さくらケーシーエスが生成AIチャットボット「ENSOU」を導入!社内問い合わせ対応の劇的効率化と属人化解消を実現
2025年11月27日、SMBCグループの総合情報サービス企業である株式会社さくらケーシーエス(以下、さくらケーシーエス)が、株式会社Digeon(以下、Digeon)が提供する生成AIチャットボットサービス「ENSOUチャットボット」を導入したと発表しました。この取り組みは、さくらケーシーエスの情報システム部門が抱えていた社内問い合わせ対応の負荷と属人化という長年の課題に対し、画期的な解決策をもたらしています。

導入の背景:情報システム部門が直面していた深刻な課題
さくらケーシーエスは、金融・公共・民間企業向けに幅広いITソリューションを提供している大手システム開発企業です。しかし、その一方で、社内の情報システム部門は日々、社員からの多岐にわたる問い合わせに対応するという大きな負担を抱えていました。
具体的には、以下のような課題が顕在化していました。
- 問い合わせ対応負荷の増大: 社員からの質問は日々増加し、情報システム部門の担当者は本来の生産的な業務に集中する時間を確保することが困難になっていました。
- 属人化の進行: 特定の社員しか知らない情報や対応ノウハウが存在し、担当者が不在の場合に業務の停滞を招くリスクがありました。これは、対応品質の均一化を妨げる要因でもありました。
- 対応品質のばらつき: 問い合わせ内容や担当者によって回答の質やスピードに差が生じることがあり、社員満足度にも影響を与えていました。
- サイバーセキュリティ対策強化による業務量の増加: 近年、サイバーセキュリティ対策の重要性が高まるにつれ、情報システム部門の業務はさらに複雑化・増大の一途を辿っていました。
これらの課題を解決し、業務効率化と生産性向上を図るため、さくらケーシーエスは最先端の技術である「生成AI」の活用に注目しました。
神戸発の協業が実現した高精度なAIチャットボット
今回の生成AIチャットボットの構築において、さくらケーシーエスは同じ神戸を拠点とするAIスタートアップ企業であるDigeonからの技術的なアドバイスを受けました。両社の協業により、セキュリティを確保した環境で「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」という技術を実装し、既存の社内ドキュメントを最大限に活用した高精度な自動応答機能を実現しています。
RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは?
AI初心者の方には聞き慣れない言葉かもしれませんが、「RAG」は生成AIの性能を飛躍的に向上させるための重要な技術です。簡単に説明すると、以下のようになります。
一般的な生成AI(ChatGPTのようなもの)は、インターネット上の膨大なデータを学習していますが、特定の企業の社内情報や最新のデータについては知らない場合があります。そのため、「うちの会社のAという規定について教えて」といった質問には正確に答えられないことがあります。
そこでRAGの出番です。RAGは、質問が来た際に、まず企業の社内データベース(FAQ、規程、マニュアルなど)の中から質問に関連する情報を「検索(Retrieval)」して集めてきます。そして、その集めてきた情報を基にして、生成AIがより正確で具体的な回答を「生成(Generation)」するという仕組みです。
これにより、AIは社内データに基づいた信頼性の高い回答を提供できるようになり、情報漏洩のリスクを抑えつつ、企業固有の知識を活用した高精度なチャットボットが実現できるのです。
ENSOUチャットボットの導入内容と広がる活用範囲
さくらケーシーエスでは、ENSOUチャットボットの導入にあたり、社内のFAQ、規程、業務マニュアルといった既存のドキュメントを基にRAG環境を構築しました。これにより、情報システム部門への問い合わせの多くをAIが自動で回答できるようになりました。
初期導入後は、その使いやすさと高い利便性から、ENSOUチャットボットの活用範囲は情報システム部門の問い合わせ対応にとどまらず、社内全体へと拡大しています。
具体的には、以下のような業務シーンで活用が進んでいます。
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翻訳業務: 異なる言語間のコミュニケーションを円滑にするための翻訳ツールとして。
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書類作成: 報告書や企画書などの下書き作成、文章の校正・推敲をサポート。
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エラーコード調査: システムのエラー発生時に、迅速な原因究明と解決策の提示。
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コーディング支援: プログラミングコードの生成補助やデバッグ支援。
このように、ENSOUチャットボットは単なる問い合わせ対応ツールとしてだけでなく、社員の多様な業務をサポートする強力なアシスタントとして機能しています。
驚きの導入効果:月間500件以上の問い合わせ自動化を実現
ENSOUチャットボットの導入により、さくらケーシーエスでは目覚ましい効果が表れています。
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月間500件以上の問い合わせ対応を自動化: 情報システム部門に寄せられていた多くの定型的な質問や簡単な疑問に対し、チャットボットが自動で回答することで、担当者の負担を大幅に軽減しました。
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約500名が業務で利用: 導入後、短期間で多くの社員がENSOUチャットボットを日々の業務に活用するようになり、その利便性の高さが伺えます。
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データ更新 → 回答精度向上 → 問い合わせ削減 → 質問者も含め業務効率化という好循環を実現: ENSOUチャットボットの特長である「回答データ更新の自動化機能」により、利用状況に応じて回答精度が継続的に向上します。これにより、社員の疑問がよりスムーズに解決され、人手での対応件数がさらに削減されるというポジティブなサイクルが生まれています。
