日本とアジアをつなぐ新たな架け橋:「Growthstock Pulse」と台湾「Garage+」が連携
日本とアジアのスタートアップエコシステムを多言語で世界に発信するオンラインメディア「Growthstock Pulse」を運営するCohh株式会社は、台湾を代表するスタートアップアクセラレータの一つである「Garage+(ガレージ・プラス)」との連携を発表しました。この画期的な協業は、アジア発の次世代イノベーションを深く掘り下げ、グローバル市場へと羽ばたくスタートアップを強力に支援することを目的としています。
近年、日本のスタートアップ企業が海外市場への進出を強く望む一方で、海外のスタートアップに対する日本企業の関心も高まっています。しかし、実際に海外でビジネスを展開するための具体的な情報や知識が不足していることが、大きな課題となっていました。今回の「Growthstock Pulse」と「Garage+」の連携は、このような情報のギャップを埋め、世界を目指す起業家、日本の事業会社、そして投資家に対して、アジアから世界へと挑むスタートアップの「今」を、より実践的な視点から提供することを目指しています。
なぜこの連携が重要なのか?情報格差を乗り越え、グローバル展開を加速
Cohh株式会社は、「We empower innovators from anywhere to go beyond(場所を問わず、革新者が限界を超える力を与える)」というミッションを掲げ、地域や国境を越えて挑戦する起業家やスタートアップを支援しています。彼らは、スタートアップのグローバル展開における最大の障壁が「情報の非対称性」、つまり必要な情報が適切に届いていないことだと考えています。
この課題に対し、Garage+との連携が大きな意味を持ちます。Garage+は、半導体製造の世界的大手であるTSMCや、電子機器メーカーのデルタ電子といった台湾を代表する企業の支援を受けて設立された「Epoch Foundation(時代基金會)」が運営するアクセラレータです。台湾の強固な産業ネットワークを背景に持つGarage+と組むことで、世界を目指す起業家や、日本の事業会社、投資家に対し、アジアから世界に向かう国内外スタートアップの現実の姿を、より深く、リアルに届けられるようになります。
これにより、スタートアップが海外市場で成功するための具体的な知見や、企業間の連携、投資機会に関する実践的な情報が提供され、日本とアジアのスタートアップエコシステム全体の活性化が期待されます。
世界から選ばれるプログラム「Startup Global Program(SGP)」とは
Garage+が運営する「Startup Global Program(SGP)」は、国内外の有望なスタートアップを台湾の産業ネットワークに接続し、成長を支援するプログラムです。このプログラムは世界各国からスタートアップが参加する競争率の高いもので、選ばれた企業は台湾の豊富なリソースとネットワークを活用して、グローバル市場での成功を目指します。
現在、2026年5月に開催される「2026 Spring Batch」の公募が2月28日まで進行中であり、世界中の革新的なスタートアップがこの機会を狙っています。

今回の特集では、SGPを卒業したスタートアップの中から、特に日本市場やアジアでの展開において高い可能性を秘めている以下の6社に焦点を当てます。これらの企業は、その事業内容だけでなく、技術の実用性や、すでに他企業との連携事例、そして今後の展望についても詳しく紹介されます。AI初心者の方にも分かりやすいように、それぞれの技術やビジネスモデルを丁寧に解説します。
注目すべき6社のスタートアップ:アジアのイノベーションを牽引する力
① エアメンブレン(日本):グラフェン技術で未来を拓くディープテック
日本・つくば発のディープテック・スタートアップであるエアメンブレンは、炭素原子がたった一層の厚みで構成される「グラフェン」という新素材の量産技術を開発しています。グラフェンは、非常に薄く、軽くて丈夫、そして電気を通しやすいという驚くべき特性を持つ「夢の新素材」として注目されています。
しかし、これまでは高品質なグラフェンを大量に作るのが非常に難しいという課題がありました。エアメンブレンは、この課題を解決する独自の技術を持つことで、大面積かつ高品質なグラフェンを効率的に生産することを可能にしました。この技術は、次世代の電子機器、エネルギー貯蔵、センサーなど、幅広い分野での応用が期待されており、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています。
