リコーとライズ・コンサルティング・グループがAI変革(AX)支援で合弁会社設立へ:企業の暗黙知をAIで活用し、戦略から実装まで一貫支援

はじめに:リコーとライズ・コンサルティング・グループがAX支援で協業

AI(人工知能)技術の進化は目覚ましく、ビジネスの世界でもその活用が喫緊の課題となっています。しかし、多くの企業がAI導入に際して様々なハードルに直面しているのが現状です。

このような状況の中、株式会社リコー(以下、リコー)と株式会社ライズ・コンサルティング・グループ(以下、ライズ・コンサルティング・グループ)は、企業の経営課題解決を目的として、AIトランスフォーメーション(AX)の実現を支援する合弁会社設立に向けた基本合意書を締結しました。この新たな取り組みは、企業内に蓄積された言語化されていないノウハウや経験といった「暗黙知」をAIで活用し、AI導入の戦略立案から実際のシステム実装、さらにはその定着までを一貫して伴走支援することを目指しています。

RISE CONSULTING GROUP

本合弁会社は、リコーが長年培ってきた顧客基盤、顧客との接点、そしてAIの基盤技術やAIソリューション提供力と、ライズ・コンサルティング・グループが強みとするAI・デジタル領域における戦略立案から実装・活用までのコンサルティング力を融合させることで、企業がAIを最適に導入し、業務に定着させるための一貫した支援を提供します。

AIトランスフォーメーション(AX)とは? DXとの違いも解説

「AX(AIトランスフォーメーション)」という言葉は、まだ聞き慣れない方もいるかもしれません。これは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の次の段階として注目されている、企業変革の戦略的アプローチです。

DXがデジタル技術全般を用いてビジネスモデルや業務プロセスを変革することを目指すのに対し、AXはAIを中核に据えて、業務プロセスやビジネスモデルを根本的に変革し、企業価値の向上を目指します。AIの普及に伴い、単にデジタル化するだけでなく、AIの能力を最大限に引き出して企業の競争力を強化することが、現代の企業にとって不可欠な要素となりつつあります。

具体的には、AIを活用してデータ分析を高度化したり、業務の自動化を進めたり、顧客体験をパーソナライズしたりすることで、これまでになかった新たな価値を創造し、企業の持続的な成長を実現していくことを意味します。

なぜ今、企業のAI活用が難しいのか? 導入・定着の課題

近年、日本社会では人手不足や熟練技術者の退職といった深刻な社会課題が顕在化しています。こうした背景から、業務効率化や生産性向上を目指す手段として、生成AIの活用に大きな注目が集まっています。

しかし、多くの企業がAIの導入において、以下のような具体的な悩みを抱えています。

  • 活用イメージの欠如: どの業務にAIを、どのように適用すれば効果が発揮できるのか、具体的なイメージが湧かない。

  • デジタル人材の不足: AI活用に必要なデジタル人材の確保が難しい。

  • 開発・導入負担: AIシステムの開発や導入にかかる負担が大きいと感じる。

  • 効果の不十分さ: 導入したものの、期待したほどの効果が得られない。

  • 業務への定着の難しさ: 結果として、AIが業務プロセスにうまく組み込まれず、形骸化してしまうケースが少なくありません。

これらの課題が複合的に重なり、AIを導入するだけでなく、それを「使いこなす」ことの難しさが浮き彫りになっています。今回の合弁会社は、まさにこれらの課題を解決し、企業がAIを真に競争力の源泉とできるよう支援することを目的としています。

リコーが培ってきたAI技術とソリューション

リコーは、長年にわたりAI技術の研究開発に取り組んできました。その歴史は1980年代にまで遡り、2015年からは画像認識技術を活かした深層学習AIの開発を本格化させ、製造分野における外観検査や振動モニタリングなど、具体的な応用を進めてきました。

2021年には、自然言語処理技術を活用した「仕事のAI」の提供を開始。これは、オフィス内の文書分析やコールセンターに寄せられる顧客の声(VOC)の分析を通じて、企業の業務効率化や顧客対応の質向上を支援するものです。

さらに、2025年12月には、企業内に蓄積された言語化されていないノウハウや経験、すなわち「暗黙知」を含む情報資産をAIで利活用するための企業向けAIプラットフォーム「Hi.DEEN」を発表しました。これにより、企業活動の最適化、生産革新、そして企業価値の向上に向けた支援を一層強化しています。

大規模言語モデル(LLM)の研究開発にもいち早く着手し、2022年からその取り組みを推進。2023年3月にはリコー独自のLLMを発表しました。その後も、700億パラメータという大規模ながら、企業のオンプレミス環境でも導入可能な日英中3言語対応のLLMを開発するなど、顧客の多様なニーズに応じたAI基盤の開発を進めています。

リコーは、LLM開発において独自のモデルマージ技術(特許出願中)をはじめとする多様で効率的な手法・技術を活用することで、顧客の用途や環境に最適な企業独自のプライベートLLMを低コスト・短納期で提供することを可能にしています。

画像認識や自然言語処理に加え、音声認識AIの研究開発も積極的に推進しており、音声対話機能を備えたAIエージェントの提供も開始しています。

リコーのAI開発に関する詳細な情報は、以下の関連ニュースもご参照ください。

ライズ・コンサルティング・グループの戦略的コンサルティング力

株式会社ライズ・コンサルティング・グループは、「PRODUCE NEXT」を企業ミッションに掲げ、「戦略の実行」と「成果の上昇」にこだわり抜いたコンサルティングサービスを提供しています。クライアントへの支援を通じて「しあわせな未来を、共に拓く。」ことに貢献し続けることを目指すコンサルティングファームです。

