Diver-Xが力触覚デバイス「EXOS」の事業ライセンスを取得!VR、ロボット、AIにおける“手の感覚”が進化する未来とは?

Diver-X、力触覚デバイス「EXOS」の事業ライセンスを取得し、”手の感覚”を革命へ

2026年1月22日、Diver-X株式会社(以下、Diver-X)が、株式会社クロステック・マネジメントより、力触覚提示(フォースフィードバック)デバイス「EXOS(エクソス)」シリーズに関する事業ライセンスを取得したことを発表しました。このライセンス取得は、Diver-Xがこれまで培ってきた触覚フィードバック技術に加えて、さらに高度な「力触覚」の領域へと本格的に事業を拡大する重要な一歩となります。

Diver-Xとは?

Diver-X株式会社は、2021年3月に設立された東京都千代田区に本拠地を置く企業です。代表取締役は迫田大翔氏。同社はこれまで、デバイスが振動や物理的な刺激をユーザーに与えることで、実際に触れたような「手応え」や「存在感」を伝える触覚フィードバック技術を中心にデバイス開発を進めてきました。

同社のウェブサイトはこちらです: https://diver-x.jp
YouTubeチャンネル: https://youtube.com/@diver-x2966
X(旧Twitter)アカウント: https://x.com/DiverX_VR

力触覚提示デバイス「EXOS」とは?

「EXOS」シリーズは、もともとexiii株式会社によって開発された、力触覚(フォースフィードバック)技術を用いた外骨格型デバイスです。このデバイスは、VR(仮想現実)空間でCGの物体に触れた際に、その物体から受ける反力、つまり「手ごたえ」をユーザーの手に再現することができます。

触覚と力触覚の違い

AI初心者の方にも分かりやすく説明すると、私たちが物を触る時、大きく分けて二種類の感覚を使っています。

  • 触覚(皮膚感覚): 指先で感じるツルツル、ザラザラといった表面の質感や、温かい、冷たいといった温度の感覚です。Diver-Xがこれまで得意としてきた技術がこれにあたります。

  • 力触覚(フォースフィードバック): 物を触ったり手にしたりしたときに感じる、その物から押し返されるような「手ごたえ」としての感覚です。例えば、硬い壁に触れたときの抵抗感、柔らかいボールを握ったときの弾力、重い物を持ったときのずっしりとした重さ、といった感覚です。筋肉や腱に作用して、物の硬さ、軟らかさ、弾力性、動きなどを把握するのに役立ちます。

「EXOS」は、この力触覚をVR空間で再現することで、単に「触れた」というだけでなく、「どれくらいの力で触れているか」「どんな硬さの物に触れているか」といった、よりリアルで没入感の高い体験を可能にします。

VRヘッドセットと腕に装着したデバイスを身につけた人物が、青く光る仮想のキューブを操作している様子

exiii株式会社の解散後、「EXOS」の事業は株式会社クロステック・マネジメントに継承されていましたが、この度、Diver-Xがそのライセンスを取得し、技術のさらなる発展を目指すことになりました。

なぜDiver-Xは「EXOS」のライセンスを取得したのか?

Diver-Xはこれまで、グローブ型のVRコントローラ「ContactGlove」シリーズの開発を通じて、高精度なハンドセンシング(手の動きを正確に読み取る技術)と触覚フィードバック技術を社会に提供してきました。しかし、その中で、現実世界のような「手ごたえ」や「重さ」をVR空間で完全に再現するには、皮膚感覚に働きかける触覚だけでは不十分であり、筋肉や腱に作用する力触覚の技術が不可欠であるという結論に至ったといいます。

この課題を解決し、XR(VRやAR、MRといった現実世界と仮想世界を融合させる技術の総称)領域におけるハンドインターフェース(手で操作するための機器)のさらなる発展と普及を目指すため、Diver-Xは「EXOS」のライセンス取得に踏み切りました。これにより、力触覚提示デバイスやロボットハンドの開発に重点的に取り組む体制が整いました。

力触覚技術がもたらす未来の可能性

Diver-Xが既存の触覚技術と今回取得した力触覚技術を組み合わせることで、私たちの生活や産業にどのような変化がもたらされるのでしょうか。その可能性は多岐にわたります。

1. XR領域における没入感の飛躍的向上

VRコントローラーと一体化したハプティクス対応のエクソスケルトンデバイスを装着した手が、仮想の立方体に触れる様子を描いた画像

VRゲームやエンターテイメントの世界では、仮想空間のキャラクターやオブジェクトに触れたときの「手ごたえ」がリアルになることで、体験の没入感が格段に向上します。例えば、VRでボールを投げたり、剣を振ったりする際に、その重さや抵抗感をリアルに感じられるようになります。

また、医療分野での手術シミュレーションや、建築・製造業でのデザインレビューなど、プロフェッショナルな現場においても、仮想空間で対象物の硬さや形状を正確に感じ取れるようになることで、トレーニングの質向上や設計精度の向上が期待できます。

