし、オンデバイスAIであれば、これらのクラウドサービスへの依存を抑えることができるため、長期的に見れば生成コストの削減につながります。特に、AI機能を頻繁に利用するクリエイターや企業にとって、経済的なメリットは大きいでしょう。
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リアルタイム性と応答性の向上: インターネットを介したデータのやり取りには、どうしても遅延が発生します。オンデバイスAIは、この遅延をなくし、AI処理をほぼリアルタイムで実行できます。これにより、ユーザーはより滑らかで高い応答性を実感でき、作業の中断が少なく、集中してクリエイティブな活動に取り組むことができます。
サイバーリンクの共同社長であるVincent Lin氏は、今回の協業について「AMDのグローバルISVパートナーとして、今回の協業は、サイバーリンクがマルチメディアソフトウェア分野で培ってきたリーダーシップを示すとともに、高効率なAIを活用した制作ツールの開発に継続的に取り組んでいる姿勢を改めて示すものです。AMDとともに、世界中のクリエイターに対し、シームレスで高速、かつインテリジェントなデジタル制作体験を提供していきます。」と述べています。
また、AMDでISVエネーブリングを統括するシニアディレクターのJosh Hort氏は、「AMDは、PC上で直接利用できる、高速かつ効率的で使いやすいAI体験の実現に注力しています。サイバーリンクとの協業は、AMD Ryzen™ AIプラットフォームが、クリエイティブ用途からビジネス用途まで、リアルタイムかつオンデバイスでのAI性能をどのように提供できるかを示しています。これにより、ユーザーはデータをローカルで安全に保持したまま、より迅速に制作・改善を重ね、高品質なコンテンツを生み出すことが可能になります。」とコメントしています。
これらのコメントからも、両社が目指す「高速」「効率的」「安全」なAI体験の実現に対する強い意欲がうかがえます。
AI PCが拓く、創造性と生産性の新たな地平
CES 2026での共同デモンストレーションでは、AI PCがさまざまな利用シーンにおいて発揮する汎用性と価値が示されました。AMD Ryzen™ AIプラットフォームを搭載したAI PCは、個人のクリエイティブ作業から、ビジネスにおける業務用途までをシームレスに切り替えることを可能にします。
例えば、ある日には個人の趣味の写真編集にPhotoDirectorを活用し、別の日にはPromeoを使って企業のマーケティング資料を作成するといった使い方が、一台のAI PCで滞りなく行えます。着想から成果物の完成までの一連のワークフローを、クラウドサービスへの依存を最小限に抑えながら、自分の手元で完結できる点は、このAI PCが持つ柔軟性と実用性の象徴と言えるでしょう。これは、複数のデバイスやサービスを使い分ける手間を省き、より直感的で効率的な作業環境を実現します。
このような環境は、クリエイターが新たな表現方法を模索したり、ビジネスユーザーがより効果的なマーケティング戦略を迅速に実行したりする上で、強力な後押しとなります。AI PCは単なる高性能なパソコンではなく、私たちの創造性と生産性を次のレベルへと引き上げるための、新しいパートナーとなるでしょう。AIがもたらす可能性を、誰もが気軽に、そして安全に享受できる時代が到来しつつあります。
今後の展望:AI PCエコシステムの拡大
2026年に向けて、サイバーリンクはAMDをはじめとするパートナー各社と連携し、ハードウェアとソフトウェアを融合したイノベーションを推進しながら、グローバルなAI PCエコシステムの拡大を継続していくとしています。
この協業は、AI技術が私たちの日常生活やビジネスに深く浸透していく中で、パソコンが果たす役割を再定義するものです。AI PCが普及することで、より多くの人々がAIの恩恵を身近に感じ、それぞれの分野で新たな価値を創造できるようになることが期待されます。例えば、教育現場での学習支援、医療分野での診断補助、さらにはエンターテインメントの分野での新しいコンテンツ制作など、AI PCの活用範囲は今後ますます広がっていくでしょう。
CES期間中には、来場者がAMD Connect(The Venetian、Titian Rooms 2302–2305)にてサイバーリンクとAMDの最新の協業展示を体験できる機会が設けられました。この展示は、AIを活用したデジタル制作の新たな可能性を実際に体感できる場となったことでしょう。今後も、両社の取り組みから目が離せません。
サイバーリンクについて
サイバーリンクは、1996年に設立されたデジタルマルチメディア分野における世界的リーダーであり、パイオニア企業です。同社は、優秀なソフトウェアエンジニアによって培われた、コーデックを中心とする多数の特許に裏付けられた技術を所有しています。世界をリードするPCメーカーやドライブメーカー、グラフィックスカードメーカーなど、IT産業のリーダー企業に高い技術を提供し、迅速な製品化に貢献することでその名声を築いてきました。
まとめ
今回のCES 2026でのサイバーリンクとAMDの協業発表は、AI PCがデジタル制作の未来を大きく変える可能性を示しました。AMD Ryzen™ AI 400シリーズプロセッサーの高性能と、サイバーリンクのPhotoDirector、PromeoといったAIソフトウェアの進化が融合することで、クリエイターやビジネスユーザーは、より高速で効率的、そして安全に高品質なコンテンツを制作できるようになります。
AI初心者の方にとっても、AI PCは「難しそう」というイメージを覆し、誰もがAIの恩恵を享受できる身近なツールとなるでしょう。プライバシーを守りながら、創造性を最大限に発揮できる新しい制作環境が、私たちのすぐそこまで来ています。今後もAI PCの進化と、それによって生まれる新たなクリエイティブ体験に注目していきましょう。この技術革新が、私たちの生活やビジネスにどのような素晴らしい変化をもたらすのか、大いに期待が膨らみます。

