企業活動の根幹を支える契約書管理がAIで劇的に進化
企業が日々行うビジネスにおいて、契約書は非常に重要な役割を果たします。しかし、膨大な量の契約書を一つ一つ確認し、必要な情報を手作業で探し出す作業は、時間と手間がかかるだけでなく、見落としやミスにつながる可能性も少なくありませんでした。このような課題を解決するため、AI(人工知能)を活用した「契約書管理」のDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されています。
今回、株式会社DATAFLUCT(以下、DATAFLUCT)が提供するデータ活用基盤「Airlake platform」と、株式会社NXワンビシアーカイブズ(以下、NXワンビシアーカイブズ)が提供する電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign」が連携し、「AI契約書管理機能」を大幅にアップデートしました。このアップデートにより、契約書からの情報抽出精度が飛躍的に向上し、企業の業務効率化とデータ活用の新たな道が開かれました。

従来の契約書管理が抱えていた課題とは?
企業には、紙の契約書やPDFファイルなど、様々な形式で契約書が保管されています。これらの契約書から、例えば「取引先の名前」「契約した金額」「契約がいつまで有効か」といった重要な情報を探し出す作業は、非常に骨の折れる仕事でした。
手作業での情報抽出は、以下のような課題を抱えていました。
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時間とコストの増大: 契約書の数が増えれば増えるほど、情報抽出にかかる時間と人件費が増大します。
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ヒューマンエラーのリスク: 人間が行う作業である以上、情報の見落としや誤入力といったミスが発生する可能性があります。
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情報活用の遅れ: 必要な情報がすぐに見つからないため、経営判断や次のアクションに移るまでの時間が長くなってしまいます。
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DX推進の障壁: デジタル化を進めたい企業にとって、アナログな契約書管理は大きな足かせとなっていました。
これらの課題を解決するため、NXワンビシアーカイブズは2024年10月から「WAN-Sign」に「AI契約書管理機能」を導入しました。この機能は、DATAFLUCTの「Airlake」を活用し、機械学習によって契約書から必要な項目を自動で抽出することを可能にしました。しかし、従来の機械学習モデルでは、契約書の多様な表現や複雑な形式に対応しきれない場合があり、さらなる精度向上が求められていました。
AI契約書管理機能が「Azure OpenAI」活用で劇的に進化
今回のアップデートでは、AIエンジンを従来の機械学習モデルから、Microsoft Azureが提供する「Azure OpenAI」へと変更しました。この変更が、情報抽出の精度を大きく向上させる鍵となりました。
LLM(大規模言語モデル)による「文脈理解」
「Azure OpenAI」の導入により、AIはLLM(大規模言語モデル)の力を活用できるようになりました。LLMとは、人間が使う言葉(自然言語)を深く理解し、生成することができるAIの技術です。
従来の機械学習モデルが、あらかじめ決められたパターンやキーワードに基づいて情報を抽出していたのに対し、LLMは契約書全体の「文脈」を理解することができます。これにより、たとえ表現が多少異なっていても、AIがその意味を正確に捉え、必要な情報を的確に判断できるようになりました。
この文脈理解能力の向上により、契約書情報の抽出精度は、従来の86.5%から95.4%へと飛躍的に向上したと報告されています(※NXワンビシアーカイブズのPoC環境における改善数値)。これは、AIがより人間のように契約書の内容を理解できるようになったことを意味します。
AI-OCRとLLMを組み合わせた「ハイブリッド方式」
今回のアップデートでは、さらに「ハイブリッド方式」が採用されました。これは、契約書の画像データを直接AIに読み込ませるだけでなく、事前にAI-OCR(光学文字認識)技術でテキスト化したデータも同時にLLMにインプットするという方法です。
AI-OCRは、画像内の文字をデジタルテキストに変換する技術です。この技術とLLMを組み合わせることで、画像だけでは捉えきれなかった細かい文字情報や、表記の揺れ(同じ意味でも異なる書き方がある場合)もAIが補完できるようになりました。この複合的なアプローチが、実証実験で大幅な精度向上を確認する要因となっています。
抽出できる重要項目がさらに正確に
「Airlake platform」の活用により、手書き文字にも対応したAI-OCRでのデータ化から、Azure OpenAI(LLM)による情報抽出、そしてデータを整理された形(構造化データ)にするまでの一連のプロセスが、非常にスムーズに連携するようになりました。
これにより、機械学習モデルでは対応が難しかった多様な契約書形式や表現にも幅広く対応できるようになり、以下の7つの重要項目を高い精度で抽出できるようになりました。
- 相手方の名称
- 契約金額
- 契約日
- 契約満了日
- 自動更新の有無
- 更新期間
- 解約期限
これらの情報を高精度で自動抽出できることで、企業は契約管理にかかる手間を大幅に削減し、より戦略的な業務に集中できるようになります。
NXワンビシアーカイブズからは、今回のアップデートについて「精度向上および処理時間が短縮し、ご利用ユーザー様からは大変ご好評いただいております。またAirlake platformを活用することで、変更に対する精度評価およびアップデートをスムーズに行うことができました。今後もAIのさらなる活用により、お客様の働き方変革や情報管理のDXに寄与してまいります。」とのコメントが寄せられています。
「WAN-Sign」AI契約書管理機能の詳細はこちらをご覧ください。
https://wan-sign.wanbishi.co.jp/ai/contract_management
