生成AIで安全運転をサポート!Archaicがあいおいニッセイ同和損保と開発した「運転アドバイスプラットフォーム」の実証実験が開始
近年、AI技術の進化は目覚ましく、私たちの生活のさまざまな側面に影響を与えています。特に「生成AI」と呼ばれる技術は、文章や画像を自動で作り出す能力を持ち、これまで人間が行ってきた作業をサポートしたり、新しい価値を生み出したりする可能性を秘めています。
今回ご紹介するのは、この生成AI技術が、私たちの安全な暮らしに貢献する画期的な取り組みです。株式会社Archaic(以下、Archaic)は、MS&ADインシュアランスグループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)および同社グループ会社のAioi R&D Lab – Oxford(以下、R&D Lab)と協力し、生成AIを活用した「運転アドバイスプラットフォーム」を開発しました。このプラットフォームは、ドライバー一人ひとりに合わせた安全運転アドバイスを提供することで、交通事故の削減を目指します。そして2025年11月からは、東海東京証券株式会社(以下、東海東京証券)と共同で、このシステムの有効性を検証する実証実験が開始されています。
AI初心者の方にも分かりやすく、この革新的な運転アドバイスプラットフォームの仕組みや、実証実験の内容、そして今後の展望について詳しく解説していきます。

交通事故削減に向けた背景と生成AIの役割
日本の交通事故発生件数は、近年減少傾向にあるものの、ここ数年は横ばいの状態が続いています。この状況を踏まえ、安全運転のさらなる促進は社会全体にとって非常に重要な課題となっています。
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このような背景の中、Archaicはあいおいニッセイ同和損保およびR&D Labと協力し、最新の大規模言語モデル(LLM)技術と、診断AI・リコメンデーションAIなどを統合したArchaic独自の生成AIアーキテクチャを活用することで、ドライバーの運転特性や走行データを多角的に解析し、最適な改善点を提示する「運転アドバイスプラットフォーム」の社会実装に向けた技術協力を行いました。
このプラットフォームの目的は、あいおいニッセイ同和損保が提供するテレマティクス自動車保険で蓄積された走行データを活用し、ドライバーが常に安全運転を意識し続けることで、交通事故の削減に貢献することです。
また、あいおいニッセイ同和損保が提供する「安全運転支援に関する各種サービス」や「安全運転コンサルティングサービス」を通じて、従業員の安全運転教育に積極的に取り組んでいる東海東京証券と共同で、このシステムを活用した実証実験を開始することになりました。これにより、実際の企業での運用における効果を検証し、さらなる改善につなげることが期待されています。
生成AIが導く「運転アドバイスプラットフォーム」の全貌
それでは、この「運転アドバイスプラットフォーム」が具体的にどのようなものなのか、その概要を詳しく見ていきましょう。
走行データから個別のアドバイスを生成
本システムは、車両の走行データから得られた特徴を基に、生成AIを活用してドライバーに対する運転アドバイスを出力するプラットフォームです。生成AIとは、私たちが普段使っている言葉(自然言語)を理解し、その言葉を使って新しい文章やコンテンツを作り出すことができるAIのことです。この技術が、運転アドバイスの生成にどのように役立つのでしょうか。
利用データとその活用
このプラットフォームでは、主に以下のデータが利用されます。
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あいおいニッセイ同和損保のテレマティクス自動車保険で蓄積した運転挙動データ: テレマティクス自動車保険とは、GPSや通信技術を使って車両の走行データを収集し、それに基づいて保険料を決めたり、運転アドバイスを提供したりする保険のことです。この保険を通じて、膨大な量の運転データが集められています。
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テレマティクス自動車保険で活用しているデータベース化された2,000以上の運転アドバイス: 過去に蓄積された豊富なアドバイス事例も、AIの学習に活用されます。
これらのデータをAIが解析することで、単なる統計的な情報だけでなく、個々のドライバーの運転パターンを深く理解し、よりパーソナルなアドバイスを生成することが可能になります。
アドバイスの内容と表現の柔軟さ
生成AIの最大の強みの一つは、その「表現の柔軟さ」です。本システムでは、単に「急ブレーキが多かった」といった事実を伝えるだけでなく、以下のような要素を多角的に考慮してアドバイスを作成します。
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運転挙動: アクセル、ブレーキ、速度超過などの基本的な運転操作
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時間帯: 朝、昼、夜といった時間帯ごとの運転特性
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道路種別: 一般道、高速道路、市街地など、走行した道路の種類
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走行距離: 長距離運転や短距離運転における傾向
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平日/休日: 運転する曜日による違い
これらの情報を組み合わせることで、例えば「平日の通勤時間帯の市街地での急ブレーキが多い」といった、より具体的な状況に応じたアドバイスが可能になります。さらに、生成AIの柔軟な文章生成能力を活用することで、ドライバーの特性や趣向に合わせて、ノーマル、フレンドリー、厳しめといった言い回しを選択できるなど、一人ひとりに最も適した言葉遣いや表現方法でアドバイスを提供することができます。
特に危険な運転に関する「危険運転アドバイス」
本プラットフォームの新しい特徴として、特に危険だった運転に関する「危険運転アドバイス」を、その発生地点とともに提示する機能が挙げられます。これは、従来の総合的なアドバイスとは異なり、危険な挙動に特化して注意を促すものです。
例えば、「12月20日午前11時ごろ、〇〇交差点付近で急ブレーキが検出されました。この地点は病院と学校が近く、交通量が多い可能性があります。周囲の状況をよく観察し、特に病院や学校付近では注意深く運転しましょう。」といった具体的なアドバイスが、地図情報と合わせて提供されます。これにより、ドライバーは自身の危険運転をより具体的に認識し、今後の運転に活かすことができるでしょう。

