- JTBグループ、2035年を見据えた長期ビジョン『OPEN FRONTIER 2035』を発表!
- なぜ今、長期ビジョンが必要なのか?『OPEN FRONTIER 2035』策定の背景
- JTBグループの競争力の源泉「交流創造Intelligence」とは?
- 「ありたい姿」実現に向けた4つの変革ポイント:JTBの未来を形作る柱
- マーケットに合わせた4つの事業戦略区分:顧客価値を最大化するアプローチ
- 2035年に向けた主要財務目標:持続的成長と企業価値向上へのコミットメント
- 「事業」「投資」「人財」の三位一体で推進する変革
- 事業ポートフォリオの変革:グローバル化、非人流・ストック型ビジネスへのシフト
- 投資戦略:優良資産形成と持続的成長のためのサイクル確立
- DEIB・人財戦略:多様性を力に変えるオープンな組織文化
- サステナビリティへの取り組み:持続可能な社会への貢献
- 「JTBソーシャル・コミットメント・プログラム~みらい交流創造基金~」の設立
- 今後の展望:交流の価値を最大化するフロンティア企業へ
- まとめ:JTBグループの挑戦が描く、新しい未来の交流
JTBグループ、2035年を見据えた長期ビジョン『OPEN FRONTIER 2035』を発表!
旅行業界のリーディングカンパニーであるJTBグループが、2035年を見据えた新たな長期ビジョン『OPEN FRONTIER 2035』を策定しました。このビジョンは、激動する社会の中でJTBグループがどのように進化し、未来を創造していくのかを示す、羅針盤のようなものです。単なる旅行会社という枠を超え、高い専門性と洞察力で世界をつなぎ、人々に感動と幸せを提供する「新」交流時代のフロンティア企業を目指す、という壮大な目標が掲げられています。
この長期ビジョンについて、より詳しく知りたい方は、特設サイトをご覧ください。
JTBグループ長期ビジョン OPEN FRONTIER 2035 特設サイト
なぜ今、長期ビジョンが必要なのか?『OPEN FRONTIER 2035』策定の背景
JTBグループがこの長期ビジョンを策定した背景には、私たちが直面している地球規模の大きな変化があります。例えば、気候変動のような環境問題、少子高齢化といった人口構造の変化、そして何よりも、ChatGPTに代表される生成AI技術の急速な進展です。
これらの変化は、私たちの「移動」「情報・データの活用」「意思決定」といった日々のプロセスを根本から変え、社会システム全体の再構築を促しています。特に、人と人、地域、組織のつながり方、つまり「交流」のあり方は大きく変化しています。既存のビジネスモデルでは対応しきれない状況が生まれる一方で、AIがビジネスを創出する時代において、「交流」は社会的な価値を生み出す上で、これまで以上に重要な役割を担うようになっています。
JTBグループは、このような社会の変化を深く見つめ、未来の社会に貢献するために、企業としての「ありたい姿」を明確にする必要性を感じ、今回の長期ビジョン策定に至りました。

JTBグループの競争力の源泉「交流創造Intelligence」とは?
JTBグループは、これからの時代を生き抜く企業競争力の中核として「交流創造Intelligence」を位置づけています。これは、同社が114年もの長きにわたり培ってきた「洞察力」と「専門性」を掛け合わせ、さらに高度化させたものです。
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洞察力(INSIGHT): 市場の動きを予測する力、必要な情報を集める力、そしてお客様一人ひとりのニーズを深く理解する力を指します。これらは、未来を見通し、最適なソリューションを導き出すために不可欠な能力です。
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専門性(EXPERTISE): 長年の実績で築き上げてきた強固な顧客基盤やパートナーとのネットワーク、多様な課題を解決するソリューション提供力、そして現場でのきめ細やかな対応力を意味します。これらは、具体的な「交流」を創造し、形にするための実行力です。
これらの「洞察力」と「専門性」を組み合わせ、さらに磨き上げることで、JTBグループは人や地域、組織をつなぐ「交流」を創造し、これまでにない新たな価値を生み出すことを目指しています。
この「交流創造Intelligence」をさらに強化するため、JTBグループは2025年8月に、ツーリズム産業に特化した世界最大級のBtoBメディアである「Northstar Travel Group」(NTG)の株式譲受を行いました。NTGが持つ信頼性の高いデータ分析力とグローバルなネットワークを取り込むことで、JTBグループの「交流創造Intelligence」は飛躍的に高度化されるでしょう。これは、デジタルやソーシャル領域での強みを活かし、AI時代における産業全体の付加価値を加速させる重要な戦略的な一歩です。

