DataLabs株式会社(以下、DataLabs)が、2026年2月5日にクアラルンプールで開催された「マレーシア・日本 ファストトラック・ピッチ2026」において、見事優勝を果たしました。この栄誉ある結果により、マレーシア建設最大手であるYTL Constructionとの概念実証(PoC)の実施が決定し、両社間の協業に向けた具体的な検討が開始されます。

この快挙は、DataLabsが提供する建設現場のデジタル化を推進する「Modely」と「自動モデル化技術」が、グローバルな舞台で高く評価されたことを示しています。AIやデジタル技術が建設業界にどのような変革をもたらすのか、その詳細を分かりやすくご紹介します。
「マレーシア・日本 ファストトラック・ピッチ」とは?
「マレーシア・日本 ファストトラック・ピッチ」は、日本政府の経済産業省と日本貿易振興機構(JETRO)が、ASEAN各国の政府機関と連携して進める「日ASEAN共創ファストトラック・イニシアティブ」の一環として開催される、非常に権威あるプログラムです。
その目的は、日本の優れた技術を持つ企業とASEAN地域の企業との協業を加速させ、イノベーションを共同で創出することにあります。今回のイベントには、世界中から100件を超える提案が寄せられ、その中から書類選考を通過したファイナリストのみが最終ピッチに登壇できるという、非常に狭き門でした。
DataLabsは、その提案内容における技術的な優位性、そして実際の建設現場が抱える課題に対する適合性が特に高く評価され、優勝者に選ばれました。この結果は、DataLabsの技術が国際的な視点から見ても、建設DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で非常に有望であることを証明しています。
イベントの詳細については、JETROのウェブサイトで確認できます。
https://www.jetro.go.jp/malaysia/dx/fasttrack.html
YTL Constructionが抱える課題とDataLabsの革新的な解決策
マレーシアの大手建設会社であるYTL Constructionは、建設現場の効率化において二つの重要な経営課題を抱えていました。
- デジタル・サイト・ダイアリー(現場日報)の迅速化:現場での報告書作成に時間がかかり、リアルタイムでの情報共有が難しいこと。
- 管理者承認(サインオフ)の高速化:現場の状況報告に対する管理者の承認プロセスが遅れることで、プロジェクト全体の進行に影響が出ること。
これらの課題に対し、DataLabsは「Modely」と「図面・点群からの自動BIM化技術」という二つの画期的なソリューションを提案しました。これらの技術は、建設現場のデジタル化を大きく前進させると期待されています。

1. Modely(モデリー):現場報告と承認の即時化を実現
「Modely」は、iPadなどのタブレット端末に搭載されたLiDAR(ライダー)スキャン技術を活用し、建設現場の重要な工程である配筋検査を効率化するシステムです。配筋検査とは、建物の骨組みとなる鉄筋が設計通りに配置されているかを確認する作業で、非常に手間と時間がかかります。
DataLabsが提案したModelyの主な機能は以下の通りです。
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現場の写真・動画付きメモ機能:現場の状況を写真や動画とともに記録し、詳細な情報を残すことができます。
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自動サマリー作成による現場日報の迅速化(Rapid Digital Site Diary):記録された情報から自動で日報の要約を作成することで、手作業による日報作成の手間を大幅に削減し、迅速な報告を可能にします。
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クラウド同期によるリアルタイムな管理者承認(Immediate Supervisor Sign-off):現場で作成されたデータはすぐにクラウドに同期されるため、管理者はオフィスにいながらにしてリアルタイムで現場の状況を確認し、迅速に承認を行うことができます。これにより、承認待ちによる作業の遅延を防ぎます。
これらの機能が、YTL Constructionが求めていた「現場日報の迅速化」と「管理者承認の高速化」というニーズに完璧に合致しました。Modelyの導入により、現場作業の効率が向上し、プロジェクト全体のスピードアップが期待されます。