東海東京証券との実証実験で効果を検証
この画期的な「運転アドバイスプラットフォーム」は、2025年11月から2026年3月までの期間で、東海東京証券との共同実証実験が行われています。この実証実験を通じて、システムの有効性や課題が検証されます。
実証実験の具体的な流れ
実証実験では、東海東京証券の社有車に装着されているドライブレコーダーから得られる走行データが活用されます。この走行データは、あいおいニッセイ同和損保・R&D Lab・Archaicが連携する「運転アドバイス生成プラットフォーム」に連携されます。
プラットフォームでは、走行データ(アクセル、ブレーキ、速度超過などの運転挙動、時間帯、道路種別、走行距離、平日/休日など)と、2,000以上の運転アドバイスデータベース、そして生成AIが組み合わされ、ドライバーごとの運転アドバイスが月次で生成されます。このアドバイスは東海東京証券に提供されます。
東海東京証券では、社有車のドライバー本人と、その運行管理者がアドバイスの内容を確認します。そして、アドバイスによる実際の運転改善効果や、アドバイス自体の分かりやすさ、改善点などを評価し、そのフィードバックがあいおいニッセイ同和損保・R&D Lab・Archaicに伝えられます。
このフィードバックを基に、AIアルゴリズムはさらに調整され、生成されるアドバイスのさらなる高度化が図られます。このようなPDCAサイクルを回すことで、より効果的で実用的なシステムへと進化していくことが期待されます。

実証実験の意義
この実証実験の大きな意義は、実際の企業環境でシステムを運用し、その効果を検証することにあります。
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客観的な効果測定: 運転アドバイスが本当にドライバーの行動変容を促し、安全運転につながるのかを客観的に評価できます。
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個別最適化の検証: 生成AIによる個別化されたアドバイスが、画一的な指導よりも効果的であるかを検証します。
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実用性の向上: 企業での導入を視野に入れ、運用上の課題や改善点を洗い出し、実用性を高めることができます。
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ドライバーの負担軽減: 運行管理者がドライバー一人ひとりに細かく指導する手間を軽減しつつ、質の高いアドバイスを提供できる可能性があります。
この実証実験の結果は、今後のシステム開発において非常に重要なデータとなるでしょう。
今後の展望:より賢く、わかりやすい運転アドバイスへ
Archaicは、あいおいニッセイ同和損保およびR&D Labとともに、この「運転アドバイスプラットフォーム」を2026年12月までに企業への導入を目指しています。そのため、今後も複数のPoC(概念実証:新しいアイデアや技術が実現可能かを検証するプロセス)を実施し、システムの改善に継続的に取り組んでいくとのことです。
また、ユーザーにとってより分かりやすい運転アドバイスの生成に向けて、文章だけでなく画像なども活用したアドバイスの自動生成の仕組みなど、さらなる高度化を目指した研究開発にも意欲的に取り組んでいます。例えば、危険な状況を写真やイラストで具体的に示すことで、より直感的に理解しやすくなるかもしれません。将来的には、よりパーソナルで、かつ視覚的に分かりやすいアドバイスが提供されるようになるでしょう。
この取り組みは、単に技術的な進歩だけでなく、社会全体の安全運転意識の向上と交通事故削減に大きく貢献する可能性を秘めています。生成AIが、私たちの日常の安全を支える存在へと進化していく様子は、まさに未来への期待を感じさせます。
株式会社Archaicについて
今回の画期的なシステム開発に技術協力を行った株式会社Archaicは、「世界中の人が、AIをもっと身近に電気や水の様に当たり前の様に使うことができる世界を実現する!」というミッションを掲げる企業です。
同社は、AIの最新技術に関する学術的知見と、グローバルなAIベンダーでの実績を持つ、ディープラーニングや人工知能システムの受託開発、および受託研究開発のスペシャリスト集団です。
Archaicは、アルゴリズムをゼロから構築できる数少ないAIビルダーであり、各業界の最先端を目指す大企業のカスタムAIを制作しています。彼らは「もっと身近な環境でAIを活用し、そのメリットを多くの方に伝えていくことで、AIのハードルが下がり、その先に日本国の産業の底上げにも貢献できるのではないか」と考えており、AI技術を通じて社会貢献を目指しています。
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代表取締役CEO: 横山 淳
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設立: 2017年11月15日
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所在地: 東京都渋谷区神宮前1-22-1 オークラビル5階
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会社HP: http://archaic.co.jp
まとめ
Archaicがあいおいニッセイ同和損保と開発した「運転アドバイスプラットフォーム」は、生成AIの力を借りて、ドライバー一人ひとりに最適化された安全運転アドバイスを提供する革新的なシステムです。東海東京証券との実証実験を通じて、その効果と実用性が検証され、将来的な企業導入を目指しています。
この取り組みは、交通事故削減という社会的な課題に対して、最新のAI技術で具体的な解決策を提示するものです。生成AIが、私たちの生活をより安全で豊かなものにする可能性を示しており、今後の発展に注目が集まります。AIが「電気や水のように当たり前」に活用される未来が、着実に近づいていると言えるでしょう。