「ありたい姿」実現に向けた4つの変革ポイント:JTBの未来を形作る柱
JTBグループが「新」交流時代のフロンティア企業となるために、そして創立から114年かけて培ってきた力を最大限に活用し、社会課題の解決とツーリズム産業全体の持続可能な未来に貢献するために、4つの重要な変革ポイントを掲げています。
- グローバル(GLOBAL): 事業活動の舞台を世界へと広げ、地域の魅力を創出する活動もグローバルな視点とローカルな視点を組み合わせた「グローカル」なアプローチで推進します。
- ビジネスモデル(BUSINESS MODEL): 知的財産(IP)や資産(アセット)を自社で保有し、事業の主体者となることで、収益の獲得モデルも従来の「フロー型」(一過性の取引)だけでなく、「ストック型」(継続的な収益)へと転換していきます。
- 情報・データ(INFORMATION / DATA): AIを活用した情報基盤を構築し、お客様や市場に対する「洞察力」をさらに進化させます。また、情報を透明化・体系化し、個人の経験や知識(暗黙知)だけでなく、誰もが活用できる知識(形式知)として蓄積・活用できるようにします。
- カルチャー(CULTURE): 「DEIB」(Diversity, Equity, Inclusion & Belonging:多様性、公平性、包括性、帰属意識)の推進を通じて、社員一人ひとりの違いを価値として認め、互いに尊重し合い、安心して自己表現できるオープンで革新的な企業文化を築いていきます。
これらの変革は、JTBグループが未来に向けて持続的に成長し、社会に貢献していくための重要な基盤となります。

マーケットに合わせた4つの事業戦略区分:顧客価値を最大化するアプローチ
長期ビジョンの実現と変革を推進するため、JTBグループはマーケット(市場)に合わせた4つの事業戦略区分を策定しました。これにより、それぞれの顧客層に対して最適な価値を提供することを目指します。
- Global Tourist Solution: 個人の旅行者やレジャーを楽しむお客様を対象に、マーケティング力を駆使して、一人ひとりに最も適した旅行体験を提案します。
- Global Business Solution: 法人のお客様(企業や大学など)向けに、高い企画力とプロデュース力で、投資対効果の高いソリューションを共に創造します。
- Global Area Solution: 地域(行政、DMO※、観光事業者など)を対象に、地域への投資やソリューションの提供を通じて、エリア全体の価値向上を支援します。
※DMO:Destination Marketing/Management Organization(観光地域づくり法人)の略称。 - Global Tourism Intelligence: ツーリズム産業に関わるあらゆる人や組織に対し、メディアやイベントを介したマーケティングソリューションを提供することで、産業全体の付加価値向上をサポートします。
これらの戦略区分により、JTBグループは多様な顧客ニーズに応え、それぞれのマーケットで深い価値を創造していきます。

2035年に向けた主要財務目標:持続的成長と企業価値向上へのコミットメント
JTBグループは、2035年の「ありたい姿」を具体的に示す収益性指標として、野心的な財務目標を掲げています。2024年度の実績と比較すると、その成長への強い意志が見て取れます。
| 指標 | 2024年度 実績 | 2035年度 目標 | 成長率(概算) |
|---|---|---|---|
| 取扱額 | 1兆6,838億円 | 2兆5,000億円 | 約1.48倍 |
| 売上総利益 | 2,937億円 | 5,000億円 | 約1.70倍 |
| 営業利益 | 149億円 | 750億円 | 約5.03倍 |
| 売上総利益率 | 5.0% | 15.0% | 3倍 |
特に、営業利益と売上総利益率の大幅な向上目標は、事業構造の変革と収益性の改善に対する強い意気込みを示しています。
これらの主要財務目標の達成に向けて、JTBグループは以下の3つの基本方針を定めています。
- 成長の好循環の確立: 成長に必要な投資や優良な資産を形成するための資金を確保し、それがさらなる成長を生み出す良い循環を確立します。
- 信用力と資金調達力の向上: 企業価値を高めることで、社会からの信用力を高め、必要な資金をより効率的に調達できる体制を築きます。
- 事業継続性の強化: 万が一の事態に備え、想定される損失に耐えうる十分な純資産を早期に確保し、事業を安定して継続できる基盤を強化します。
これらの取り組みを通じて、財務の健全性と成長性の両立を図り、すべてのステークホルダー(お客様、社員、株主、地域社会など)の期待に応える強固な企業基盤を築いていくことを目指します。

