【YOKOHAMA Hack!】AI・ドローンで建築物の劣化度調査を革新!横浜市がデジタル技術のアイデア募集を開始

横浜市が「YOKOHAMA Hack!」で建築物劣化度調査のアイデアを募集開始

横浜市は、デジタル技術を活用して行政の課題解決を目指す「YOKOHAMA Hack!」というプラットフォームを運営しています。この度、「YOKOHAMA Hack!」では、長年使用されている建築物の劣化度調査を効率的かつ高精度に行うためのデジタル技術アイデアの募集を開始しました。AIやドローンといった最先端技術が、老朽化するインフラの維持管理にどのように貢献できるのか、その可能性に大きな注目が集まっています。

港湾と産業地域を空撮した画像

「YOKOHAMA Hack!」とは?

「YOKOHAMA Hack!」は、横浜市の事業やサービスが抱える課題(ニーズ)と、民間企業が持つ優れたデジタル技術(シーズ)をマッチングし、共創を通じて課題解決を図るためのオープンなプラットフォームです。この取り組みを通じて、横浜市は行政サービスの質の向上とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を目指しています。今回の募集もその一環であり、民間の知見や技術を行政課題の解決に活かす重要な機会となります。

なぜ今、デジタル技術が必要なのか?〜南部市場の抱える課題〜

今回のアイデア募集の背景には、金沢臨海部に位置する南部市場の具体的な課題があります。南部市場は、加工・配送・流通の拠点として24時間体制で稼働しており、昭和48年(1973年)の開場以来、長きにわたり使用されている建物が現在も多く存在します。

従来の点検手法の限界

これまで、南部市場の建物は日常点検や建築基準法に基づく定期的な点検が実施されてきました。しかし、その点検は主に目視や打検(ハンマーなどで叩いて音の変化で劣化を判断する方法)が中心でした。広範囲にわたる建物の点検は、時間と労力がかかるだけでなく、特に以下のような点で限界がありました。

  • 広範囲性: 敷地全体が広大であるため、全ての建物を網羅的に点検するだけでも膨大なリソースが必要です。

  • 狭隘部や死角: 建物の構造上、人が立ち入りにくい狭い場所や、直接目視できない死角が多く存在します。これらの箇所は劣化が進みやすいにもかかわらず、詳細な調査が困難でした。

  • 時間とコスト: 足場を組んだり、特別な機材を導入したりすることなく、人手による目視・打検では、網羅的な調査を行うには多大な時間とコストがかかります。

これらの課題により、現在の点検手法では建物の劣化状況を完全に把握しきれていない状況です。そこで、デジタル技術の力を借りて、より効率的で網羅的、かつ高精度な劣化度調査を実現することが強く求められています。

水産施設と多くの車が駐車している様子

横浜丸と書かれた建物とトラックが停車する荷積みドック

期待されるデジタル技術とは?〜3つのプロセスで革新を〜

横浜市が今回の募集で期待しているのは、建物全体の状態把握から、最終的な修繕の判断に至るまでの全プロセスをサポートできるデジタル技術です。特定の技術に限定せず、幅広い視点からの斬新なアイデアが歓迎されています。また、一部の工程のみを対象とした技術や、建築事務所とデジタル技術を有する事業者が協力する共同提案、さらにはその可能性を探る取り組みも積極的に受け入れています。

募集されているデジタル技術は、大きく分けて以下の3つのプロセスに貢献するものが期待されています。

1. データの取得:見えない場所も「見える化」する技術

このプロセスでは、特に人間が直接目視できない死角部分や高所などについて、劣化判定に必要な根拠データ(画像、映像、計測値など)を取得できる技術が求められています。これにより、従来の点検では難しかった箇所の状況を正確に把握できるようになります。

