【いのち会議×大阪大学SSI】ESG情報で「三方よし」の持続的社会経済を実現へ!勤労者・投資家・購買者が企業を選ぶ新時代を「サステナアプリ」が拓く

【いのち会議×大阪大学SSI】ESG情報で「三方よし」の持続的社会経済を実現へ!勤労者・投資家・購買者が企業を選ぶ新時代を「サステナアプリ」が拓く

現代社会は、気候変動や人権問題、経済格差など、さまざまな地球規模の課題に直面しています。このような状況の中で、「いのち会議」は、すべてのいのちが輝く世界を目指し、2025年10月11日に大阪・関西万博会場内で「いのち宣言」と「アクションプラン集」を発表しました。

そのアクションプランの一つとして、市民一人ひとりが「勤労者」「投資家」「購買者」として、企業の社会的な価値を示す「ESG情報」に基づいて企業を選ぶことで、社会に良い循環を生み出し、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という「三方よし」の持続可能な社会経済を実現しようとする取り組みが注目されています。この重要なプロジェクトを推進しているのが、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)の基幹プロジェクトです。

なぜ今、「三方よし」の持続的社会経済が求められるのか?

日本経済は過去30年間、国内総生産(GDP)がほとんど成長せず、労働生産性も低い水準にとどまっています。労働生産性とは、労働者がどれくらいの金銭的な価値、つまり「付加価値」を生み出せるかを示す指標です。労働人口が減少する中で、GDP比240%という世界でも稀に見る国家債務を抱え、将来的な利払い費の増加も懸念されています。

このような財政状況を立て直し、持続可能な社会を築くためには、労働生産性を高めて付加価値を確保することが不可欠です。しかし、日本では商品やサービスの「値付け」を示すマークアップが国際的に見ても低く、また労働の対価である実質賃金も、この30年間ほぼ横ばいか減少傾向にあります。

この課題を解決するために、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)の基幹プロジェクト「ステークホルダー・ESG経営とエシカル消費・サステナブル調達の促進による共感経済の実現」(代表:伊藤武志 SSI教授)では、企業や産業界が、顧客や社会の共感を得ながらマークアップを改善し、労働や商品・サービスが生み出す付加価値を高める道筋を研究しています。このプロジェクトは、売り手(企業)よし、買い手(消費者)よし、世間(社会全体)よしの「三方よし」の実現を目指しています。

ESG情報が社会に好循環を生み出す仕組み

「三方よし」の持続的社会経済を実現するための具体的な方法は、勤労者、投資家、購買者という社会を構成する一人ひとりが、企業が公開するESG(環境・社会・ガバナンス)情報をもとに企業を比較・評価し、選択することです。

ESGとは、企業が事業活動を行う上で、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの要素にどれだけ配慮しているかを示すものです。具体的には、サプライヤー(供給元)への対応、労働者の待遇、環境への影響、地域社会への貢献、動物福祉、そして企業の意思決定の透明性などが含まれます。これらは、企業が社会に提供する価値、つまり「社会インパクト」であり、企業のブランドイメージを形作る実像とも言えます。

個人がESG情報を活用して企業を選ぶようになれば、企業は社会的な価値を高めるために、より一層透明性を向上させ、互いに切磋琢磨するようになります。これにより、企業単体だけでなく、業界全体、ひいては社会全体のESGレベルが向上し、持続可能な社会経済への好循環が生まれると考えられています。

企業選びをサポートする「サステナアプリ」とは?

企業の切磋琢磨を促し、社会へのインパクトを向上させるために、本プロジェクトでは、ESG情報を比較するためのアプリ「サステナアプリ」の開発を進めています。このアプリは、AI初心者の方にも直感的に使えるよう設計されており、以下のような特徴を持っています。

「サステナアプリ」の主な機能と目的

「サステナアプリ」は、環境、人権、社会貢献、アニマルウェルフェア、ガバナンスといった多岐にわたる項目ごとに、企業の取り組みをスコア化します。これにより、利用者は企業がどのような社会貢献をしているのか、環境に配慮しているのかなどを一目で確認できます。

サステナアプリ 企業選択版

このスコアは、消費者が日常の買い物先や外食先を選ぶ際、また勤労者が就職先や転職先を選ぶ際の重要な参考情報となります。例えば、環境問題に熱心な企業を選びたい、従業員の待遇が良い企業で働きたい、といった個人の価値観に基づいた選択をサポートします。

評価軸と重み付けのカスタマイズ

アプリの大きな特徴の一つは、利用者が自身の関心や価値観に合わせて、評価軸の重み付けを自由に変更できる点です。例えば、「環境」への配慮を特に重視する人は、環境関連の項目に高い重み付けを設定することで、より自身の基準に合った企業を見つけやすくなります。

サステナアプリ STEP.2 順位

これにより、画一的な評価ではなく、多様な価値観に対応した企業選択が可能になります。現在、株式公開企業だけでなく、非公開企業にもアプリへの参画が呼びかけられており、より多くの企業のESG情報が可視化されることで、社会全体の選択肢が広がることが期待されます。

「価値あるものに価格をつける」という提言

日本は「失われた30年」と呼ばれる期間を経て、無償サービスや過剰なサービス、そして低賃金といった、価値あるものに適切な価格がついていない状況が続いています。特に喫緊の課題とされているのが、ESGの「社会」の要素に関わる賃金の引き上げ、すなわち労働が生み出す価値に適切な価格をつけることです。

ESG活動の向上には、当然ながらコストがかかります。しかし、プロジェクトでは、価値を伴ったESGへのコストは、本来、商品やサービスの価格に転嫁されるべきだと提言しています。企業がESG活動に真摯に取り組むことで生じる価値を、消費者が認識し、その価値に対して適切な価格を支払うという意識が重要です。

そのためには、企業だけでなく、購買者(消費者)、投資家、そして勤労者をはじめとするすべてのステークホルダー(関係者)の共感と協力が不可欠です。社会全体で「価値あるものには適切な対価を支払う」という意識が広がることで、企業はESGへの投資を積極的に行いやすくなり、それが結果として持続可能な社会への貢献につながると考えられています。

今後の展望と目標

本プロジェクトは、このようなビジョンに基づき、社会への働きかけをさらに強化していく予定です。具体的には、AIを活用したデータ収集技術を導入し、より正確で広範なESG情報の分析を目指します。また、ワークショップや体験会などの場を設け、一般の人々がESGや「サステナアプリ」について学び、体験できる機会を創出します。

さらに、「いのち会議」と連携する他の組織との協働や、企業との共同研究を通じて、「サステナアプリ」の開発と普及を加速させていきます。これにより、勤労者、投資家、購買者がESG情報を用いて企業を選択する手法が確立され、個人のライフスタイルの中に持続可能な選択が自然に組み込まれることを目指しています。

まとめ

「いのち会議」と大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)が推進するこのプロジェクトは、単なる経済活動に留まらず、社会全体の価値観を変革し、すべてのいのちが輝く「三方よし」の持続的社会経済システムを築き上げることを目指しています。

一人ひとりがESG情報を意識して企業を選ぶことで、企業は社会価値を高めるインセンティブを得て、健全な付加価値を生み出す好循環が生まれます。AIを活用した「サステナアプリ」は、そのための強力なツールとなるでしょう。この取り組みは、私たち一人ひとりの選択が未来を創る大きな力となることを示しています。

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