2. ロボットの遠隔操作(テレオペレーション)の高度化

遠隔地にいるロボットを操作するテレオペレーションの分野でも、力触覚技術は非常に重要です。災害現場での救助活動や、宇宙空間、深海といった人が立ち入れない危険な場所での作業において、ロボットを遠隔で操作する際に、オペレーターがロボットのアームやハンドが感じている「力」をリアルタイムで感じ取れるようになります。

これにより、まるで自分の手で作業しているかのような感覚で、繊細な部品の組み立てや、壊れやすい物の運搬など、より精密で安全な作業が可能になります。例えば、遠隔地でコーヒーカップを掴む際に、カップの重さや、握りすぎないための力の加減が手元に伝わることで、失敗のリスクを大幅に減らせるでしょう。

3. 急速に発展するフィジカルAI分野における学習データ収集

近年注目されているフィジカルAIとは、ロボットが物理的な世界で様々なタスクを学習し、実行するAIのことです。例えば、料理をしたり、物を整理したり、工場で複雑な作業を行ったりするロボットを想像してみてください。これらのロボットが人間のように器用に動くためには、物理世界での「手ごたえ」に関する膨大なデータが必要となります。

「EXOS」のような力触覚提示デバイスは、人間が物体を操作する際の力の入れ具合や、感じ取っている抵抗感といったデータを高精度で収集することを可能にします。この人間が持つ「器用さ」に関する力触覚データをAIに学習させることで、ロボットはより自然で、人間らしい動きを習得できるようになるでしょう。これは、人間とロボットが協調して働く未来において、非常に重要な基盤技術となります。

4. 実世界とデジタルが高度に融合する次世代インターフェース

XR技術の進化やメタバースの普及に伴い、私たちは現実世界とデジタル世界の間を行き来する機会が増えていきます。力触覚技術は、この二つの世界の境界をより曖昧にし、シームレスな体験を可能にする「次世代のインターフェース」として機能します。デジタル空間でデザインした物を、まるで実際に触っているかのように感じたり、遠隔地にいる人との握手が、まるで隣にいるかのようにリアルに感じられたりする未来が、きっと来るでしょう。

ライセンス取得の主な対象

今回の契約により、Diver-Xは以下の製品・技術に関する権利と関連する知的財産権の使用許諾を受け、今後の事業展開に活用していくとのことです。

  • 関連知的財産一式: EXOSシリーズに関する全ての特許やノウハウが含まれます。

  • EXOS Wrist(エクソス リスト): 手首の動作に力触覚を与えるデバイスです。手首をひねったり、押し込んだりする際の抵抗感を再現します。

  • 五指触覚グローブ: 指先の感触を再現するグローブ型のデバイスです。指一本一本に繊細な触覚フィードバックを提供します。

  • Hand Unit(ハンド ユニット): ロボットハンドなどの基盤となるユニットです。これにより、EXOSの技術を様々なロボットに応用することが可能になります。

手に装着された黒いデバイスが、青いワイヤーフレームの地球儀と矢印のデジタル表示と共に描かれています

元 exiii株式会社 代表取締役 山浦博志氏からのコメント

「EXOS」を開発したexiii株式会社の元代表取締役であり、現Curious Robotics株式会社代表取締役の山浦博志氏からは、今回のライセンス取得について以下のコメントが寄せられています。

黒いタートルネックと紺色のジャケットを着た若いアジア人男性が、笑顔でカメラを見ているポートレート写真です

Physical AI や Humanoid といった潮流が本格的に立ち上がる中で、XR分野で培われてきた要素技術は、これらと極めて密接に結びつくものだと考えています。約5年の歳月を経て、これまで積み重ねてきた私たちの取り組みが、このような形で日本で継承され、次の文脈につながっていくことを、大変嬉しく思います。

このコメントは、EXOSの技術が単なるVRデバイスにとどまらず、Physical AI(物理世界で自律的に学習・行動するAI)やHumanoid(人型ロボット)といった、より広範な次世代テクノロジーの中核を担う可能性を示唆しています。日本の技術が、このような形で未来へと継承されていくことは、非常に喜ばしいことです。

Diver-Xの今後の展望

Diver-Xは、今回のライセンス取得により、自社の強みである既存の触覚技術と「EXOS」の力触覚技術を統合します。これにより、「手」に関わるあらゆるインタラクションを包括的に提供できる体制を構築しました。

今後、同社はXR領域での没入感向上だけでなく、ロボットの遠隔操作や、フィジカルAI分野における学習データ収集など、実世界とデジタルが高度に融合する分野において、次世代のインターフェースソリューションを提供していく計画です。Diver-Xの取り組みは、私たちのデジタル体験、ロボットとの関わり方、そしてAIの進化に、大きな変革をもたらすことでしょう。

まとめ

Diver-Xによる力触覚デバイス「EXOS」の事業ライセンス取得は、VR/XR、ロボット、そしてフィジカルAIといった最先端技術分野において、「手の感覚」を現実世界に限りなく近づける大きな一歩となります。単なる視覚や聴覚だけでなく、触覚や力触覚が加わることで、デジタル空間での体験はより豊かに、ロボットの操作はより直感的に、AIの学習はより効率的になる未来が期待されます。

Diver-Xが提供する次世代のインターフェースが、私たちの生活や産業にどのような革新をもたらすのか、今後の展開に注目が集まります。

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