東大松尾研発「Spark+」とトヨタカローラ香川「レモリフ」が挑む!音声AIエージェントで電話業務を自動化し、地方の人手不足と顧客不満を解消するDXの最前線

現代社会の電話業務が抱える深刻な課題

現代のビジネスシーンにおいて、電話応対業務は企業の顔として、また顧客との重要な接点として不可欠です。しかし、多くの企業や機関がこの電話業務において、共通の悩みを抱えています。例えば、「顧客になかなか電話がつながらない」「折り返しの電話に時間がかかりすぎる」「通話内容の記録や整理が煩雑で手間がかかる」といった問題が挙げられます。

これらの課題は、電話応対にあたる職員の負担を大きく増やし、結果として顧客の不満を引き起こす原因にもなりかねません。特に、地方においては少子高齢化や労働人口の減少により人手不足が深刻化しており、日々の業務を継続すること自体が難しくなるケースも少なくありません。このような状況下で、電話業務の効率化と顧客体験の向上の両立は、企業にとって喫緊の課題となっています。

東大松尾研発「Spark+」とトヨタカローラ香川グループ「レモリフ」の協業がスタート

このような社会課題に対し、AI(人工知能)技術で産業界の課題解決を目指す株式会社SparkPlus(通称:Spark+)が、新たな一歩を踏み出しました。Spark+は、東京大学松尾研究室発のスタートアップ企業として、最先端のAI技術を様々な産業に応用する専門集団です。そのSpark+が今回、トヨタカローラ香川株式会社の新規事業を担うグループ企業である株式会社レモリフと手を組み、AIを活用した予約・案内自動化システムの共同開発を発表しました。

この協業は、モビリティサプライチェーンにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)のモデル事例を創出することを目的としています。レモリフは、カー用品販売やカーメンテナンス事業を基盤としつつ、近年ではEVモビリティ(電動バイク・小型EV)の販売・導入支援やスマートメンテナンスサービスを展開するなど、先進的な取り組みを進める企業です。両社の強みを組み合わせることで、地方が抱える人手不足と顧客不満という二重の課題に対し、AIによる革新的な解決策を提供しようとしています。

SPARK+ X トヨタカローラ香川

音声AIエージェントが電話業務を劇的に変える「予約・案内自動化システム」とは?

今回開発されたAIによる予約・案内自動化システムは、特に自動車保険の満期案内や来店予約業務の効率化を目的としています。このシステムの中核をなすのが、VoiceGPTという技術を活用した「音声AIエージェント」です。この音声AIエージェントは、まるで人間と話しているかのように自然な会話ができるAI技術を指します。

具体的にどのような機能があるのでしょうか。

AIによるアウトバウンド架電とアポイント取得

このシステムでは、AIが顧客に対して自動で電話をかけ(アウトバウンド架電)、自動車保険の満期や車検の時期が近づいていることを案内します。さらに、顧客との会話を通じて、店舗への来店予約や整備の予約などをその場で自動で受け付けることが可能です。これにより、これまで担当者が手作業で行っていた架電業務や予約受付業務にかかる時間を大幅に削減できます。

既存システムとのスムーズな連携

開発されたシステムは、既存の顧客管理システム「カイクラ」と連携する仕組みが構築されています。これにより、AIが顧客と交わした通話内容や予約情報、確認事項などが自動で記録・整理され、担当者はいつでも最新の顧客情報を確認できるようになります。情報の入力ミスや漏れを防ぎ、業務の正確性を向上させる効果も期待できます。

従来の自動音声応答(IVR)との決定的な違い

「自動音声」と聞くと、多くの人が「〇番を押してください」といった、あらかじめ決められた選択肢から選ぶ「IVR(自動音声応答)」を思い浮かべるかもしれません。しかし、今回開発された音声AIエージェントは、従来のIVRとは一線を画します。

このシステムでは、「自然言語処理(LLM:大規模言語モデル)」という最先端のAI技術が活用されています。これにより、AIは顧客が話す言葉の文脈や意図を正確に理解し、まるで人間が会話するように柔軟で自然な受け答えが可能です。例えば、顧客が「車検の予約をしたいんだけど、来月の第2週の平日は空いてる?」といった漠然とした質問をしても、AIはそれを理解し、シナリオに沿って適切な情報を提供したり、予約の手続きを進めたりすることができます。

