口唇口蓋裂当事者交流フォーラムin大阪開催!医誠会国際総合病院と笑みだち会が共催、当事者の声に寄り添う新たな対話の場

口唇口蓋裂当事者交流フォーラム、大阪で開催

2026年2月7日、大阪において口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の当事者やそのご家族が安心して交流できるフォーラム「笑みだち会交流フォーラムin医誠会国際総合病院」が開催されました。このフォーラムは、NPO法人笑みだち会と医療法人医誠会 医誠会国際総合病院が共催し、当事者が抱える悩みや思いを共有し、医療従事者との対話を通じて理解を深めることを目的としています。

プレゼンテーションの様子

口唇口蓋裂とは?当事者が直面する課題

口唇口蓋裂は、生まれつき唇や口の中の天井部分(口蓋)に裂け目がある状態を指します。これは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間に顔が作られる過程で、一部がうまく閉じずに残ってしまったために起こると考えられています。日本においては、およそ500人に1人の割合で生まれる比較的頻度の高い先天性疾患の一つです。

この疾患を持つ方は、出生直後から長期にわたる治療が必要となります。具体的には、唇や口蓋を閉じる手術、歯並びを整えるための矯正治療、言葉の発達をサポートする言語訓練など、多岐にわたる専門的な医療ケアが求められます。これらの治療は、単に見た目を整えるだけでなく、食べること(咀嚼)、話すこと(言語機能)、そして呼吸といった基本的な生活機能の改善を目指すものです。

しかし、治療が進む一方で、当事者やご家族は機能面だけでなく、日常生活や社会との関わりの中でさまざまな課題に直面することが少なくありません。例えば、治療の長期化による精神的な負担、学校生活や職場での人間関係、あるいは「顔」という外見に関する悩みなど、多岐にわたる思いや葛藤を抱えることがあります。医療機関では治療そのものが行われますが、こうした日々の生活の中で感じる個人的な思いや悩みを率直に語り合える場は、これまで限られていました。

フォーラム開催の背景と目的

「笑みだち会交流フォーラムin医誠会国際総合病院」は、このような背景から、口唇口蓋裂の当事者やご家族が安心して心の内を語り合い、互いに支え合える環境を提供することを目指して企画されました。共催は、NPO法人笑みだち会、一般財団法人ホロニクス医学健康振興財団、NPO法人未来プロセス、そして医療法人医誠会 医誠会国際総合病院です。

本フォーラムの主な目的は、治療法の提案ではなく、対話と理解を深めることにあります。当事者同士がそれぞれの経験を共有し、「なぜ私達は顔に囚われるのか」という問いをテーマに、学業、仕事、恋愛、結婚など、人生のさまざまな局面で感じる葛藤について語り合う時間が設けられました。このような交流を通じて、参加者は一人で抱え込まず、共感や新たな視点を得る機会となりました。

フォーラムでの発表の様子

医療機関内でこのような当事者会が開催されることは、医療と社会をつなぐ重要な取り組みの一つと言えます。当事者の生の声に医療従事者が耳を傾け、疾患に対する社会的理解を深める貴重な機会となりました。当日は18名が参加し、活発な意見交換が行われました。

各分野から考える口唇口蓋裂と治療の意味

フォーラムでは、大阪大学名誉教授であり、医誠会国際総合病院歯科口腔外科に勤務する歯学博士 古郷 幹彦先生が「各分野で考える口唇口蓋裂」をテーマに講演を行いました。古郷先生は、口唇口蓋裂の治療が機能障害に対する医療的アプローチと、見た目に関する悩みとの間でどのように異なるかについて詳しく説明しました。

医療は、食べたり話したりといった機能の回復を目標に段階的に進められます。しかし、最終的な治療結果に対する満足度や納得感は、一人ひとりの当事者によって大きく異なるという点が強調されました。これは、機能が回復しても、見た目に対する感覚や社会からの視線が、当事者の心に影響を与えることがあるためです。

また、口唇口蓋裂の治療は、乳幼児期から成人期まで非常に長期にわたることが特徴です。この長い道のりにおいて、医療者だけで全てを完結させることはできません。治療を受ける患者さん自身が、自分の人生をどのように受け入れ、向き合っていくかという主体的な視点が非常に重要であると古郷先生は述べました。このメッセージは、治療が単なる医療行為に留まらず、当事者の人生全体をサポートするものであるという深い意味合いを示しています。

講演を行う古郷幹彦先生とスライド

講演後に行われた質疑応答・トークタイムでは、参加者から日頃抱えている率直な質問や、自身の体験談が多数寄せられました。これに対し、古郷先生をはじめとする講師陣、医療スタッフ、そしてピアサポートメンバーが一人ひとりに寄り添い、丁寧に応答する姿が見られました。このような直接的な対話は、当事者が抱える孤独感を和らげ、安心感を与える上で非常に重要な時間となりました。

口唇口蓋裂に関する基礎知識や治療・ケアについては、以下の動画でも学ぶことができます。

(注:上記動画リンクは、プレスリリースには記載されていませんが、説明として追加しています。実際の動画URLを埋め込む場合は、適切なURLに置き換えてください。)

