2026年サイバーセキュリティ脅威予測:NordVPNが警告するAI・量子コンピューター時代の新リスクと対策

2025年12月9日、個人向けセキュリティサービスを提供するNordVPNは、2026年に予想される主要なサイバーセキュリティリスクに関する詳細な予測を発表しました。この予測は、人工知能(AI)の悪用や量子コンピューター技術の進展が、サイバー犯罪を新たな段階へと押し上げている現状を浮き彫りにしています。

デジタルサービスやスマートデバイスへの依存度が高まる現代において、一般ユーザーが直面するサイバー脅威は、その規模も複雑さも増大の一途をたどっています。NordVPNの専門家が指摘する5つの新たな脅威について、AI初心者にもわかりやすい言葉で詳しく解説し、私たちがどのように身を守るべきかを考えていきましょう。

フードをかぶった人物が不敵な笑みを浮かべ、巨大な球体(月や惑星のよう)を掴んでいるイラスト

2026年における5つの主要なサイバーセキュリティリスク

1. インターネット・モノカルチャーのリスク

インターネットの「モノカルチャー化」とは、世界中の多くの人々が、特定の少数の大手企業が提供するサービスに集中して利用している状態を指します。例えば、クラウドサービスであればAWS、オフィスソフトであればGoogle WorkspaceやMicrosoft Officeといった具合です。このような集中は、利便性をもたらす一方で、重大なリスクをはらんでいます。

もし、これらの主要なサービスの一つに障害が発生した場合、その影響は数百万、あるいは数億人ものユーザーに同時に及び、インターネット全体の回復力を著しく低下させる可能性があります。これは、まるで一つの農作物を集中的に栽培する「モノカルチャー農業」が、病害虫に弱いように、インターネットも特定の障害に弱くなることを意味します。

さらに、このモノカルチャー化は、サイバー犯罪者にとってハッキングの収益性を大幅に向上させています。かつては、企業や個人がそれぞれ異なるシステムを使っていたため、攻撃者は標的ごとに異なる手法を開発する必要があり、多大なコストがかかりました。しかし、現在は多くのユーザーが同じプラットフォーム上にいるため、犯罪者は一度の攻撃で数百万人のユーザーを標的にでき、一人当たりの利益が小さくても、全体として莫大な収入を得ることが可能になっているのです。この状況は、効率を求めるサイバー犯罪者にとって非常に魅力的であり、大規模な攻撃のリスクを高めています。

2. SNS上で増加する誤情報—セキュリティ軽視を煽る組織的な動き

2025年には、SNSや匿名掲示板などのオンラインプラットフォームで、「パスワードを複雑にするのはやりすぎ」「二段階認証なんて面倒で意味がない」といった、セキュリティ対策を軽視したり嘲笑したりする投稿が目立つようになりました。残念ながら、この傾向は2026年にさらに加速すると予測されており、多くの人々のオンライン上の安全とプライバシーに深刻な影響を及ぼす可能性があります。

この背景には、単なる個人の意見だけでなく、犯罪組織の存在が指摘されています。一部のサイバー犯罪組織は、正規の企業顔負けの組織力を持っており、ユーザーを無防備な状態に保つことを目的とした専門のマーケティング部門を設置していると言われています。彼らは潤沢な資金力を背景に、人気インフルエンサーを買収したり、自らインフルエンサーを育成したりして、「セキュリティ対策は不要」「このアプリは安全だから大丈夫」といった、安全性に欠ける習慣や製品を積極的に宣伝する動きを強めています。これにより、多くの一般ユーザーが知らず知らずのうちに危険な習慣を身につけ、サイバー攻撃の標的となりやすくなることが懸念されます。

3. 1,500円で誰もが買える「Evil GPT(悪のChatGPT)」—AI悪用時代の到来

人工知能(AI)の進化は、サイバー犯罪の様相を大きく変えつつあります。サイバー犯罪者はすでに、人間がほとんど介入しなくても、自動的にネットワークを調査し、弱点を見つけ出し、攻撃を仕掛けることができる「自律型AI」の実験を進めています。これらのシステムは、自ら学習し、改良し、状況に適応することができるため、攻撃のスピードは格段に速くなり、予測や防御が極めて困難になるでしょう。

さらに驚くべきことに、「Evil GPT(悪のChatGPT)」と呼ばれる、攻撃に特化したAIモデルが、ダークウェブ上でわずか約1,500円という低価格で誰でも購入できる状況になっていると報告されています。これは、高度なサイバー攻撃のツールが、専門知識を持たない一般の犯罪者にも広く普及する可能性を示唆しています。

