現代社会において、博物館や美術館といった文化施設もデジタルトランスフォーメーション(DX)の波に乗り、新たな価値創造が求められています。デジタル技術を活用することで、これまでアクセスが難しかった文化財に触れる機会が増え、より多くの人々が文化や歴史に親しむことができるようになります。
株式会社ミュージアムピックは、宮崎県椎葉村(しいばそん)にある「椎葉民俗芸能博物館」のDX化プロジェクトを一気通貫で実施しました。このプロジェクトは、デジタルアーカイブの構築から全国規模のデジタルスタンプラリー、そして将来的なAI活用までを見据えた、まさに次世代型のミュージアムへの進化を促すものです。

椎葉村「民俗学発祥地」のDX化プロジェクトとは
宮崎県に位置する椎葉村は、日本の民俗学の父とされる柳田國男(やなぎたくにお)が滞在し、その後の研究に大きな影響を与えた地として知られています。この歴史的な背景を持つ「民俗学発祥地」において、椎葉民俗芸能博物館のデジタル化および柳田國男生誕150周年記念事業は、文化財の保存・活用、そして地域活性化の重要な取り組みとなりました。
ミュージアムピックは、この事業の受託企業として、デジタル基盤の構築からコンテンツの企画・運営までをトータルで手がけました。具体的には、デジタルアーカイブシステムの構築、公式ホームページの刷新、柳田國男生誕150周年記念特設サイトの開設、全国17箇所を巡るデジタルスタンプラリー、オンライン連続講座、フィールドワークツアー、バーチャルツアーなど、多岐にわたる施策を実施しています。これらの取り組みは、博物館のDX化を推進し、地域と博物館の関係人口創出に大きく貢献するものです。
次世代型ミュージアムを実現する主要な取り組み
今回のプロジェクトで実施された主な内容は、利用者の利便性と職員の運用負荷軽減を両立させ、さらに将来的なAI活用を見据えた画期的なものです。
1. 利用しやすさを追求したデジタルアーカイブサイトの構築
椎葉民俗芸能博物館のデジタルアーカイブサイトは、誰もが直感的に文化財と出会えるように設計されています。デジタルアーカイブとは、博物館が所蔵する資料をデジタルデータとして保存し、インターネットを通じて公開するシステムのことです。これにより、遠方の人々や来館が難しい人々も、自宅から手軽に貴重な文化財に触れることが可能になります。

このデジタルアーカイブサイトの大きな特徴は、以下の点にあります。
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職員にとっての使いやすさ:専門知識がなくても、ブログを投稿するような感覚で簡単に資料の登録や、CSVファイルを使った一括更新ができる管理画面が実装されています。これにより、外部の専門業者に頼ることなく、博物館の職員自身で持続的に運用できる体制が整いました。
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利用者にとっての分かりやすさ:「とろりことーん」「むぐむぐ」といった親しみやすい擬音語や、小中学生でも興味を持って楽しめる「地区別」での検索アプローチが採用されています。無機質な分類に留まらず、文化財に楽しく触れるための工夫が凝らされており、ユーザーエクスペリエンス(UX)とユーザーインターフェース(UI)の向上に重点が置かれています。
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AI活用への基盤:今回デジタル化されたデータは、単に公開して終わりではありません。今後のAI(人工知能)活用に向けた重要な土台として機能するよう設計されています。AIがこれらのデータを分析することで、新たな発見や、よりパーソナライズされた博物館体験の提供が期待されます。
椎葉民俗芸能博物館デジタルアーカイブサイトはこちらからご覧いただけます。
https://da.museumpick.com/user/shiiba/artifacts
2. 全国横断型デジタルスタンプラリー「旅する民俗学」の実施
柳田國男生誕150周年を記念し、「旅する民俗学」と題した全国横断型デジタルスタンプラリーが実施されました。このスタンプラリーは、スマートフォンアプリのダウンロードが不要なブラウザシステム「museumpick」を活用しており、GPS(全地球測位システム)と連動して広域での周遊を促進します。

椎葉村内だけでなく、岩手県の遠野市立博物館や和歌山県の南方熊楠顕彰館など、全国17箇所もの民俗学ゆかりの地を巡る壮大なスケールで展開されました。参加者は各地を訪れてデジタルスタンプを獲得し、民俗学への理解を深めながら、広範囲での観光や地域交流を楽しむことができました。このような広域連携は、単一の博物館では難しい大規模な集客と地域活性化に貢献します。
ミュージアムピックについて詳しくはこちらをご覧ください。
https://museumpick.com/
3. デジタルとリアルを融合した体験コンテンツの提供
博物館体験をより豊かにするため、デジタル技術と実際の体験を組み合わせた多様なコンテンツが企画・運営されました。