さらに、このシステムは以下のような多機能性も備えています。

  • 24時間365日対応: 営業時間外でも顧客からの問い合わせや予約を受け付けることができ、顧客の利便性を飛躍的に向上させます。

  • オペレーター転送: AIで対応しきれないような複雑な問い合わせや、顧客がオペレーターとの会話を希望する場合には、スムーズに担当者へと電話を転送します。

  • FAQ応答: よくある質問(FAQ)に対しては、AIが迅速かつ正確に自動で回答します。

  • リマインド通知: 予約日の前に自動でリマインド通知を行うことで、顧客の来店忘れを防ぎ、予約率・来店率の向上に貢献します。

これらの機能により、企業は業務効率を向上させると同時に、顧客はよりストレスなくスムーズなサービス体験を得ることが可能になります。まさに、業務効率と顧客体験の両立を実現する画期的なシステムと言えるでしょう。

導入によって期待される効果:人手不足解消から顧客満足度向上まで

今回のAI予約・案内自動化システムの導入により、株式会社レモリフでは多岐にわたる効果が期待されています。これらの効果は、単なる業務効率化に留まらず、顧客満足度の向上や企業の競争力強化にも繋がる可能性があります。

1. 電話応対にかかる工数の大幅削減

AIが保険満期案内や来店予約といった定型的な電話業務を自動でこなすことで、従業員はこれらの業務に割いていた時間を大幅に削減できます。これにより、従業員はより専門的な業務や、顧客一人ひとりに寄り添うような質の高いサービス提供など、人間にしかできない重要な業務に集中できるようになります。

2. 時間外対応による顧客利便性の向上

AIは24時間365日稼働できるため、顧客は営業時間や定休日を気にすることなく、自分の都合の良い時間に問い合わせや予約を行うことができます。「電話が繋がらない」という顧客のストレスを解消し、利便性を大きく向上させることで、顧客満足度の向上に直結します。

3. 予約率・来店率の向上

AIによる確実な案内と、予約日前の自動リマインド通知機能は、顧客の予約忘れや来店忘れを防ぎます。これにより、予約したにもかかわらず来店しない「ノーショー」のリスクを低減し、結果として予約率や来店率の向上に貢献します。

4. 顧客満足度の改善

「電話が繋がらない」「長時間待たされる」といった電話応対における不満は、顧客体験を大きく損なう要因です。AIによる迅速かつ正確な対応は、これらの不満を解消し、スムーズでストレスフリーなサービス体験を提供することで、顧客満足度を大幅に改善することが期待されます。

これらの効果は、モビリティサプライチェーンにおける実用的なAI導入事例として、業界全体のDX推進に貢献するモデルケースとなるでしょう。人手不足が深刻化する地方において、AIが企業の持続可能性を高めるための重要なツールとなることを示しています。

地方社会のDXインフラへ:今後の展望とビジョン

株式会社Spark+は、今回のトヨタカローラ香川グループのレモリフとの取り組みを通じて得られた知見を基に、モビリティサプライチェーンにおけるDXプロジェクトの標準的な推進プロセスを確立しました。この成功事例を足がかりに、AIによる予約・案内自動化システムを、より幅広い分野へと展開していくことを視野に入れています。

具体的には、自治体、医療機関、公共インフラ事業者など、電話業務に多くのリソースを割き、人手不足や顧客対応に課題を抱える多様な組織への導入を目指しています。これらの分野においても、AIが「つながらない」「待たされる」といった顧客の不満を解消し、業務効率を向上させることで、より質の高いサービス提供に貢献できると見込まれています。

また、Spark+は、このシステムを単なる効率化ツールとしてだけでなく、地方社会に根ざしたDXインフラとして展開していく強い意志を持っています。トヨタカローラ香川グループとの協業で培ったノウハウを活かし、地域企業が直面する人材不足、業務継続性の課題、顧客接点における問題に対し、AIを現場にスムーズに溶け込ませるアプローチを進めていくとのことです。これにより、地域特有の課題を解消し、「待たせない社会、地方でも等しく届くサービス体験」の実現を目指します。

Spark+の詳細はhttps://sparkplus.co.jp/をご覧ください。

両社代表が語るプロジェクトへの熱い思い

今回の画期的な協業について、両社の代表からはプロジェクトにかける熱い思いが寄せられています。

株式会社Spark+ 代表取締役CEO 本田純平氏のコメント

本田純平氏は、「このたび、トヨタカローラ香川グループのレモリフ様と共に、モビリティサプライチェーンの現場課題にAIで挑むプロジェクトをスタートできたことを大変うれしく思います」と語っています。地方における人手不足や働き方の制約が日々の業務継続に影響を与え始めている現状に触れ、「こうした現場でこそ、AIは “人を置き換える技術”ではなく、“人を支える技術”として活躍できると考えています」と、AIの役割に対する深い洞察を示しました。