2. 図面・点群からの自動BIM化技術:建設プロセスのデジタル化を加速
もう一つの画期的なソリューションが、「2次元図面や点群データからBIM/CIMモデルを自動生成する技術」です。BIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)とは、建物の設計から施工、維持管理に至るまでのあらゆる情報をデジタルデータとして一元的に管理する技術のことです。これにより、プロジェクトに関わる全員が同じ情報を共有し、効率的に作業を進めることができます。
この技術の特に注目すべき点は、非構造化データである点群を、部材単位で意味のあるBIMモデルへと瞬時に変換できることです。点群データとは、レーザースキャナーなどで取得した、たくさんの点の集まりでできた3Dデータのこと。従来のBIM化では、この点群データを手作業でモデルに変換する必要があり、多大な時間とコストがかかっていました。
DataLabsの自動BIM化技術は、この課題を解決します。点群データや既存の2次元図面から、柱や梁、壁といった建物の各部材を自動的に認識し、それぞれに意味を持たせた3Dモデル(BIMモデル)を生成します。これにより、以下のメリットが生まれます。
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時間とコストの大幅削減:手作業によるモデル化が不要になるため、作業時間を劇的に短縮し、人件費などのコストを削減できます。
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データの精度向上:自動化により、人為的なミスを減らし、より正確なBIMモデルを作成できます。
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建設プロセスのデジタル化加速:BIMモデルを迅速に生成できることで、設計、施工、維持管理の各段階でデジタルデータを活用しやすくなり、建設プロジェクト全体のDXを強力に推進します。

この技術は、建設現場の「デジタルツイン」(現実の建物をデジタル空間に再現したもの)構築を容易にし、設計変更のシミュレーションや施工計画の最適化など、様々な場面での活用が期待されています。

今後の展望:マレーシアにおける建設DXのナショナルスタンダード確立へ
DataLabsは、日本国内において既にJRグループやNEXCO、大手ゼネコンを含む300社以上の企業にシステムを導入した実績を持っています。これは、DataLabsの技術が日本の建設業界で広く認められ、信頼されている証拠です。
また、日本国内だけでなく、タイ、香港、シンガポールといったアジア諸国での事業展開も進めています。今回のYTL Constructionとの協業は、DataLabsにとってマレーシア市場への本格的な進出を意味します。
DataLabsは、この協業を通じて、マレーシアにおける建設DXの「ナショナルスタンダード(国家標準)」を確立することを目指しています。これは、マレーシアの建設業界全体がDataLabsの技術を標準的に採用するレベルまで普及させるという、非常に大きな目標です。
建設業界は、労働力不足や高齢化、生産性の向上といった課題を抱えています。AIや3Dデータを活用したDataLabsの技術は、これらの課題を解決し、より効率的で安全な建設現場を実現するための強力なツールとなるでしょう。マレーシアでの成功は、他のASEAN諸国への展開にも弾みをつけることでしょう。
DataLabs株式会社について
DataLabs株式会社は、「3次元データで建設業を変革する」というミッションを掲げ、あらゆる建設業務を効率化するクラウドシステムを提供しているスタートアップ企業です。同社は、3次元配筋検査システム「Modely」のほか、3Dインフラ補修工検査システム「Hatsuly」や3Dインフラ点検システム「Markly」を含む「3D InfraLoop」シリーズを開発・提供しています。
これらの製品は、建設現場で発生する様々なデータを3次元で取得・解析し、作業の効率化、品質向上、コスト削減に貢献しています。DataLabsは、革新的な技術を通じて、建設業界の未来を切り拓いています。
会社概要
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社名:DataLabs株式会社
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所在地:東京都中央区日本橋小舟町8-6
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設立:2020年7月
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代表:代表取締役 田尻 大介
まとめ
DataLabs株式会社が「マレーシア・日本 ファストトラック・ピッチ」で優勝し、マレーシア建設最大手YTL Constructionとの協業を開始することは、日本の技術がグローバルな建設DXを牽引する大きな一歩となります。Modelyによる現場報告と承認の迅速化、そして自動BIM化技術による建設プロセスのデジタル化は、マレーシアの建設業界に新たな効率と生産性をもたらすことでしょう。
AIや3Dデータの活用は、建設業界の未来を大きく変える可能性を秘めています。DataLabsの今後の活躍、そしてマレーシアにおける建設DXの進展に、引き続き注目が集まります。

