インシデントマネジメント特化のAgentic AI「Incident Lake」が1.23億円の資金調達を実施
株式会社SIGQ(本社:茨城県つくば市、代表取締役:金築 敬晃)は、インシデントマネジメントに特化したAgentic AI「Incident Lake」の開発を進めており、この度、プレシリーズAラウンド・ファーストクローズにおいて、総額1億2,300万円の資金調達を実施しました。
今回の資金調達には、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルといったベンチャーキャピタルに加え、株式会社プレイド、株式会社マネーフォワード、株式会社PKSHA Technologyなどの成長を牽引してきた9名の個人投資家が参画しています。また、代表者無担保・無保証かつ長期の約定返済という良好な条件で金融機関からのデットファイナンスも実現しており、SIGQの事業モデルと経営体制に対する高い信頼が示されています。

インシデントマネジメントとは?なぜ今、AIが求められるのか
「インシデントマネジメント」とは、システム障害やセキュリティインシデントなど、予期せぬトラブルが発生した際に、その影響を最小限に抑え、迅速に解決するためのプロセス全体を指します。現代社会において、SaaSやクラウドサービスが社会インフラとして普及するにつれ、企業の事業継続性や顧客からの信頼は、このインシデント対応の迅速性に大きく左右されるようになりました。
しかし、実際のインシデント対応の現場では、以下のような課題が山積しています。
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情報の断片化: 障害発生時には、チャットツール、チケット管理システム、監視ツールなど、様々な場所に情報が散らばりがちです。これらの情報を集約し、状況を正確に把握するだけでも多大な時間と労力がかかります。
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手順の複雑化: インシデントの種類や規模によって対応手順は異なり、時には複雑な判断が求められます。特に大規模なシステムでは、対応マニュアルも膨大になりがちです。
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現場エンジニアやマネージャーへの負荷: 多くの情報の中から迅速かつ正確な判断を下すことは、現場のエンジニアやマネージャーにとって極めて高い負荷となります。特に夜間や休日など、緊急時の対応は精神的にも肉体的にも負担が大きいのが現状です。
このような状況で、最新のAI技術を活用することで、これらの課題を解決し、インシデント対応を劇的に改善しようとするのが「Incident Lake」です。特に「Agentic AI(エージェンティックAI)」という概念が重要になります。Agentic AIとは、与えられた目標に対して、自律的に計画を立て、必要な情報を収集・分析し、複数のステップを経てタスクを遂行できるAIのことです。従来のAIが単一の指示に応答するのに対し、Agentic AIはまるで人間の「右腕」のように、自ら考えて行動する能力を持つと言えます。
「Incident Lake」の核となる革新的な技術
「Incident Lake」は、最先端のLLM(大規模言語モデル)の進化をプロダクトの核に取り込むことで、これらの課題を解決します。LLMとは、人間が使う自然な言葉を理解し、文章を生成できるAIモデルのことで、GoogleのGemini、OpenAIのChatGPT、AnthropicのClaudeなどがその代表例です。
1. LLMの進化を即座にプロダクト価値へ転換するアーキテクチャ
「Incident Lake」は、特定のLLMモデルに依存しない独自のアーキテクチャを採用しています。これは、基盤となるLLM(例えば、ChatGPTやGeminiなど)の推論能力が向上するたびに、「Incident Lake」の解析精度や意思決定のスピードが自動的に引き上げられることを意味します。常に最新のAI技術の恩恵を受けられるため、長期的に見て高いパフォーマンスを維持できます。
2. 組織の「暗黙知」を構造化データへ転換
インシデント対応には、経験豊富なベテランエンジニアだけが持つ「暗黙知」が非常に重要です。これは、明文化されていないが、過去の経験から培われた勘やノウハウ、判断基準などを指します。「Incident Lake」は、日々の対応ログや、Slackでの対話、現場の判断といった「生きたデータ」を収集し、LLMが理解・活用できる形で「構造化データ」として蓄積します。構造化データとは、AIが効率的に処理できるように整理されたデータのことです。これにより、組織固有の貴重なデータ資産が構築され、属人化しがちだったノウハウが組織全体の知恵として共有・活用できるようになります。
3. 使えば使うほど加速する「意思決定の独自性」
「Incident Lake」は、単なる汎用AIではありません。データが蓄積されるほど、LLMは「その組織にとっての最適な解決策」をより深く学習します。過去の教訓や意思決定プロセスを反映し、組織独自の判断精度が磨かれていくため、使えば使うほど、世界に一つだけの高度な意思決定支援基盤へと進化し続けます。これは、一般的なAIツールでは得られない「組織専用の知恵」を生み出すことにつながります。
4. 既存ツールとの連携と「運用のラストワンマイル」の資産化
