- ファンケルがAIチャットボット「MOBI BOT AI Vector Search」を導入
- なぜ今、AIチャットボットが求められるのか?ファンケルが抱えていた課題
- 「MOBI BOT AI Vector Search」とは?AI初心者でもわかるベクトル検索の仕組み
- 実証実験で判明!問い合わせ完了数2割向上と業務効率化の具体的な成果
- 実際の利用シーンから見る「MOBI BOT AI Vector Search」の威力
- ファンケルカスタマーサービス本部からのコメント
- モビルスのCXソリューション「MOBI AGENT」と「MOBI BOT AI Vector Search」
- 今後の展望:アテニアへの導入とさらなる顧客体験向上へ
- まとめ:AIチャットボットが拓く顧客対応の未来
ファンケルがAIチャットボット「MOBI BOT AI Vector Search」を導入
化粧品やサプリメントで知られる株式会社ファンケルが、顧客応対品質の向上と問い合わせ業務の効率化を目指し、モビルス株式会社が提供するAIを活用したベクトル検索型チャットボット「MOBI BOT AI Vector Search」を導入しました。この最新技術を搭載したチャットボットは、「ファンケルオンライン」のFAQサイトのチャットサポートと、LINE公式アカウント「ファンケル カスタマーサポート」に2026年1月1日より導入され、運用が開始されています。
導入に先駆けて2025年12月に実施された実証実験(PoC)では、驚くべき成果が確認されました。従来のチャットボットと比較して、問い合わせ完了数が約2割も向上したのです。この結果は、利用者の自己解決を促進し、コンタクトセンターの有人オペレーターによる対応数を減少させるなど、問い合わせ業務の効率化に大きく貢献することが示されました。モビルスは、この導入を通じて、ファンケルにおける利用者の利便性と満足度を高めつつ、コンタクトセンター業務の効率化を推進していくことを目指しています。

なぜ今、AIチャットボットが求められるのか?ファンケルが抱えていた課題
ファンケルは、カスタマーサービスにおいて「お客さま一人ひとりに最高の体験価値(CX)を提供すること」をビジョンに掲げています。このビジョンを実現するため、利用者のニーズに合わせた多様なチャネルでの対応を重視してきました。特に、主要顧客層である40代以上の方々、そしてデジタル操作に不安を感じやすい層にも配慮し、電話、メール、Webチャット、FAQ、LINE公式アカウントなど、幅広い手段を提供することで、誰もが利用しやすい環境を整備しています。
これまでもファンケルは、WebサイトのチャットボットやLINE公式アカウントのFAQ更新を迅速に行うなど、利用者のスムーズな自己解決を支援するための取り組みを進めていました。しかし、従来のチャットボットには限界がありました。それは、キーワードの一致を前提としていたためです。利用者が自由な文章で質問をしたり、FAQに登録されていない単語や類似語を使用したりした場合、チャットボットは適切な回答を提示できず、結果として利用者が自己解決に至らないケースが頻繁に発生していました。
このような状況は、利用者にとって不便であるだけでなく、コンタクトセンターにも大きな負担をかけていました。解決を急ぐ利用者は、電話や有人チャットへと流れてしまい、オペレーターの対応数が増加。人件費の高騰や人手不足が深刻化する中、オペレーターの増員による対応力強化には限界があり、利用者とコンタクトセンター双方の負担を軽減できる新たな仕組みが喫緊の課題となっていたのです。このような背景から、人員を増やすことなく利用者の自己解決を促進し、利便性と満足度を向上させるための高精度なチャットボットの導入が検討され、「MOBI BOT AI Vector Search」がその解決策として注目されました。
「MOBI BOT AI Vector Search」とは?AI初心者でもわかるベクトル検索の仕組み
「MOBI BOT AI Vector Search」は、AI技術を駆使した「ベクトル検索」という画期的な手法を用いることで、従来のチャットボットの課題を解決します。では、この「ベクトル検索」とは一体どのような仕組みなのでしょうか?AI初心者の方にも分かりやすく解説します。
ベクトル検索とは?
私たちは普段、言葉を使ってコミュニケーションを取りますが、言葉には様々な表現方法やニュアンスがあります。例えば、「日焼け止め」と「サンガード」は違う言葉ですが、意味は非常に近いです。従来のチャットボットは、キーワードが完全に一致しないと適切な情報を探し出すのが苦手でした。
しかし、ベクトル検索は違います。テキストや画像といった様々なデータを、AIが「数値のベクトル」という形に変換します。この「ベクトル」とは、簡単に言えば、言葉の意味や特徴を数字で表したものです。例えば、「日焼け止め」と「サンガード」という言葉は、それぞれ異なるベクトルに変換されますが、意味が近いため、これらのベクトルは空間上で非常に近い位置に存在することになります。
AIは、利用者が入力した質問のテキストをベクトルに変換し、事前に登録されているFAQ(よくある質問)の各回答のベクトルと比較します。そして、ベクトル間の距離や角度を計算することで、質問の意味に最も近い回答を効率的に見つけ出すことができるのです。これにより、たとえ質問の表現が曖昧であったり、FAQにない単語が使われていたりしても、質問の「意図」を正確に理解し、最適な回答を提示することが可能になります。
従来のチャットボットとの決定的な違い
従来のチャットボットが「キーワード辞書」に頼り、完全一致を求める「点」での検索だったのに対し、「MOBI BOT AI Vector Search」は「意味の近さ」を捉える「面」での検索と言えます。この技術により、利用者はより自然な文章で質問できるようになり、検索時の迷いや手間が大幅に軽減されます。結果として、スムーズな自己解決と快適な問い合わせ体験が実現するのです。
さらに、「MOBI BOT AI Vector Search」は、回答を既存のFAQから提示するという重要な特徴を持っています。これは、近年注目されている「生成AI」が時に誤った情報を生成してしまう「ハルシネーション」というリスクをゼロに抑えることを意味します。信頼性の高い情報のみが提供されるため、利用者は安心してチャットボットを利用できるのです。