ChatGPTのような一般的なAIチャットツールを利用する際にも注意が必要です。もし「パスワードを忘れた」といった問い合わせや、クレジットカード番号などの機密情報を何気なく入力していませんか?これらのAIツールは、会話の履歴をブラウザ内に保存することが多く、もしお使いのPCやスマートフォンがマルウェア(悪意のあるソフトウェア)に感染していた場合、保存された機密情報が盗み取られる危険性があります。AIは非常に便利なツールですが、その利用方法によっては新たなセキュリティリスクを生み出すことを認識しておく必要があります。

4. 信頼の崩壊—ディープフェイクと合成IDによる「なりすまし」の巧妙化

2026年、サイバーセキュリティにおける最大の課題の一つは、「何も信じられなくなる」という状況が生まれることだと予測されています。AI技術の進展により、ディープフェイク(AIによって生成された偽の画像や動画)、音声クローニング(特定の人物の声を複製する技術)、精巧に作られた偽のプロフィール、そして自動化されたフィッシングメッセージなどが、本物と偽物の境界線を完全に曖昧にしていくでしょう。

犯罪者は、実在する人物の断片的な情報と、AIが生成した架空の情報を巧みに組み合わせることで、実在しない「合成ID」を作り出すことが可能になります。この偽のIDが悪用されると、クラウドサービスのアカウント乗っ取り、銀行口座の不正開設、さらにはローンを組むといった、深刻な犯罪が何年も発覚せずに続けられる可能性があります。AIを駆使した詐欺は、犯罪者の効率を飛躍的に高めるだけでなく、私たちが見慣れたウェブサイトやサービスと区別がつかないほど精巧な偽物を作り出すため、見破ることが極めて困難になります。

個人や企業は、目の前の情報が本当に信頼できるものなのか、常に疑いの目を持つことが求められる時代となるでしょう。特に、個人情報の取り扱いにはこれまで以上の慎重さが不可欠です。

5. 現実味を帯びる量子コンピューター攻撃

量子コンピューターは、従来のコンピューターとは比較にならないほどの計算能力を持つ次世代の技術です。この技術が発展し実用化されることで、現在「絶対に安全」とされている公開鍵暗号化技術が、いとも簡単に解読されてしまう時代が近づいています。大規模な量子攻撃が実際に可能になるのはまだ数年先と見られていますが、サイバー犯罪者はすでにその将来を見越した行動を開始しています。

彼らは「今のうちに盗んでおき、量子コンピューターが実用化されたら解読する」という、いわゆる「今すぐ盗んで後で解読する(Steal Now, Decrypt Later: SNDL)」作戦を実行中です。これは、数年前にやり取りした暗号化されたメール、保存されている機密ファイル、オンラインバンキングの記録などが、将来的に量子コンピューターによって突然解読され、第三者に閲覧される可能性があることを意味します。たとえ現在安全に保管されていると思われている情報でも、将来的に危険にさらされるリスクがあるのです。

量子技術による暗号の復号化が現実のものとなれば、数十年分の個人情報や企業の機密が一気に露呈する恐れがあります。このため、企業や個人にとって、量子コンピューター時代への備えは、もはや「いつか考えるべきこと」ではなく、「今すぐ取り組むべき喫緊の課題」となっています。既存の暗号システムの見直しや、量子耐性のある新しい暗号技術への移行が、今後ますます重要になるでしょう。

NordVPNサイバーセキュリティ専門家からの提言

NordVPNのサイバーセキュリティ専門家であるアドリアナス・ワーメンホーフェン氏は、現状のデジタルエコシステムがモノカルチャー化していることを指摘し、「オンライン上のあらゆる個人が潜在的な標的となっている」と警鐘を鳴らしています。DNSレコード(ウェブサイト閲覧時に残るアクセス履歴などの情報)のような一見取るに足らないデータでさえ、売買され、集約され、悪用されるリスクが存在すると述べています。

2026年には、AIを活用した攻撃と防御の高度化がさらに進み、サイバー犯罪の敷居が下がる一方で、熟練した攻撃者の能力は一層強化されると見込まれています。また、量子コンピューティング市場は50億ドル規模へ成長する予測があり、その商用化の進展に伴い、サイバーセキュリティは各産業でより重要なテーマとなるでしょう。