多職種連携による長期的な診療体制と交流

今回のフォーラムでは、NPO法人笑みだち会代表の小林 えみかさんと副代表のYOUさんがピアサポートとして参加しました。ピアサポートとは、同じような経験を持つ仲間(ピア)が、その経験を活かして互いに支え合う活動のことです。当事者の気持ちを理解し、共感できるピアサポーターの存在は、参加者にとって大きな心の支えとなりました。

また、医誠会国際総合病院からは、言語聴覚士(言語や嚥下のリハビリテーションを行う専門職)や臨床心理士(心のケアを行う専門職)といった多職種の医療従事者も参加し、専門的な視点から交流をサポートしました。これにより、参加者は医療と生活の両面から、幅広いサポートを受けられる機会を得ました。

医誠会国際総合病院の歯科口腔外科では、口唇口蓋裂の患者さんに対して、口腔外科医だけでなく、矯正歯科医(歯並びを整える専門医)、補綴歯科医(失われた歯や組織を補う専門医)、そして言語専門の歯科医師が、同じ診療室で一貫した治療を提供しています。これは、患者さんが生後間もない時期から成人期に至るまで、成長段階に応じたきめ細やかな治療を継続し、長期的にフォローできる体制を整えていることを意味します。さらに、言語聴覚士も常駐しており、言葉の発達や発音に関する専門的な訓練にも対応しています。

フォーラム当日は、講演や質疑応答に加えて、副代表のYOUさんによる弾き語り「鼻曲がりと言われた少年の歌」が披露されました。この歌は、当事者としての経験や感情を表現したもので、参加者の心に深く響きました。歌をきっかけに、参加者同士が自然と言葉を交わし始め、共通する経験を通じて互いの理解を深める、温かい時間となりました。

医誠会国際総合病院は、単に医療を提供するだけでなく、このような対話の機会を積極的に設けることで、当事者の声に耳を傾け、その思いに寄り添う取り組みを継続しています。この姿勢は、患者中心の医療を追求する上で非常に重要であると言えるでしょう。

より詳しい情報は、笑みだち会のホームページで確認できます。

医療法人医誠会と医誠会国際総合病院の取り組み

医療法人医誠会は、1979年に大阪市で創立された歴史ある医療グループです。ホロニクスグループとして、大阪を中心に全国で病院、クリニック、介護老人保健施設などを幅広く運営し、地域医療に貢献しています。

医誠会国際総合病院は、46の診療科を有し、総職員数1,971名(2025年4月現在)という大規模な体制で医療を提供しています。特に、以下のような先進的な取り組みを積極的に推進しています。

  • 低侵襲治療: 体への負担が少ない手術や治療法のことです。患者さんの回復を早め、QOL(生活の質)の向上を目指します。

  • 先進・先制医療: 最新の医療技術や研究成果を取り入れ、病気になる前や病気の初期段階で介入することで、より効果的な治療を目指す医療です。

  • 医療DX(デジタルトランスフォーメーション): デジタル技術を活用して、医療サービスの質や効率を向上させる取り組みです。電子カルテの導入やオンライン診療などが含まれます。

  • 生成AI: 人工知能の一種で、文章や画像などを自動で生成する技術です。医療分野では、診断支援や治療計画の立案、情報提供などに活用されることが期待されます。医誠会国際総合病院がこの技術を導入していることは、医療の未来を見据えた先進的な姿勢を示しています。

  • 本格的タスクシフト・タスクシェア: 医療従事者それぞれの専門性を活かし、医師以外の職種が可能な業務を担うことで、医師の負担を軽減し、チーム医療を強化する取り組みです。

  • 中央管制システム導入: 病院全体の運営を効率化し、患者さんの安全を確保するためのシステムです。例えば、手術室や病棟の状況を一元的に管理し、迅速な対応を可能にします。

これらの取り組みを通じて、医誠会国際総合病院は、先進的かつ国際標準の総合病院を目指しています。2024年12月には、医療の質と患者安全に関する国際的な認証であるJCI認証を取得しており、国際医療ツーリズムへの挑戦も視野に入れています。

救急医療においても、24時間365日体制で3次救急(最も重症度の高い患者さんを受け入れる医療機関)を目指し、救急医療を提供しています。救急車6台(ドクターカー4台・救急車2台)、医師9名、看護師30名、救急救命士25名という充実した体制で、「断らない救急」「待たせない救急」をスローガンに掲げています。重症度に応じて医師・看護師が同乗する救急救命士3名体制の「病院救急」搬送システムを導入し、広域医療にも貢献しています。

まとめ:当事者の声が未来を拓く

今回の「笑みだち会交流フォーラムin医誠会国際総合病院」は、口唇口蓋裂の当事者やご家族にとって、自身の経験を共有し、共感と理解を深める貴重な場となりました。医療機関がこのような交流の場を提供することは、単に疾患を治療するだけでなく、患者さんの生活全体、そして社会とのつながりを重視する、より包括的な医療のあり方を示すものです。

当事者の声に耳を傾け、多職種が連携して長期的なサポートを行う医誠会国際総合病院の取り組みは、口唇口蓋裂を持つ方々がより安心して生活できる社会を築く上で、大きな一歩と言えるでしょう。今後もこのような交流の場が継続的に設けられ、当事者と医療、そして社会との橋渡し役となることが期待されます。

このフォーラムの成功は、当事者の皆様が抱える課題に対し、社会全体で向き合い、支え合うことの重要性を改めて教えてくれるものです。

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