AI翻訳の新時代を拓く!生成AIで自動修正する「翻訳支援システム」が特許を取得
現代のグローバル社会において、翻訳はビジネスやコミュニケーションに欠かせない要素です。AI技術の進化により、機械翻訳は目覚ましい発展を遂げましたが、それでもまだ「完璧な翻訳」には人手による修正、いわゆる「ポストエディット」が必要とされてきました。このポストエディット作業は、翻訳者の大きな負担となり、時間とコストがかかるという課題がありました。
そんな中、株式会社川村インターナショナルが、この翻訳業界の長年の課題を解決する画期的な技術で特許を取得しました。それが、生成AI(大規模言語モデル:LLM)を活用し、機械翻訳の結果を自動的に修正・最適化する「翻訳支援システムおよび翻訳支援方法」です。この新技術は、翻訳の品質を向上させながら、作業の効率化を同時に実現し、AI翻訳の新たな可能性を切り開きます。
従来の翻訳支援システムの限界と新たな課題
これまでにも、翻訳作業を助ける「翻訳支援システム」は存在していました。しかし、それらの多くは、決められた用語が使われているか、数字が正しく転記されているかといった、あくまで「注意喚起」に留まる機能が中心でした。例えば、「この単語は使わないでください」と警告したり、「数字が違うかもしれません」と示唆したりする程度で、実際に翻訳文を修正する作業自体は、すべて翻訳者自身が行う必要がありました。
特に、機械翻訳が生成した文章には、以下のような修正が必要なケースが多く見られます。
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誤訳: 意味が間違っている部分。
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訳抜け: 一部の単語やフレーズが翻訳されていない部分。
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湧き出し: 原文にない余計な言葉が追加されている部分。
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タグの位置ずれ: HTMLなどの構造を示すタグが不適切な位置にある場合。
これらの修正は、翻訳者にとって非常に時間と労力がかかる作業であり、翻訳業務全体のボトルネックとなっていました。高品質な翻訳を迅速に提供するためには、このポストエディットの効率化が不可欠だったのです。
生成AIが翻訳を自動修正!特許技術の革新的な特長
今回、株式会社川村インターナショナルが取得した特許技術は、この従来の課題に対し、生成AIの力を活用することで根本的な解決策を提示します。
この技術の核心は、生成AIが翻訳文を自動的に修正し、その修正結果をAI自身が評価しながら、品質が一定の基準に達するまで修正を繰り返す点にあります。これにより、これまで人が行っていた「確認と修正」の手間を最小限に抑え、翻訳作業全体の処理能力(スループット)を大幅に向上させることが可能になります。具体的には、以下の5つの主な特長があります。
1. 生成AIによる自動修正の繰り返し最適化
このシステムでは、AIが一度修正して終わりではありません。翻訳文に対して生成AIが修正を加えるたびに、その訳文の品質を評価します。そして、修正が不要と判断されるか、あらかじめ設定された回数の試行を終えるまで、この「修正→評価→再修正」のプロセスを繰り返します。これにより、最終的に高品質な翻訳文へと自動的に最適化されていきます。
2. 修正内容の自動説明機能
AIが自動で修正を行った場合、翻訳者は「なぜAIがそのように修正したのか」を知りたいと思うでしょう。この特許技術では、AIが行った修正箇所について、日本語などの指定された言語で説明を自動的に生成します。これにより、翻訳者はAIの修正意図を容易に理解でき、最終確認作業をスムーズに進めることができます。
3. タグ情報・文構造の保持
HTMLやXMLなどの構造化された文書を翻訳する際、翻訳によって文書の構造が崩れてしまうと、その後の利用に支障をきたします。このシステムは、構造化文書におけるタグ情報や文構造を保持したまま修正を行うため、文書全体の整合性が維持されます。これは、特に技術文書やウェブサイトの多言語展開において非常に重要な機能です。
4. サブセット処理による並列高速化
大量の翻訳文を処理する場合、全体を一括で処理すると時間がかかります。この技術では、翻訳文を意味のある小さな塊(サブセット)に分割し、これらを同時に並行して処理します。これにより、全体の処理時間を大幅に短縮し、より迅速な翻訳提供が可能になります。
5. ポストエディットの効率化を実証
この特許技術に関するデータでは、AIによる反復修正によって最終的な翻訳精度が約95%に到達することが示されています。これは、人の手による大幅な修正なしに、非常に高い品質の翻訳文が生成できることを意味しており、ポストエディットにかかる時間と労力を劇的に削減できることを実証しています。
期待される効果:コスト削減、納期短縮、品質安定化
この革新的な特許技術が導入されることで、翻訳業務には多岐にわたるポジティブな効果が期待されます。
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コスト削減: 翻訳者によるポストエディットの負担が軽減されるため、人件費を含めた翻訳コストの削減が見込めます。
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納期短縮: AIによる自動修正と高速処理により、翻訳プロジェクト全体のリードタイムが大幅に短縮されます。これにより、企業のグローバル展開における「スピード」が向上します。
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品質安定化: AIが一定の品質基準に基づいて修正を繰り返すため、翻訳者ごとの品質のばらつきが減り、安定した高品質な翻訳が提供できるようになります。
これらの効果は、特に複数の言語で情報発信を行う企業にとって、「スピード」と「品質」という、これまで両立が難しかった二つの要素を同時に実現する強力な支援となります。また、翻訳者は、単純な修正作業から解放され、より高度な専門知識やクリエイティブな表現が求められる翻訳、あるいは最終的な品質チェックといった、人間にしかできない業務に集中できるようになるでしょう。
本特許技術が実装されたAI翻訳ソリューション「XMAT®(トランスマット)」
株式会社川村インターナショナルは、今回取得した特許技術を、すでに自社の機械翻訳活用プラットフォーム「XMAT®(トランスマット)」に実装しています。XMAT®は、「すべての人に機械翻訳を ~ファイル翻訳からカスタマイズまで~」をコンセプトに、多様なニーズに応えるAI翻訳ソリューションです。

「XMAT®」の主な機能
XMAT®には、AI初心者からプロの翻訳者まで、誰もが使いやすいように設計された豊富な機能が搭載されています。