契約書だけではない。「Airlake platform」が推進する「書類データDX」
「Airlake platform」は、今回の契約書管理の高度化に留まらず、企業内に散らばっている様々な「活用されていない情報資産」をAIの力でデータ化し、ビジネスに役立てる「書類データDX」を強力に推進しています。
あらゆるデータを整理・構造化する基盤
書類や仕様書、契約書、設計図面など、企業には多くのデータが存在しますが、その多くは紙やPDFのような「非構造化データ」として点在し、十分に活用されていないのが現状です。
「Airlake platform」は、これらの多様な形式のデータを一元的に受け入れ、AIが自動で整理・構造化するデータ基盤です。これにより、これまで活用が難しかった情報も、分析や検索、共有が容易になり、企業の競争力強化に直結します。

Airlake platformのデータ活用フロー:社内外の多様なデータを収集・加工・分析し、業務アプリケーションに活用する様子が示されています。
活用事例:設計図面のナレッジ化と設備管理DX
「Airlake platform」は、契約書管理以外にも、様々な分野で書類データDXを推進した実績があります。
(1) 設計図面のナレッジ化による設計時間の短縮事例(大手建設会社)
ある大手建設会社では、過去の設計図面や積算データが紙やPDFで事務所内にバラバラに保管されており、情報が共有されにくいという課題がありました。そのため、新しいプランを作成する際に過去の類似事例を探すのに時間がかかったり、特定の社員しかその情報にアクセスできない「業務の属人化」が起きていました。
「Airlake platform」は、AI-OCR機能を使って過去の膨大な図面データを構造化しました。これにより、社内に点在していたデータを自動で収集し、社員誰もが簡単に参照できる「ナレッジ(知識資産)」として一元管理することが可能になりました。結果として、設計時間の短縮と社内でのナレッジ共有が実現しました。
(2) 設備管理DXによるデータドリブンな運用(インフラ企業)
あるインフラ企業では、部門ごとにデータを管理していたため、必要なデータを社内で活用できず、個人の経験や勘に頼った判断が常態化していました。職員の減少やインフラの老朽化が進む中で、より効率的で客観的な設備管理が求められていました。
「Airlake platform」は、粒度の異なる様々な社内データを集約し、これらを組み合わせて設備の最新状況をダッシュボードで分かりやすく可視化しました。これにより、データに基づいた(データドリブンな)インフラ運用が可能となり、属人的な判断から脱却し、より効率的で計画的な設備管理を実現しました。
これらの事例からもわかるように、「Airlake platform」は、企業が抱える複雑な文書処理やデータ抽出の課題に対し、AIを活用した強力なソリューションを提供しています。今後も「Airlake platform」は、企業のDXを強力に推進していくことでしょう。
「Airlake platform」の詳細については、こちらをご覧ください。
https://datafluct.com/ai-service/ai-platform/platform/
「WAN-Sign」について
NXワンビシアーカイブズが提供する「WAN-Sign」は、電子契約と契約管理を統合したサービスです。内部統制やセキュリティ機能が充実しており、電子契約だけでなく、紙の契約書の原本管理・保管から電子化までを、この一つのサービス内で完結できる点が特徴です。これにより、企業は契約業務の全体を効率的に管理し、コンプライアンスを強化することができます。
「WAN-Sign」の詳細については、こちらをご覧ください。
https://wan-sign.wanbishi.co.jp/
株式会社DATAFLUCTについて
株式会社DATAFLUCTは、「データを商いに」というビジョンを掲げ、これまで活用されてこなかったデータから新しい価値を生み出し、社会課題を解決するデータビジネスパートナーです。同社は、文書や画像、音声など、様々な形式のデータ(非構造化データ)を区別なく扱う「マルチモーダルデータ活用」に強みを持っています。
データの収集から蓄積、加工、分析までを一貫して行い、需要予測によるロスの削減、持続可能な都市計画、脱炭素に向けた行動変容など、世界的な課題に着目した独自のサービスも展開しています。DATAFLUCTは、誰もがデータを有効活用することで、持続可能な意思決定ができる世界の実現を目指しています。2019年にはJAXAベンチャー(※)にも認定されています。
※JAXAベンチャー:宇宙航空研究開発機構(JAXA)の知的財産や業務で得た知見を利用して事業を行う、JAXA職員が出資・設立したベンチャー企業。
DATAFLUCTのWebサイト:https://datafluct.com/
DATAFLUCTの公式X:https://twitter.com/datafluct
DATAFLUCTの公式Facebook:https://www.facebook.com/datafluct/
まとめ:AIとLLMが拓く新たなデータ活用の時代
今回のDATAFLUCTとNXワンビシアーカイブズによる「WAN-Sign」のAI契約書管理機能のアップデートは、Azure OpenAIを活用したLLMの導入により、情報抽出精度を95.4%まで高めるという画期的な成果をもたらしました。
これは単に数字が向上しただけでなく、AIが契約書の「文脈」を理解できるようになったことで、より複雑で多様な書類データにも対応できるようになったことを意味します。この技術進化は、契約書管理の効率化だけでなく、設計図面や設備管理といった他の分野にも応用され、企業全体のDXを加速させる可能性を秘めています。
AI初心者の方にも、今回のアップデートがいかに企業の業務をスマートにし、データ活用を推進するかをご理解いただけたのではないでしょうか。これからもAI技術の進化が、私たちの働き方やビジネスのあり方を大きく変えていくことでしょう。DATAFLUCTの「Airlake platform」のような先進的なデータ基盤が、その変化の中心を担っていくことはきっと間違いありません。
サービスの詳細や導入に関するご相談は、DATAFLUCTのWebサイトからお問い合わせください。
https://datafluct.com/

