AI時代に「伝わる言葉」で企業価値を最大化!エイアンドピープルが東京大学と開発した日本語診断ツール「ニコラ」とは?プレインランゲージで情報発信を革新
現代社会では、インターネットやデジタル技術の発展により、日々膨大な情報が飛び交っています。企業や組織が発信する情報も例外ではありません。このような情報過多の時代において、自社のメッセージが「正確に、そして迅速に相手に伝わる」ことは、ビジネスを成功させる上で極めて重要な要素となっています。
一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)の会員企業である株式会社エイアンドピープルは、長年にわたり専門的な翻訳・ドキュメンテーションサービスを提供し、企業の情報発信を支えてきました。同社のグローバルコミュニケーション事業部で部長を務める臧菁氏は、「伝わる言葉」の重要性を深く認識し、複雑な情報を「読みやすく訴求力のある形」に変えるプロフェッショナルとして、プレインランゲージの普及に情熱を注いでいます。
本記事では、エイアンドピープルが東京大学と共同開発した日本語診断ツール「ニコラ」を中心に、AI初心者の方にも分かりやすく、情報発信の未来をどう変えようとしているのかを詳しくご紹介します。

プレインランゲージとは?情報伝達の新たな国際標準
まず、「プレインランゲージ」という言葉に聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれません。プレインランゲージとは、情報の受け手が「必要な情報を容易に見つけ、理解し、使用できる」ように、簡潔で明瞭なコミュニケーションを追求する様式のことです。この考え方は国際標準化機構(ISO)にも採択されており、世界中でその重要性が認識されています。
なぜ今、プレインランゲージがこれほどまでに注目されているのでしょうか。その背景には、グローバル化とデジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展があります。企業や自治体が発信する情報は、もはや特定の国や地域の人々だけでなく、自動翻訳を通じて世界中の多様な人々によって読まれるようになりました。このような状況で、情報が正確に伝わり、相手にすばやく理解され、適切な判断につながるかどうかが、ビジネスにおける優位性を大きく左右する時代になったのです。
プレインランゲージの具体的な特徴としては、以下のような点が挙げられます。
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簡潔さ: 無駄な言葉を省き、要点を絞って表現します。
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明瞭さ: 曖昧な表現を避け、誰が読んでも同じ意味に受け取れるようにします。
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読みやすさ: 専門用語を避け、平易な言葉を使用します。また、一文一義を心がけ、複雑な構文を避けます。
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受け手視点: 誰に何を伝えたいのかを明確にし、その読者層に合わせて内容や表現を最適化します。
これらの原則を守ることで、情報がより多くの人々に効率的に伝わり、誤解を防ぎ、信頼関係を築く土台となります。
情報発信の課題とエイアンドピープルの挑戦
エイアンドピープルは、こうした情報伝達の重要性を早くから認識し、長年にわたり英文の構造や表現を整理し、明瞭で簡潔、理解しやすい翻訳(国際標準プレインランゲージ)の普及を推進してきました。同社のウェブサイトで公開されている「English Readability Analyzer」は、英語文章の読みやすさを定量的に評価するツールとして、多くの企業や個人に利用されています。
しかし、日本語には特有の課題がありました。例えば、日本語には婉曲的な言い回しや、一文に複数の主旨が含まれる長文が多く見られます。これらは、そのまま国際標準プレインランゲージに翻訳しようとすると、英語として読みにくくなったり、意味があいまいになったりする原因となり、結果として情報の訴求力を損ねてしまうことがありました。
そこでエイアンドピープルは、日本語の特性を考慮した「プレインジャパニーズ」(プレインランゲージの日本語版)の普及にも注力することを決めました。そのためには、日本語の読みやすさを定量的に測定し、改善を提案するツールが不可欠であると感じていたのです。この課題を解決するため、同社は2020年に東京大学との共同研究を開始しました。
日本語診断ツール「ニコラ」の誕生:AIが「伝わる日本語」をサポート