実証実験で判明!問い合わせ完了数2割向上と業務効率化の具体的な成果
ファンケルは「MOBI BOT AI Vector Search」の導入に向けて、2025年12月に「ファンケルオンライン」FAQサイトのチャットサポートとLINE公式アカウント「ファンケル カスタマーサポート」のチャットサポートで実証実験(PoC)を実施しました。このPoCでは、その効果が明確に示されました。
問い合わせ完了数が約2割向上
最も顕著な成果は、従来のチャットボットと比較して、チャットボット内での問い合わせ完了数が約2割向上したことです。これは、「MOBI BOT AI Vector Search」が、利用者の自由な文章入力や、同義語・表記ゆれにも柔軟に対応し、質問の意図を正確に捉えた回答を提示できるようになったためです。利用者は求めている情報を正確かつスムーズに得られるようになり、自己解決が大幅に促進されました。
有人オペレーターへの連携数が減少、業務効率化に貢献
利用者の自己解決が促進された結果、コンタクトセンター側にも大きなメリットがもたらされました。具体的には、チャットボットで解決できなかった場合に有人オペレーターへ連携される数が減少したのです。これにより、定型的な問い合わせ対応にかかるオペレーターの工数が削減され、コンタクトセンター全体の業務効率化に大きく貢献しました。
「MOBI BOT AI Vector Search」の導入により、オペレーターは、より複雑で高度な対応が必要な問い合わせや、対人でのサポートを強く求める利用者への対応に集中できるようになりました。これにより、ファンケルは利用者の利便性・満足度を高めるサービス提供と、コンタクトセンター業務の効率化という二つの目標を両立させる体制を構築することができたのです。

実際の利用シーンから見る「MOBI BOT AI Vector Search」の威力
「MOBI BOT AI Vector Search」がどのように利用者の問い合わせ体験を改善したのか、具体的な例を見てみましょう。
改善例:曖昧な質問への的確な対応
例えば、利用者が「日焼けをしてしまったので、美白になれる化粧品を探している」という自然な文章で質問を入力したとします。従来のチャットボットでは、キーワードが完全に一致しないため、「美白」や「日焼け」といった単語だけでは、利用者の具体的な要望を汲み取り、適切な回答を提示することが困難でした。
しかし、「MOBI BOT AI Vector Search」では、AIが文脈全体を理解し、利用者の「日焼け後のケア」や「美白を目的とした化粧品探し」という意図を正確に把握します。その結果、質問の意図に沿った関連性の高いFAQを抽出し、以下のような適切な回答候補を提示できるようになりました。
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「『ブライト スキンケアパウダー』に、紫外線防止効果はありますか?」
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「美白ケアには『トイロシリーズ』と『ブライトニングシリーズ』のどちらがおすすめですか?」
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「スキンケアはどのように選べばよいですか?」
このように、AIが質問の背後にある利用者のニーズを深く理解することで、従来のチャットボットでは対応が難しかった曖昧な表現や長文の質問に対しても、的確な情報提供が可能となり、利用者の自己解決を強力に支援しています。

ファンケルカスタマーサービス本部からのコメント
今回の「MOBI BOT AI Vector Search」導入について、株式会社ファンケル カスタマーサービス本部CXデザイン部デジタルデザイングループの川崎 純子氏からコメントが寄せられています。
川崎氏は、「従来のボットは外部FAQサイトと連携し、お客様が入力したキーワードが含まれる回答を提示するため、長文に弱く、言い回し次第で検索にヒットせず、的外れな回答になることもありました。ベクターサーチはAIが言語理解に基づき回答を検索するため、文章で入力された場合も高い回答精度で解決率が向上しました。自然文入力が増え、コンタクトリーズン分析もしやすくなりましたので、今後もチューニングで更なる改善を進めます。」と述べています。
このコメントからは、AIによる言語理解能力の高さが、利用者の利便性向上だけでなく、企業側での問い合わせ内容の分析(コンタクトリーズン分析)にも役立ち、今後のサービス改善につながる可能性が示唆されています。

モビルスのCXソリューション「MOBI AGENT」と「MOBI BOT AI Vector Search」
モビルス株式会社は、今回のファンケルへの導入実績を持つ「MOBI BOT AI Vector Search」を含む、様々なCXソリューションを提供しています。
MOBI BOT AI Vector Search
「MOBI BOT AI Vector Search」は、問い合わせに含まれる「曖昧さ」や「表現の揺らぎ」を柔軟に捉え、検索精度を飛躍的に向上させるチャットボットです。FAQ検索時、単語の不一致にも柔軟に応答し、同義語や揺らぎのある単語を含む質問に対しても的確な回答を提示することで、顧客の自己解決を強力に支援します。さらに、回答は既存のFAQから提示されるため、ハルシネーションリスクはゼロ。安定した検索精度で、チャットボット運用の管理工数を大幅に削減します。
- MOBI BOT AI Vector Searchサービス紹介ページ: https://mobilus.co.jp/service/bot
MOBI AGENT
モビルスが提供するもう一つの主要ソリューションが、有人チャットシステム「MOBI AGENT(モビエージェント®)」です。チャットボットでは解決できない、より複雑な問い合わせや、きめ細やかな対応が必要な場合に、有人オペレーターが対応できるシステムです。様々なオペレーター支援機能や「MOBI BOT」との連携により、少ない負担で質の高い顧客対応を実現します。「MOBI AGENT」は業種問わず、コンタクトセンターをはじめ、企業のお問い合わせ窓口など、さまざまなユーザーサポートシーンで活用されています。
- MOBI AGENTサービス紹介ページ: https://mobilus.co.jp/service/agent
これらのソリューションを組み合わせることで、モビルスは企業が顧客対応のデジタル化と効率化を推進し、最終的には「すべてのビジネスに、一歩先行くCXを。」というミッションの実現を支援しています。
今後の展望:アテニアへの導入とさらなる顧客体験向上へ
ファンケルでの成功事例を受け、モビルスはファンケルのさらなる利便性向上を支援するため、ファンケルグループの姉妹ブランドであるアテニアの「アテニア公式オンラインショップ」FAQサイトのチャットサポートでも「MOBI BOT AI Vector Search」の導入を進めています。この導入は2026年度内に予定されており、より多くの顧客がAIチャットボットによる質の高いサポートを受けられるようになるでしょう。
モビルスは今後も、利用者一人ひとりに寄り添ったCX(顧客体験)の実現を目指すファンケルのカスタマーサービス戦略を支えるビジネスパートナーとして、「MooA®(ムーア)」などの革新的なCXソリューションの提供を通じて、一歩先行く顧客体験の実現を継続的に支援していく方針です。
モビルス株式会社は、「CX-Branding Tech. Lab(https://mobilus.co.jp/lab/)」を運営し、調査レポート、セミナー開催、登壇、実証実験を通した研究開発などを企画・発信しており、テクノロジーによる企業のCX向上に力を入れています。
まとめ:AIチャットボットが拓く顧客対応の未来
ファンケルにおける「MOBI BOT AI Vector Search」の導入は、AIチャットボットが顧客サービスにもたらす可能性を明確に示しています。従来の課題であった「曖昧な質問への対応不足」や「オペレーターの負担増大」を、AIによるベクトル検索技術で克服し、問い合わせ完了率の向上と業務効率化を両立させました。
この事例は、AI技術が単なるコスト削減ツールに留まらず、顧客一人ひとりの体験価値を高め、企業のブランドイメージ向上にも貢献できることを証明しています。特に、幅広い年齢層の顧客を抱える企業にとって、AI初心者にも分かりやすく、迷わせない自己解決を促進するチャットボットは、これからの顧客対応のスタンダードとなるでしょう。
ファンケルとモビルスの取り組みは、AIが拓く顧客対応の新たな未来を示唆しており、今後もその進化と拡大に注目が集まります。
株式会社ファンケルについて
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代表者:代表取締役 社長執行役員 三橋 英記
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所在地:神奈川県横浜市中区山下町89-1
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事業内容:化粧品・健康食品の研究開発、製造および販売
モビルス株式会社について
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代表者:代表取締役社長 石井智宏
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所在地:東京都品川区東五反田2丁目22番9号 住友不動産大崎ツインビル西館9階
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事業内容:コンタクトセンター向けSaaSプロダクト(モビシリーズ)などのCXソリューションの提供

