2025年11月27日、自動車およびロボティクス市場向けに実績のあるビジョンAIソリューションを提供するoToBriteが、来る2025国際ロボット展(iREX 2025)にて、次世代の視覚認識技術ポートフォリオを発表することを明らかにしました。
この発表は、屋外ロボティクス、無人地上車両(UGV)、ヒューマノイドロボット、そして次世代スマートモビリティといった分野に大きな影響を与えるもので、その中核となるのは、車載グレードのGMSL2カメラシリーズ、VIO(Visual-Inertial Odometry)カメラ、oToSLAMマルチカメラ・ビジョンAI測位システム、そして新しいGMSL™カメラJetson開発者キットです。

oToBriteとは?
oToBriteは、自動車やロボットの分野で、AIを使った「見る」技術、つまりビジョンAIソリューションを専門に開発している企業です。彼らの技術は、車やロボットが周囲の環境を正確に認識し、安全かつ効率的に動作するために不可欠なものです。
- oToBriteについて詳しくはこちら:oToBrite公式サイト
なぜ屋外ロボティクスにビジョンAIが重要なのか?
近年、農業用ロボット、配送ドローン、自律走行する建設機械など、屋外で活躍するロボットや無人車両が増えています。しかし、屋外環境は常に変化し、予測不可能な要素が多いため、ロボットが周囲を正確に認識することは非常に難しい課題です。
例えば、日差しの強い場所での逆光、突然の雨や霧、夜間の低照度、でこぼこした地面での振動など、様々な悪条件がロボットの「目」となるカメラの性能に影響を与えます。これらの課題を克服し、ロボットが安全に、そして自律的に動作するためには、高度なビジョンAI技術が不可欠です。
oToBriteが発表するソリューションは、まさにこれらの屋外環境特有の課題に対応し、ロボットがまるで人間のように周囲を「見て」「理解する」能力を高めることを目指しています。
iREX 2025で発表される主要ソリューションの詳細
oToBriteがiREX 2025で公開する技術は多岐にわたりますが、ここでは特に注目すべきポイントをAI初心者にもわかりやすく解説します。
1. Jetsonプラットフォーム向け新型GMSL™カメラ開発者キット
Jetsonプラットフォームとは?
「Jetson(ジェットソン)」とは、NVIDIA社が開発した、AIを搭載したロボットやエッジデバイス(現場で直接データを処理する機器)向けの高性能な小型コンピューターのことです。まるで小さなスーパーコンピューターが手のひらサイズになったようなもので、複雑なAI処理をリアルタイムで行うことができます。
開発者キットの機能とメリット
oToBriteは、このJetsonプラットフォーム、特に「Jetson AGX Orin™」と「Jetson Orin™ Nano」向けに特化した開発者キットを発表します。これらのキットは、複数のカメラを使ったAIビジョンシステムを開発する際に、開発者がより迅速かつ簡単に作業を進められるように設計されています。
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oToAdapter-GMSL-AGX-Orin: 最大8台のGMSL2カメラを接続でき、AI性能は275 TOPS(毎秒275兆回の演算が可能)という高い処理能力を誇ります。これは、非常に多くの視覚情報を同時に高速で処理できることを意味します。
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oToAdapter-GMSL-Orin-Nano: 最大4台のカメラをサポートし、AI性能は67 TOPSです。こちらも十分な処理能力を持ち、よりコンパクトなシステムに適しています。
どちらのキットも「プラグアンドプレイ」に対応しています。これは、機器を接続するだけで特別な設定なしにすぐに使える、という意味です。oToBriteのすべてのGMSL™カメラと完全に互換性があるため、開発者はカメラ選びやシステム構築の手間を大幅に削減できます。これにより、Jetsonプラットフォーム上でのマルチカメラビジョン開発が飛躍的に加速することが期待されます。
- 開発者キットについて詳しくはこちら:oToBrite GMSLカメラ Jetson開発者キット
2. indie CVPを搭載したoToCAM274ISPおよびoToCAM276ISPカメラシリーズ
indie CVPとは?
「CVP(Camera Video Processor)」は、カメラが捉えた画像をより美しく、よりAIが認識しやすい形に処理するための専用チップです。indie iND88002 CVPは、特に車載用途に特化した高性能なプロセッサーで、厳しい環境下でも安定した映像処理を可能にします。
高性能カメラの特長
oToBriteの新しいoToCAM274ISPおよびoToCAM276ISPカメラシリーズは、先進的な車載センサーであるIMX623とAR0823を搭載し、さらにこのindie iND88002 CVPを統合しています。
これらのカメラは、以下のような優れた性能を発揮します。
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1,400 MP/sのISPスループット: 非常に高速な画像処理能力で、大量の映像データを素早く処理します。
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1ms未満の低遅延: 映像の入力から処理、出力までの時間が非常に短く、リアルタイム性が求められるロボットの制御に最適です。
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144 dB HDR(ハイダイナミックレンジ): 明暗差の激しい環境でも、明るい部分も暗い部分も鮮明に捉えることができます。これにより、強い逆光やトンネルの出入り口などでも、見えづらい部分を減らし、AIが正確に状況を判断する手助けをします。
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最大4台のカメラで8つのリアルタイムビデオストリームをサポート: 複数のカメラからの映像を同時に、かつ遅延なく処理できるため、広範囲をカバーするシステム構築に役立ちます。
車載グレードのISP(画像処理プロセッサー)チューニングと組み合わせることで、これらのカメラは強い逆光、低照度(暗い場所)、霧といった過酷な屋外条件下でも、鮮明で安定したAI対応の映像を提供します。これにより、無人車両や先進的なロボティックビジョンシステムが、どんな環境でも高い認識精度を維持できるようになります。
- カメラシリーズについて詳しくはこちら:oToBrite GMSLカメラ with indie CVP
3. 車載グレードVIOカメラ
VIO(Visual-Inertial Odometry)とは?