そして、この共同研究の成果として、2025年8月18日より、日本語診断ツール「ニコラ」のサービス提供が開始されました。
「ニコラ」は、AI技術と国際基準であるISOプレインランゲージ(日本語ではプレインジャパニーズ)の基準を組み合わせることで、文章の読みやすさを診断し、具体的な改善提案を行う画期的なサービスです。AI初心者の方にも分かりやすく、どのような機能があるのかを詳しく見ていきましょう。
「ニコラ」の主な機能と特徴
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日本語の読みやすさ診断機能:
「ニコラ」は、入力された日本語文章がどれくらい読みやすいかを、プレインジャパニーズの基準に基づいて定量的に評価します。例えば、「この文章は専門用語が多い」「一文が長すぎる」「主語と述語の関係が不明瞭」といった具体的な診断結果が示されます。これにより、書き手は自分の文章の「伝わりにくさ」を客観的に把握できます。 -
AIによる書き換え機能:
診断結果に基づき、「ニコラ」はAIがより分かりやすく、簡潔な表現への書き換えを提案します。これにより、複雑な表現を平易な言葉に修正したり、長文を短く区切ったり、曖昧な表現を明確にしたりすることが容易になります。AIが提案する選択肢の中から、最適な表現を選ぶことで、誰にでも「伝わる」文章を作成できます。 -
AI翻訳・解析ツールとの高い親和性:
「ニコラ」は、既存のAI翻訳や解析ツールとの連携を考慮して設計されています。日本語の原文を「ニコラ」で明瞭に整えることで、その後のAI翻訳の出力精度を格段に高めることができます。これは、AI翻訳が原文の質に大きく左右されるため、プレインジャパニーズ化された文章は、より正確で自然な多言語翻訳につながるというメリットがあります。 -
英語への自動翻訳機能(今秋搭載予定):
さらに、2025年秋には、「ニコラ」で日本語文書を明瞭で読みやすく整えた後、そのまま英語(プレインイングリッシュ)へ自動翻訳できる機能が搭載される予定です。これにより、日本語で作成した重要な情報を、国際的なビジネスシーンでもスムーズかつ正確に発信できるようになるでしょう。 -
直感的なインターフェース:
「ニコラ」は、ユーザーが直感的に理解・操作できるインターフェースを採用しています。専門知識がなくても、誰もが簡単に文章の診断や改善を行うことができます。
「ニコラ」を活用することで、企業はプレインジャパニーズに基づいた、分かりやすい文書を効率的に作成できます。これにより、顧客やパートナー、株主など、あらゆるステークホルダーに対して、明瞭で簡潔な文章でプロフェッショナルな印象を与えることが可能になります。また、プレインジャパニーズで書かれた原文は、多言語への翻訳も容易になるため、グローバルな情報発信を強力にサポートします。
エイアンドピープルは、「ニコラ」を通じて、プレインランゲージによる情報発信が活発になり、企業間の円滑なコミュニケーションや信頼構築の一助となることを願っています。
リーダーシップが支える高品質な情報発信
エイアンドピープルのグローバルコミュニケーション事業部部長である臧菁氏は、同社に約11年近く在籍し、翻訳会社としての専門性を活かしながら、多岐にわたるプロジェクト管理を担っています。特に、IR資料(投資家向け広報資料)の企画制作において、プレインランゲージの指標に基づいた資料提供に注力しています。IR資料は企業の信頼性に関わる重要な情報であり、その「伝わりやすさ」が企業の評価に直結するため、非常に高度な専門性が求められます。
臧氏は、高度な専門性を伴うプロジェクトの品質管理と進行管理の特性について、「同時進行でさまざまな業務を進めるためマルチタスク能力は必須」と語っています。そのような多忙な環境の中でも、臧氏が仕事の中で最も意識し、心がけているのは「言葉の扱い」だといいます。自身が外国人であるからこそ、言葉の壁や誤解が生じる不安を感じることがあった経験から、プレインランゲージの理念である「明確さ」を徹底する姿勢を大切にしているのです。
チーム体制においても、臧氏のリーダーシップは光ります。同社の強みは、社員の高いコミュニケーション能力にあると考えており、イレギュラーが発生した際には「すぐ社内でコミュニケーションを取りながら解決するため、話しあう場を設けている」と、迅速な問題解決へのこだわりを語っています。さらに、「お客様の立場に立ってプロジェクトを成功させるために、丁寧にフォロー、管理を行う」と、常に顧客視点を徹底していることがうかがえます。
重要な資料を扱う責任の重さから、エイアンドピープルでは手厚い教育・フォロー体制を整えています。初期のOJT期間に加え、その後も「基本的に半年間、きちんと先輩のフォロワーを設定してチームとしてプロジェクトに対応しています」と、チーム全体で高品質なサービスを提供するためのこだわりを明かしています。