「Incident Lake」は、既存のチケット管理ツール(ServiceNowやAtlassian Jiraなど)を置き換えるのではなく、それらと併用することで真価を発揮します。既存ツールに記録される「結果」だけでなく、その過程にある「判断の理由」や「試行錯誤」といった、これまで捉えきれなかった「運用のラストワンマイル」のデータを吸い上げ、構造化します。これにより、現場の細かい判断や暗黙知がデータとして資産化され、意思決定のハブとして機能します。マネージャーは情報整理の労力を最小限に抑え、迅速かつ妥当性のある判断を下せるようになります。
▼ Incident Lakeプロダクト紹介サイト
https://incidentlake.com
総額1.23億円の資金調達の詳細と目的
今回の資金調達は、エクイティファイナンス(J-KISS型新株予約権の発行による9,300万円)と、金融機関からのデットファイナンス(3,000万円)を組み合わせたものです。
参加投資家一覧(敬称略、順不同)
ベンチャーキャピタル
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みずほキャピタル株式会社
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SMBCベンチャーキャピタル株式会社
個人投資家
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倉橋 健太(株式会社プレイド 代表取締役CEO)
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柴山 直樹(株式会社プレイド 取締役)
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桑野 祐一郎(株式会社プレイド 執行役員CGO)
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黒田 直樹(株式会社マネーフォワード 元執行役員)
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下村 勇介(株式会社PKSHA Technology 元執行役員)
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猪狩 亮輔(株式会社TENTIAL 元取締役)
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岡田 弘貴(AX税理士法人 共同代表 / 公認会計士)
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入江 雄貴(AX税理士法人 共同代表 / 公認会計士)
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宮原 忍(株式会社SIGQ 社外アドバイザー)
これらの投資家は、国内有数のSaaS/AIスタートアップ企業の成長を牽引してきたエキスパートであり、SIGQの事業モデルと「Incident Lake」の将来性に大きな期待を寄せていることが伺えます。
資金調達の目的:Go-to-Market(GTM)戦略の本格始動
調達した資金は、主に以下の3つの戦略に充当され、エンタープライズ領域での事業展開を加速させます。Go-to-Market戦略とは、製品やサービスを市場に投入し、顧客に届けるための一連の計画を指します。
- エンタープライズ組織の立ち上げ: 金融、製造、通信・インフラ、大規模SaaSなど、高度な信頼性と説明責任が求められる大企業への導入を支援するため、セールス・カスタマーサクセス(CS)チームを新設します。
- マーケティング投資の拡大: 展示会やデジタルマーケティングを通じて、インシデント対応における意思決定の高度化という観点から、次世代の運用スタイルである「AIOps(AIを活用したIT運用)」の認知と理解を市場に広げていきます。AIOpsは、AIがITシステムの運用を自動化・最適化する技術で、インシデントの予兆検知から解決までを効率化します。
- パートナーシップによる「運用のラストワンマイル」の資産化: システムインテグレーター(SIer)やクラウドベンダーとの協業を強化します。これにより、複雑化するエンタープライズ運用環境における「Incident Lake」の基盤化を推進し、既存プラットフォームでは捉えきれなかった現場の意思決定や暗黙知を構造化データとして捕捉。これをLLMの進化と組み合わせることで、組織独自の意思決定資産を流通・蓄積させる新たな運用エコシステムを構築することを目指します。
各投資家からの期待のコメント
今回の資金調達にあたり、各投資家から「Incident Lake」とSIGQへの期待が寄せられています。
みずほキャピタル株式会社 投資第1部 シニアインベストメントマネージャー 細田 大輔 氏

細田氏は、社会のデジタル化が進む中でインシデント対応の重要性が増している現状を指摘し、金築代表の豊富な現場経験に基づくプロダクトが、金融機関を含む多様な企業に必要だと確信しているとコメントしています。SIGQと金築代表だからこそ企業のインシデント対応力を底上げできると期待を寄せています。
SMBCベンチャーキャピタル株式会社 投資営業第四部 次長 馬籠 勇人 氏