② bestat(日本):写真から高精度3Dモデルを自動生成するAI技術
東京大学・松尾豊研究室から生まれたスタートアップ、bestatは、写真や動画、さらには「点群データ」と呼ばれる3Dスキャンデータから、高精度な3Dモデルを自動で作り出すプラットフォーム「3D.Core」を展開しています。AI(人工知能)が複雑な計算を自動で行い、現実世界の物体や空間をデジタル空間で再現します。
この技術は、建築、不動産、製造業、エンターテイメントなど、多岐にわたる分野で活用が期待されています。例えば、建設現場の進捗管理、工場設備のデジタルツイン作成、文化財のデジタルアーカイブ、ゲームやVRコンテンツの制作など、これまで時間とコストがかかっていた3Dモデル作成のプロセスを劇的に効率化することができます。AIが専門知識なしでもリアルな3Dモデルを作り出せるようになることで、より多くの人が3D技術の恩恵を受けられるようになるでしょう。
③ PurismEV(台湾):EVの性能と電力効率をAIで最適化
台湾のPurismEVは、電気自動車(EV)の走行データをAIで解析し、車両の性能と電力効率をソフトウェア制御だけで最適化するエネルギー管理ソリューションを提供しています。EVのバッテリーは、その使い方によって性能や寿命が大きく変わりますが、PurismEVの技術は、AIがリアルタイムで走行状況を分析し、最適な電力供給や回生ブレーキの制御を行うことで、より長く、より効率的にEVを走らせることを可能にします。
これは、EVの航続距離を伸ばし、バッテリーの劣化を抑えるだけでなく、ドライバーにとってより快適で安全な運転体験を提供することにもつながります。AIがEVの「頭脳」となり、常に最適な状態を保つことで、地球環境にも優しく、経済的なEVの利用が促進されることでしょう。
④ MilliLab(台湾):ミリ波センシング技術で非接触モニタリングを実現
同じく台湾のMilliLab(毫米波科技)は、ミリ波(電波の一種)を使ったセンシング技術を開発しています。この技術の最大の特徴は、カメラを使わずに、非接触で人の動きや心拍数、呼吸などの生体情報を検知できる点です。ミリ波は壁や衣類を透過する性質があるため、プライバシーに配慮しながら、見えない場所の状況を把握することが可能です。
例えば、介護施設や病院で、高齢者の転倒を未然に防いだり、睡眠中の呼吸異常を検知したりすることができます。また、工場やオフィスでの人の動きをモニタリングして、効率的なレイアウト改善や安全管理にも役立ちます。AIがミリ波から得られたデータを解析することで、これまで難しかった「見えない情報」を「有用な情報」に変え、私たちの安全や健康を守る新たなソリューションを提供します。
⑤ nanoSkunkWorkX(マレーシア):NASA出身者が開発する次世代インタフェース
マレーシアのnanoSkunkWorkXは、NASA(アメリカ航空宇宙局)出身の科学者らが中心となり、ナノ素材、特にグラフェンを用いた次世代インタフェース技術を提供しています。インタフェースとは、人間と機械が情報をやり取りするための接点のことで、例えばスマートフォンの画面やキーボードなどがこれにあたります。
彼らの技術は、グラフェンなどの極めて微細な素材の特性を最大限に引き出すことで、より薄く、軽く、柔軟で、高性能なインタフェースの開発を目指しています。これにより、例えばウェアラブルデバイスが皮膚のように薄くなったり、センサーが衣服に織り込まれたりするなど、私たちの生活に溶け込むような新しい形の電子機器が実現するかもしれません。AIとの組み合わせで、より直感的でシームレスな人間と機械の対話が可能になることが期待されます。
⑥ GorillaLink(米国・イスラエル):衛星通信をWi-Fiのように手軽に
米国とイスラエルを拠点とするGorillaLinkは、これまで導入が難しく高価だった衛星通信を、まるでWi-Fiのように簡単かつ低コストで利用できる「Satellite-as-a-Service(サービスとしての衛星通信)」をグローバルに展開しています。地球上のどこにいてもインターネットに接続できる衛星通信は、災害時や、地上回線が整備されていない地域での通信手段として非常に重要です。
GorillaLinkの技術は、特別な専門知識がなくても、誰でも手軽に衛星通信を利用できるようにすることで、IoT(モノのインターネット)デバイスの接続を広範囲で実現したり、遠隔地でのビジネス活動を支援したりします。これにより、これまで通信が困難だった場所でも、データ収集や情報共有が可能となり、社会のデジタル化をさらに加速させることでしょう。AIがこの広大なネットワークから得られるデータを分析することで、新たな価値創造の可能性も広がります。