臧氏のリーダーとしての信念も、このチーム体制を支えています。自身が過去の失敗から学び、その経験が成長につながると考えているため、部下には積極的に業務を任せているとのことです。自身は常に「社員それぞれの思いを優先して後ろでフォローしています」と述べ、部下が失敗を恐れずに挑戦し、成功体験を積めるよう、強力な後ろ盾に徹しています。このような臧氏の姿勢は、社内で「人情味あふれる優しいリーダー」と称されていることからも明らかです。
エイアンドピープルの描く未来:情報発信と社内環境の向上
今後のビジョンについて、臧氏は「お客様の情報発信」と「社内環境の向上」の2点を重点的に取り組みたいと述べています。
1. お客様の情報発信の向上
エイアンドピープルは、「ステークホルダーとの対話を導き、信頼関係を築くためのステップにつながるコミュニケーションツールの提供を目指し、業務を行うこと」を使命としています。特にIR資料のような重要情報は、単に翻訳するだけではその役割を十分に果たせません。情報の受け手が容易に理解できる形にすることで、企業とステークホルダー間の信頼関係を深め、ビジネスの成功に貢献することを目指しています。これは、「私たちエイアンドピープルの使命は、お客様のビジネスの成功の助力となる」という明確な理念に基づいています。
2. 社内環境の向上
社内環境については、「引き続き今の働きやすさをキープした上で、さらに効率化できることがあれば都度取り入れたい。良いチーム環境を作りたい」と、業務効率化を進めながら、常に柔軟な改善を目指しているとのことです。一見、お客様の情報発信と社内環境の向上は別々の課題に見えるかもしれませんが、日々の業務に追われる中で企業の理念が薄れないためにも、この二つのビジョンを同時に進めることが重要だと考えているようです。
グローバル化が進む情報化社会において、コミュニケーションのスタイルも変化し続けています。効果的なコミュニケーションを実現するためには、従来の日本語の表現を、より読み手主体のスタイルに改める必要が出てきています。例えば、結論から述べる「PREP法」など、論理的で分かりやすい構成が求められる場面が増えています。
エイアンドピープルは、そのサポートをする手段の一つとして、日本語の可読性を測るツール「ニコラ」を東京大学と共同開発しました。「日本語を変えることでグローバルスタンダードなコミュニケーション方法に近づき、より効果的な情報発信が可能となる」と、ツールの活用を通じた顧客貢献にも強い意欲を示しています。
臧氏が描く理想は、社員一人ひとりが「お客様サイドに立ってプロジェクトを成功に導くよう、それぞれが能動的に仕事に取り組む」チームです。エイアンドピープルは、この「伝わる」コミュニケーションのプロフェッショナル集団として、今後も企業と社会をつなぐ重要な橋渡し役を担っていくことでしょう。
まとめ
株式会社エイアンドピープルが東京大学と共同開発した日本語診断ツール「ニコラ」は、国際標準プレインランゲージの考え方に基づき、日本語の情報発信を根本から変革する可能性を秘めています。AI初心者の方々にとっても、このツールが提供する「読みやすさ診断」や「AIによる書き換え提案」は、日々の業務における文書作成の質を向上させる強力な味方となるでしょう。
グローバル化とDXが進む現代において、企業が発信する情報が「伝わる」ことは、もはや選択肢ではなく必須の要件です。「ニコラ」の登場は、日本語特有の表現の課題を克服し、より明瞭で簡潔なコミュニケーションを実現するための重要な一歩となります。これにより、企業はステークホルダーとの信頼関係を深め、最終的には企業価値の最大化へとつながっていくことが期待されます。
エイアンドピープルのプレインランゲージへの情熱と、顧客視点に立ったリーダーシップは、これからも「伝わる」コミュニケーションの未来を切り拓いていくことでしょう。
関連情報
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エイアンドピープルの戦略の詳細:
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一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)事務局お問い合わせページ:
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一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ):
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株式会社エイアンドピープル様 公式サイト:

