医療現場の課題を解決!piponのAIが「非構造化データ」を自動で「構造化」し、研究・経営分析を大幅に効率化

医療現場の課題を解決!piponのAIが「非構造化データ」を自動で「構造化」し、研究・経営分析を大幅に効率化

医療現場では、日々膨大な情報が生成されています。医師の診察時の会話、看護師の記録、患者への説明文書、カルテの自由記載欄など、これらは「非構造化データ」と呼ばれ、文字通り決まった形式を持たない情報のことです。これらのデータは、そのままだと統計的な分析や研究、経営状況の把握などに活用することが非常に難しいという課題がありました。しかし、この度、株式会社piponが提供を開始した「医療機関向けAI構造化エンジン」が、この長年の課題を解決する画期的なソリューションとして注目されています。

piponのAI構造化エンジンとは?

piponの「医療機関向けAI構造化エンジン」は、医療現場に散在する非構造化データを、AI(人工知能)の力で自動的に整理し、分析や活用がしやすい「構造化データ」へと変換する技術です。

piponのAI構造化エンジン

このエンジンは、これまでpiponが提供してきたAIカルテ作成サービス「ボイスチャート」で培われた高度な音声処理技術と、自然言語処理技術を基盤としています。医療データ標準化の国際的な基準である「OMOP CDM(Observational Medical Outcomes Partnership Common Data Model)」などに準拠した形式への変換を自動化できるよう拡張されており、医療研究に不可欠なRWD(リアルワールドデータ)の活用を大きく前進させることが期待されています。

なぜ今、医療データの構造化が必要なのか?医療現場の「本当の課題」

多くの病院では、医師が研究や論文作成を行う際、IT部門に依頼してカルテの自由記載や看護記録、外来での説明内容、医薬品の使用記録、病名・検査・処置のテキストといった非構造化データを、手作業で構造化データに変換してもらっているのが実情です。この作業には、以下のような深刻な課題が伴います。

  • 膨大な時間と手間: 医療データは非常に複雑で量も多いため、手作業での構造化には膨大な時間と労力がかかります。これにより、研究の着手や進行が遅れる原因となっていました。

  • 人為的な誤差の発生: 人手による作業は、どうしても入力ミスや解釈の違いによる誤差が生じやすいものです。データの信頼性が損なわれる可能性があり、その後の研究や分析結果にも影響を与えかねません。

  • IT部門への負担集中: 構造化作業の依頼がIT部門に集中することで、本来の業務が圧迫され、部門全体の生産性低下を招くことがあります。

  • データ活用の機会損失: 手作業の煩雑さから、活用できるはずの貴重なデータが十分に生かされず、研究や経営改善の機会を損失しているケースも少なくありません。

これらの課題は、医療現場におけるデータドリブンな意思決定や、効率的な研究活動の大きな障壁となっていました。piponの新しい構造化エンジンは、こうした「面倒な構造化作業」をAIが自動で処理することで、医師やIT部門の負担を劇的に軽減し、医療データの真価を引き出すことを目指しています。

AI構造化エンジンの仕組み:非構造化データから構造化データへ一気に変換

piponのAI構造化エンジンは、以下の4つのプロセスをAIが自動で実行することで、非構造化データを効率的かつ高精度に構造化データへと変換します。AI初心者の方にも分かりやすいように、それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

① テキスト・音声の内容理解

まず、エンジンは入力されたテキストデータ(カルテの記載、看護記録など)や音声データ(診察時の会話など)の内容を深く理解します。これは、AIが単に文字を認識するだけでなく、その文脈や意味合いを把握する高度な「自然言語処理」技術によって実現されます。診察内容、病名、検査、処置、投薬、患者の主な訴え(主訴)、病気の経過説明など、医療現場特有の専門用語や表現も正確に捉えることが可能です。

② 医療データ項目への自動マッピング

内容を理解した後、AIはそれぞれの情報を適切な医療データ項目へと自動的に割り振ります。例えば、「患者基本情報」(氏名、生年月日など)、「病名付与」(疾患名)、「薬剤使用」(薬の種類、量、投与方法)、「検査値」(血液検査の結果など)、「処置記録」(行った治療や手術の内容)といった具体的なカテゴリに分類していきます。このマッピング作業により、データが整理され、後から特定の情報を探しやすくなります。

③ 研究に使える構造化データへ変換

分類されたデータは、研究や分析にそのまま活用できる「構造化データ」の形式に変換されます。この際、RWD(リアルワールドデータ)やCDM(共通データモデル)形式、特に国際的に広く利用されている「OMOP形式」といった、医療研究で標準とされているデータ構造を意識して出力されます。これにより、異なる医療機関や研究機関間でデータを共有したり、大規模なデータ分析を行ったりすることが容易になります。また、出力形式は各病院の特定の運用に合わせてカスタマイズすることも可能です。

④ 出典の追跡(どの発話から抽出したか)

このエンジンには、構造化されたデータが「どの元のテキストや音声から抽出された情報なのか」を追跡できる機能が備わっています。これはデータの信頼性を高める上で非常に重要です。例えば、ある病名が構造化データとして記録された場合、その病名がカルテのどの記述、あるいは診察時のどの発言に基づいているのかをすぐに確認できます。これにより、データの正確性を検証しやすくなり、院内でのAI活用における信頼性向上にも寄与します。

これらの自動プロセスにより、従来人手で行っていた作業がほぼゼロになり、圧倒的なスピードと高い精度で、研究や経営分析に直結する構造化データが生成されるのです。

「音声」も「テキスト」も構造化できる――ボイスチャートの抽象化版

piponはこれまで、診療会話からSOAP(Subjective:主観的情報、Objective:客観的情報、Assessment:評価、Plan:計画)形式のカルテを生成するAIサービス「ボイスチャート」を提供し、多くの医療現場で評価されてきました。この「医療機関向けAI構造化エンジン」は、ボイスチャートで培われた高度な音声理解と情報抽出の技術を、さらに「研究データ向け」に特化・拡張したものです。

これにより、単にカルテ作成を支援するだけでなく、医療現場に存在するあらゆる「自然言語データ」(人間が日常的に使う言葉で書かれた、あるいは話されたデータ)を構造化して蓄積することが可能になります。ボイスチャートの詳細については、https://voice-chart.pipon.net/をご参照ください。

活用シーン:AI構造化エンジンがもたらす具体的なメリット

このAI構造化エンジンは、医療機関のさまざまな場面で大きなメリットをもたらします。

研究・論文作成の効率化

これまで、カルテの自由記載欄に書かれた医師の所見や患者の症状、治療経過といった情報は、研究に活用するには一つ一つ手作業で読み解き、分類する必要がありました。しかし、このエンジンを使えば、これらの非構造化データが自動でデータ化され、すぐに研究用RWD(リアルワールドデータ)として活用できるようになります。これにより、研究者はデータ収集や整理にかける時間を大幅に削減し、より本質的な研究活動に集中できるようになります。新しい知見の発見や、より質の高い論文作成への貢献が期待されます。

DPC・経営分析の精度向上

DPC(診断群分類包括評価)制度における病院の経営分析や、日々の経営状況の把握においても、このエンジンは力を発揮します。検査、処置、投薬といった医療行為のテキスト内容が自動で構造化されることで、それらを経営指標と結びつけて分析することが容易になります。例えば、特定の疾患に対する治療内容や使用薬剤の傾向を把握し、コスト効率の良い治療プロトコルの検討や、リソース配分の最適化に役立てることができます。これにより、病院経営の透明性と効率性が向上し、よりデータに基づいた戦略的な意思決定が可能になります。

院内データの統合と一元管理

病院内では、部署や職種によって記録の粒度や形式が異なることがよくあります。例えば、医師のカルテ、看護師の記録、薬剤師の記録など、それぞれが異なるシステムやフォーマットで管理されている場合も少なくありません。このエンジンは、これらの多様な記録をAIが理解し、標準化されたデータ構造に変換することで、院内全体のデータ統合を促進します。記録の粒度を揃え、一元的に管理できるようになることで、部署間の情報共有がスムーズになり、患者ケアの質の向上にも貢献します。

精度向上のためのフィードバックループ

AIが生成した構造化データには、出典追跡機能が備わっています。これは、AIの解析結果が元のどの情報に基づいているのかを明確に示すものです。この機能により、もしAIの解析結果に改善の余地が見つかった場合でも、その原因となった元の情報を素早く特定し、AIモデルの学習データとしてフィードバックすることができます。このように、継続的にAIの精度を向上させるための「フィードバックループ」を構築できるため、長期的に見てもデータ活用の質を高めることが可能です。

医療機関が「研究をしやすい組織」に変わる未来

piponが目指すのは、「研究支援のためのIT作業をゼロにすること」です。医師が日々の診療を行う中で自然に発生する非構造化データを、IT部門を介することなく、AIが自動的に研究に使えるデータへと変換します。これにより、医師はデータ整理の手間から解放され、より多くの時間を患者と向き合うことや、新たな研究テーマの探求に充てられるようになります。

piponは、このAI構造化技術や、多様なデータを整理・統合する「抽象化ノウハウ」を基盤として、各病院の具体的なデータ形式や専門とする研究領域に合わせて柔軟にカスタマイズできる技術基盤を提供します。これにより、個々の医療機関が持つ独自のニーズに応え、データ活用の可能性を最大限に引き出すことを支援します。

株式会社pipon 代表取締役 北爪聖也氏のコメント

株式会社piponの代表取締役である北爪聖也氏は、今回のサービス提供開始にあたり、次のように述べています。

「医療現場には、膨大な『非構造化データ』が存在します。しかし、研究や品質向上のためにはこれを構造化する必要があり、その作業が現場の負担となってきました。今回、ボイスチャートで培った自然言語処理技術を抽象化し、医療データを自動で構造化できるエンジンとして提供できるようになりました。診療の現場で自然に生まれるデータが、そのまま研究・経営改善・品質向上の材料として活用される未来を、医療機関とともに実現していきます。」

まとめ

piponが提供を開始した「医療機関向けAI構造化エンジン」は、医療現場の非構造化データをAIが自動で構造化することで、研究・論文作成、DPC・経営分析、院内データ統合といった多岐にわたる業務を劇的に効率化します。これにより、医師やIT部門の負担が軽減され、医療機関全体がデータに基づいた意思決定を行いやすくなり、「研究をしやすい組織」への変革が期待されます。

この革新的なAI技術は、医療の質向上、経営の効率化、そして新たな医療知識の創出に大きく貢献するでしょう。AIが医療現場にもたらす未来に、今後も注目が集まります。

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