データ活用とセキュリティを両立する次世代プラットフォームが始動
現代社会において、データは私たちの生活やビジネスのあらゆる場面で不可欠な存在となっています。しかし、その一方で、「データの漏洩リスク」と「データを最大限に活用したいというニーズ」をどのように両立させるかという大きな課題が横たわっています。この難しい課題に、純国産の先端技術を結集して挑む新たな動きが始まりました。
株式会社アジラ、株式会社ロジック・アンド・デザイン、そして株式会社ZenmuTechの3社が、それぞれが持つ独自の技術、すなわち「行動認識AI」、「画像鮮明化」、「秘密分散」を融合させる共同検討を開始したことを発表しました。この連携は、単に技術を組み合わせるだけでなく、社会が直面する課題を解決し、これまでにない新たな価値を創造する「次世代データプラットフォーム」の構築を目指すものです。
この革新的な取り組みは、高度なデータ活用と強固なセキュリティを高い次元で両立させることを目標としています。

なぜ今、この技術連携が必要なのか?社会が抱える課題
私たちの社会は、映像、AI、データといったデジタル技術によって大きく支えられています。スマートシティ、自動運転、医療、防犯など、多くの分野でこれらの技術が活用され、私たちの生活をより豊かで便利なものに変えつつあります。
しかし、こうしたデータの利活用が進むにつれて、新たな課題も浮上しています。特に重要なのは、「セキュリティ」、「信頼性」、「利便性」を高いレベルで同時に実現するデータ活用基盤の整備です。例えば、防犯カメラの映像データは、事件の解決や未然防止に大いに役立ちますが、同時に個人のプライバシー侵害のリスクもはらんでいます。企業が顧客データを利用してサービスを改善しようとする際にも、情報漏洩のリスクは常に付きまといます。
このように、「データは活用したいが、安全に管理したい」という相反するニーズの間で、最適なバランスを見つけることが社会的に重要なテーマとなっています。
今回の3社協業は、この喫緊の課題に対し、それぞれの得意分野である純国産の先端技術を結集することで、画期的な解決策を提示しようとするものです。データの価値を最大限に引き出しつつ、その安全性を徹底的に守るための、まさに「守りと攻め」を両立させる取り組みと言えるでしょう。
3つの純国産先端技術を徹底解説
今回の共同検討の中核をなすのは、アジラ、ロジック・アンド・デザイン、ZenmuTechの3社がそれぞれ持つ専門技術です。それぞれの技術がどのようなもので、どのような役割を果たすのかを詳しく見ていきましょう。
1. 人間の行動を検知する「行動認識AI」:株式会社アジラ
株式会社アジラは、「テクノロジーの力で安心で快適な世界へ」をミッションに掲げ、独自の「行動認識AI」技術を開発しています。行動認識AIとは、カメラの映像などから人間の動きや行動を自動的に識別し、その意味を理解する人工知能のことです。
具体的には、次のようなことが可能になります。
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異常行動の検知: 店内での万引き、駅構内での不審な動き、工場での危険な作業姿勢などをAIがリアルタイムで検知し、アラートを発します。
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予兆検知: 転倒しそうな人の動きや、トラブルにつながりかねない集団の動きなど、問題が起こる前の「予兆」を捉えることで、未然に事故や事件を防ぐ手助けをします。
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見守り: 高齢者施設などで、入居者の通常と異なる行動(長時間座り込む、夜間に徘徊するなど)を検知し、介護者の負担軽減や迅速な対応を支援します。
アジラの行動認識AIは、単に動きを捉えるだけでなく、その動きが何を示しているのかを深く「理解」することで、人々の安全や快適な生活に貢献しています。
参考:株式会社アジラ
2. 見えないものを見える化する「画像鮮明化技術」:株式会社ロジック・アンド・デザイン
株式会社ロジック・アンド・デザインは、「“より視える化”で、世界を変える。」をコンセプトに、画像鮮明化アルゴリズムをはじめとする多様な画像処理技術を開発しています。画像鮮明化技術とは、ぼやけていたり、ノイズが多かったり、暗くて見えにくい画像を、まるでプロのカメラマンが撮ったかのようにクリアで鮮明な画像に変換する技術のことです。
この技術がなぜ重要なのでしょうか。その理由は主に以下の点にあります。
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AIの認識精度向上: 行動認識AIが人物の顔や細かい動きを正確に識別するためには、質の高い画像が不可欠です。不鮮明な画像ではAIの認識精度が大きく低下しますが、画像鮮明化技術を用いることで、AIはより正確に情報を読み取れるようになります。
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証拠画像の高精細化: 防犯カメラの映像など、事件や事故の証拠となる画像が不鮮明な場合でも、この技術によって細部を鮮明にし、人物の特定や状況の把握を助けます。
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医療・科学分野への応用: 医療画像や科学観測画像など、わずかな違いが重要な意味を持つ分野でも、画像鮮明化は診断の精度向上や新たな発見に貢献します。
ロジック・アンド・デザインの技術は、これまで「見えなかったもの」を「見える化」することで、AIの可能性を広げ、さまざまな分野でのデータ活用を強力に後押しします。
3. 情報を安全に保護し活用する「秘密分散技術」:株式会社ZenmuTech
株式会社ZenmuTechは、情報を暗号化した上で分散管理する「秘密分散技術」を提供し、データの保護と利活用を追求しています。秘密分散技術とは、大切なデータを複数の小さな「かけら」に分割し、それぞれを異なる場所に保管する技術です。
この技術の最大の特徴は、たとえ一部のかけらが漏洩したり、盗まれたりしても、元のデータが復元されることはないという点です。元のデータを復元するには、規定された数以上のかけら(例えば、5つのかけらのうち3つ以上)が集まらないと不可能です。これにより、次のようなメリットが生まれます。