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オンライン連続講座:YouTubeやSpotifyなどのプラットフォームを通じて、音声ガイドや学芸員による対談が配信されました。これにより、遠方の人々も自宅にいながらにして、専門家による解説や深い知識に触れることが可能になりました。
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バーチャルツアー動画:フリーアナウンサーと学芸員が共演し、博物館内を巡るバーチャルツアー動画がYouTubeで配信されました。これは、実際に訪れるのが難しい人々にも、博物館の雰囲気や展示内容をリアルに伝える効果的な手段です。
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フィールドワークツアー:オンラインコンテンツだけでなく、実際に現地を訪れて椎葉村の自然や文化に触れるフィールドワークツアーも企画・運営されました。デジタルでの予習と現地での体験を組み合わせることで、参加者はより深い学びと高い満足度を得ることができました。
これらの取り組みは、多様な学習スタイルに対応し、それぞれの興味や都合に合わせて博物館コンテンツを楽しめる機会を提供しました。
4. 公式ホームページおよび特設サイトの刷新
情報発信のハブ機能を強化するため、椎葉民俗芸能博物館の公式ホームページが全面的に刷新されました。新しいホームページは、日本語と英語の多言語に対応しており、国内外からのアクセスを想定しています。また、スマートフォンやタブレットなど、様々なデバイスから快適に閲覧できるよう、レスポンシブデザインが採用されています。
さらに、柳田國男生誕150周年を記念した特設サイトや、オンライン上で展示を楽しめる「オンライン特別展」も新たに構築されました。これらのサイトは、博物館の最新情報やイベント情報、貴重な文化財に関する詳細情報を発信する重要な役割を担っており、より多くの人々が博物館の活動に触れるきっかけとなっています。
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椎葉民俗芸能博物館公式ホームページ: https://shiibamuseum.museumpick.com/
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柳田國男生誕150周年特設サイト: https://yanagita150.museumpick.com/
今後の展望:AIが変える博物館体験の未来
今回の多角的なDX化アプローチは、椎葉民俗芸能博物館の来場者数を過去4年間で最多にするという実績に貢献したと考えられます。ミュージアムピックは、今回構築された使いやすいデータベースや多彩なコンテンツを土台として、今後「デジタル化したデータのAI活用」を積極的に実施していく予定です。
AIを活用することで、例えば、来場者の興味や行動履歴に基づいたパーソナライズされた展示ガイドの提供、資料の自動分類や解説文の生成、あるいは未公開資料の発掘と分析など、これまでにない新しい博物館体験が実現するでしょう。AIが文化施設の可能性を広げ、より魅力的でインタラクティブな学びの場となることが期待されます。
ミュージアムピックは、このようなAI導入を含む文化施設の次世代化を強力にサポートする総合パートナーとして、全国の博物館・美術館の発展に貢献していく方針です。
ミュージアムピックについて
株式会社ミュージアムピックは、全国約5,800箇所の博物館でGPSチェックインができ、約5,350箇所の施設情報を発信する「訪問記録&デジタルスタンプ」サービスを運営しています。このサービスは、地域への訪問や施設への来館を促すきっかけづくり、学びの継続、そして地域回遊の促進を、オンラインとオフラインの両面から支援しています。
博物館を巡ることで、地元の魅力や旅行先の楽しさを発見し、深めていくようなきっかけを提供することを目指しています。文化施設のデジタル化や地域活性化に関心のある方は、ぜひミュージアムピックへお問い合わせください。
URL:https://museumpick.com/
お問い合わせ:info@museumpick.com
博物館DXに関する相談窓口
「職員が自走できるデジタルアーカイブの裏側」や「全国横断スタンプラリーの仕組み」、「低予算で実現したリモート収録スキーム」など、今回の事業詳細にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
また、「デジタル化を進めたいが何から始めればいいかわからない」「ユーザーも職員も使いやすいデジタルアーカイブを構築し、AIなどの最新技術を活用した今までにないコンテンツを作りたい」といった課題を持つ博物館や美術館からの相談も随時受け付けています。ミュージアムピックは、それぞれの施設に最適なDX戦略を提案し、次世代型ミュージアムへの変革をサポートします。ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。