  • 赤外線: 赤外線カメラは、物体の表面温度の違いを検知する技術です。建物の表面にひび割れや剥離があると、その部分と健全な部分とで熱の伝わり方が異なり、温度差が生じます。赤外線カメラはこの微細な温度差を捉えることで、目に見えない劣化箇所を「熱の地図」として可視化し、早期発見に貢献します。

  • ドローン: ドローンは、小型の無人航空機で、カメラやセンサーを搭載して空から建物を撮影したり、データを収集したりできます。人間が直接立ち入りにくい高所や広大な範囲でも、安全かつ迅速に、そして非常に詳細な画像を撮影することが可能です。これにより、足場を組むなどの手間やコストを大幅に削減しながら、建物の隅々まで点検データを集めることができます。

  • カメラ: 高精細なデジタルカメラや特殊なレンズを組み合わせることで、肉眼では捉えきれない微細なひび割れや変色、汚れなどを鮮明に記録できます。特に、耐候性や耐衝撃性に優れた産業用カメラは、過酷な環境下でのデータ取得に力を発揮します。

  • LiDAR(ライダー): LiDARは、レーザー光を照射し、その反射時間から対象物までの距離を計測することで、高精度な3D点群データを生成する技術です。建物の形状や表面の凹凸をミリ単位で詳細に捉えることができ、ひび割れや変形、沈下といった構造的な劣化を定量的に把握するための貴重なデータとなります。

2. データの処理:大量データを「賢く分析」する技術

データの取得プロセスで集められた大量の根拠データは、そのままでは人間が全てを確認し、分析するには膨大な時間と労力がかかります。このプロセスでは、その大量のデータを建築士などの専門家が短時間で効率的に確認・分析できるような技術が期待されています。

  • AI画像判定: AI画像判定は、人工知能が大量の画像を学習することで、画像の中から特定のパターンや特徴を自動的に見つけ出す技術です。例えば、建物のひび割れ、塗装の剥がれ、サビといった劣化の兆候を、AIが写真から瞬時に識別し、その種類や深刻度を判定することができます。これにより、これまで人間が目視で一つ一つ確認していた作業をAIが代行し、点検作業のスピードと精度を飛躍的に向上させることが期待されています。AIは学習を繰り返すことで、より正確な判断を下せるようになります。

  • 撮影映像・点群データからの3Dモデル化: ドローンやLiDARで取得した撮影映像や点群データから、建物の高精度な3Dデジタルモデルを生成する技術です。この3Dモデルを用いることで、建物の全体像を様々な角度から確認できるようになり、劣化箇所の位置や範囲を直感的に把握できます。また、時間経過による変化を3Dモデル上で比較することで、劣化の進行状況を容易に追跡することも可能です。デジタル空間で建物を再現することで、シミュレーションや将来の修繕計画策定にも役立ちます。

3. 詳細診断:修繕計画に役立つ「精密な数値」を導き出す技術

最終的な修繕や改修計画を策定するためには、劣化の状況を定量的(数値で明確に)に把握することが不可欠です。このプロセスでは、建物の内部構造や材質の状態を詳細に診断し、具体的な数値データとして提供できる技術が求められています。

  • 電磁波: 電磁波探査は、コンクリート内部に電磁波を照射し、その反射波を分析することで、鉄筋の位置や腐食状況、空洞、ひび割れなどを非破壊で調査する技術です。構造物を壊すことなく内部の状態を知ることができるため、建物の健全性を評価し、修繕の必要性を判断する上で非常に有効な手段となります。

  • 超音波: 超音波診断もまた、非破壊で構造物の内部を調査する技術です。超音波を材料内部に送り込み、その伝播時間や反射波形を分析することで、コンクリートの強度や、内部の欠陥(ひび割れ、空洞、材質の不均一性など)を検出できます。これにより、目に見えない構造的な問題を数値データとして把握し、修繕の緊急度や範囲を具体的に決定するのに役立ちます。