Spark+は「AIで産業課題解決に挑む」という理念のもと、製造業やモビリティ産業をはじめとする様々な分野で、課題解決型のAI実装を現場で進めています。本田氏は、今回の香川での取り組みを通じて、地方から新しいDXのあり方を生み出し、「AIが地域の力を拡張する社会」を現実のものにしていきたいという強いビジョンを表明しました。

株式会社レモリフ 代表取締役社長 向井良太郎氏のコメント

向井良太郎氏は、「このたび、Spark+様との協業によりAIを活用した新しい業務支援システムを開発・導入できる運びとなりました」と、協業への喜びを語りました。自動車業界の激変に加え、労働人口減少や少子高齢化といった地方課題が山積する中で、今後のAI活用は必須であるとの認識を示しています。

特に、自動車販売店への来店予約や問い合わせが、未だに電話やDMに頼ることが多く、顧客と店舗双方にとって課題の多い業務であると指摘。その課題解決に共感し、共に創り上げたのが今回のAIによる予約・案内システムであると説明しました。向井氏は、このAI活用を単なる業務効率化に終わらせることなく、「お客様への価値や嬉しさにまで発展させ、お一人お一人に最適なカーライフを提供し続けることが当社の使命です」と、顧客中心のサービス提供へのこだわりを強調しました。さらに、地方販売店での成功例を全国のロールモデルとし、業界全体へのインパクトを目指すとともに、地域密着型ディーラーとして地元から応援され続ける企業でありたいと決意を語っています。

株式会社Spark+ 会社概要

株式会社SparkPlus(通称:Spark+)は、東京大学松尾研究室発のスタートアップ企業です。最先端のAI技術を活用し、産業特化型のDXソリューションを提供しています。三菱重工、豊田自動織機、NTNなど、自動車関連の世界的メーカーとの豊富な取引実績を持ち、その高度な技術知見を活かして、サプライチェーン全体やサービス現場における実用的なAI開発・実装を幅広く支援しています。

  • 名称:株式会社SparkPlus(通称:Spark+)

  • 代表者:代表取締役CEO 本田純平

  • 所在地:東京都文京区本郷6-25-14 宗文館ビル3F(HONGO EGG内)

  • 設立:2024年2月

  • 事業内容:産業向けAIソリューション・コンサルティング

  • URL:https://sparkplus.co.jp/

株式会社レモリフ 会社概要

株式会社レモリフは、トヨタカローラ香川株式会社のグループ企業です。カー用品販売・カーメンテナンス事業を基盤とし、EVモビリティ(電動バイク・小型EV)の販売・導入支援、車両の安心・安全を支えるスマートメンテナンスサービスを展開しています。また、EVを活用した地域観光の創出など、環境に配慮した新たなモビリティ体験の提供にも積極的に取り組んでいます。

  • 名称:株式会社レモリフ

  • 代表者:代表取締役 向井良太郎

  • 本社所在地:香川県高松市鬼無町是竹94 (〒761-8021)

  • 創立:1998年1月

  • 資本金:3,000万円

  • 事業内容:カー用品販売・カーメンテナンス事業、EVモビリティ販売・導入支援、スマートメンテナンスサービス、EVを活用した地域観光創出など。

まとめ:AIが拓く、より便利で豊かな社会へ

株式会社Spark+と株式会社レモリフの協業によって開発された音声AIエージェントによる予約・案内自動化システムは、地方の人手不足や顧客不満といった具体的な社会課題に対し、AIが強力な解決策となりうることを明確に示しています。このシステムは、単なる電話業務の効率化に留まらず、顧客体験の向上、従業員の負担軽減、ひいては企業の持続可能性を高める可能性を秘めています。

今回の取り組みは、モビリティサプライチェーンにおけるDXの先進的なモデルケースとして、今後、自治体や医療機関など、様々な分野への展開が期待されます。AIが「人を支え、地域の力を拡張する」存在として、より便利で豊かな社会を築く未来に、大きな期待が寄せられています。

タイトルとURLをコピーしました