「VIO」は、「Visual(視覚)」と「Inertial(慣性)」の情報を組み合わせることで、ロボットや車両が自分の位置や動きを推定する技術です。具体的には、カメラの映像から得られる視覚情報と、IMU(慣性計測装置)から得られる加速度や角速度の情報を融合させます。
VIOカメラの特長
oToBriteの車載グレードVIOカメラは、加速度計とジャイロスコープを組み合わせたオンボードIMUを統合しています。これにより、以下のようなメリットがあります。
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振動補正: ロボットや車両がでこぼこ道を走行する際に発生する振動による画像のずれを、IMUのデータとカルマンフィルターという高度な計算手法で補正します。これにより、どんなに揺れる環境でも、カメラから出力される映像は滑らかで安定します。
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安定した画像出力: 低照度、高振動、不整地といった厳しい環境でも、常にクリアで安定した画像を提供します。
このような特性から、屋外の無人車両、AMR(自律移動ロボット)、港湾システム、採掘設備など、過酷な環境下で高精度な位置情報と安定した視覚情報を必要とするアプリケーションに最適です。
- VIOカメラについて詳しくはこちら:oToBrite ロボティクスカメラ (AMR/UGV向け)
4. oToSLAMマルチカメラ・ビジョンAI測位システム
SLAM(同時位置推定と地図作成)とは?
「SLAM(スラム)」は、「Simultaneous Localization And Mapping」の略で、ロボットが未知の環境を移動しながら、同時に自分の現在位置を推定し、周囲の地図を作成する技術です。GPSが使えない屋内や、詳細な地図がない場所でロボットが自律的に動き回るために非常に重要な技術です。
oToSLAMの画期的な機能
oToBriteのoToSLAMマルチカメラ・ビジョンAI測位システムは、従来のSLAM技術をさらに進化させたものです。
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HDマップやLiDAR不要: 一般的に高精度な測位には高価なLiDAR(レーザーセンサー)や、事前に作成された高精細な地図(HDマップ)が必要とされますが、oToSLAMはこれらを使用せずに、カメラの映像データのみで高精度な測位を実現します。
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センチメートル単位の3Dマッピングと位置特定: 非常に高い精度で周囲の3D地図を作成し、ロボットの現在位置をセンチメートル単位で特定できます。
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屋内・屋外両対応: 建物の中だけでなく、屋外の広範囲な環境でも高い性能を発揮します。
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物体分類および走行可能領域のセグメンテーション: 映像の中から様々な物体(人、車、障害物など)を認識し、それぞれを分類するだけでなく、ロボットが安全に走行できる領域をリアルタイムで識別します。これにより、より賢く、安全な自律走行が可能になります。
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マルチカメラ融合による360度全方位認識: 複数のカメラからの映像を統合することで、360度全方位の広範囲な視野を獲得し、死角を減らします。これにより、動的な環境や複雑なシナリオでも安定した性能を確保し、ロボットが周囲の状況を完全に把握できるようになります。
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oToSLAMについて詳しくはこちら:oToBrite oToSLAM ビジョンAI測位システム
iREX 2025での展示に注目!
これらの先進的なビジョンAI技術は、2025年12月3日(水)から6日(土)まで東京ビッグサイトで開催される2025国際ロボット展(iREX 2025)のoToBriteブース「E7-25」にて展示されます。
ロボティクスやインテリジェントモビリティの分野で世界のリーダーたちが集まるこのイベントで、oToBriteの革新的なソリューションがどのような反響を呼ぶか、大きな注目が集まることでしょう。
まとめ:oToBriteが描くロボティクスの未来
oToBriteがiREX 2025で発表するビジョンAIソリューションは、屋外ロボティクスや無人車両の分野に新たな可能性をもたらすものです。過酷な環境下でも高精度な認識を可能にするGMSL™カメラシリーズやVIOカメラ、そして自己位置推定と地図作成を同時に行うoToSLAMシステムは、ロボットがより自律的に、より安全に、そしてより賢く動作するための基盤となります。
これらの技術は、物流、建設、農業、警備、災害対応など、様々な分野でのロボット活用を加速させ、私たちの社会に大きな変革をもたらすことが期待されます。AI初心者の方々も、これからのロボットが「見る」能力がどのように進化していくのか、ぜひ注目してみてください。oToBriteの技術が、きっと未来のスマート社会を支える重要な柱となるでしょう。