これらのデジタル技術を組み合わせることで、南部市場の建築物の劣化度調査は、より安全に、より迅速に、そしてより正確に行われることが期待されます。これにより、建物の長寿命化と維持管理コストの最適化に貢献し、ひいては横浜市の財産を次世代に引き継ぐための重要な一歩となるでしょう。

本件に関して詳細を確認したい方は、以下のサイトにある「ニーズ詳細資料」をご確認ください。なお、ニーズ詳細資料を確認するためには、YOKOHAMA Hack!への会員登録が必要になります。

提案から実現へのステップ:スケジュールと参加方法

この革新的なアイデア募集には、期間が設けられています。関心のある企業や団体は、以下のスケジュールと方法で提案を行うことができます。

  • 提案受付期間: 令和8年1月23日(金)~ 令和8年2月20日(金)

  • 提案方法: まずYOKOHAMA Hack!に会員登録した後、「建築物の劣化度調査」の案件詳細ページからご提案ください。

ご提案いただいた内容については、応募後に随時ヒアリングが行われる予定です。これは、提案の意図や詳細を横浜市側が深く理解するための重要な機会となります。また、ご提出いただいた提案書は、所管課だけでなく庁内の他部署とも共有される場合があるため、あらかじめご承知おきください。

民間企業にとっては、横浜市という大規模なフィールドで自社のデジタル技術を実証し、行政課題の解決に貢献できる貴重なチャンスです。新たな技術開発やビジネス展開の足がかりとなる可能性も秘めています。

「YOKOHAMA Hack!」とは?〜横浜市のDX推進を加速するプラットフォーム〜

横浜市は、市民サービスの向上と行政運営の効率化を目指し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進しています。その中核となるのが、この「YOKOHAMA Hack!」プラットフォームです。

YOKOHAMA Hack!のロゴ

「YOKOHAMA Hack!」は、行政が抱える具体的な課題(ニーズ)を明確にし、それを解決できる民間企業が持つ優れたデジタル技術やアイデア(シーズ)を公開することで、双方のマッチングを促進します。これにより、行政は迅速かつ効果的に課題を解決できる一方、民間企業は自社の技術を行政分野で実証し、新たな市場開拓や社会貢献の機会を得ることができます。

このプラットフォームは、単なる技術導入に留まらず、行政と民間が協力し、新たな価値を共創する「オープンイノベーション」の場として機能しています。今回の建築物劣化度調査のアイデア募集も、この共創の精神に基づいています。横浜市は、デジタル技術を積極的に活用することで、より安全で持続可能な都市づくりを目指しています。

まとめ:未来の建築物維持管理を共創するチャンス

今回の「YOKOHAMA Hack!」による建築物の劣化度調査アイデア募集は、横浜市が抱える具体的な課題に対し、民間企業のデジタル技術と知見を結集して解決を目指す画期的な取り組みです。AI、ドローン、赤外線、LiDAR、3Dモデル化、電磁波、超音波といった最先端技術が、従来の点検手法では難しかった領域に光を当て、建築物の維持管理をより安全で効率的、そして高精度なものへと変革する可能性を秘めています。

この募集は、単に技術を提供するだけでなく、横浜市という大きなフィールドで自社の技術を実証し、社会貢献を実感できる貴重な機会です。また、行政との連携を通じて、新たなビジネスモデルの構築や、未来の都市インフラ維持管理におけるスタンダードを共に創造するチャンスとも言えるでしょう。AI初心者の方々も、最新技術がどのように社会課題を解決していくのか、その一端を理解し、この取り組みに注目することで、デジタル社会の未来を考えるきっかけになるはずです。

横浜市は、この募集を通じて、民間企業からの多様なアイデアと技術が集まることを期待しており、未来の建築物維持管理を共創していくパートナーを求めています。ぜひこの機会に、貴社の持つ革新的なデジタル技術で、横浜市の課題解決に貢献し、新たな価値を創造してみませんか。

お問い合わせ先

横浜市デジタル統括本部企画調整部デジタル・デザイン室長 水沼彩子

TEL:045-671-4762

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