「事業」「投資」「人財」の三位一体で推進する変革
JTBグループは、長期ビジョン実現に向けて、「事業ポートフォリオ」「投資ポートフォリオ」「人財ポートフォリオ」という3つの要素を一体的に推進していきます。これは、経営資源を効率的かつ柔軟に活用し、持続的な成長と企業価値向上を実現するための重要な戦略です。
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事業ポートフォリオ: 事業戦略の方向性に基づき、最適な事業の組み合わせ(構成)を形成します。
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投資ポートフォリオ: 事業ポートフォリオの形成を支えるために、資金をどこに、どれだけ配分するかという効果的な投資計画を策定します。
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人財ポートフォリオ: 必要な人材を確保し、育成し、適切な場所に配置するという体系的な取り組みを行います。
これらのポートフォリオをバランス良く推進することで、各事業における「成長性」と「収益性」の両面から目標達成を目指します。

事業ポートフォリオの変革:グローバル化、非人流・ストック型ビジネスへのシフト
JTBグループは、事業ポートフォリオの変革において、具体的な比率目標を掲げています。これは、未来の市場環境に適応し、より強固な収益基盤を築くための重要な方向性を示しています。
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グローバル比率: 2024年度には事業利益ベースで14.0%だったグローバル事業(訪日外国人旅行を含む)の比率を、2035年には50.0%へと大幅に引き上げることを目指します。これは、日本国内だけでなく、世界市場での存在感を高めていくという強い意思の表れです。
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非人流ビジネス比率: 2024年度の20.0%から、2035年には25.0%へと、人の移動に依存しないビジネスの比率を高めます。これは、新型コロナウイルス感染症のような予期せぬ事態にも強い、安定した事業構造を築くための戦略です。
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ストック型比率: 2024年度の11.0%から、2035年には30.0%へと、継続的に収益を得られるストック型ビジネス(例:サブスクリプションモデルや競争優位性を持つ仕組み)の比率を大幅に向上させます。これにより、安定した収益基盤を確立します。
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サステナビリティに取り組む事業パートナーとの取引比率: 2025年6月には「サステナブル取引方針」を策定し、2035年には、この方針に賛同しサステナビリティに取り組む事業パートナーとの取引比率を63%とする目標を定めています。
これらの目標は、JTBグループがグローバル化を加速させ、より多様で安定した収益源を確保し、サステナブルな社会の実現に貢献していく姿勢を明確に示しています。

投資戦略:優良資産形成と持続的成長のためのサイクル確立
JTBグループの投資戦略は、持続的な成長を可能にするための明確なサイクルを確立することにあります。具体的には、事業活動で得られたキャッシュ(現金)を、再びアセット(資産)へと再投資し、そのアセットを事業活動を通じて「優良資産」へと変えていく、という流れです。
この優良資産には、不動産やシステムといった事業資産、有価証券、そして知的財産権(IPライツ)などが含まれます。例えば、MLB(メジャーリーグベースボール)のような強力なIPライツは、それ自体が競争力を生み出す源泉となります。
さらに、社員のスキル向上やモチベーションといった「人財」への投資も、優良資産形成の重要な要素です。これらの投資が「稼ぐ力」を高め、結果としてキャッシュフローが増加し、それがまた新たな投資へとつながる、という好循環を生み出します。
このサイクルを確立することで、JTBグループは継続的に企業価値を高め、未来のキャッシュフローを創出していくことを目指します。