馬籠氏は、「Incident Lake」がインシデント対応に忙殺されるマネージャーの業務を効率化し、高度な意思決定をサポートするAIネイティブなプロダクトであると評価しています。この領域における金築代表の圧倒的な知識と経験が、エンタープライズクライアントの課題解決に貢献すると信じ、SMBCグループのリソースを活用して支援していく意向を示しています。
個人投資家(株式会社マネーフォワード 元執行役員 黒田 直樹 氏)

黒田氏は、金築代表の「圧倒的な行動力」を学生時代から見てきたと語り、その成長に期待を寄せています。インシデント対応が経営へのダメージが大きく、高度な判断が求められる難しい領域であるとし、「Incident Lake」が熟練エンジニアの代替や最良のサポート役になると評価。AIネイティブなプロダクト設計とチームづくりに挑むSIGQを心から応援すると述べています。
個人投資家(株式会社PKSHA Technology 元執行役員 下村 勇介 氏)

下村氏は、インシデント対応が「必要不可欠な組織ペイン」であると強調。夜間・休日のオンコール対応による疲弊や、社内外への膨大なコミュニケーションコストを指摘しています。一方で、対応の暗黙知を「ナレッジ資産」として蓄積できれば、顧客の信頼獲得にもつながるとし、インシデント対応の専門家である金築代表と「Incident Lake」がこの社会課題を解決してくれることに確信を抱いています。インシデント対応の痛みが最小化された世界を楽しみにしているとコメントしています。
個人投資家(株式会社SIGQ 社外アドバイザー 宮原 忍 氏)

宮原氏は、SaaSやクラウドが社会インフラ化する中で、インシデント対応がいまだ個人の経験や属人的判断に依存している現状に言及しています。「Incident Lake」は、顧客ごとに最適化されたAIエージェントによって情報を集約・構造化し、現場の判断や対応プロセスを「意思決定資産」として残すアプローチを採っている点を評価。LLMそのものだけでなく、この領域に深く根差したドメイン知識と実装力がSIGQの競争力であると確信し、投資家としてもコミットすべき挑戦だと判断したと述べています。
株式会社SIGQ 代表取締役 金築 敬晃氏のコメント

金築代表は、システムの重要性が増す現代において、インシデント発生時に最も負荷がかかり、重要な判断を迫られるのは運用マネージャーであると語っています。現状では、情報集約や状況把握に忙殺され、戦略的な意思決定に時間を割けていないという実情を指摘。「Incident Lake」は、多忙なマネージャーがAIエージェントを右腕として活用することで、情報収集・分析の工数を最小化し、最速で的確な判断を下せる環境を提供することを目指します。
マネージャーが本来の仕事に集中し、高付加価値な人材の時間と生産性を最大化することが、企業の生産性向上、ひいては企業価値の向上につながると確信しているとのことです。今回の資金調達を通じて、Go-to-Market体制を強力に推進し、多くの企業の経営基盤を運用の側面から支えていくという強い決意が示されています。
まとめと今後の展望
株式会社SIGQが開発するAgentic AI「Incident Lake」は、インシデントマネジメントの現場が抱える深刻な課題に対し、LLMの進化と独自のアーキテクチャで革新的な解決策を提示しています。情報の断片化や属人化された暗黙知を構造化し、AIが自律的に学習・進化することで、企業固有の意思決定支援基盤を構築する可能性を秘めています。
今回の総額1.23億円の資金調達は、「Incident Lake」がエンタープライズ市場で本格的な展開を開始するための重要な一歩となります。SaaS/AI分野のエキスパートである投資家陣の参画は、その技術力と将来性への期待の表れと言えるでしょう。
今後、「Incident Lake」が金融、製造、通信・インフラといった高度な信頼性が求められる業界で普及し、多くの企業のシステム運用を変革していくことが期待されます。これにより、システム障害発生時の対応が迅速化され、企業の信頼性向上、そしてエンジニアやマネージャーの働き方改革にも貢献していくことでしょう。AI初心者の方も、この「Incident Lake」が未来のIT運用をどう変えていくのか、ぜひ注目してみてください。
▼ Incident Lake導入・業務提携に関するお問い合せ先
https://incidentlake.com/contact
▼ 株式会社SIGQ 会社サイト
https://company.sigq.io