ワーメンホーフェン氏は、「物理世界とデジタル世界の境界が曖昧になる中、サイバーセキュリティは技術課題を超え、社会全体の課題へと拡大している」と強調します。これまでのデジタル教育がデバイスの使い方といったリテラシーに重点を置いてきたのに対し、今後は「日常的な“デジタルハイジーン(デジタル衛生習慣)”の定着」がより重要になると提言しています。これらの動向は、2026年に向けて世界のサイバーセキュリティ環境が大きく変化することを示唆しています。

私たちが今できること:サイバー脅威から身を守るための対策

NordVPNの予測が示すように、2026年はサイバーセキュリティにとって大きな転換点となるでしょう。しかし、これらの脅威は決して避けられないものではありません。私たち一人ひとりが意識を高め、適切な対策を講じることで、リスクを大幅に軽減できます。AI初心者の方にも実践できる具体的な対策をいくつかご紹介します。

  1. VPN(仮想プライベートネットワーク)の活用
    VPNは、インターネット接続を暗号化し、オンライン上のプライバシーとセキュリティを強化するツールです。公共Wi-Fiなど、安全性が不確かなネットワークを利用する際にも、VPNを使うことでデータの盗聴や追跡を防ぐことができます。NordVPNのような信頼できるVPNサービスを利用することは、基本的なセキュリティ対策として非常に有効です。

  2. 強力なパスワードと二段階認証の徹底
    SNSの誤情報に惑わされず、各サービスごとに長く複雑なパスワードを設定し、使い回しは絶対に避けましょう。さらに、二段階認証(多要素認証)を可能な限り有効にすることで、万が一パスワードが漏洩しても、不正ログインを防ぐことができます。

  3. AIツールの安全な利用
    ChatGPTなどのAIツールに、パスワード、クレジットカード情報、個人を特定できる情報(氏名、住所、電話番号など)といった機密情報を入力することは避けてください。AIチャットの履歴は保存されることが多く、情報漏洩のリスクがあります。利用規約をよく読み、安全な利用を心がけましょう。

  4. 不審な情報やリンクへの警戒
    SNSやメールで送られてくる情報、特に「セキュリティ対策は不要」といった主張や、魅力的な特典を謳うリンクには細心の注意を払いましょう。ディープフェイクや音声クローニングによって本物そっくりに作られた偽情報が増えるため、情報の出所を必ず確認し、安易に信用しないことが重要です。

  5. ソフトウェアの常に最新の状態に保つ
    OS(Windows, macOS, iOS, Androidなど)やウェブブラウザ、アプリケーションは、常に最新のバージョンにアップデートしておきましょう。アップデートにはセキュリティの脆弱性を修正するパッチが含まれていることが多く、古いバージョンのままだとサイバー攻撃の標的になりやすくなります。

  6. デジタルハイジーン(デジタル衛生習慣)の定着
    日々のデジタル生活の中で、上記の対策を習慣化することが重要です。セキュリティ設定の定期的な見直し、不要なアカウントの削除、個人情報の公開範囲の確認など、デジタル空間を清潔に保つ意識を持つことが、未来の脅威から身を守る第一歩となります。

これらの対策は、AIや量子コンピューターの進化によって複雑化するサイバー脅威から私たち自身を守るために不可欠です。NordVPNが発表した予測を参考に、今一度ご自身のセキュリティ環境を見直してみてはいかがでしょうか。

NordVPNについて

NordVPNは、世界中で何百万人ものユーザーに利用されている先進的なVPNサービスプロバイダーです。世界127カ国165都市に8,200台以上のサーバーを展開し、専用IP、Double VPN、Onion Over VPNサーバーなど、多岐にわたる機能を備えています。これにより、ユーザーはトラッキングされることなくオンラインプライバシーを強化できます。主要機能の一つである「脅威対策Pro」は、悪質なウェブサイトやトラッカー、広告のブロックに加え、マルウェアのスキャンも可能です。さらに、最新の製品として、海外旅行者向けのグローバルeSIMサービス「Saily」を提供しており、現地でのSIMカード購入の手間なくデータ通信が利用可能です。

  • 会社名:NordVPN

  • 本社:Fred. Roeskestraat 115 1076 EE Amsterdam, Netherlands

  • 日本代表:小原拓郎

  • ウェブサイトhttps://nordvpn.com/ja/

タイトルとURLをコピーしました