DEIB・人財戦略:多様性を力に変えるオープンな組織文化
JTBグループは、長期ビジョン実現の鍵となる「人財」と「カルチャー」についても明確な戦略を打ち出しています。
DEIBステートメントとして掲げられているのは「違いを価値に、世界をつなぐ。」です。これは、社員一人ひとりの多様な背景や価値観を尊重し、それらを掛け合わせることで新たな価値を創造していくという強いメッセージです。互いを尊重し、安心して自分の意見を述べ、貢献できるようなオープンで革新的な文化を築き上げることを目指しています。
具体的な取り組みとしては、時間や場所、組織の枠にとらわれない「ボーダレス」な働き方の実現が挙げられます。社員一人ひとりが自分の「Will」(意思や目標)に沿ったキャリアを描けるよう、キャリアデザインの支援も行われます。また、社員が持つスキルや経験を可視化し、適切なキャリアマッチングを促進する仕組みも整備される予定です。
これらの施策を通じて、世界中のJTBグループ社員が地球を舞台に、多様な人財と共に価値を創造し、グループ全体で新たな交流を生み出し続けることを目指しています。
サステナビリティへの取り組み:持続可能な社会への貢献
JTBグループは、経営理念の実現に向けて、サステナビリティ(持続可能性)を経営の根幹に据えています。「心豊かなくらし」「人々をとりまく環境」「パートナーシップ」の3つのマテリアリティ(重要課題)と、それらをさらに細分化した8つのサブ・マテリアリティを設定し、事業活動を通じて社会にプラスのインパクトを最大化し、マイナスのインパクトを最小化するための施策を展開しています。
前述の通り、2025年6月には「サステナブル取引方針」を策定し、2035年にはサステナビリティに取り組む事業パートナーとの取引割合を63%とする目標を定めています。これは、サプライチェーン全体で持続可能な社会の実現に貢献していくという姿勢を示しています。
また、お客様にサステナビリティを基盤とした商品やサービスの選択肢を提供するため、Webサイトなどのアクセシビリティ強化にも積極的に取り組んでいます。これにより、より多くの人々がJTBのサービスを利用しやすくなるだけでなく、サステナビリティへの意識を高めるきっかけにもなるでしょう。
「JTBソーシャル・コミットメント・プログラム~みらい交流創造基金~」の設立
ツーリズム産業が発展し続けるためには、交流が生まれる舞台となる「地域コミュニティ」が持続可能であることが不可欠です。この認識のもと、JTBグループは社会課題の解決に貢献するCSR活動を一層強化するため、2026年4月に「JTBソーシャル・コミットメント・プログラム みらい交流創造基金」を設立します。
この基金の目的は、地域コミュニティの保全や保護に関する活動に対して、寄付や助成を通じて継続的に支援することです。具体的な支援対象としては、以下のような活動が挙げられます。
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歴史的建造物や祭事などの有形・無形文化財の保護・活用
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自然環境の再生・保全
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オーバーツーリズム(観光客の集中による地域への悪影響)への対策
これらの活動を支援することで、地域が持続的に価値を育み、多様な交流機会を創出することを目指します。本基金を通じて、JTBグループは社会的な価値と事業的な価値の両立を一層推進し、持続可能な地域社会の発展に貢献していくことを強く表明しています。
今後の展望:交流の価値を最大化するフロンティア企業へ
AIエージェントがビジネスを創出し、社会のあり方が大きく変化する現代において、「交流」の価値はますます高まっています。JTBグループは、この「交流」をより深く、より広範な価値へと昇華させることで、ツーリズム産業の可能性を広げ、社会に新たな価値を生み出すフロンティア企業として進化していくことを目指しています。
多様な技術、知見、そしてネットワークを持つパートナーとの共創を通じて、JTBグループは持続可能で豊かな未来社会の実現に貢献していくでしょう。彼らの長期ビジョン『OPEN FRONTIER 2035』は、これからの社会における「交流」の重要性を再認識させ、その未来をリードしていくというJTBグループの強い決意を示しています。
まとめ:JTBグループの挑戦が描く、新しい未来の交流
JTBグループが発表した長期ビジョン『OPEN FRONTIER 2035』は、単なる企業の成長戦略に留まらず、変化する社会の中で「交流」の価値を再定義し、人々に感動と幸せを提供するという壮大なミッションを掲げています。AI技術の進化や社会課題への対応、グローバルな視点、そして持続可能性へのコミットメントは、JTBグループが未来のフロンティア企業として、ツーリズム産業だけでなく、社会全体に貢献していく強い意志を示しています。
「交流創造Intelligence」を核に、事業、投資、人財の三位一体で変革を推進し、2035年に向けて具体的な財務目標や事業ポートフォリオの転換を目指す彼らの挑戦は、私たち一人ひとりの生活や、地域社会、そして世界の未来に大きな影響を与えることでしょう。JTBグループが描く「新」交流時代のフロンティア企業としての活躍に、今後も注目が集まります。