Cohh株式会社 CEO 齊藤友紀氏のコメント:日台共創のインフラを確立へ
Cohh株式会社の代表取締役である齊藤友紀氏は、今回の連携について次のようにコメントしています。
「スタートアップのグローバル展開において、最大の障壁は『情報の非対称性』です。市場の期待や関心は高まる一方、この動きを後押しする現場視点のナレッジは不足しています。私たちは、台湾の名門スタートアップ・アクセラレータ『Garage+』とタッグを組み、台湾のエコシステムがスタートアップを飛躍的な成長へと導くメカニズムに迫ります。私たちが目指すのは、単なる情報のシェアではなく、『日台共創のインフラ』の確立です。本特集を皮切りに、日本とアジアがダイナミックに、そしてシームレスに繋がり、次世代のイノベーションが止まることなく生まれてくる情報の基盤を、力強く育ててまいります。」
このコメントからは、単なる情報提供に留まらず、日本と台湾、ひいてはアジア全体が協力し合い、新たな価値を生み出すための「基盤」を築こうとする強い意志が感じられます。AI技術の進化が目覚ましい現代において、このような国際的な連携は、イノベーションの創出に不可欠です。
Garage+について:台湾の産業ネットワークを背景にスタートアップを支援
Garage+は、1991年にTSMCをはじめとする台湾の主要企業によって設立された「Epoch Foundation(時代基金會)」が運営するスタートアップ・アクセラレータです。台湾の強力な産業ネットワーク、特に半導体、AI、次世代エネルギーといった基幹産業分野における強固なつながりを背景に、スタートアップの成長を多角的に支援しています。
彼らは、SGP(Startup Global Program)を通じて、世界中のスタートアップを台湾のエコシステムに統合し、アジアからグローバル市場への社会実装を加速させる「インフラ」としての役割を果たしています。その実績と国際的な評価は非常に高く、アジアにおけるイノベーションのハブとして重要な存在となっています。
Cohh株式会社と「Growthstock Pulse」について
Cohh株式会社は、「We empower innovators from anywhere to go beyond」をミッションに掲げ、地域や国境を越えて挑戦する起業家やスタートアップを支援しています。
具体的には、クロスボーダーでの資金循環を促す仕組み作り、スタートアップと事業会社の共創を支援する取り組み、スタートアップが成長過程で直面する組織課題の解決、そして国内外への進出支援など、多岐にわたる活動を展開しています。日本とアジアのスタートアップエコシステムに深く根ざしながら、世界を舞台にした新たな挑戦が生まれる環境づくりを目指しています。
「Growthstock Pulse」は、Cohh株式会社が運営する多言語オンラインメディアです。日本やアジアで活躍するスタートアップのリアルな挑戦と課題に光を当て、英語と日本語の二言語で展開することで、国境を越えた取り組みを世界に向けて発信しています。
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Growthstock Pulse(日本語版): https://pulse.growthstock.app/ja/
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Growthstock Pulse(英語版): https://pulse.growthstock.app/
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Cohh株式会社 公式サイト: https://cohh.tech/
まとめ:アジア発イノベーションの未来を切り拓く連携
今回の「Growthstock Pulse」と「Garage+」の連携は、日本とアジアのスタートアップエコシステムにとって非常に大きな一歩となります。情報の非対称性を解消し、「日台共創のインフラ」を築くことで、国境を越えたイノベーションが加速し、世界に通用する新たなビジネスや技術が次々と生まれる土壌が育まれるでしょう。
AI技術の進化が社会を大きく変えつつある今、このような国際的な協力体制は、未来を切り拓くための重要な鍵となります。今後、「Growthstock Pulse」から発信される各スタートアップの深掘り記事に注目し、アジア発のイノベーションの動向をぜひチェックしてみてください。きっと、私たちの想像を超えるような新しい価値がそこから生まれてくることでしょう。