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属人化していた知識をAIに集約し、社内ナレッジの共有を促進: ベテラン社員の頭の中にあった「暗黙知」と呼ばれる経験やノウハウがAIに学習されることで、「形式知」として全社員がアクセス可能なナレッジベースに変わりました。これにより、社員間の知識格差が減少し、組織全体の生産性向上に貢献しています。
お客様からのコメント:業務への集中とナレッジ化の推進
今回の導入成功を受け、さくらケーシーエスからは喜びの声が寄せられています。
株式会社さくらケーシーエス 常務執行役員 CISO 新見昌弘様
新見様は、経営層として「属人化」が大きな課題であったとコメントしています。担当者が不在の場合に業務の進捗に影響が出るケースもあったとのことです。ENSOUチャットボットの導入により、繰り返しの質問対応に追われる必要がなくなり、社員が本来取り組むべき生産的な業務に集中できる環境が整いつつあることを評価しています。さらに、これまでベテラン社員の頭の中にあった暗黙知を生成AIに取り込み活用する「暗黙知を形式知にするナレッジ化」にも積極的に取り組んでいると述べています。
株式会社さくらケーシーエス 情報システム部 システム管理グループ長 梅木英幸様
梅木様は、導入前の情報システム関連の問い合わせが1人あたり1日10〜20件に及んでいた状況を明かしています。ENSOUチャットボット導入後は、単純な質問の多くが自動化されたことで、業務の「スイッチングコスト」が大幅に削減されたと語っています。スイッチングコストとは、一つの業務から別の業務へ切り替える際に発生する時間や労力のことで、これが削減されることで、より効率的に業務を進められるようになったことを意味します。社員からチャットボットに「ありがとう」と感謝のメッセージが届くことも多く、社内の頼れる存在として定着していることが伺えます。
ENSOUチャットボットが解決する企業AI利用の課題
ENSOUチャットボットは、法人向けに特化して開発されたセキュアな生成AIチャットボットサービスであり、企業が生成AIを導入する際の障壁となりがちな以下の課題を解決するために提供されています。
- リテラシー格差の解消: 「どの業務でAIを活用できるかイメージが湧かない」「プロンプト(AIへの指示文)作成が難しい」と感じる社員が多いという課題に対し、ENSOUチャットボットは使いやすいインターフェースとプロンプトテンプレート共有機能を提供し、誰もがAIを活用しやすい環境を整えます。
- 情報漏洩リスクの排除: 一般的な生成AIサービスでは、入力内容が学習に利用される可能性があり、機密情報が漏洩するリスクが懸念されます。ENSOUチャットボットはセキュアな環境でRAGを構築することで、この情報漏洩リスクを根本的に解決します。
- 社内情報との非連携の克服: AIが社内ドキュメントを参照できないため、業務上クリティカルな領域での効率化が難しいという課題に対し、RAG技術によって社内FAQやマニュアルなどの情報をAIに学習させ、企業固有の知識に基づいた正確な回答を可能にします。
これらの課題に対し、ENSOUチャットボットはセキュリティと利便性を両立させ、組織単位でのAI活用を強力に支援する機能を標準搭載しています。さらに、クレジットカード登録や申し込み手続き不要で、5分で利用を開始できるフリープランも提供されており、RAG構築を含む主要機能を制限なく体験できる手軽さも魅力です。
株式会社さくらケーシーエス 概要
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会社名: 株式会社さくらケーシーエス
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所在地: 神戸市中央区播磨町21-1
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代表者: 代表取締役社長 加藤貴紀
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設立: 1969年3月
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事業内容: システム構築、システム運用管理、システム機器販売
株式会社Digeon 概要
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会社名: 株式会社Digeon
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所在地: 兵庫県神戸市中央区浪花町64 三宮電電ビル 5階
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代表者: 代表取締役社長 山﨑祐太
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設立: 2020年10月
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事業内容: 法人向け生成AIソリューション「ENSOUチャットボット」の開発・提供
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URL: https://digeon.co/
まとめ:AIが拓く新たな業務効率化の未来
さくらケーシーエスによるENSOUチャットボットの導入事例は、生成AIが企業の業務効率化と属人化解消にどれほど貢献できるかを示す好例です。情報システム部門の問い合わせ対応という具体的な課題に対し、月間500件以上の自動化という目に見える成果を上げ、さらには社員の幅広い業務をサポートするツールへと進化しています。神戸発の大手企業とAIスタートアップの協業が、日本のビジネスシーンにおけるAI活用の新たな可能性を切り開いたと言えるでしょう。
今後も、ENSOUチャットボットのような生成AIサービスが、多くの企業の生産性向上と競争力強化に貢献していくことが期待されます。特に、RAG技術を活用したセキュアな環境での社内ナレッジ活用は、企業におけるAI導入の鍵となるでしょう。AI初心者の方も、この事例を参考に、自社の業務にAIをどのように取り入れられるかを検討してみてはいかがでしょうか。