同社は中期経営計画において、AIを含む先端領域における関連企業との共創を通じてコンサルティングサービスを進化させることを標榜しており、これにより高付加価値なサービスの提供を目指しています。

ライズ・コンサルティング・グループは、以下の4つの特徴を持つ課題解決アプローチを採用しています。

  • Hands-on Style(ハンズオン・スタイル): 現場に深く入り込み、顧客と共に課題解決に取り組む。

  • Scopeless(スコープレス): 既成概念にとらわれず、幅広い視点から最適な解決策を提案する。

  • More than Reports(モア・ザン・レポート): 単なる報告書作成に留まらず、具体的な成果にコミットする。

  • Professionals(プロフェッショナルズ): 高度な専門性を持つコンサルタントがサービスを提供する。

これらのアプローチを用いて、NewTech、デジタル、Fintech、新規事業、海外進出、M&A、業務改革、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)など、日本を代表する様々な業界の企業に対し、幅広い分野で支援実績を積み重ねています。

ライズ・コンサルティング・グループの会社概要は以下の通りです。

  • 社名:株式会社ライズ・コンサルティング・グループ

  • 本社所在地:東京都港区六本木1丁目6−1 泉ガーデンタワー34階

  • 代表取締役:代表取締役社長COO 松岡 竜大

  • 設立:2010年12月

  • コーポレートサイト:株式会社ライズ・コンサルティング・グループ

両社の強みが融合する合弁会社:一気通貫の伴走支援とは

リコーとライズ・コンサルティング・グループが設立する合弁会社は、両社のユニークな強みを組み合わせることで、企業がAIを導入し、それを業務に深く定着させるまでの一貫した「伴走型支援」を提供します。

具体的には、リコーが持つ主に大企業および中堅企業を対象とした各種AIソリューションの提供力と、ライズ・コンサルティング・グループのAI導入に向けた個別戦略策定、実装、活用支援のコンサルティング力を組み合わせます。

この融合により、企業内のデータや知識、特に言語化されていない「暗黙知」の活用を起点とした生成AI活用の実効性を高めることが可能になります。単にAIを「導入する」だけでなく、企業がAIを「使いこなす」ことができるよう、戦略の立案から具体的なAIソリューションの選定、システムへの実装、そして導入後の運用・効果検証まで、あらゆるフェーズで密接に連携し、支援を強化していく予定です。

この合弁会社の設立は、2026年6月を予定しており、今後の日本企業のAI活用を大きく加速させることでしょう。

経営層が語る合弁会社設立への期待

今回の合弁会社設立について、両社の経営層からは強い期待が寄せられています。

株式会社リコー コーポレート上席執行役員 リコーデジタルサービスBU プレジデントの入佐 孝宏氏は、この合弁会社設立がリコーのAI・デジタル領域強化戦略に基づく重要なマイルストーンであると述べています。AXを構想だけに留めず、戦略策定から実装、定着までを一気通貫で支援する体制を確立することで、顧客の業務課題に基づく変革の全体像を共に設計し、AIを業務プロセスへ実装・定着させることで、継続的な「“はたらく”の変革」を実現していく意向を示しています。

株式会社ライズ・コンサルティング・グループ 代表取締役社長 COO 松岡 竜大氏は、この合弁会社設立が同社の企業理念「PRODUCE NEXT」の体現であり、最重要アジェンダの一つである生成AI領域における企業変革を加速させる強力な一手となると強調しています。リコーの高度なAIソリューション提供力と、同社の現場に伴走するコンサルティング力を融合させることで、戦略立案から実装・定着までの一気通貫支援体制が構築され、単なる技術導入に留まらず、生成AIを業務プロセスへと深く浸透させ、企業の真の競争力へと昇華させることで、日本企業の次なる未来を共に創造していくと語っています。

用語解説

記事中で使用されている主要な用語について、改めて詳しく解説します。

  • AX(AIトランスフォーメーション)
    AIを中核に据え、企業の業務プロセスやビジネスモデルを根本的に変革し、企業価値の向上を目指す戦略的アプローチです。AIの普及を背景に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の次の段階として注目されています。

  • Hi.DEEN
    リコーが開発した、企業内に眠る「暗黙知」や「非構造化データ」といった言語化されていないノウハウや経験を、AIによって資産に変え、企業の競争力の源泉となる「秘伝のタレ」へと昇華させるためのAI技術基盤です。

  • “はたらく”の変革
    リコーが企業理念の使命と目指す姿に掲げる「“はたらく”に歓びを」に基づき、マテリアリティ(重要社会課題)の一つとして設定している取り組みです。AIをはじめとするデジタル技術を通じて顧客のDXを支援し、労働人口減少や人手不足、多様な人材の活躍といった社会課題の解決を目指しています。

まとめ:日本企業の未来を拓く新たな一歩

リコーとライズ・コンサルティング・グループによる合弁会社の設立に向けた基本合意は、AIの導入と活用に課題を抱える多くの日本企業にとって、大きな希望となるでしょう。

両社の強みが融合することで、AI導入の障壁を下げ、企業がAIを真に競争力の源泉として活用できるような、実践的かつ一貫した支援が提供されることが期待されます。企業の「暗黙知」をAIで引き出し、戦略立案から実装、そして業務への定着までを徹底的にサポートすることで、日本企業の生産性向上と新たな価値創造に貢献していくことでしょう。

2026年6月に予定されている合弁会社の設立は、日本企業のAI活用を加速させ、「AIを使いこなす」未来を切り拓く重要な一歩となると考えられます。今後の活動に注目が集まります。

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