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圧倒的なセキュリティ: 従来の暗号化技術では、鍵が漏洩するとデータ全体が危険にさらされるリスクがありましたが、秘密分散では、どの「かけら」が盗まれても、それだけでは意味をなしません。これにより、データ漏洩のリスクを極限まで低減できます。
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データの利活用と保護の両立: データを安全に保護しながらも、必要な時にだけ規定のかけらを集めて復元・利用できるため、セキュリティと利活用という相反する要件を両立させることが可能になります。
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災害対策: データを複数の場所に分散して保管することで、特定の場所が災害などで失われても、他の場所のかけらからデータを復元できるため、事業継続性の観点からも有効です。
ZenmuTechの秘密分散技術は、データが不可欠な現代社会において、その「守りの要」として、安心してデータを活用できる基盤を提供します。
3つの技術が織りなすシナジー:次世代データプラットフォームの可能性
アジラの「行動認識AI」、ロジック・アンド・デザインの「画像鮮明化技術」、そしてZenmuTechの「秘密分散技術」。これら三つの異なる分野の技術が連携することで、どのような新たな価値が生まれるのでしょうか。それぞれの技術が単独で機能する以上の、強力な相乗効果が期待されます。
この連携の具体的なイメージは以下のようになります。
- アジラの行動認識AIが「人間の行動を検知」します。 例えば、防犯カメラの映像から、不審な動きや特定の作業行動をAIがリアルタイムで捉えます。
- この際、ロジック・アンド・デザインの画像鮮明化技術が「見えないものを見える化」し、AIの認識精度を飛躍的に向上させます。 もし映像が暗かったり、ぼやけていたりしても、この技術によって人物の顔や手元の動き、対象物の形状などが鮮明になり、AIはより正確に、より多くの情報を読み取ることが可能になります。これにより、これまで見逃されていたわずかな行動の変化や、識別が困難だった対象物も明確に捉えられるようになります。
- そして、検知された行動データや鮮明化された画像データは、ZenmuTechの秘密分散技術によって「情報を安全に保護し、活用」されます。 これらの機密性の高いデータは、単に暗号化されるだけでなく、複数の「かけら」に分割され、異なる場所に分散して保管されます。これにより、たとえ一部の保管場所が攻撃されたとしても、元のデータが漏洩するリスクを極限まで低減しながら、必要な時だけ安全にデータを復元・分析・活用することができます。
この強力な技術連携により、「人の行動や環境変化を詳細かつ安全に捉える」という、これまでにない新たな価値が創出されます。例えば、以下のような応用が考えられます。
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高度なセキュリティシステム: 不審者の行動を鮮明な映像でAIが検知し、そのデータは秘密分散で保護されながら、関係者のみが安全にアクセスして状況を把握・対応。プライバシーを保護しつつ、犯罪の早期発見・解決に貢献します。
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スマートファクトリーでの品質管理: 製造ラインにおける作業員の微細な動きや製品の異常を、鮮明な映像でAIが検兆し、そのデータを安全に分析することで、品質向上や事故防止に役立てます。
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医療・介護分野での見守り: 患者や高齢者の異常な行動を鮮明な映像とAIで早期に検知し、その情報を秘密分散で厳重に管理しながら、必要な医療従事者や家族が安全に共有し、迅速な対応を可能にします。
このように、3社の技術が連携することで、データの「取得・認識能力」と「保護・活用能力」が格段に向上し、社会のさまざまな課題解決に貢献する次世代のソリューションが生まれることが期待されます。
安心・安全な未来へ:今後の展望
今回の共同検討は、単なる技術提携にとどまらず、人々の安心・安全な暮らしと持続可能な社会の実現に貢献するための重要な一歩となります。3社は今後、これらの先端技術を融合させ、よりセキュアで繊細な「行動認知ソリューション」の開発を進めていく方針です。
この取り組みによって、私たちの生活環境はより安全になり、企業はより安心してデータを活用できるようになるでしょう。データ活用の新たな地平を切り開く、純国産技術の挑戦に、今後も注目が集まります。
関連情報:ZenmuTechからの発表
各社の概要
株式会社アジラ
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本社所在地:東京都町田市中町一丁目4-2
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設立:2015年6月1日
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事業内容:行動認識AIをベースとした各種プロダクト・ソリューションの開発・提供
株式会社ロジック・アンド・デザイン
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本社所在地:東京都新宿区四谷3-2-1 フロントプレイス四谷5階
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設立:2018年3月13日
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事業内容:画像鮮明化アルゴリズム/復元高解像度化アルゴリズム開発および関連機器&ソフト/システム開発販売
株式会社ZenmuTech
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本社所在地:東京都中央区銀座8-17-5 THE HUB 銀座OCT 804
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設立:2014年3月4日
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事業内容:秘密分散技術を用いたデータ保護ソリューションの提供
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証券コード:338A