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Quick MTテキスト翻訳: みんなの自動翻訳やOpenAIなど、8種類以上の多様な機械翻訳エンジンを利用して、テキストを素早く翻訳できます。
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Quick MTドキュメント翻訳: Word、Excel、PowerPoint、PDFなど、10種類以上のファイル形式に対応しており、ドキュメント全体を簡単に機械翻訳できます。これにより、ビジネス文書の多言語化が手軽に行えます。
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Quick PE: 原文の編集から翻訳結果の編集まで、高機能なエディタで作業効率を底上げします。今回の特許技術である生成AIによる自動ポストエディット支援もここに組み込まれており、修正作業を大幅に簡素化します。
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言語資産作成・機械翻訳エンジンのカスタマイズ: 企業独自の専門用語や表現を学習させることで、機械翻訳エンジンの精度をさらに高めることが可能です。これを高速かつセルフサービスで行えるため、企業固有の翻訳品質を追求できます。
「XMAT®」の利用詳細
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価格: 1ユーザーあたり月額5,500円(税込)から利用でき、月間の翻訳文字数に制限はありません。
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利用可能な機械翻訳エンジン: 「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」や「OpenAI」など、8種類以上のエンジンをニーズに合わせて選択できます。
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利用可能な言語: 100以上の言語の組み合わせに対応しており、世界中の言語に対応可能です。
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無償トライアル: 2週間の無償トライアル期間が設けられており、カスタマイズ機能に関しては1か月間試用できます。導入前に実際に機能を体験できるため、安心して検討できます。
機械翻訳エンジンのカスタマイズについては、マンガで分かりやすく解説されたページも用意されており、AI翻訳の専門知識がない方でも理解しやすい工夫がされています。
「XMAT®」の詳細については、公式ページをご覧ください。
今後の展開と業界への貢献
株式会社川村インターナショナルは、今回の特許技術を「XMAT®」に実装しただけでなく、さらなる展開を計画しています。具体的には、英国XTM International社が提供するTMS(Translation Management System)である「XTM Cloud」への導入も可能にする予定です。これにより、より多くの翻訳業務の現場でこの革新的な技術が活用されることになります。
また、他社の翻訳システムとの連携やAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)提供も視野に入れ、翻訳業界全体の生産性向上を推進していく方針です。この動きは、AI翻訳技術の普及と発展に大きく貢献し、グローバルビジネスの加速を後押しすることでしょう。
特許情報
今回取得された特許の詳細は以下の通りです。
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特許番号: 特許第7764079号
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発明の名称: 翻訳支援システム及び翻訳支援方法
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出願人: 株式会社川村インターナショナル
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発明者: 星井 智、森口 功造、森 秀樹
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出願日: 2025年4月16日
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登録日: 2025年10月27日
株式会社川村インターナショナルについて

株式会社川村インターナショナルは、1986年に設立された翻訳ソリューションの専門企業です。長年にわたり、翻訳、機械翻訳、ポストエディットなどの翻訳ソリューション、通訳、制作、人材派遣・紹介といった幅広い事業を展開し、企業のグローバル展開を支援してきました。
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ホームページ: https://www.k-intl.co.jp/
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本社所在地: 東京都新宿区神楽坂6-42 神楽坂喜多川ビル6階
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設立年月日: 1986年1月
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代表取締役: 森口 功造
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事業内容: 翻訳・機械翻訳・ポストエディットなどの翻訳ソリューション、通訳、制作、人材派遣・紹介
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資本金: 50,000,000円
まとめ:AI翻訳の未来を切り拓く新たな一歩
株式会社川村インターナショナルが特許を取得した「AIを活用した翻訳支援システム」は、生成AIの力を借りて、これまでの翻訳業務の常識を大きく変える可能性を秘めています。翻訳者の負担を軽減し、翻訳の品質と効率を同時に高めるこの技術は、企業の多言語展開を強力にサポートし、グローバルコミュニケーションをさらに円滑にするでしょう。
AI技術の進化は止まることなく、今後も翻訳業界に新たな変革をもたらすことが期待されます。今回の特許取得は、その大きな一歩となることは間違いありません。AI初心者の方も、この革新的な技術に注目し、AIがもたらす未来の翻訳に期待してみてはいかがでしょうか。

